2018年12月15日

「忍物語」西尾 維新 講談社

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正直なところ、もう順番通りに読んでいないので今回の作品を読んでいたら、ずいぶんといろんな知らない人やその後のあれこれがあった後のお話となっていて、時系列的にはどの辺なのかも分からないまま、とりあえず久しぶりに読んでみました。

アニメもその後も続いているようで、そちらも見ているのだけれど、一体どんな順番だったか、そちらも定かではなかったりする。

そんな私の感想ですが、うん、この作品は素直に面白く読めました。
吸血鬼の忍ちゃんの過去のしがらみ関係のお話なのですが、絶世の美女で身も心も美しい女王様時代の懐かしいお話とかも再び出てきます。
面白さ的にはちょっと微妙な八九寺の大人の時の話とか、その前に読んだ何冊かの本よりはこちらの方が純粋に面白かったです。

まあ、ネタバレするのもあれなのでストーリーは書きませんが、こういう作品ならまた読んでいってもいいかも?
本作とは直接関係ないですが、いつのまに幼馴染とか出てたんだろう???
大学の友人まで出来て普通に学生しているなんて、興ざめだ、とは言いませんが、まあ、それなりに登場人物達もあれやこれやしているようで良かったです。

置手紙さんのもまだ読み残している巻があるし、はてさてどれから未読を片付けていけばよいのやら?

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2018年12月10日

「緑衣の美少年」西尾 維新 講談社

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紅一点には何故かなり得ない、いささか病んだひぬくれ者もどきの眉美ちゃんが相も変わらず、頑張ってます。
柄に合わない生徒会長を務めながら、大切な(唯一の取柄である)おめめさえも失明の危機に瀕します。

でも、そこはジュブナイル!
良い子で頑張ってしまおうとする姿が健気(?)で涙を誘います。
勿論、誘いませんが、読者の関心をうまく引っ張りながら、次巻へと誘います。

という訳で続巻が出るのを楽しみにして、その間に『物語』シリーズでも読んでます(笑)

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2018年12月01日

「D坂の美少年」西尾 維新 講談社

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おっと、ついにカスの男装の少女が生徒会長に立候補。(作中の本人談)
後の副会長さんがとっても素敵な趣味の持ち主で・・・あっ、これはこの巻ではなくて続巻の話なのでもう何冊か先を読んでいるので私の中では話が前後しまくりですが、そういう抜きにしても普通に楽しく読める少年探偵団ものです。

ジュブナイルにしては、いささかある種の毒がある西尾氏の描くシリーズですが、今時の若い世代にも受け入れられのでは?とか思ってしまう、既に少年少女の時代を遥かに超えた読者の感想です。

寝る前に、軽く一読するには良いかなあ~。
時々、クスって笑える箇所もあるし、本家の少年探偵団とは全然違うけれど、それでもまあオマージュかな。
ついでに言うと、D坂は団子坂ではないってことは、重要ではない。

大きくシリーズの流れが変わってくる分岐点となる(?)お話でした。


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2018年01月07日

「美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星」西尾 維新 講談社

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知らない間にまた新しいシリーズが始まっていた・・・という訳で去年、気になっていたのをようやく年始の休みで読みました。

う~ん、特にキャッチーな点はありませんね。
なんていうか、正統的なジュブナイルって感じ。

まあ、少々ヘンな特徴のあるキャラクターであっても今のご時世的にはすべて正常な範囲内で収まる感じですね。

依頼を受けて、謎解きに挑戦。
ちょっと想像の斜め上をいく謎解きではありますが、西尾氏本来のノリではないですねぇ~。
江戸川乱歩の少年探偵団を今風にした、というとアレかもしれませんが、そんな感じがそこかしこに漂っているように感じました。

買っちゃったけれど、あえて買わなくても良いかなあ~と思います。

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2017年05月18日

「撫物語」西尾 維新 講談社

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順番は分からなくなってしまい、読んでない本から読んでる「物語」シリーズの一冊です。

今回は千石撫子だけで一冊終わっています。
時系列的には神様になった後の話です。

【以下、ネタバレ有り】


スクール水着とか露出過多気味のキャラでしたが、手ブラでブルマーという服装にまで至りました。
斧乃木余接ちゃんといつの間にか知り合いになっていて、お友達になっていたりする。

その辺でしょうか?あえて書くべき内容としては。

うん、まあ、読んでて普通にそこそこ面白いです。
その辺が作者の腕の良さなんでしょうが、以前のように絶対お薦め!とかそういうレベルではないんですが、他のつまらない作品読むくらいなら、読んでもいいかな~とか思えるレベルです。

あれだけ書いていてもこの水準っていうのは逆に言えば、凄いんでしょうけれど、もっと刺激的な作品も読んでみたい!っていうのも正直なところだったりする。

撫物語 (講談社BOX)
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2017年05月13日

「業物語」西尾 維新 講談社

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物語シリーズの一作。
今回は吸血幼女と暴力妹と眼鏡っ娘委員長ちゃんのエピソード。

改めて思ったのは、言わずもがなですが西尾氏はストーリーテラーとして上手いですねぇ~。
キスショットに関しての物語は、なかなかに興味深く読みました。想定がいつも常識の斜め上をいっていて、私には出来そうで出来ない発想です。ソフバン使ってれば、ドーナツもらえたのに・・・とか関係ないこと思いながら読んでました。

素直に面白かったです。

委員長ちゃんは、まあ、学校を離れた後の後日談で内容はたいしことないですが、少し知りたかったのでその点では可もなく不可もなくですね。

ただ・・・もうそろそろ、このシリーズはいいのでは?というのも正直な感想だったりしますが・・・これだけの量をこれだけのペースで書き続けられるというのうは、やっぱり凄いですねぇ~。

なんかの本で西尾氏の執筆スピードについて書かれたのを読みましたが、やはり、人気売れっ子作家さんは凄いです。ハイ。

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2015年11月08日

「掟上今日子の備忘録」西尾 維新 講談社

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作品を知ったのはドラマの宣伝をテレビで見た時。
最初にテレビを見た時は、正直あまり面白そうには思えなかったですが・・・たまたま本を渡されて読んでみました。

西尾さんの作品としては地味な系統のオールドスタイルの探偵小説になります。
「ニンギョウが・・・」的な実験的作品でなければ、近親相関的な閉じた世界での話でもなく、パンツも出てこない、委員長ちゃんも出てこない作品になります。

まあ、一応は眼鏡っ娘が出てくるので、それだけが唯一の救いですが・・・・(オイオイ)。

西尾さんに拘らず、普通のミステリーとして読めば、普通のミステリーです。
必要以上に凝った仕掛けもなく、謎を謎として探偵が解いていく、まともな推理小説です。

読んでる当初はドラマを見ていてもそうでしたが(ドラマは流し見で2回分ぐらいで放置してた)、そんなに面白くはないんです。ただ、読んでいると後半以降でしょうか、結構、引き込まれます。あっという間に1冊読了しましたから。

悪くないかも♪

続編もあるようですが、読みたいと思う作品でした。
少なくともドラマは見逃している部分も含めて、先ほど3話分までドラマも見てみるぐらいのモチベーションをあげてくれます。ドラマはだいぶ違うところもあるようですが、まあ、個人的には原作の方が好きです!!

ただ、ドラマも悪くないかと。
今日子さん自身の謎も解き明かされるのかなあ~?
その辺は楽しみにしたいところですね。

昨日、休日出勤して代休も取れないし、溜まった有休も取れなさそうでこれから改めて転職サイトを彷徨う予定の私なのでした。はあ~、アーリーリタイアしたい・・・・。

掟上今日子の備忘録(amazonリンク)
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2012年05月27日

「囮物語」西尾維新 講談社

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う~ん、ここんとこ外伝として語られるような、主人公(誰?)以外の登場人物が語る一人称・自分語りシリーズが続き、今回は撫子が語ります。

前回もかなりドロドロ系の話でしたが(バサ姉よりマシか?)、今回もかなり鬱進行の暗いお話です。

化物語シリーズの能天気なノリが好きで読み始めている私的には、いささかどうなのかなあ~と思ったりしますが、つい読んでしまうのは確かですね。

でも、「みーまー」とかと比べると、売れたおかげでおまけ的な合わせ技で売って読ませてる感もあり。
あえて読むほどのものとは思えません。特に嫌いではないですけどね。

ただ、あえて著者の西尾氏でなくても書ける物語のような気がしないでもありません。
で、すみません、今回読み終わって結局、何がどうなったのか最終的な結末が分かりません。
結論ついてる? あのストーリーで?

次巻以降への引き?
1巻完結ペースで書かれてたと思ったんだけど・・・・・。

まあ、残り出版されてるを一通り読むだけは読みますかね。
惰性で読んでます。正直なところ。

バサ姉だけ、もっと続きが知りたいんだけどなあ~。

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2012年04月30日

「花物語」西尾維新

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【ネタばれ有り、未読者注意!】(これはこれで偽善的であるけど・・・)




猿の手のBL好きの女子高生の方のお話です。
化物語シリーズ中、私的には一番好みでないキャラなのですが・・・・(健康的でスポーツをたしなむ系は敵!)、それは別にしても話の内容もちょっと面白くなかったです。

しっかりと物語はしてるし、バサ姉の近況(どんだけ・・・パネェ環境とかは置いといて・・・ネタバレですが、軍用車乗り回すとかって・・・!めだかちゃんみたいに、正義を執行中らしいっす!)とか、ありゃりゃぎさんの伝説とか、小ネタはそそるものの、前回のバサ姉の暗さほどではないものの、暗いお話です。

まあ、ハッピーエンドではあるんですけどね。

芥川龍之介の「運」とかに比べれば、はるかに納得のいく説明で、素直に受け取った幸運を享受しときゃ言いだけではあるんですけど・・・・。

そうそう、みんな卒業して人生が分かれていくんですね。
知らない間に、かなり時間が飛んでます。
この手の話は、未来永劫、さざえさんみたいに時間の輪に囚われて、永遠に高校生で話を続けていくと思っていたのに・・・・成長するとはちょい残念。

人が成長するなんて・・・否定はしないが、元々持っていてモノが質的に変質するとは思わないので、イマイチ成長神話かと思うものの・・・西尾氏の作品では成長しない方がメインのような気もしてたけど・・・。

怪異は時間的な固定で、いーくんも固定されていたような?
病院坂黒猫のようなのも固定だと思ったんだけど・・・・。

まあ~、い~ちゃんは幸せになったんだから、成長したのか。
変わらなければ、あのままだったんだし・・・。

それより、まーちゃん(別な著者さんだけど)やみーくんこそ、時間が止まっているのかね?
最後まで読んでいないので、なんとも言えないのだけれど・・・・。

さて、本作の感想に戻ると。
あのキャラの違う側面が見れる訳ですが、私的には、本作は本当に関心の埒外かと。
続きで読んでおきたいとは思いましたが、なんかイマイチ楽しめませんでした。

この後の作品もまだあったと思うので、そちらを楽しみにしています。
スルガ単独ではなく、やっぱり戦場ヶ原様との絡みで真価が発揮されるキャラだと思いました。

本作の場合、主役よりもあららぎさんの登場の方がよっぽど期待感溢れていたりする(ワクワク)。
車よりは、デコ・チャリにでもして別方向への進化を期待したかった!(嘘)

とりあえず、本書は読んだって感じです。

花物語 (講談社BOX)(amazonリンク)

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2012年02月18日

「傾物語」西尾維新 講談社


【以下、ネタバレあり。未読者注意】

家出迷子少女の八九寺が主役。
ってことでしたが・・・・全然ちゃう! 

確かに表紙とテーマはそうなんですが・・・、いつもと同じくらい、つ~かいつもよりも出番が少ないぐらいで、完全に吸血鬼・金髪幼女の忍が主役です。

いつもながらの、いつも以上の雑談がダラダラと延々と繰り返えされているのですが・・・まあ、いろんな評価はあるにせよ、個人的には好きです。面白いです。

癒されます。ホント。

しっかし、改めてネタばれですが、タイムワープ? タイムスリップ? いや、タイムトラベルでも何でもいいのですが、あえてラノベでそれやっちゃいますか?

しかも本質的に、ベタなパラレル・ワールド論を踏まえて、しかもそれをRPG的分岐として、ルート論で語るか・・・・いやあ~、なかなか作家さん的には、蛮勇だと思います。

ベタで安易過ぎて、抑止力が働く中でそれを


う~ん、「バサ姉(ばさねえ)」はこちらの字なんだ。「バサ姐」の方がドスが効いていて良さそうだけど、親分とか任侠の世界で筋とか通しちゃいそうかな? 優等生だけにこれは譲れないっとか? 

あと・・・前回の「猫白」は、好評だったんだ。へえ~、正直意外。

まあ、最近の日本は、スーパースターや完璧な偶像(アイドル)とか嫌うもんね。アニメのタイトルではないが、どこかしら作られた虚構、偽物っぽさを感じてしまうのと同時に、努力とかしたがらず、ひたすら自然体と称してダラダラしているのがイマドキではあるのだろうけれど・・・・ね。

しかし、随分といろんな次元というか枠組みを越えてクロスオーバーし過ぎな感もあるのだけれど、作中で主役が語ってもいいのですね。今のご時世は。

面白ければ・・・というか売れて金になればいいのは、古代からの常識か。納得。


【何週間か前のが書きかけのままだったのですが・・・もう忘れてしまい、続きを書く気力もないので・・・そのまま途中で書評は放棄】

傾物語 (講談社BOX)(amazonリンク)
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2012年02月12日

「猫物語 (白)」西尾維新 講談社

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【ネタバレ有り、未読者注意!】



だいぶしばらくの間、西尾さんの本は読んでいなかったのだけれど、アニメの偽物語を見て、映像の面白さと共にそれとは別種の面白さのある文章を読んでみたくなった。

バサ姐、いつのまにか髪切ってるし、眼鏡っ娘やめてるしさあ~。

そんなこんなで、久しぶりにamazonで検索してみると未読の本も何冊か刊行されているらしく、慌てて読み始めたところだったりする。

さて今回のお話ですが・・・。

まあ、何かしら暗いつ~か、重いところを陰に引きずりつつ、異様なテンションのノリで会話が進んでいく化物物語シリーズ(?)なんですが、今回の語り部は、当の委員長ちゃん自身だったりする。

優等生キャラが形式化し、形骸化し、確定し、定着したはずのあの委員長キャラが前面崩壊、否、全面崩壊しちゃったりするわけです。ちょっとショックー!!

何でも知っている羽川さんは、何にも知らないお馬鹿な羽川さんになってしまうのですよ・・・トホホ(涙)。

しかもみんなを無償の奉仕で助ける立派な聖人(並)な完璧性が見るも無残に、普通の人の情緒不安定に堕っしてしまう。

無垢な、無邪気な、inocence から、成長を通して大人になってのがこれって・・・・。

いやあ~結論から、暴露っちゃいましたが、HAPPY END なのですよ。この物語は、いろんな意味で普通じゃない委員長ちゃんが、嫉妬に狂って焼きもちやいて、あまつさえ、ありゃりゃぎさんに告っちゃうんですから。号泣しちゃうし・・・。

読んでるこっちが号泣したいですが・・・。

それと不思議過ぎるぐらいに、戦場ヶ原さんが大人になって、善人になってしまうのが・・・・まあ、「蕩れ」とか言ってる場合じゃなくなってるわけですが、これも成長なの?

大人になるのって、怖いですねぇ~。しばしば言われるように普通になる、丸くなるってこういうことなの?って思ってしまいます・・・。

しかし、本当に大人になったのなら、身体を使ってとかはさすがに申しませんが、自分の方が恩人として無理言える立場なんだから、ひだぎさんよりも虐待を受けて、可哀想な自分をより大切にしてねとお願いすることはできそうな気がしたりする。

そのまま同棲っていう手もあるし・・・。
同情心に訴えかけるというのは、真面目な人にほど効果的なんだけどね。特にアララギ君みたいなタイプには。

もっともそれでは、ハッピーエンドにならないのでしょうが・・・。

しかし、語り部が変わる、視点が変わる、それだけでこれだけ内容の、伝わる物語の幅を、多様性を表現できているのは、素直に凄いなあ~と思う。

シャーロック・ホームズを例示したりしているけれど、残念ながらミステリ・ファンではない私は、それも分かりませんが、著者らしさの一端が本書にはよく出ていると思う。

思わず、病院坂黒猫を思い出してしまったよ。

冷めたキャラ的には、どちらも通ずるものを感じてしまう。眼鏡っ娘で巨乳とかいう外形の相似性は置いといても、中身の冷めた感覚と深く沈められた感情。

従来の路線とは、かなり異なるものの、それ故に物語の世界観が広がった感があります。別な意味で良い子になった委員長ちゃんと優しく友人思いのがはらさん、後日談というかアナザーストーリーの外伝みたいな感じですね。

それでいて、全て本編にうまく絡ませて、内容を補完し、重層化させているので実に構成もうまい。

化物物語ファンなら、きっと満足することでしょう。

別な意味での不満は残るもののね。

何故、告白されてがはらさんを切って、よりお値打ちの元・委員長ちゃんに乗り換えないのか・・・とか。
一番必要とされる時に、一番恩義のある人に、何故、応えないのか???・・・・とか。

警察官の息子だから、正義感が強いとか無いし・・・・。現実に、私がそうだから。

確かに悪い奴は、信号無視とかでも全員死刑でいいとか、かなり愉快な、ある意味、究極のニ元論者のような思想を持っていましたけどね。学生時代の私。

無能な教師も、悪い友人も死んでいいとか思ってたし・・・うわあ~やな奴だね。

汚れきった社会は、みんな滅んでしまえばいいとか確信してたもんなあ~、アナーキスト一歩手前だったし。

まあ、そんなことを本書を読みながらつらつらと思い出していたりした訳でした。

こないだ読んだ橘玲氏の本に書かれていたのと、微妙につながるのだけれど・・・・。私も一つ間違えたら、勝間さんを礼拝する信者になってたのかもしれませんね。でも、どちらかというと、壊す方なんだけれどね。壊して作りなおす。

人が作ったもの嫌いだからなあ~。
未だに、それを延々とやってしまっていることに、自己嫌悪しつつ、壊しきれない不満との間で更に葛藤したりする。

いろいろと考えさせられるお話でした。

ん~こういうのもありだと思うし、著者自身がこういう作品を書いてくれたのは、読者として嬉しいことですね。ただ、同人誌的な二次創作臭がプンプンするのも事実。

全く異なった結末のアララギ翼も、自分で言ってるようにまんまアリで、妄想満載の思春期ノリの延長線も(既にだいぶ本文で書かれてますが)更にアリのような気がしないでもない。

二人きりで世界を放浪するなんて、いつの時代か分かりませんが、ヒッピーですかい?
さしずめ、今の時代だと、wikileaksとかで ボランティアとかしていそうですね。かなりリアル過ぎて怖いけど・・・・(笑顔)。

かなり意外な結末でしたが、面白い作品でした。

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2010年11月07日

「難民探偵」西尾維新 講談社

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最近、アニメ化された「化物語」等で西尾氏のファンになった層にはおそらくついていけない、面白いとは思えない(くいつかない?)正統派のミステリ系推理小説です。

受けないし、売れないでしょうね。

でも、私はこの作品好きですね!! 
個人的には十分に評価に値する面白い、魅力ある作品だと思います。

逆に言うと、この手の作品を誰よりもきっちり書けるだけの力量のある作家が、戯言シリーズや「化物語」系の作品を書いているのが、また、興味を惹くんですけどね。

「ニンギョウがニンギョウ」とかに比べれば、これははるかに常識の範囲内で正統派の範疇。知らない推理作家の作品として読んだら、この作家のシリーズ、読んでもいいかも?って私なら思います。

ちょい京極かと錯覚を起こす事もしばしば。
最近、あちらは読んでないけど、あちらの作品よりは、こっちの方がプロット的に好きだなあ~。

キャラ立てにしても、いつものような、過剰で異質で、あざといまでの記号化はなく、探偵役としては実に地味にいい味出してるカンジ。それでいて、しっかり性格付けできている。

ワトソン役の腑抜けたニート系お姉ちゃんは、正直、タイプじゃないし、作中から排除したいぐらいなんですが、必要なんでしょうね。周囲の特異性を際立たせる為と、読者と作品をつなぐ同時代性・共感を呼ぶ為の反射的存在としてのダミーってところなんでしょうか?

病院坂黒猫はいないのよ、トホホ。なんとも残念です。

ネタバレしない程度に粗筋。
ネットカフェで殺人事件発生。隣のボックスにいた人物に容疑がかかるが・・・。

何故かその人物の身元引受人になる、どこにも就職できなかった限りなくニート寄りお姉ちゃん(一応、自宅外でバイト経験有り)。それを雇う、超売れっ子作家先生の叔父様。

推理小説としては平均水準かもしれませんが、なんとなく気になって続刊が出れば、確実に買いますね、私。

この作品については、お酒飲みながら、一緒に語りたかったなあ~。
1月に知り合いが亡くなっていたのに、喪中ハガキで知るまで、分からないでいた使えない私です。なんか、腑抜けているのは私か?

あの人もこの作品、気に入るのではないかと思ったんだけどなあ~。急逝されたのが1月だったら、まだ読まれてなかったかもしれない。ふと、そんなことを思いつつ読んだ作品でした。

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2010年10月17日

「猫物語 黒」西尾維新 講談社

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以前はそれほどでも無かったし、一部の人には知られていてもそこまではメジャーではなかったラノベの「化物語」ですが、アニメ化以後、一気に定番中の定番になってしまいました。

それだけ作品世界が広がるわけで(商業的には大成功ですし、まさにドル箱でしょうから?)、いろいろなメディア・ミックスで多層的に楽しめて大変嬉しい限りではありますが、心配も当然ありました。

だって・・・金になるからと出版元の思惑(?)で出版ベースが早まると明らかに作品の質の低下を感じてしまうから・・・。

最近、あまり面白くなくなった作品もちらほら散見したので、すご~く心配してました。

でも、本書に限っては、その心配はまさに杞憂となりました。面白い!とっても&とっても面白い!うちのとこのツレいわく、「絶対に電車の中で女子高生の会話とか録音してそれを文章にしてるんだよ」と突き放し、読んでるとコレでお金とるの?とマジ顔で否定されますが、私はだからこそ、価値あると思うんですけどねぇ~。


【以下、ネタバレあり。未読者注意】











だってね・・・アニメの冒頭は羽川様、委員長ちゃんのパンツでしたが、今度は妹と半裸状態で下着(パンツ)の色は白が鉄板的(?)な話を延々と語ります。

もうね、チリで人が救出されても、中国で反日デモが起こっても、円高で80円になっても、日本は平和なんです。いやあ~もう~骨の髄までゆとりがしみついているんカンジ。メディアミックスのアニメ化を拒むかのような、著者の挑戦心は評価に値するものの、エロとかいう次元ではなく、なんていうか非日常と日常がクロスしてしまった感があります。

私は知らなかったのですが、最近の日本の血縁関係は、そこまでいっちゃてるのでしょうか?「俺の妹が~」とか「キスシス」とか「あきそら」とか、最近ついていけない!(私が読むのが偏っているってのはおいて・・・)

まあね、今更物理的接触があったくらいで驚いてちゃ、このご時世生きていけませんぜ、旦那。ってことなんでしょう。

それは別にして、西尾氏の最近の作品はアニメ化以後、ますます同時代感覚への訴えかけが多くない?こないだのiPhoneしかり、今回のくぎゅーしかり。元々、そういう傾向強かったけど、最近拍車かかっているような・・・・。

10年後、20年後、読み返したらどんな感じだろう?
もっともそれ以前に、一時期流行過ぎたものほど、後の時代では完全に忘れ去られるものでもあるんだけどね。なんか残っていなさそうな予感が・・・・。国会図書館まで行かないと読めなくなりそう・・・。

作品自体がそういうのノリなんで、どうしてもなかなか本題の委員長ちゃんに辿り付かないなあ~。ふう~。まあ、まともに考えると予想通り、重いシリアス展開のわけで、暗くなるのだけれど、それを差っ引いてもやっぱり羽川ファンには堪らんだろ。

ありゃりゃぎさんは、やっぱり間違ってますよね。蕩れ系の奥日光の人は、気の迷いってことでキッパリ切って、羽川様とお付き合いしないと。どうせ殺されても不死身ってことで、再生すればOK?

イスラム教に改宗して、正妻は4人まで普通とか言えば、宗教を知っている羽川さん的には、きっとそういう正しさも肯定せざるを得ないわけで、許してくれると思うんだけどなあ~。

尋常ではなく、『普通』的な正しさに強迫観念を持つが故の強みの裏返しとして、それが世間的にも正しいと認知されれば。きっと自分の感情を押し殺してくれることでしょう表面的にはね。また、猫が出るかもしれないけど・・・。キャット VS カタツムリとか、キャット VS カニ(&猿)とかは見物だし。

アニメから入った読者がドン引きしてても、是非とも原作のノリで突っ走って欲しいところではある。まあ、突っ走ってるけどなあ~。実際。

時系列自体は、このシリーズ相当あちこち入り乱れてはいますが、出版順ならベストでしょう。じゃなくてもいけるでしょうけどね。いきなりこの本から読むと、前提条件が崩れて作者的想定から外れるでしょうが、まあ、気にしない&気にしないで、すみます(たぶん)。

個人的には久しぶりに西尾氏らしい、作品が読めて大満足です!!(笑顔)
これは面白いです。友達のいない人は、本書を読めば友人との擬似会話を楽しめます。

どっかの机の隅っこで一人で本書を読んで、ニヤニヤしていれば、ほらっ、周りから益々人が離れていくこと間違い無しです。友人のいない方にはお薦めの本書でした。

でもさ、やっぱり羽川さんと付き合うべきだったなあ~。ひだぎが不治の病とかで、止むを得ず、舞台から退場して頂ければ、さすがに正しいことではないとできない羽川様も行動できるかもしれないし・・・。

誰か二次創作でもして、委員長ちゃんの幸せな結末を描いて下さいなって心底思いました。と言って、同人誌などを見る私(オイ)。

最後に約5頁、たった1単語の繰り返しだけで埋めるってのは世界でも類例がないと思いますよ。頁いくらで売ってる商業誌としては、許されべからざる暴挙?挑戦?手抜き?

昔の手書きならまだしも、コピペしたらどうよ、ソレって。しかも本の値段異様に高いし・・・。でも、面白いんだよなあ~。確信犯だね、悔しいけど、抗えません!

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2010年10月12日

「零崎人識の人間関係 匂宮出夢との関係」西尾維新 講談社

ずいぶんと久しぶりに子荻ちゃんが出てくるなあ~と思っていたのですが、出番少ないかな? 玉藻よりは子荻ちゃんでしょうに・・・。

と勝手な個人的趣味はおいといて。
うん、面白いし、一気に読めるんだけど、正直なところ、アレっ?ってな感じが拭えない。

完全に普通の面白い読み物レベルで、西尾維新の作品たる他作家との差別化は見当たらない。まあ、読者は常に前作以上のものを求め、同時に前作とは違った新奇さを要求するのだから、酷な話ではあるものの、それに応え続けてきた著者の作品の延長線上で考えるならば、物足りないというのが実感でしょう。

意外性はなく、特に伏線らしい伏線もなく、読み物なんだよねぇ~。

まあ、人識と出夢の絡み(?)なんで、気にはなっていたものの、所詮野郎(精神的にはね)同士だから、どうでもいいってのもある。

ストーリーの破綻はないが、予定調和でうまくエピソードとしてはまとまっている、その事自体が満足の欠如につながるというのは、なんだかねぇ~。

まあ、化物語の委員長ちゃんの方にエネルギーを割いてくれていることでしょう・・・ということでコレはコレでヨシと。戯言ファンなら、どうせ読むのは間違いないしね(笑顔)。

零崎人識の人間関係 匂宮出夢との関係 (講談社ノベルス)(amazonリンク)

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2010年09月26日

「零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係」西尾維新 講談社

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一挙に4冊も出版されてたみたいですね。全然フォローしてなかったので、ついていけてない私。

そういやあ~りすか関係なんか終わっていないのに完全に記憶の埒外のような・・・?

正直、戯言シリーズはもう全て終わった気でいたので登場人物の人間関係、ほとんど覚えていません。読んでるうちに徐々に思い出し、ようやくおぼろげに思い出したことが繋がり始めたところで終わってしまい、残念でした。もっと味わいたかったです(涙)。

さて、戯言シリーズの外伝的位置付けの本作シリーズ(こちらはこちらでシリーズ状態ですもんね)ですが、今回は萌太君の依頼で人類最強の赤い人(ゴメン、もう二つ名とか覚えていられません)が請負契約のお仕事をしにきます。とある島で。

でまあ、いつものように無敵とか最強とか、無敗とかいろんな肩書きとか二つ名を持つ方々とゲームで楽しく遊んじゃおう、というお話でした。(これ以上はネタバレになるので書きません)

なんともうしましょうか?教科書に出てくるよな『楯』と『矛』のようなお話でもあるのですが、そこはそれ、西尾氏は実にその辺がうまく最終的に整合性がとれるように収束させますので、その手際の良さには感服せざるを得ませんね!

そして、タイトル通りの「人間関係」の扱い方が実に、天才的にうまいです。個人の内面レベルの想いと、それを取り巻く家族や社会といった対外的な集団との距離感の捉え方、その両者によって既定される個々人の性格(キャラ)の決定付けが、なんとも非凡です。

次から次へと、まさに超人的な存在が現れてくるのですが、非凡な超越した存在を願う若者の嗜好を満たしつつも、その非凡なはずの存在のパーソナリティーが逆に並みと同等、否、それ以下の歪曲、子供レベルということで単純さを強調し、そこに共感を覚えさせて身近な存在にぐっと近付ける。

あまり小賢しい解釈をするのもあれですが、なんか人とは違う図抜けた存在でいて、親しみを覚えるキャラ。そのキャラを生かす方向での話し作りであり、プロットが神ではなく、キャラの自由度が神、という作品であるように感じます。

とにかくキャラが楽しいですね。こちらの外伝ではなくて、結論ついた本編以上にキャラの魅力だけで100%以上楽しませる作品ですから、基本的に戯言シリーズの読者なら、みんな楽しめると思います。

当然、その後どうやって生きていくのやら?と心配しちゃってた伊織ちゃんとかのその後の話ですし、他にも懐かしい面々が出てきます。ただ、辛いのは前提条件として他の作品でのストーリーやもろもろの周辺環境等を再度、頭に描かないといけないことでしょうか?

読んだことがあるだけではなく、それを覚えていないといけませんね。どっかでその名称やエピソード読んだことあったなあ~と思いつつも、その内容が頭に浮かばず、頭の中に『?』を残したまま読み進んだ頁がどれほどあったことか・・・(悲しい)。

さすがの私もラノベを2回読み返すだけの時間はないので。

ただでさえブログに書ききれない本や漫画が膨大にあるし。

さて、話を本論へ戻す。
潤さん、愛用の○○を大切にしましょう。××の更新に差支えが出ますよ(笑)。○○プロテクションに入っているなら、全とっかえ可能だけど、それ保証の対象外で有償保証ですね。

相変わらず流行りモノ好きなんだなあ~と思いました♪(満面の笑み)。

う~ん、私も頑張っちゃってる△△△は、痛いんだろうなあ~と思いました。本書、面白かったです。刀語よりもこちらを映像化して欲しいなあ~。

零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係 (講談社ノベルス)(amazonリンク)

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2009年09月13日

「偽物語(下)」西尾維新 講談社

kizuge.jpg

なんてーか、凄いな。この本は。もはやラノベと呼んではいけない領域に入ってると思うぞ、私は。

今時、援交とか拉致られたぐらいでは、なんとも思いはしませんが、どこぞの中年オヤジとかオバサンのエロ妄想の域を超えていると思います。PTAにちくっちゃおうかと思うぐらい。アニメ化してていいんでしょうか?作中の自虐的な著者の台詞では、冗談めかしているものの、結構際どいつ~か、踏み越えてはいけないラインを越えている感じがします。


【今回は、ネタバレ有りで書きます。未読者、注意!!】







八九寺への犯罪者的な愛情表現には、抵抗感がなくなり、嫉妬心さえ湧き上がらなくなりましたが、今度は妹さん達相手に、世にもおぞましい、身の毛もよだつような犯罪行為の数々が描写されます。

勝負と称して、甘美な快楽へと誘う行為に耽り、危うく官能小説路線へ行きかけたり、もう一人の妹は風呂上りに、身に付けているものを剥ぎ取り、裸体にして押し倒したりと非道の限りを尽くします。

いかんね、許されざる行為ですね。ただ、その目的がエロと全然違うのがちょっと、ニューエイジ系?(古い言葉だ・・・)。

しかし、歯ブラシはないよねぇ~。発想のブレークスルーについていけないんですが・・・。

いやあ~作家は自分の身を削って作品を生み出すらしいが、思い付いてもそんな恥ずかしい事を書くというマゾ的行為に一歩踏み出すには、勇気がいるんだろうなあ~などと思っちゃいます。ちょい尊敬。私のような良識溢れる小市民としてはね。

まあ、妹にキスしようと、胸を揉もうと何をしようとも、いささか引きつつも楽しく読ませて頂きましたが(最初のパンツから悪いほうに進歩したなあ~)、メインに出てこないのに、大変重要な話が散りばめられているのには、驚きました!

ひだぎさん、ツンドロですか?!
更生しちゃったら、だたの人じゃないですか。いかん、いかん、バカップルで許せるのは、私的には現在「まーちゃんとみーくん」だけなので
これはいけませんよね。

hanekawa1.jpg

百歩譲って、ガハラさんがどうなってもいいんですが、委員長の中の委員長である羽川が眼鏡止めたってドウヨ。

もうそれだけがショックで、本書を読んでいて一番衝撃を受けました!(そこかよ、私)

hanekawa2.jpg

結論としては、ラノベを越えた、つ~かラノベに入れてもらえないレベルの妄想小説として、本書は面白いです。最後のアララギさんも頑張って中途半端に良いお兄ちゃんっぽいのは、お約束の結末ですが、水戸黄門かなんかを見ているような予定調和の安心感がありますね。

hanekawa3.jpg

そこだけはアニメ向きだあ~。しかし、アニメとは違っていて、両方面白いです。私は結構好き♪

羽川みたいな優等生、いそうでいないんだよねぇ~。今までの人生でそういう素敵な人に出遭ったことないので、是非ともお会いしたいものです、ホント。

いやあ~勉強教えて欲しかったなあ~。教えたことならあるけど、教えてもらったことないんだよなあ~。眼鏡っ娘の女性に。

とにかく、2ちゃんねるとかに書かれた妄想小説みたいなもんです。それの出来のいいやつ。私は、素直に全面肯定はしないものの、読んでて面白かったです。

一応、読んどけ!と言っとく。

あとがきにあるのですが、最終話だったはずが追加で2話出るそうです。営業さん的圧力? アニメで売れている時にいっきに稼ぐのでしょうか?

事情はどうでもいいですが、素直に続きが読めるのは嬉しいです。八九寺はまあ、ちょい読みたいですが、羽川が堕落した姿でも読めるのでしょうか? 眼鏡をかけている頃の話だと嬉しいのですけどね。はてさて???

【以下、追記】
そうそう、いつもお世話になっているlapisさんの記事を読んでいて思っていてコメントにも書かせて頂いたのですが、言うなれば本書は「著者としてラノベ書いて、さらに著者自身が自作の同人誌を書いているって感じですね」。

なんか従来以上に方向性があらぬ方向にいった異色作ですが、同人誌ノリと捉えると全て納得しちゃうかも?そもそもBLやらなにやら、商業誌じゃ出せない or 出さない話しですもん。

つ~か、一度それ系出版社で出したら、一生それ系の作家さん扱いされてしまいそうだし・・・。まあ、それもいいのでしょうが・・・?

まあ、お好きな人には楽しめる作品だと思います。読者の好き嫌いが分かれそうですが・・・。

偽物語(下) (講談社BOX)(amazonリンク)

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2009年04月24日

「真庭語」西尾維新 講談社

aniwa.jpg

刀語で出てきた真庭忍軍関係のエピソードが独立したもの。一話毎に、別な忍者がメインで紹介されている。正直、刀語がなんだかなあ~というカンジだったたので、期待していなかった。

期待ぐらいのレベルかな? 読み易いという意味でのラノベというなら、まさにその通りですが、読んで面白いかというと疑問符がつく、そんな感じですね。

どうしても西尾氏でなければ書けないという作品ではありません。ひねりも世界観も驚愕もありません。二流どころのラノベ作家さんで十分書ける水準です。物足りないです。

才能が枯渇したとは思いませんが、最近読むたびに失望ばかりで悲しいです。できれば、新作の発表期間をもっととって、以前のような刺激あふれる、才気の散りばめられた作品世界を楽しみたいですねぇ~。

でないと・・・
過去の作品でしか、語られない作家さんになってしまいそうです。私の中では。それはとってもイヤなのですが・・・・。

出版社さんに、消耗品にされないように願うばかりです!!

とりあえず、新しいラノベ探そうっと。

真庭語―初代真庭蝙蝠 初代真庭喰鮫 初代真庭蝶々 初代真庭白鷺 (講談社BOX)(amazonリンク)

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2009年01月26日

「不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界」西尾 維新 講談社

kakokimiboku.jpg

確かに西尾氏の作品は、面白いものが多いし、はまると思いっきりはまるものも多い。シリーズ物の場合は、よくあることだが段々つまらなくなるのは致し方ないとして、単なるファン向け(内輪向け)の作品であっても、とりあえず面白いければそれもありだろうと思う。

しかし&しかし、この作品ははっきり言っていただけない。シリーズを読んできた私であっても、どこが面白いのか・・・? 全く理解できない???

良くも悪くもミステリーとして以前だったら、ひねりにひねって、絶対に予測できるような展開にしなかったくらいのこだわりを感じたものだが、なんていうか、味気ないというか、砂を噛む思いというか、小説を読んだ気にならないのである。

プロットなんて、もはや【死語】ってくらい、視野に入っていない感じがしてならない。「刀語」以後、そこいらにいるラノベ作家並みかそれ以下にまで魅力が薄れているようでならない。

バックアップでもスペアでも何でもいいのだけど、面白くない小説はこれは罪だと思う。日経新聞を読んでいた方が面白いんだもんなあ~。

表紙の絵は、詐欺ジャン!(まあ、深いつっこみは置いといて)

学園推理物と一応ジャンル的にはなるのかもしれませんが、これが西尾氏の作品というのは、正直がっかりしました。でも、次回作の黒猫さん絡みのエピソードはきっと読んでしまうんだろうな。そういう自分が哀れでもあります。

黒猫さんのファンなら、できるなら、もう読むのはやめておいた方が幸せな気がします。個人的には、絶対にお薦めしません。なんか、すごいストレス溜まってます・・・。

不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界(amazonリンク)

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2009年01月19日

「偽物語(上)」西尾 維新 講談社

kizumonogatari.jpg

確かにいつもの延長戦上なのだけど、会話は微妙にズレているのかもしれない? 懐かしい感じなのだけど、ノリノリの域には達していない。慣れのせいか、今回の作品の故か?

万人向けではなくなっているかもしれない。本当の意味で著者独自のお遊びの方向性が出てしまい、読書の求めるものとは遊離してきたようにも感じる。

だけど、そこに戦場ヶ原がいる限り。微妙に背伸びして迫ってくる千石ちゃんがいる限り。今回出番少なくて、眼鏡っ娘の委員長ちゃん(羽川)が一番陰が薄くてもやっぱり本書は読んでおきたい作品だと思う。

阿良々木ハーレム、万歳!

あんまり書くとネタバレなんで、書けませんが、戦場ヶ原の重い独り善がりの『愛』も又良し! 羽川からの白紙チケットも欲しいなあ~。

ヤフオクでプレミアついてても落札するんだけどなあ~。まさにプラチナチケット。つ~か、ブラチラチケット。それともプラチナむかつく。ん!? ちょっと違うか・・・失礼、噛みました。(はやりそうとのことです)

とまあ、戯言は置いといて。
妹達との絡み、つ~か、技掛け合いは、妹萌え属性のない私としては、あまり面白いとは思いませんでしたが、アニメ化の話をこれでもかと自虐ネタにするあたりは・・・まあ、いささかくどいですが、大目に見たいトコでしょう。時々は面白いし・・・(上から目線)。

手放しで最高!という作品ではないのですが、このシリーズ好きなら、間違いなく、読んでおいて良いでしょう。ツンデレと委員長ちゃんが話すだけでもう十分過ぎるくらいです。私はそれだけで幸せです。

ちなみに、その二人が出てくるところだけ、2回以上読み返してしまいました。昨日は。

忍にも、いろいろ変化が出てきますのでとりあえず読みましょうね♪ またハーレムかよ・・・・とか思いつつもシチュが気になる?

常識人には、いささか毒がありますが、少し病んでればとっても幸せに楽しめるラノベです。美味しい毒は、じわじわまわってくるものです。皆さんも楽しみましょうネ(笑顔)。


偽物語(上) (講談社BOX)(amazonリンク)

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2008年11月10日

「きみとぼくが壊した世界」西尾維新 講談社

kowasitasekai.jpg

病院坂黒猫さんが恋しくて、愛しくて、ついつい読んでしまった作品です。

思いっきりネタバレになってしまいそうなんで、それを恐れると何にも書けなさそうなので直接的な表現は避けようと思いますが、念のため、未読の方は以下、読まないように・・・!


【忠告はしました。ネタバレの責任持てません・・・悪しからず】





率直に言おう、私は素直なのですっかりこの小説の構成に騙されてました。どれがどれやら、どれが真実でどれが架空の話なのか・・・章毎に変わる視点に翻弄されながら、読み進めました。

そうですね、今時としては面白い試みだと思います。嫌いじゃないです。ただ、キャラ萌えとして読んでいる私的には、特にそれは評価ポイントになりませんでした。ミステリーの推理に至っては、ミステリーファンには大変申し訳ないとは思いますが、全然興味が湧かなかったです。

逆に一番期待していた黒猫さんの魅力が足りません!! そりゃ胸絡みのフリはありましたが、もうちょっとなんとか・・・傷物語の20%ぐらい微妙なエロ(!?)が欲しかった。

黒猫さん、ただの変な奴で終わっていて哀愁が漂ってないんですが・・・普通にいそうな変わり者になってしまうんですけど・・・(涙)。

まあ、それでも面白いし、好きなのですが、本作はあくまでも「きみとぼくが壊した世界」のファン向けの余技的な作品であり、単独の作品としては良心的にもお薦めできないだろう。その点はご注意を!

前作のファンであっても、本作への評価は相当分裂しそうな気がしてならない。私はOKですけどね♪

なんせ私の大好物の「ドグラマグラ」が出てくるんですから・・・♪
何度も読み返してますが、一度として発狂した覚えはありませんが(自覚がないだけで既に発狂してる?)、そうかあの作品『妹萌え』なんだ。

そういった視点で観たことが無かったので、本書を読んでいて大いなる共感と驚きに見舞われました。モヨ子は萌え子だもん(笑)。あれこそ美少女愛にして、ご先祖様以来の伝統の下での近親愛だけにいやあ~最高です!(力説)

とまあ、ドクラマグラが出てきただけでご機嫌だったのですが、ロンドン・ダンジョン出て来ましたねぇ~。私も女性に誘われてついていきましたが、全然怖くなかったりする。切り裂きジャックのがたくさんありましたが、黒猫さんと是非ともご一緒したかった、と思いました。

普通の女性は怖いもの好きな人多いんですけどね。いささか意外だったりするが・・・。

そうそう、忘れてならないのがファントム(「オペラ座の怪人」)。しっかり出て来ましたねぇ~、私はマチネとソワレの両方で観たし、ドレス・サークルからボラボーを叫んでたことを思い出しました。

でも、Her majesty theatre にそんな柱ってあったっけ? 5番のBOX席はあったかもしれませんが・・・(分かる人には分かる話です)。英語で聞いてもファントムは大いに泣けましたもの。

でね、一緒に見に行った人にマイ・リトル・ロッテとかほざくの。懐かしいなあ~もう~。でも、黒猫さんの呆れる顔が目に浮かびます。とまあ、本作品自体がたぶんに妄想に彩られていますが、読んでる読者としての私も大いに想像の世界で楽しむことができました。

でもね、本好きの二人がなぜチャリング・クロスに行かないのか? そこは大いに疑問でもあるのですが・・・行けよ、お前ら! 腐っても読書好きの設定なんだから、是非とも行って欲しかった!!

段々、書評というか感想からもかけ離れてきましたが、かなり特殊な思い入れを持って読まれば楽しめますが、ノーマルで予備知識無しでは、どこまで楽しめるか疑問です。

謎解き関係は、個人的には蛇足かな?とさえ思えてしまうのですが・・・。病院坂の鬼気迫るような、精神的な危うさにこそ、魅力があるのですが、それが物足りなかったです。それが残念でした。

もっと残念なのは、いとしの妹の夜月が全く出てこない事でしょうか。回想シーンでもいいから、少しぐらい出てきてくれたら嬉しかったなあ~。

きみとぼくが壊した世界 (講談社ノベルス ニJ- 22)(amazonリンク)

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オペラ座の怪人~10月28日 劇団四季
ドグラ・マグラ(1988年)松本俊夫監督
映画「ドグラマグラ」のパンフ
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2008年11月08日

「傷物語」西尾 維新 講談社

kizumonogatari.gif

本書を読み始めた時、随分と久しぶりだったので、化物語の前の話だとなかなか気付かなかった。それに戦場ヶ原が出てこないので、萌える(燃える?)まで時間がかかってしまいました(苦笑)。

しかし、毎回言っていて我ながら表現力の乏しさに泣けてくるが、西尾氏はやっぱり非凡だと思う。だって、パンツが見えた(or 見た)だけのことで、これほど深い(?)つ~か、延々と心理描写が綴られた小説を読んだのは、さすがの私でも生まれて初めての経験です。

古典から純文学、世界名作文学、耽美系、SF、志怪小説、コミック、同人誌、エロ雑誌、エトセトラ・・・それなりにいろんなジャンルを読んできましたが、おそらく世界でも類例のない水準です(どんな水準だ?)。

その1点だけとっても本書は、読む価値があると凡夫の私には思えるのですが・・・。

恐らく未読の方には、冗談を言っているとしか思えないでしょうが、既読の方には、絶対に同感して頂けることでしょう。

あまりそこばかり強調すると、誤解を招きかねませんが、単なる『青春学園物ラノベ+オカルト風』ではありません! そんなジャンルがあるかは知りませんが・・・、吸血鬼を前面に出しつつも、悲劇にもハッピーエンドにもならず、解決さえもしないまま、バッドエンドになってしまう・・・この結末のつけ方って、およそ今までの小説にはなかったものではないでしょうか? ・・・いや、ないって!(反語かい)

羽川もひたぎがいない今回は、思いっきり役柄に燃え(萌え)ています。眼鏡っ娘で成績優秀で委員長ときたら、まさに理想の異性像でしょう(力説)。しかも気さくで友情にあつい、いい奴だったら、たまりません。体育倉庫で勝手に想像して観念しちゃう辺りも perfect!!

そりゃ、本屋で趣味に走った本を買ってしまう主人公の気持ちも分かります。納得します。同感です。同じことします(たぶん?)。

しかし、吸血鬼が出てくるお話でこういうのもありなんだ。う~む、人間の想像力(創造力)って素晴らしい♪ ベタなテーマなのに新鮮だったりする。

吸血鬼ハンターD やアン・ライスの吸血鬼でさえ、決して正統じゃないのに、相対的に正統に見えてしまうほど、なんか違うんだよねぇ~。是非、是非、西尾ファンや眼鏡っ娘属性の有りの紳士にはお薦めしたい♪(吸血鬼ファンはしらないけどね)

しっかし、やっぱりもう一度学生に戻りたいなあ~。学級委員をやっていた時にこんな奴いなかったけどなあ~私の記憶では。学級副委員は、責任を押し付けるし、人を「猫被ってる」とかうざかったしなあ~。もっとも、学校にいる時は死んでいる時と自覚してたし、やな奴、俺ってば。

あっ、一人だけいたか、羽川的な奴。みゆきちゃん、どうしてるだろう???

とまあ、いろいろとあらぬことを思い巡らせてしまうのですが、同年代の時に読んだら、全然別な感じ方をするのかもしれない。ただ、何はともあれ、面白いことには間違いないです。

作中の時系列的には逆になるものの、個人的には、出版順に「化物語」を読んでからこちらを読むほうがいいと思います。

しかし、最近は会社の女性を誘う事も無くなり、すっかりおとなしくなった自分には、我ながら驚愕を覚えますね。なんか刺激が足りないし、いかんなあ~? 

傷物語(amazonリンク)

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2008年09月08日

「零崎曲識の人間人間」西尾維新 講談社

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ずいぶんとしばらくぶりだったので、もうすっかり戯言シリーズの登場人物関係は、記憶から消え失せていたみたい。正直思い出すのに時間がかかってしまった・・・。

しかし&しかし、読み進めていくうちに忘却の彼方からあれやこれやと登場人物が浮かび上がり、改めて戯言シリーズを読み返したくなる衝動に襲われました(ハハハ)。

もっとも、戯言シリーズ(舞台背景)を知っていなくても、この本だけでも十分に読者を引き込むパワーがあると思います(掴みはOK)。

だって冒頭から、待ち合わせの場所とその恰好ですか・・・!(未読者の為に詳細は言及せず)。その組み合わせも既に良識に反してるし!

しっかし、なんつ~か、やっぱ、怪しいよなあ~色々と。でも、女子中学生の子荻ちゃんとデートできるんなら『悪くない』かな? 勿論、私はデート代を全額持ちますけどね(笑)。

今回は、零崎一賊の中でも特に陰の薄い存在、"少女趣味(ボルトキープ)"こと曲識が活躍します。零崎一賊は、本当に個性豊かで楽しいですね~♪ 

酷薄のようでいて、どっかでつながる擬似(エセ)家族というのもなんとも微妙で興味深いです。まあ、気になっていたあの後の伊織ちゃんも出てきますしね。

読み進めるうちに、やっぱりさりげなく(時に思いっきり主人公めいて)戯言関係者が出てきますので、知らないとその分は面白さ半減ですね。逆に他のを読破していれば、懐かしさに襲われること必至でしょう。

まあ、私のツレ曰く、「戯言(ざれごと)ではなく戯言(たわごと)」の会話かもしれませんが、読んでいて私は好きなんですよ~。会話の内容は平凡かもしれませんが、それが文章にしても楽しく平凡に読めるのは、非凡な才だと思うんですが・・・。

戯言読んでた人なら、『とにかく黙って読んどけ!』ってカンジですね。

しかし、この著者のネーミングセンスは相変わらず、つ~か、紙一重を破ってしまったかもしれませんね。今回。アンドロイドの名前、これありっすか?(苦笑)

やっぱ西尾維新は、面白いと思う(刀語以外)♪


零崎曲識の人間人間 (講談社ノベルス ニJ- 21)(amazonリンク)

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2008年03月02日

「刀語 第十一話 毒刀・鍍」「刀語 第十二話 炎刀・銃」西尾 維新 講談社

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ずいぶんと久しぶりに読んだので、最初はなかなかこの世界観に戻れないでいたが、20分読んだら復帰できました。もっとも1時間しないで1冊読了しちゃうのんだけど・・・。

さて、いよいよラストの最終2巻分なんでまとめてコメント。まあ、一気に読んだしね。個人的には11話で終りにして欲しかったですね。一番幸せなままで凍結させてあげたい感じでした。

個人的には戯言シリーズ的な結末を期待していたんですけど・・・かなり最終話にはがっかりです。ちょい、悲しいカンジ。


【以下、ネタバレ的要素有り! 未読者注意!!】










西尾氏の得意とする練りに練った構成の『妙』というか、何段オチ?とか思うようなものは今回一切ありません。直球も直球、ど真ん中で終り。

やはり時間的制約が原因のような気がします。私的には、読まなきゃ良かったシリーズでした。だって、こんな結末を受け入れるの???

『時間』という要素を散々前フリしてたんで、批判覚悟でパラレルワールド的展開で強引になかったことにしちゃうのかと、ずっと思いながら読んでたんですが・・・そこまでヒドイことはしなかったんですね。
(して欲しかったけど)

思いっきって全話通しで感想を言っちゃうと(←批判覚悟で)、いつもとは違い、ただ読み易いだけで深みのない読み物(悪い意味でのライトノベル)に過ぎず、ただ&ただ、とがめと七花とのツンデレ的なやりとりを楽しむだけのお子様ラブコメディなんだから、きっちりその線で終えて欲しかったです。

私的には時間とお金の無駄かな? 最後にどう締めるかで評価は全然違ったものになったはずだけどなあ~。残念です。読まなきゃ良かった!

刀語 第十一話 毒刀・鍍(amazonリンク)
刀語 第十二話 炎刀・銃(amazonリンク)

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2008年01月04日

「トリプルプレイ助悪郎」西尾維新 講談社

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ああ、西尾さんってこういうモノ書けるんだあ~。ちょっと見直したというか、改めて西尾氏の才能の幅に感嘆しました。理詰めできっちりと作り上げられたプロットに基づく語りは、他の作品でもちらほら片鱗は見せられていましたが、本質的な部分でやっぱり力量のある作家さんだと思います。

本作は、他の作家さんが作られた設定を引き継ぎつつ、ミステリーを描くという特殊なものではありますが、そういった点を意識しなくても良いほど、読ませるミステリーになっています。

とりあえずの真犯人やおおよその状況設定は、探偵の出番を待つまでもなく、想像がつきますが、そのトリックやその後の・・・については、まさに西尾氏らしい終盤作りと云えましょう。どうにも一筋縄ではいかないです。

しかし、珍しく作中のどのキャラにも萌えられません。あえて選ぶと・・・○○ですが、ここではネタバレに繋がりかねませんので自粛。う~ん、実に正統派っぽい(ニアリーイコールではあっても本格派、正統派ではないのですが・・・)作品です。それなりに面白いけど、いわゆる西尾作品のファンには、辛いかもしれません。私はそこそこスキ!

一応、粗筋を書くと、大変著名な作家が失踪する。その子供達はそれぞれが作家になっているのですが、父である作家の失踪後5年経った時に、とある怪盗から予告状が届きます。失踪した父の作品を盗みに来ると。

子供達の誰もが知らない未発表の作品。失踪後、閉ざされたままで「開かずの間」と化した父の仕事部屋。そしてそこで悲劇が・・・。

まあ、よくストーリーですが、大変薄いわりに中身は凝縮されてます。一読しておいていいかもしれません。

トリプルプレイ助悪郎(amazonリンク)

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2007年12月24日

西尾維新 栞(しおり)12種類

nisioisin_shiori1.jpg

講談社によって書店で配布した販促用の栞(しおり)です。西尾維新氏の作品分。他にもまだ種類があるのかな? よく分かりません。

nisioisin_shiori2.jpg

普段、栞はブックカバーについている紐か、post itばかりなので、なかなか紙の栞って使わないんだよねぇ~。バッグに入れてるとすぐ抜け落ちてしまうから。まあ、観賞用ってことで。
ラベル:西尾維新
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「刀語 第十話」西尾維新 講談社

katanagatari10.jpg

【ネタバレ有りませんが、一応、本の読後推奨】


さてさて、今回読み終わって残り2冊で完読の刀語です。今回に限っては、いささかの不満が有ったりします。私にとっては、本作品ではなんかもう唯一の楽しみになってしまったとがめと七花のツンデレ・コミュニケーションが無い、無い、無い・・・・(絶句!)。

最後にさらっと、数行あるものの、それが大切なんだから作者省かないでよ~(シクシク・・・涙)。他に、読むところ無くなりつつあるんだから・・・。

決してつまらないとか、そこまで言う気はありませんが一時間もしないで読み終わって何も残らないのは、ちょい悲しい。まあ、それなりに人の苦手意識とかの捉え方とか、面白いな♪とは思うものの、圧倒的に娯楽が足りないっしょ! 今回は。

そりゃ、否定姫やとがめのかなりの部分が解明されるにしろ、会話が・・・足りない。いけないよねぇ~、会話の不足は二人の『関係』に亀裂につがっちゃいますよ。離婚原因のトップが意識のスレ違いでそれは何気ない会話がなくなってくとこから始まるのに・・・(どこぞの週刊誌のノリで言ってますね、私も)。

まあ、楽な刀の収集でしたが、ちょっと盛り上がりに欠けてます。さあ、早く最後まで読んでしまいたいものです。すっきりしたいかも?

刀語 (第10話)(amazonリンク)

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2007年12月23日

「不気味で素朴な囲われた世界」西尾維新 講談社

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病院坂黒猫が好きで好きでたまらず、その縁者が出るというだけ買った作品です。他にはな~んの意図もありません。モアちゃん(byケロロ軍曹)が「おじさまLOVE&LOVE~♪」と口ずさんでしまうくらい無邪気な愛情から購入しただけだったのですが・・・。


【以下、ネタバレの可能性大。直接はばらしませんが、書評上ストーリーが明らかになるので未読の方にはお薦めしません! ご注意を!】 








読んで最初、感じたのはあれっ? コレ、「きみとぼくの壊れた世界」ではなくて「化物語」ジャン?! そっちの世界のお話なのかなあ~ってことでした。だって、前回の兄と妹の関係が姉と弟の関係に転置されているものの、会話はまんま「化物語」系でノリノリだったし・・・。

最初は明るく楽しい話かなあ~って思っていたのですが・・・急転直下、殺人事件ですって、えっ~てカンジ。あまりにも前フリが無さ過ぎで最初、呆然自失と石化しました私。

でもね、でもね、いろんな意味でやっぱり西尾維新だったりします。

変化の無い、どこまでも予定調和の『日常』を『日常』として受け入れている周囲の人が、本当に宇宙人に見えるもんなんですよ。あの年頃は。つ~か、自分以外の人は全て宇宙人がすり替わっていて、自分ひとりだけが本物の地球人で実は、観察されて人間の習性を調べる為のモルモットにされているんじゃないか?な~んてことを日々、考えつつ保健室で寝ていた私には、全然違和感無く昨日のように思い出したりしますもん。

若さ故の傲慢というか、浅はかな思考なのかもしれませんが、学校の教師や親や同級生が全て自分とは違う『生き物』に見えていたことがあったりします。芥川が描いた「歯車」を保健室のベッドの仕切りカーテンにいくつも見たのもその頃のお話。まさか、20代を超えて生きているなんて信じられなかったし。

「ウテナ」ではないものの、『世界を革命する力』モドキの英雄に夢焦がれていたものです。本書の主人公は選ばれた救世主だと思っていたようですが、まあ、似たようなもんでしょ。

そういう人が日常の世界を見たら、やっぱこういう感じなのでしょうか? まあ、私の場合は、学校で気楽に生きていく為にも成績は絵に描いたように一番でしたが、勉強のことで直接教師に文句を言われないぐらいで他にメリットは無かったように感じてました。一部の教師には、だいぶ扱いにくい生徒と認識されていたし・・・。

個人的な経験はさておき、その辺の集団から遊離した存在の描き方はいつもながら秀逸です。ある種、典型的な人物像ながら、その実在感がいいんですよねぇ~スキ!

段々オーソドックスな謎解きものになっていくかと見せるくせに、いきなりバタバタ死んでくしさあ。思わず、いつから「銀英伝」かと思ったもんです。重要人物が突如死んじゃうと、いったんその辺の関係がリセットされちゃうような気がして、私なんかすぐ焦っちゃいますし。

でもでも、最後の最後の探偵役は、意外でしたねぇ~。あっ、これアリ?って奴だったし。でも、好きだから許す。愛があるから、私は本作品を大いに許します。もう「贖宥状(しょくゆうじょう)」をあげちゃうくらい、無罪放免にしてあげます。グーテンベルクに刷ってもらえるよう、お願いするぐらい許します。(←意味分かんないだろうな、この書評だけ読んでくれている方、すみません)

でも、犯人の動機がとっても&すっきりと分かり易いのが素敵♪ 
思わず共感できそうな自分が怖いぐらい。ある一つの願いを叶える為に、他の全てを忘れてしまうぐらいの微視的視野の狭さがなんと言っても本書の魅力かもしれません。それが若さであり、バランスを何よりも尊ぶ大人との差異なんだよねぇ~。

物事をなまじ見えてしまう人ほど、新しいことへの挑戦ができなくなるのもその辺が理由だったりするが、スバ抜けた大人はバランスを分かったうえでそれを壊す『強い意志』があったりする。それが、物の見えないまま、ただ行動するだけの動物に過ぎない若者と指導者(改革者)の差なのかもしれない。仮にやってることは同じ『壊す』行為だったとしてもね。

まあ、御託は置いといて。動機は仕方ないでしょ。
『愛』と『個人的利益』は並存するし、どちらがどちらかに勝るわけではないかもしれないが、常に一つしか考えられなければ、随時プライオリティーが変化してもそれは矛盾した論理にはならないかもしれない。詭弁っぽいけど・・・。

ただ、いつもながら作中の世界観には強く惹かれるものの、主人公は『HAPPY』なのだろうか? そこが少しだけ気になる。私だったら、全ての愛や好意に囲まれていられることが最善で、次善は周囲を一切無意識のまま過ごせること、かな? 

愛の告白は、実は自分にとっての日常化した世界観への刺激でしかなく、他者の同意は、さほど重要でなかったりする、な~んてうがった見方が一番似合いそうではあるのだけれど。

私の感想では明らかに「きみぼく」が上。だって、周りがいくら死んだって、たとえ反社会的だって、幸せなんだもん。愛に包まれてるし。もっとも、本書でも願いを叶えたのだから、幸せなのかもしれませんが、ちょっと幸せ感が微妙に違う。

まっ、でも最後の登場人物と知り合いになれただけでヨシとすべきなんでしょう。終わり良ければ全てヨシです(ホントか~?)。『囲われた』世界に暮らす方、どうぞ!

とにかく読みましょう!! 書店で西尾維新のしおりをもらうこともお忘れなく!!私は12種類GETしました(満面の笑み)。

不気味で素朴な囲われた世界(amazonリンク)

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「きみとぼくの壊れた世界」西尾維新 講談社
他の西尾氏作品については、左上方のカテゴリ【書評 西尾維新】よりどうぞ!
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2007年12月03日

「刀語 第九話」西尾維新 講談社

katana9.jpg

はい、刀語の続きです。それ以上でもそれ以下でもありません。いつも通り、さっと読めてそれなりに面白い。その点は変化ありません。とりあえず及第点かと。

ただ、話が進むにつれて思うのですが、西尾氏は徹底的に常識(というかお約束)を覆そうという明確な姿勢が感じられますし、それを毎回新しいネタで考えるのは凄いなあ~っと思います。ただ、どうしても紙数の関係や時間的制約から、練り上げられた水準にまではいっていないのは、止むを得ないでしょう。

その一方で、ラブコメ的なノリは徹底して&あざといまでに定番をひた走るのも特徴的ですね。今回は、とうとう『禁じ手』っぽいことをやっちゃいますし・・・。まさか、西尾氏の本でこういうのアリ(?)とは思わなかったのでビックリしました。

まあ、おかげで私の記憶もリセットされちゃいましたけど・・・(ニヤニヤ)。

従来の西尾作品と考えると、辛口の一言も言いたくなるかもしれませんが、普通のライトノベルと考えれば、十分過ぎるくらいでしょう。できればもう少し、メリハリつけてくれると嬉しかったんですけどね。

ここまで読んだ読者は間違いなく惰性だけで最後まで読むでしょう。それだけは間違いないと思いました。

そうそう、今回の敵は、きわめて真面目で見るからに「善人」です。どちらかというと、ある意味で骨の髄まで「悪人」(?)のとがめとは別次元のタイプです。段々、戦闘シーンがなくなってるような気もしますが、まあ、きちんと目的を遂げつつ、終局に向かってますので一応、ご安心下さい。

刀語 第9話(amazonリンク)

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「刀語 第八話」西尾維新 講談社
他の西尾氏作品もほとんど読んでますのでそちらはググって下さい。
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2007年11月21日

「刀語 第8話」西尾維新 講談社

tougo8.jpg

久しぶりに刀語の続編を読みましたが、それなりに面白かったです。どうしても戯言シリーズとか、化物語とかと比べてしまうと西尾氏らしい、ある種の卓越した文章を期待してしまうのですが、毎月一冊という制約条件下では、中だるみをうまく避けつつ、それなりに楽しめる水準ではないかと思います。

ただ、どう考えても値段は高過ぎですけどね。文庫で半額なら分かるけど、出版社儲け過ぎ・・・な感じがします。

今回は、奇策師とがめの宿敵っていうかライバルである否定姫が登場します。とがめと張り合ってるだけあって、なかなかキャラが立ってそうですが、実は否定姫以上にキャラが立っているのが、その部下である地味な人物というがちょっとカオスで笑えます。

中盤が今回で終わっていよいよ終盤に入るわけですが、ちょうどこれまでのまとめというか整理の回みたいですね。戦闘らしい戦闘がないままに、さらっと刀もGETしちゃいます。

また、七花ととがめの関係も○○○○であたかも××××のように話は進んでいくので(すみません、伏字ばかりで)、実に平穏このうえなく次回辺りで何か波乱が起るかもしれませんね。じゃないと盛り上がらないでしょうし。

役者は揃ってきたので、今後の大詰めに入る前に一息入れた感じです。勿論、それなりに楽しく読めますのでこれまで読んできた私のような読者も安心して最後まで付いていけそうです。

とにかく最後まで読破したいと思います(笑顔)。

刀語 第8話(amazonリンク)

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2007年10月17日

「刀語 第六話 双刀・鎚」「刀語 第七話 悪刀・鐚」西尾維新 講談社

katana6.jpg katana7.jpg

【第六話】
雪山であわや遭難という状況のとがめと七花。お互いに裸で体を温め合う・・・というお約束な展開にこの著者がなるわけもないが、まあ、別な意味で着実に『お約束』的ノリで話は進む。

まあ、次の七話につながる布石という側面もあるが、この巻単独でも悪くは無い感じ。嫌いじゃない。だいぶアマアマではあるが・・・。

そうそう今回、七花が初めて経験することがあった!

【第七話】
いよいよ一つのクライマックス、山場。第六話にも通じるが、毎回闘っているんだけど、結果は闘わずにして・・・? というか、闘わなくても・・・的な決着のつけ方がハヤリらしい。

七花は、ついに普通の剣士になってしまったようです。活躍する場面はないなあ~。主役は対戦相手のようですし。

それなりの意外性は常に確保して安定的な面白さを提供している点はすごいかも? ただ、読んでて一時間はかからないからなあ~。漫画の週刊誌を読むのと同じ時間だもの。値段も200円台にして欲しいなあ~。

ちょっと深刻っぽい回かもしれません。

刀語 第六話 双刀・鎚(amazonリンク)
刀語 第七話 悪刀・鐚(amazonリンク) (講談社BOX)

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2007年10月15日

「刀語 第四話 薄刀・針」「刀語 第五話 賊刀・鎧」西尾維新 講談社

katana4.jpg katana5.jpg

【第四話】
確実にこれまでの三話分の話とは、内容を異にする。ワン・パターンで読者が飽きてくるのを見越して、巧みな変化球でノリや物語の方向性を大幅にブレさせつつ、展開していくとは、さすがです!

今回のは、かなり楽しめました(笑顔)。主人公が一気に○○○になってしまうのには、驚きましたねぇ~。とがめの萌え路線がようやくちらつき出したし、何よりもストーリー上、こういうのも『有り』なんだという大胆な発想に基づく語りには、開いた口がふさがりません。(ネタバレになるので、絶対に書けませんし&書きません!読んでから楽しんで下さい)

アイデアとしては、考えつく人いただろうし、やってみたいことではあるだろうが、編集者が許さないでしょう♪ まさに現代だからできる『暴挙』(or 『快挙』)でしょう。刀語は、絶対に四話までは読んでみましょうね♪ うん、面白いです(笑顔)。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【第五話】
ようやくこの回で、とがめと七花のラブラブ(←古い表現)道中ってところでしょうか? ツンデレとはいかないまでも、ツン萌えぐらいにはなっています。

まあ、可愛いとがめを読みたい方や、恋で腑抜け気味の七花を想像したい方はどうぞ! まあ、普通にニヤつくぐらいの面白さはあります。

最後にちゃんと、今後への急展開を予想させる引きもあるし・・・。無難に次へと引っ張ってますねぇ~。「戯言シリーズ」や「りすか」のような、すぐにでも続編が読みたくてうずうずするまでの魔力はないが、普通のラノベ以上の水準には達してると思いますよ~。

刀語 第四話 薄刀・針(amazonリンク)
刀語 第五話 賊刀・鎧(amazonリンク)

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2007年10月13日

「刀語 第二話 斬刀・鈍」「刀語 第三話 千刀・ツルギ」西尾維新 講談社

あまりにも短くすぐ読めてしまうし、書評を書くほどの内容もないのでまとめて2冊分のメモ、

第二話
・戦闘シーンがイメージできない? 言葉による説明が不十分なのか?
・西尾氏のウリである、登場人物間の言葉の掛け合いが面白くない?個性に関するやりとりなど・・。
・とがめに萌えない。


第三話
・七花以上に、とがめのキャラが立ってない。いくら萌えっぽいことさせても、はまらないんだけど・・・。
・これまでの西尾氏作品中、いい意味で背景にあった欝的な暗さが、効果的に機能していない。
・とがめには、ゼロの使い魔のルイズを見習って欲しい(TV版1期限定、2期却下)。

決してつまらないわけではないが、大好きな西尾氏作品としては、期待する水準をクリアしていない。何よりも会話の空回り感がイタイ。

とか言いつつ、きっと全部読破すると思うんだけどね。今後に期待するか。

刀語 第二話 斬刀・鈍(amazonリンク)
刀語 第三話 千刀・ツルギ(amazonリンク)

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2007年10月09日

「刀語 第一話 絶刀・鉋」西尾維新 

katanagatari.jpg

私は西尾氏の作品は基本的に大好きなんですが、これは普通の面白さ。手にとって読めば、続きも読みたくなることは間違いないのだけれど、他の作品を読んだことがなければ、さほど興味を覚えなかったことは間違いない。

いつものその作家としての才能に脱帽する西尾氏の作品としては、正直たいしたことないように思えてしまう。「りすか」もそうだけど、最近、お疲れ気味かな? 全体的にパワーが落ちている感じが否めない。

「奇策師」なんてネーミング、いかにも西尾氏らしいけど、要は「子荻ちゃん」でしょうに・・・。

世界を支配する力を持つという特別な刀が12本有り、それを幕府側の自称・奇策師(=作戦参謀みたいもん)と、剣を使わない剣士が共に探して集めるというストーリー。

まあ、ドラゴンボールや里見八犬伝みたいな基本は単純なストーリー。それがどこまで魅力的なお話に膨らむかは、今後の期待ですが、一話では、あまり面白いと言えない。忍法ものだとどうしても脳裏で山田風太郎(大)先生と比較してしまうので、大変だろう。

唯一期待できそうなのが、複雑な過去を持つ女奇策師のたがめかな? 西尾氏の得意な病んだ人物描写というか、精神病者、じゃなかった「描写」を期待しています。

とりあえず、読んでいて面白いかもしれないので継続読破予定。さて、どうなるのかな???

刀語 第一話 絶刀・鉋(amazonリンク)

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2007年05月22日

「零崎軋識の人間ノック」西尾維新 講談社

nokku.jpg

戯言シリーズの番外編の一つ。その割に出てくるのがいーちゃん以外ほとんど出てきてるような・・・。ということは、必然的に戯言シリーズ好きには、思いっきり楽しい内容となっています。こんなこと言うと、アレですけど、下手したら本編の後半以降の一部中だるみ状態の巻よりも楽しかったりする。

おまけに本編では、その凄さだけが半ば伝説のように語られていた策師の荻原子萩ちゃんが名実共にその実力のほどを遺憾なく発揮しちゃっているのが、大変魅力的です。あんた実は、キズタカっていうぐらい腹黒いッス! 

零崎一賊はいつもながらの仲良し(?)さんですが、双識の気持ちは痛いほどよく分かる。うん、僕も絶対に同じことするなあ~、携帯が手放せなくなることでしょう、ってオイ!(笑) これ以上、書けないのが残念。

本編では二度と会えないキャラが多いだけに、なかなかに貴重なエピソード集でもあります。いつもと違う面がいろいろ見れるしね。これはお得かも? しかし、友・・・お前・・・やっぱり、そのキャラ・・・。
自主的禁止コードにかかるので書けませんが、是非、読んでみて下さいね。

(いーちゃん、考え直せ。みいこさんがいるじゃないかと言いたい。萌子ちゃんが個人的にはお薦めだけど・・・まあ、絵本さんでも許すが・・・。今回はみんな出てこないけどね。)

まあ、こんな感じですので、戯言ファンは絶対に読みましょうネ♪

零崎軋識の人間ノック(amazonリンク)

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2007年05月17日

「ザレゴトディクショナル」西尾維新 講談社

戯言シリーズを最初から最後まで読破し、まだなんでもいいから戯言シリーズに関わりたい、知りたい、読みたい! そんな願いを持つコアで熱狂的なファン向けの本だと思います。

著者自身が書かれているように、あくまでも戯言シリーズの舞台裏、楽屋オチ(?)、制作秘話等の内輪向けのかなりディープな内容になっています。戯言シリーズを骨の髄までしゃぶりたいとか、そういう方向けの本のように思います。私は、そこそこ楽しめましたが、本作品と比較するとあくまでも余技、オマケ的な存在です。それを分かったうえで読まないと無駄な出費になります。ただ、分かって楽しめる方には悪くないと思います。

そうそう、戯言シリーズの美味しいところが、完全にネタバレ前提で説明されていますのでくれぐれもシリーズ完結まで読破してから、本書に手を出すこと。順番を間違えると、全てが台無しになります。著者が一番心配されていて、その為に袋とじになってます。ご注意を!!

でもって、本書の内容を具体的に書いたら、それこそ更なる興醒めになりますので勿論、それは控えますが、問題がない範囲で本書を読んで初めて知ったことなど。
○<十三階段>の参加資格は眼鏡。狐さんは眼鏡フェチ。
○戯言遣いは、一番のツンデレ。
○巻末の漫画、「姫ちゃんとのあやとり」←ベタベタなネタだけど私は好き!!
上記の点だけで、私は本書を読んで良かったと思います(爆笑)。非常に寛容な心の持ち主でギャグとして笑い飛ばせる方なら、本書を楽しめるかと思います。シリアスに捉えるとキツイので避けた方が無難です。

あとね、西尾さんって創作ペースが驚異的に速いんですね。一日に100枚とか200枚って、おみそれいたしました。う~ん、私は遅過ぎるな、文章書くの。なんか、反省。

それと・・・。ストーリーが異なる没原稿がだいぶあるようです。プロとしては、絶対に出版してくれないんでしょうけど。そちらも出来れば読んでみたいですねぇ~。だいぶ世界観が変わってきて、実に(!)面白そう。

なお、本書内ではりすか等の他の西尾氏の作品についても若干の言及あり。

ザレゴトディクショナル 戯言シリーズ用語辞典(amazonリンク)

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ラベル:西尾維新 書評
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2007年05月06日

「新本格魔法少女りすか3」西尾維新 講談社

りすか

今回もキズタカがメイン。実質的に「創貴個人VS敵」ってな感じで話が進んでいく。りすかファンの私としては、タイトル通りの主人公りすかの活躍を期待したいが、なかなかそれは難しいみたい。特に前半の確率論もどきは、お世辞にも面白いとは思えない。

ただ、頁半分くらいから、そこそこ盛り上がりが生まれていく。結構面白くなっていくし、りすかの珍しい主体的な言動は嬉しかったけど、どうしても創貴ばっかしなんだもんなあ~。

読み物として悪くはないんですが、「化物語」で大いに驚愕&感動させられたばかりの身としては、ちょっとねぇ~。どうしても並み以上の面白さを期待していたのでいささか不満気味。

最後も途中で終わるので、う~ん最終巻で結末出るまで我慢するのが辛い。次の巻で最終とのことなので、全部出てから読むべきだったかな? なんだかんだ言っても待ち遠しいです。私の安易な予想では、最終巻こそりすかの独り舞台であって欲しい!! 心からお願いしちゃいます。

できるなら、最終巻が出てからまとめて読みたいところですね。

新本格魔法少女りすか3(amazonリンク)

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2007年04月27日

「化物語」上・下 西尾維新 講談社

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すみません、数日前まで戯言シリーズにどっぷり浸かっていた人間がいうのもずうずうしくてアレなんですが、こっちが上。戯言シリーズの素晴らしいキャラ設定、戯言会話の数々。それらのいいとこ取りというか、濃縮したものを更に蒸留して生粋の戯言成分90%、みたいなノリで書かれています。

前から、西尾氏凄いなあ~と思いましたが、絶対に特殊能力ですよ、こんなの書けるのって!

著者が「100%趣味に走って書いた作品で、スケジュールの空き時間に書いた作品」と後書きで書かれていますが、あのう~天才だと思います。芥川賞とか、直木賞とか、泉鏡花賞とか星雲賞とか、あげられる賞があるなら、みんな差し上げたいくらい。

どうしてもいつも批判的な論調でしか、書評(感想だね、実際は)を書いていない私がもろ手を挙げて大絶賛しちゃいます。りすかや戯言シリーズは、いささか悲劇的で、鬱的で内省的な、また残酷な要素があって、私はとっても好きなんだけど誰にでもお薦めする本ではないのですが、これは老若男女お薦めできるエンターテイメント小説でしょう。普通の漫画を読んで面白いと思える人なら、楽しめると思います。漫画嫌いな人は、駄目かも?

「きみとぼくの壊れた世界」と同等かそれ以上の当たりです!!誰がなんと言うと、私はコレ好き♪ 病院坂と思わず、比較してどちらを取ろうか迷いましたもんツンデレちゃん。崩子ちゃん、う~ん他のキャラとAlternativeできちゃいそうで私の中では影が薄くなっていく・・・(結構、ヒドイ私)。

しかし、素朴な疑問。著者の会話しているところを是非一度でいいから聞いてみたい(笑)。友人の女性と話している場面、熱烈歓迎!! なんせ、猫語まで出てくるし、この本。いやあ~、抱腹絶倒で読んでる時、周囲を見回すことしきり。周りからおかしい奴とか思われかねませんのでご注意を。

しっかしなあ~、結構ツンデレ系は情が深いんですよね。デートしてみるとなかなか特別な感慨に浸ることが多くて、勝手に自分の記憶と重ねながら、楽しく読ませて頂きました(笑顔)。まあ、本書の場合は、最初、ツンデレ=綾波かと思ったのですが、リツコっぽいです。即ち、重い女ってタイプ。反面、主人公は優柔不断だけど、極め付きに人に優しい男っていうことで全ては予定調和。

いろんな意味で予定調和つ~か、お約束を律儀にきっちりと過剰なまでに提供したうえで、他の作品と違ってあえてひねりを加えずに、シンプルにキャラを楽しませてくれる本になっています。西尾氏の本が一冊でも好きならば、絶対に読んでおくべきでしょう♪ しっかし、侮れないなあ~著者の書く本がどれでも面白くてしかたがない私だったりします。

パラレルで読んでるルターの宗教改革本の合間に、これ読むと意識の切り替えが・・・?! まあ、面白いからOKです(笑顔)。

【補足】
少しだけ冷静になって考えると、すこ~しだけ、暗いとことエグイとこあるかな? 上巻の一番最初が一番重いけど、まあ昨今のワイドショーレベルです。

あと生まれ変わりにクルル曹長になりたい奴はごめんだとは思うのですが、羽川より戦場ヶ原なのは、致し方ないのかもしれません。委員長ちゃんは、マジな人間関係でいうと本当にウザイからね。クラス委員でありながら、平気で授業をさぼっていた私には、うるさく小言を言われた嫌な思い出しかありませんもん! あの時から何年経っても記憶は残るもんだね。

化物語(上)(amazonリンク)
化物語(下)(amazonリンク)

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2007年04月25日

「ネコソギラジカル」上・中・下 西尾維新 講談社

【ネタばれあり―――未読者注意! 読むべからず!】

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【ネタばれあり―――未読者注意! 読むべからず!】




上中下巻、3巻をまとめて読んで正解だったと思う。これバラバラに読んだら、めちゃくちゃキツイと思う。次の巻が出るまでまてないっしょ、マジに。

結論、ハッピーエンドでOK。まさか、この作者がハッピーエンドで終わるとは・・・お釈迦様でも気がつくまいって!つ~か、想定外だけど、装丁外(装丁、意外?)なのだろうって、一応律儀に戯言調ってね。

ネタバレを告知済みなんで、思い切って書いてしまうと、いーちゃん別人? 前向き過ぎ~じゃ~ん!(笑顔) 友と一緒に死のうと言われて死なないなんて、おかしいよ~。三島先生(「憂国」)を見習って、死の美学を貫くかと思ったのに・・・。まあ、いーちゃん的には死を選ぶか否かを迷っているうちに、自分は死なないで周囲だけ死んだっていうのが、いーちゃんらしいと言えば、いーちゃんらしいようにも思えるのだが・・・。 

今回のいーちゃんは成長します。成長しない歪み故に、成立していた戯言シリーズの世界観が、その存在基盤から自家崩壊していくのですから、なかなかに大変だったりします。しかももう終盤で終わるってのに、各巻ごとにこれでもか、これでもかと新しい登場人物が出てくるし、キャパの小さい私には、登場人物を忘れずにいるのに一苦労しました。それぞれが強烈なインパクトを持ったキャラがたっていてもこれですもん。参った!(だって真心なんて知らないもん!)

でも、凄いのはこれだけの登場人物をバッサバッサ殺していくくせに、いつまでも追憶の中で呼び起こして死者を何度も&何度も使い切る著者です。これだけ、引っ張って&引っ張って、途中で対決もせずに戦闘を締結させて、それでいて出番がなくて忘れさられた哀川さんまで最後に活躍させつつ、きっちりと終わりに導いたのは素晴らしい力量でしょう。いやあ~、どっかのアニメのように終わらないのか、ジェノサイドで終わるのかと怯えてました、私。

ネコソギラジカルまでは、基本的には各巻ごとにどんでん返し的な転換点があったのですが、今回に限っては、3巻を通じての構成になっているように思えました。そう考えると、それなりに戯言シリーズの基本構成を踏襲してたんですね。最初は、各巻ごとに違和感を覚えたけど。

しかし、人識がここまで働く奴だとは思いもよらなかったです。同時に、潤さん主役級と言いつつ、いつのまにか名脇役もどきだし。子荻ちゃん、出過ぎ(笑)。小唄さん、善人じゃん、潤さんより仕事してるような・・・?

まっ、崩子ちゃんを奴隷にしたんでヨシと! で、暖かい家庭では、記憶力もきっと一般人並の玖渚(苗字変わってるから、友の方が正確)と幸せに生活してるし、いわゆる一つの大円団ってネ。まさに、ハッピーエンドだったりする。まあ、誰かの幸せには誰かの不幸があって、姫ちゃんが余計なことして死んじゃったり、普通の巫女子ちゃんは生きていられなくなっちゃったり、理澄ちゃんや頭巾ちゃんは気付かないまま殺されちゃったりするけれどね。

そんな犠牲のうえでも、いーちゃんはみんなを守りたい優しい奴で、しかもたくさんの人に愛されて、美人にももてて、それでもって大円団(←字間違えました)大団円だったりするのだから。うん、悲惨な最期よりは、素直に嬉しいかもしれない。読者としては。

確かに戯言シリーズってキャラ萌えが『命』!ってな側面もあるものの、絶対にそれだけじゃないキッチリし過ぎたくらいの構成力ってのも魅力だと思うんだよねぇ~。『普通』と『天才』を軸にした現実世界の認識論とまでは言わないまでも、そっかみんな生きていたかったんだねぇ~。それを超越したところに価値観を置いていたのが、原点復帰して『生きる』でしょ、でもって古典的な大団円。善哉、善哉♪

でもさ、崩子ちゃんを何故3年待つの? 無問題ジャン?
みいこさんは、駄目駄目君を卒業しちゃったいーちゃんでは、好みのタイプから外れてしまっているかもしれないが、みんなで仲良く一緒に暮らしてるんだし、春日さんも呼び入れて戯言ハーレムっては? まあ、戯言ですね。普通が一番というお話でした。うん、素敵な物語だ。終わり良ければ全てヨシです。

ただ、本当に戯言シリーズの凄い点は、いーちゃんの氏名が不明なまま貫き通したこと。最後の最後で友との家庭を描く際に、氏名を暴露して終わりにするのではないかと思っていたのですが(玄関のネームプレートとかね)、そのまんま不明で終わらすとは・・・。
うっ、やられました(笑)。

そういえば、「きみとぼくの壊れた世界」もハッピーエンドじゃん! 西尾維新、著者はハッピーエンド嫌いと言いつつ、やっぱ好きなんじゃないの?って突っ込みだけは入れておきたい。ただ、周りの不幸にうえに成り立った幸せではあるかもしれないが・・・。それもまたヨシ!

ネコソギラジカル (上) 十三階段(amazonリンク)
ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種(amazonリンク)
ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い(amazonリンク)

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2007年04月10日

「ヒトクイマジカル」西尾維新 講談社

hitokui.jpg

しっかし、ドンドン書評が書けない感じになってますなあ~。書きたいことは増える一方なのですが、粗筋書くと、未読の人が読んだら興醒め以外の何物でもないし・・・?さてさて何書きゃいい?

戯言シリーズって今の今までエヴァだと思っていたんですが、実は銀英伝(銀河英雄伝説)だったんですね~何を言っているかは、当然分かっていること前提~。うむむ・・・。迂闊でした、私。

今回は、いーちゃんが珍しく積極的に行動します。まあ、これだけの事態には、さすがに戯言だけでは留まらず、表立って玉砕行動しちゃうし・・・。その行動ったら、意外と言えば意外だけど、それ以上に、そもそもの事件自体が読者としては悲しくてしかたないんだけどね(涙)。戯言シリーズ読んできた読者には、「ええっ~!」ってなもんでしょう。ここでこうする為の伏線だったの~とか、前巻絡みで思わないわけでもなかったりするが、それにしても・・・っていうのが正直なところ。

それに今回は潤さんの役回りがずいぶん違っています。マジで裏方転向だったりする。ちょっと欲求不満になりそう。

でもね、本書では、戯言シリーズ全体に関わるような玖渚の台詞が強烈に訴えてきます。これまではどちらかというといーちゃんサイドからのの捉え方だったカンジが強いのですが、今回は玖渚がいーちゃんをどう思っているのかが、はっきりと明示されているのが大変興味深い。これまで盛んに遠回しに表現されてきたことが、一気に明示・断言されたカンジですね。やっぱ、そうなんだあ~って思いましたよ。つまらなくなるから直接書けないけど、いーちゃん、逃げれないね、変われないね、死ぬまでこのままでフリーズだもんね♪ 友、マジ怖い奴~とか思っちゃいますもん。

春日井さんあたりでさっさと手を打っておけば、いいのにねぇ~。みいこさんは物理的に怖いので私的には止めておくのを推奨。しかし、意外なのは死んだはずの人間が何故か現役バリバリで付きまとうねぇ~。その辺も銀英伝ノリか? 結構、スキだけどそれって。

戯言シリーズはいよいよ佳境に入っていく感じですが、今更ながら登場人物の人名難し過ぎません? 登場人物の多さと相俟って既についていけてなかったりする。私、面倒でルビとか読まないし、漢字を眼で追って読む人だから、人名が視覚的に理解できても音声的に認識できないんだよねぇ~。結構、困ったりするしぃ(涙)。

しかしまあ、いろいろあってもやっぱり面白いでしょう、コレって。某通信添削の小論文の採点(以前やってたの私)基準からすると、意図的な造語・誤字などでマジ零点になる文章ですが、新しい文体を創始しようとさえしているかのような、言葉遊びのセンスは十分に非凡でしょう♪ 小説としては、十分に満点以上。賛否両論あるにせよ、こればっかりは真似できないしね。これからも実に期待しちゃうところでしょう♪

さてさて、いーちゃんはどこに(執着/終着)していくのか、これから明らかになるのが楽しみですね。何気に眼鏡属性が高いのもポイントUPでしょう(笑)。

ヒトクイマジカル―殺戮奇術の匂宮兄妹(amazonリンク)

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2007年04月04日

「サイコロジカル」上・下 西尾維新 講談社

saikoro12.jpgsaikoro2.jpg

西尾氏の戯言シリーズです。だいぶ進んできたかなあ~ってネ。今回は上下2冊に分かれていますが、いつも通り夢中になって読んでしまうので、あっという間に読めてしまうのが惜しいくらいです。

今回は、玖渚の過去の人脈といーちゃんの過去の人脈が出てきてなんとも気になるそれぞれの過去の一端が明かされます。でも、相変わらずよくわかんないんだけど、気になる~状態は続く。

しっかし、このシリーズ全般に言えることかもしれないが、戯言シリーズにおける事件って、常態で示される人物像がある契機(=事件)によってこんな面もあるよ、あんな面もあるよ、そんな面があったの・・・っていうカンジで人間の姿が暴かれていくのが、なんとも良かったりする。しかもどっか壊れていて、けど、憎めなくなって、でも駄目だったりする。どうしょーもなく、人間っぽいところが共感を覚えてしまったりする。

エヴァ以降、日本の物語の主役って内省的・内向的性格者ばっかりだなあ~。

しかも段々えぐくなっていく一方で、部分的精神崩壊者のような色彩が散見されちゃうような気がしてならないんだけど・・・。逆にそれこそ虚構が大手をふるってしまう現在には、むしろ皮膚感覚的なリアルなのかもしれない。

ただ、出てくる人物がどれもこれも本当に純真なのが、たまらなく不思議。純真だから、自分の欲求のみに忠実で、みんながみんな自分の事しか考えなくて、その利己主義感が鋭ければ鋭いほど、現実っぽくなるんだもん。素敵! これだけの登場人物がいて、誰も他人を思いやることがないんだから、素晴らし過ぎて驚愕しちゃうしかない(勿論、それでいてどっか優しさにあふれているのも不思議な魅力)。

いーちゃんが玖渚を思う気持ちと、玖渚がいーちゃんを思う気持ちが等価か否かは不明ですが、相手を大切だと思う気持ちが相手の為になるかというのと、完全に別次元で自己の衝動として表現されるのが、限りなく純真で不純。だって、結果的には相手の為にならなくてもそれをやってしまうんだもんね。

う~ん、すっかり私まで影響を受けて戯言調(苦笑)。でも、小唄ちゃんもどうにも喰えない存在だよねぇ~。敵か味方か、はたまた何者なのやら?ってね。でも、基本、小唄ちゃんはスキかな?

しかし、本書の登場人物はどいつもこいつも喰えない奴らばかりだ(笑)。それでいて、これだけ心惹かれるのだから、実に楽しい本です。久しぶりに玖渚の出番が多いのも良いかな?上巻ではそこそこ、下巻は物足りないけどね。

サイコロジカル〈上〉兎吊木垓輔の戯言殺し(amazonリンク)
サイコロジカル〈下〉曳かれ者の小唄(amazonリンク)
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2007年03月29日

「零崎双識の人間試験」西尾維新 講談社

zerosiki.jpg

戯言シリーズの番外編というのでしょうか? 本編の登場人物が出てきて本編とは異なるストーリーを語るものです。戯言シリーズを全編読まなくてもいいと思いますが、ある程度読んで本編が分かってから読むことを強くお薦めします!! 

時系列的には、「ヒトクイマジカル」を読んでから読むべきだったかな? 私の場合は、「クビツリハイスクール」までだったけど、なんとかなった感じです。

さて、あまり粗筋を書くとつまらなくなるので簡単に書くと殺人鬼の一族の家族愛(?)を描いた作品・・・??? この場合の家族は、血族関係ではなく、あくまでもその存在が有する性質としての「殺人」属性とでもいうものを持つ者達が後天的に集まったもの。殺人は生きることと同義。

読み始めは、どうも作品のノリに乗れないんだけど(西尾氏の作品だとしばしばあるのだけど・・・)、読んでいくうちに思いっきりノリノリの自分に気付いてしまう作品。

昨日まで、というか正当防衛的に殺人を犯すその瞬間まで、全く普通であった17歳女子高生の伊織ちゃんが、あっというまに変貌して立派な○○○になってしまうのが素敵♪ (→あっ、私毒されてる?)

とにかく『殺人』がかくも即物的なものとされてしまうのには、驚愕を通り越して、それ『常識』?とか思ってしまいそうで怖いっス!

このある種の寂寞感漂う、でも個人主義的感性って現代の若い人が思いっきり共感しそうです、ホント。若くない私も思いっきり共感しちゃってますけど・・・ネ。それでいて、相手との距離を保ちつつも、独特の濃密な連帯感つ~のもまたありそうでなんとも堪らない描き方されてます。

戦闘部分は、一部グロくて私は嫌いな部分もありますが、本書全体として面白いと思います。実際に戦っている部分は、あくまでも当事者の精神が表出した一部に過ぎず、その精神の畸形が堪らなく、興味深いです。病んでる方、お薦めしますよ~(笑)。

ただ、本書裏表紙のコピーにある「新青春エンタの最前線~」って意味が不明??? いつも思うけど、どこがエンタテイメント? どこが青春なのだろう?

思いっきり、違和感っていうか、感性のズレを感じてならないんですけど・・・。私的に一番面白いのは、何をどう感じるか、その精神構造に他ならないんだけどなあ~。編集担当者が知り合いだったら、小一時間問い詰めたい気分。

そうそう、本書にはおまけにCD-ROMがついている。それはいいのだが、そのせいかな?値段が高い。こんなもん、特定のサイトから購入者のみにパスワード与えてダウンロードさせりゃあいいじゃん。わざわざ値段を高くしないで、その辺考えればいいとおもうのだけれど・・・。講談社さんには、もうちょっと考えて欲しいなあ。

西尾氏ファンから、人気に乗ってぼったくらずにいきなり文庫で長く稼いで欲しいなあ~。

零崎双識の人間試験(amazonリンク)

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2007年03月25日

「クビシメロマンチスト」西尾維新 講談社

kubisime.jpg

うむむ~、やっぱり巻が進むにつれて面白さが増してきますね。ちっ、クビツリハイスクールから読んでしまったことをまたまた後悔しちゃいますが、今の段階で読み直すと絶対に最初の時よりも面白いのは確実でしょう♪

本書においても、改めてキャラの魅力が増していますし、読んでる間にも増していきます。舞台は普通にある大学生の日常。その普通過ぎる日々の裏側に潜んでいて、ふとこぼれ落ちるようにして垣間見られるような歪んだ精神描写がなんとも良かったりする。

一見すると異常なんだけど、読書の多くが必ずどっかしら共感してしまうんでしょうね。だからこそ、西尾維新の本はこれほどまでに『売れる』んでしょう♪ 

読めば分かる話ですが、いーちゃんは他人事に干渉しないし、読書も小説だと思って読むんですが、いい作品にはありがちなように読者は距離を置いて客観的にいるつもりのはずが、思いっきり自分に置き換えて考えたりする。そういった魔力か魅力か分からないもの持ってるんじゃないでしょうか、この本ってね!

今の時代の作品だと思いますねぇ~。昔だったら、異端として自らを烙印を押した世代は澁澤とかを読んでいましたが、それもあくまでも社会に対しての関係から規定されるでしょう。現代だと対社会的な役割を意識せず、ひたすら自分自分でと考えるのでこういう把握の仕方をするのかととっても興味深い。

しかもそれが20代以下で支持されるのだから・・・ネ。

とまあ、なにやら独り善がりな小難しい話は置いといて。これ面白いよ間違いなく。戯言シリーズ最初から読まなきゃだけどね!これ必須! ときメモみたいなもんだし・・・(←ファンに殺されそうな暴言三昧)。

濃密な人間関係大嫌いな人、部屋に閉じ篭っている人、手首に傷のある方、お薦めってオイ! 本文中の言葉で言うならばATフィールド張っている人とかかな? 


【ネタバレではないものの、以下の記述は未読の方にはお薦めしません!】
もし、貴方がミステリーとして本書を読むなら(私はそう思っていませんが・・・)、以下は読むのを控えて下さいね。本を読んでから見てもらえると嬉しいかも(笑顔)。









ふふ~ん、哀川さん・・・って呼ぶと怒られてしまうから(笑)、潤さんの役どころが二冊目読んでようやく分かりました。本当に&本物の探偵さんなんですね。勿論、人類最強の請負人だから、探偵も請け負えるのは納得です。しかも、最後の最後で全てを解決(つ~か、解説?)してくれる貴重な存在なんですもんねぇ~。

基本的にいーちゃん(主人公)が事件を体験して、第一次的な探偵役をしながらもあえて、探偵に徹し切らずに事件の重要な構成要因として機能するという構造もいいかもしれない。これ以上は、未読の方が読むかもしれないので詳しくは触れない。

ただ、いーちゃんって能力あるけど、いろんな意味で疲れちゃってるんだよね。でも、友(←名前)がいるから、いっか。向精神薬を飲みながらって場面が本書で出ないのは不思議だなあ~と思いつつ、本書の世界が既にアッパー系でなくてダウナー系かと思う今日この頃です。

しかし、いつもながら西尾維新は面白い!! これだけは間違いないかと。巫女子もいーちゃんもうちのガッコにはいなかったけどね。

クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識(amazonリンク)

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2007年03月18日

「クビキリサイクル」西尾維新 講談社

kubikiri.jpg

西尾氏の本を読むなら、普通まずはこの本から読み始めるべき一冊
です、たぶん。私は紆余曲折して他の本から読み始めたのですが・・・。

本書の感想としては、最初はイマイチで西尾氏の作品にしてはノリもあんまり・・・と思っていたのですが、読んでいる間に少しづつテンションが上がってきますネ! こんなことを言っては、大変失礼だと思いますが、まさかラノベでクレチェマーに出会えるとは思いませんでした(満面の笑み:高校生の時に読んで以来で久しぶりぃ~)。個人的には、それだけでも喜んじゃうところですが、ゲーム論や大数の法則とかも懐かし~い。ガッコで保険論とか、意思決定論とかでやったのを思い出しちゃいましたよ~(笑顔)。

まあ、そんなことはオマケでしかありませんが、私っていささか精神的に病んだ人が好きなもんで、天才っぽい人とか紙一重系も好きだったりします。天才にはあったことないけど・・・ね(どいつも秀才レベル)。

本書には、いささか頭のネジがぶっ飛びかかった天才もどきの人達がいて、なかなかに素敵♪ 天才をお金持ちが孤島に集めたら、そりゃ殺人も起きるでしょう。推理物の基本中の基本です。首がない死体もお約束ですが、それらを超越して西尾氏の作品は面白いと思う。

私の個人的な嗜好としては、プロットよりも文体、即ちスタイル至上主義なもんでトリック系には興味ないんですよ~。勿論、本書だけでなく、西尾氏の作品はトリック、プロット共にしっかりしていますけどね。それら以上に独特のスタイルを既に確立していると思います。だから、西尾氏の作品を好きな人はどの作品を買っても、楽しめるんでしょうね。

本書の場合も、しっかりと最後の最後までいい意味で謎が引っ張られ、一つ謎を解くと、さらに謎が生まれていくという正統派でありながら、陳腐にならずに面白い!! 

あとね、哀川さん出ないのかなあ~と心配しましたが、ちゃんと出てきます。安心して読みましょう。この戯言シリーズですが、何が何でも一巻から読みましょう。ただでさえ謎が多いのですが、順番に読まないとついていけない本、それがこのシリーズだと思います。じゃないと訳が分からず、辛い思いをします(実際にそうだったし)。これ、読んでイイと思いますよ~。シリーズの続編が実に楽しみ♪

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い(amazonリンク)


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2007年03月06日

「新本格魔法少女 りすか2」西尾維新 講談社

risuka20070306.jpg

前回読んだ続きです。巷ではついこないだ3巻も出たばかりで、そちらも読まねば・・・(笑)。

さて、1巻ではカルチャーショックを受けた本格魔法少女シリーズですが、今回は実に無難にまとまっています。つ~か、あまりに無難過ぎて、いささか意外でちょっと残念でした。

紆余曲折あると、人は丸~くなってしまうのね。ちょっと悲しい・・(涙)。覇気が無かったりする、いろんな意味で。読む楽しさが半減しないように詳しく書きませんが、今回は個々の当事者よりも舞台たる「魔法のある世界」設定の説明とかにポイントが置かれています。まあ、それはそれで知りたいことでもあるので良いのですが、あくまでも「シリーズ」全体を意図しての本書の位置付けなので、絶対に一巻から読んで下さいね! これ、西尾氏の本のお約束みたい。

りすかは、以前より更にちょっと可愛くなったし、挿絵も個人的には今回の方が好き。でも、1巻と比較するといささか休憩している巻でしょう。前回のフルパワーは出てきません。まあ、これは続巻にメリハリを持たせる為に巧妙に計算されたストーリー構成かもしれませんけどね。

1巻面白かったら、読んどきましょう♪ で、3巻に期待をつなげる。そういった感じです。勿論、普通には面白く読めますよ。驚愕はないけど。

新本格魔法少女 りすか2(amazonリンク)

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2007年03月01日

「ニンギョウがニンギョウ」西尾維新 講談社

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いやあ~よく出版できたなあ、というのがまず第一印象ですね。これが他の出版社なら分かるのですが、講談社さんでノベルズをメインに出している作家さんにこれだけの自由裁量を与えた点には、むしろ出版社さんの作家さんへの入れ込み具合が伺えます。

私は、問題なく集中して読めました。途中で飽きることもなく、淡々と読めましたが、従来の西尾氏の読者層には、辛いんではないでしょうか?

阿部公房氏の実験的小説と非常に近いモノを感じてしかたありません。あちらは日本語としてはかろうじて意味が通じる範囲で行っているのに対して、本書の場合は、日本語としておよそ理解しうる範囲を逸脱して著者の指す『単語』と読者一般が理解する『単語』が著しく乖離しているように感じます。世界観の構成が異なるというよりも日本語としての言語認識の根本段階で既に齟齬をきたしている印象です。

これを小説と呼ぶのが妥当か分かりませんが、文章を理解するとかしないとかというのはおよそ無意味で、これらの文字の羅列が好きか嫌いかの嗜好の問題以上のものではないでしょう。どちらにしても意味は分かりませんし、それを求めるものでもないでしょう。

エンターテイメントとしての著者の作品を求めるなら、本書は間違いなく、選択すること自体が間違いです! 手を出すべきではありません。

でも、最近では見られなくなった文章だと思います。金にならないという点で、普通ではまず出版自体が危ぶまれる作品ですので貴重なものかもしれません。

私の感想は、ちょっと興味があったけど、それほどでもないかなあ~。同傾向の作品なら、阿部氏のものを選びます。でも、最後にストーリーとして発散しない点だけは単純に凄いと思います。この手の作品はおうおうにして尻切れトンボで終わってしまいますから。
著者ってやっぱり実力あるんだなあ~って思っちゃいました。

まっ、私は『病院坂』以外、最近興味なくなちゃったからさ(ふっふん~♪)。そちらの続編ないのかな?

※本書の場合は、粗筋や内容紹介が意味ないので一切書きません。もし、買うなら書店で内容を確認後に買われる事を切にご忠告します。

ニンギョウがニンギョウ(amazonリンク)

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2007年02月28日

「クビツリハイスクール」西尾維新 講談社

kubituri.jpg

戯言(ざれごと)シリーズの三作目かな? 本当は順番に読みたかったんだけど、とにかく我慢できず、手元にあって読めるものから読むことにしました。だって、待てない~!

シリーズものを途中で読むというのは、登場人物の人間関係がイマイチ不明でなかなか内容に溶け込めないもんですが、更に本書は登場人物の僕も状況を知らないまま、女装させられて超名門女子高に人を連れ出しに行くくらいですから、最初はいささかキツかったです。

それでもそこそこ楽しめたし、段々この世界で展開される論理が見えてくると興味深くなってきます。テンポもいいしね。

でも、う~ん王道以外のはずの他の作品から入った私としては、ちょっと物足りないのも事実。いつも通り、小説世界もしっかりした構成もされていて悪くはないんだけど、あの水面下で濁流のごとく迸る暗いパワーを感じないんだよねぇ~。

できるだけ早い段階で、最初から続けて読みたいです。ちょっともったいない読み方をしてしまったかも?(反省)

でも、この戯言シリーズも面白そうな予感は十分に大です(笑顔)。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【補足】
順番に読んだ後で、再度本書を読んでみました。

1回目に読んだ時と全然違いますね! 戯言シリーズにすっかり毒された後で読むと、実に&実に楽しい。最初の冒頭からして、ああっ哀川さんらしい、何の抵抗もなく肯定しちゃっている自分がいたりします。いーちゃん、やっぱり危険人物だし・・・。でも美少女と関わってばかりで羨ましかったりする。

美少女は希少だもんね(笑)。

美女とはデートした覚えがあっても美少女なんてほとんど記憶にない以上、憧れでしかないものの、本書に出てくる少女は、怪しくってイイ♪ 何故かみんな日本語がヘンなのが多いし、その割にヘンな知識が豊富で、しかも読者が分かっているのかどうなのか気にしていないままで語られる戯言が、はまればはまるほど面白い。

みい~んなイイコでみい~んなバカなみたいに悩んで、よせばいいのに自家中毒を起こしているようなんだけど、しっかり生きているこのずうずうしさと脆弱性の同居がそそられてたりしてならなかったりする。マージナルな人達ばかりなんだけど、やっぱりイイ!

結局、戯言シリーズは永遠に本が出る限り、読まずには入られないんだろうなあ~と思ってみたりする。ヤラレタ!ってとこでしょうか。うん、確かにこれは面白い!!

クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子(amazonリンク)

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「きみとぼくの壊れた世界」西尾維新 講談社

kowaretasekai.jpg

私はライトノベルだからという偏見で、危うく大変な間違いを犯すところでした。ここ最近読んだ小説の中では、ダントツ一位の作品です。読み始めたら、読了するまで止める事ができず、昨日は2時間も寝ていません。(若くないんだから、死ぬってマジ、オレ!?)

誰よりも大切な妹、誰よりも大切な兄。濃密な近親関係の中、なんでもないはずの日常の世界で、あり得べくはずのない殺人事件が起こる。私には登場人物があまりに日常的過ぎて怖くてならない。こんな設定有り得ないと思える少年少女は、健全で羨ましい♪

ニアリーイコールの世界で、いるんだよこういうの。そしてあるんだよ、これに近いこと。ふと思い出すと、本当に小説よりも現実の方が酷いし、汚れてる。穢れている。既に自分以外のあらゆることに諦観と無干渉・無感動から成る世界で生きる身としては、辛いんだよねぇ~。やべぇ~、中学時代のアレコレを思い出した。泣けてくる・・・(号泣)。

さて、ジャンル分けをすると、謎解き学園ミステリーとでもなるのだろうが、そんなことはどうでもいい!!
 
メインの登場人物は、僕(兄)と可愛いい妹、文武両道の友人(男)とその幼馴染の友人(女)、保健室に入り浸りの友人(女)の計5人だけでほとんどこの小説世界は完結している。それが世界の必須構成要素であとは、無くても困らない。

あまりにも小さな小市民的日常世界。そこで展開される思春期の微妙な精神の揺らぎ。ある程度鋭い人なら誰もが経験する、ありがちなものなんだけど、どうしてこんなに巧みに描写ができるのかが不思議でならない。気付いてもその心理をここまで表現できる著者は、いやあ~ぶっちゃけ、ある種『ネ申』とか思っちゃいます、私。知っていても、私には文章での表現能力ありません(脱帽)。

成績優秀で学校一位。チビで巨乳なのだけど、視線(人間)恐怖症でずっと保健室登校。かなりの萌え属性、というのは抜きにしてもやたらと理屈をつけることで、世界との関わりを保とうとする究極的に屈折した女性(=病院坂黒猫という名)が堪らん。小説の作中人物にはまるということは、ここ数年経験したことなど無かったのですが、マジ病院坂LOVEッス!

病院坂のフィギィアあったら、絶対お買います。万札握り締めて、保健室行きますよ、マジに(←本読めば、納得)。

ハルヒ関係はこの際、捨ててこちらに鞍替えですね。病んでいたっていいジャン! そういうの現実にもたくさんいたし、デートもしたけど、なかなか屈折した(=他の人と観点がずれている)知性という奴には出会えないもんです。リスカや自傷もなあ~ちょっとね。

ドンドン話題がそれていくけど、本書はライトノベルではないしょ! ライトつ~か、ヘビィ以上のディープかと思いますけどね。登場人物は、みんなどっかしら病んでいるのもまた、今っぽくてイイ。桜井亜美の小説と違って、登場人物を素直に愛せるのが嬉しい♪ あれって愛す対象が見つけらんないから困る。まあ、私には『ときメモ』よっか、よっぽどトキメキますね。

私がこれまで書いたのを読むと誤解しちゃうかな? とにかく人間の(特に思春期の)精神状況の描写が絶品です!! 純文学以上に、人間心理に踏み込んでますよ、これ。弱い人間が見ると、悪影響を受けるかもしれませんが、神経すり減らしながら読むのもまた一興かも。

ああっ、病院坂と一緒に保健室で授業さぼっておしゃべりしていたい♪ 中学時代は病院坂に負けず劣らず、保健室を根城にしていた私だが、あの頃はそんな切れる奴いなかったもんなあ~。毎日同じことを繰り返している同級生を心から蔑み、夭折することしか念頭に無かった私が、未だに飽きもせず生きて、読書をしているなどいうのは、まさに煉獄の何物でもない。あの当時、これが予測できてたら、今生きていなかったネ。間違いなく!

とにかく、本書は最高だと思うんですが、これ以上の作品を書いていたら、著者は天才に違いない。

しかし、病院坂の友情が欲しい!!(我ながら、クドイなあ~)

きみとぼくの壊れた世界(amazonリンク)

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2007年02月26日

「新本格魔法少女りすか」西尾維新 講談社

risuka.jpg

いつもお世話になっているlapisさんのブログを拝見して著者の名前だけは知っており、だいぶ気になっていて読んだ本です。図書館で見つけたのですが、表紙とタイトルで借りるか否か、だいぶ躊躇してしまいました(笑)。

おまけに裏表紙の内容紹介がめちゃくちゃ無意味でポイントがずれていて、本書の適切な紹介とは言い難かったのも一因! 出版社さんにもう少しセンスのあるコピーを書ける人を切に望む!!

タイトル通り、確かに魔法少女が出てくるのだが、『新本格』の意味が分からん? 『ドクラマグラ』が出版されたときに、変格探偵小説と書かれていたのと同じくらい不可解だ。

とまあ、不平不満はあるものの本書の内容自体は、大変素晴らしい。というか、久々にこりゃスゴイ!!って思った。

10歳の魔法少女りすかと彼女の特殊性を自らの為に利用したいと考えるいかにも現代的でシンプルな(+感情欠落的な)思考を持つ一般ピープルの少年がメイン。二人が協力して、りすかの父で偉大なる大魔法使いを探す為、数々の常識的には不可解な事件(=魔法が絡んだ事件)を解決していく。

まあ、舞台はどうってことない魔女っ子メグちゃん(ふっる~)レベルのものなのですが、具体的な個々の『魔法(本書では魔法式と魔方陣として区別されている)』の設定が実に緻密なのには驚嘆を禁じえない。

魔法に『属性(パターン)』や『種類(カテゴリ)』というのがあるのは、RPGでおなじみだが、その定義の仕方の厳格さとそれらを含めて整合性を取りつつ、独自の秩序の中で『魔法』というものを整然と位置づけるその論理性には、ある種、別格の感動を覚える。

個人的には、神学論などで展開される合理性と共通のものさえ感じる。よく論理破綻しないで最後までこの架空の論理を展開していけたものだなあ~(拍手)。それだけでも読む価値があると思う。

但し、普通に「魔法少女」という言葉からイメージする甘ったるいファンタジーなど期待していると、思いっきりテンプルに重いパンチをくらうことになるのでくれぐれもご注意を! 本書はファンタジーなどではなく、ハードSFのそれに近い。小学生にして利己主義の権化と化し、魔法少女を単なる道具『駒』としか看做さない少年など、私は何故か好きなんですけど、苦手な人には生理的に拒否されるかも?

ジュブナイルやライトノベルとか、安易に思っていると卒倒させられますが、逆に魔法少女もここまで来たかと思うと、隔世の感があります。時代は変わったね。あやうく時代に取り残されるかと、心配になるほど鮮やかで新しい時代の小説です。

普通の人は著者の本だと、本書以外のものから読み始められるそうですが、私は本書で著者のファンになりました。大いに買い!!

他の本も順次読んでいきたいと強く思いました。神林長平さんの「七胴落し」にも近いかな? でも、未成年にはずいぶんと毒のある小説だよなあ~。

小説の中では解説されていないけど、少女の名前「りすか」はやっぱりリストカット由来でしょう。自らを傷付けることで魔法を発動し、死ぬと○○(perfect)になるのは、いやはや、ブラックユーモアの域をぶっ飛んでいます。

でも、魔法少女は可愛かったりもする。内容も面白い。表紙は、ちょっと首を傾げたが中のイラストはいいのではないででしょうか?アニメ化等を期待したい♪


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posted by alice-room at 18:30| Comment(2) | TrackBack(2) | 【書評 西尾維新】 | 更新情報をチェックする