記憶喪失のユノさんが
何故か僕と暮らしてみると言い出した
確かにそれはいい案かも知れない
でも僕は、どう彼に接すればいいのか
まだわからないでいる
「記憶喪失でもユノさんはユノさんだなwww」
「なに、キュヒョナ、あたりまえじゃないか」
「あの強引なところに既視感がwww」
「確かに」
一旦帰って必要な物を持ってくると言ってユノさんは行ってしまった
そういえば結婚の時も気付いたらこのマンションの手配まで終わっていた
「恐るべし…」
とりあえずユノさんが戻って来たら夕食にして、今日はとりあえず寝てしまおう
細かい事は明日決めればいい…
って、今夜ユノさんは何処で寝るつもりなんだ!?
え?僕達のベッド?
いや、ユノさんだからいいけど
いいけど、どうなんだ?
「チャンミン?」
「…キュヒョナ…」
「どうした?」
「…ユノさん、何処で寝るつもりだと思う?」
「…寝室?」
「だよねぇ!?ちょっ!?マジで!?」
「…まぁ、間違ってはいないんだけどな…」
「いや、うん、そうなんだよね、」
ユノさんと僕のベッドに
ユノさんと僕が寝ても何ら問題は無い筈だ
しかし
ユノさんは記憶喪失で
そこら辺の事実をすっぽり忘れているわけで…
「…嫌じゃないかな…」
ブフォ っと笑ったキュヒョンに視線をやると片手で顔を覆って苦しそうにしているから僕は何か言ったのだと気付く
「嫌なら一緒に住むとか言わないと思うのだがwww」
強めにそう言うキュヒョンに、確かにそうだなと思ったら
自分の不安の方向が少し間違っていたのだろうかと恥ずかしくなる
「キュヒョナはリビングのソファじゃん?母さんはあっちの部屋じゃん
そしたらユノさんの寝る場所は僕のベッドしか無いわけでさ」
「…おうwww」
「記憶喪失なワケだから知らない人と同じベッドで寝るようなもんでしょ?
それは、どうなのかと…」
キュヒョンはクククと笑って
「大丈夫、心配する事は無いと思うよ」
「でも、」
「きっとユノさんはユノさんだから」
「…答えになってねぇよ…」
*****
暫くして戻って来たユノさんは、なんというか…既視感のある雰囲気で
懐かしいと感じてしまうあたり、あれから随分と時間が過ぎたのだと思う
「キュヒョン君は帰っても大丈夫だと思うよ」
「いやいや、親友が心配なので」
「いやいやいや、俺が居れば大丈夫だし」
「いやいやいやいや、俺はチャンミンから誘われて一緒に住んでるわけでして」
何の話しをしているのかと思ったら
ふたりとも大人げないというかなんというか
あぁ、ユノさん…
*****
ふと気付いたらソファの上で眠っていて
僕はブランケットに包まれていた
キュヒョンとユノさんの声がするのに
何を言ってるのかわからない
少し離れた所で話しているみたい
楽しそうに笑っているから
僕まで楽しくなる
「ふふ、」
そろそろ目を覚まさないと
きっともう食事の時間だ
早く食べないと母さんに片付けが終わらないと怒られる
でも、眠くて眠くて動けない
だからもう少し、あと少し眠ろうかな
妊婦だから眠いのかな
ふふふ、ユノさんの笑い声がする
やっと僕の所に帰ってきてくれたね
それなのに僕を忘れちゃったなんて酷いよ
僕はひとりで頑張ってたのに
僕は何度でも『おかえり』って言うからさ
ユノさんはちゃんと『ただいま』を言ってくれないかな
僕の事を愛してくれたユノさん
早く『ただいま』って言って欲しいな…
*****
爆睡したのか何故か朝で
僕は妊婦というものを侮っていたのかも知れない
「寝過ぎか…」
僕は僕のベッドでひとりきりで
そうだユノさんは何処に寝たのだろうかと焦る
ゆっくりとした動きでベッドをおりて
それからリビングへ
すると母が朝食を作っていて
ソファに眠るキュヒョンと寝袋で床に眠るユノさんがいた
「…床…」
「あらチャンミンおはよう
ゆっくり眠れたかしら?」
「うん、爆睡したみたい
気付いたら朝だったよ、ごめんね」
「ふふふ、いいのよ
眠れる時に眠っておきなさい」
「うん」
寝袋ということは、最初から床に寝るつもりだったという事なのだろう
それはそれで申し訳ないというか、なんというか
「まさかの寝袋…」
「お父様に持たされたみたいよ」
「へぇ…www」
まったくこの人は、こうと決めたら突き進むんだもんなぁ
その行動の裏にあるのは今のユノさんの気持ち?
それとも以前のユノさんがそうだったから、しなきゃいけないっていう義務みたいな気持ち?
僕を愛さなきゃいけないって思ってるの?
僕を守らなきゃいけないって思ってるの?
偽物の気持ちなんか欲しくないんだ
本物の気持ちが欲しいよ
例えばそれが今のユノさんだとしても
.
にほんブログ村昨夜更新出来ませんでしたので
本日更新させていただきました
m(_ _)m
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