管理しやすい理想的なフォルダ構成と命名規則 (その1)
パソコンを使っていると様々なコンテンツを HDD に保存する機会がありますが,みなさんはしっかりデータドライブに保存しているコンテンツの管理は行えていますか?
データドライブの意味がよくわからない人は,前に扱った記事がありますのでこちらを読んでください.
何でもかんでも「新しいフォルダ (1)」のような一見しただけではよくわからないフォルダに,インターネットで拾ったものや自分で作成したコンテンツを保存していたりしませんか?
少しでも心当たりがある人は,このエントリを参考にフォルダの管理を見直してみると今以上にパソコンを使いやすくできる可能性があります.
フォルダ分けの必要性
パソコンに保存されているファイル (コンテンツ) の種類を一定のルールによってフォルダに分け管理する事は色々なメリットがあります.
目的のファイルを探しやすい
例えば「ダウンロード」というフォルダにインターネットで拾った画像,音楽,動画 など全てのコンテンツを手当たりしだい保存すると,最初のうちはある程度の量までのファイルの数なら記憶を頼りに目的のファイルをすぐに探し出せると思いますが,保存するファイルが増えていくと目的のファイルを探すのは困難になってきます.ファイル数が多くなるとフォルダを開くのも時間がかかり,スクロールする量も結構な長さになってしまうので,ここで「ダウンロード2」というフォルダを新たに作成し次はそこに保存し始めると,もう管理とはほど遠い状態に進んでしまいます.
自分のパソコンなのに目的のファイルを探し出すため,アマゾンの密林を探検するぐらいの気合いが必要なのは管理の面からみて問題があります.
なので,例えばファイルの種類によってフォルダを変えるだけでも画像ファイルを探している時は画像以外のファイルを見なくて済むので探しやすくなります.
自分以外の人が目的のファイルを探し出す時
自分のパソコンが他人に使用される機会というのはなかなかありませんが,絶対にないとは言えませんし,そもそも他人が目的のファイルを探し出すのに本人の記憶を頼りにしか探せないフォルダ構成というのは,根本的に管理の面からみても問題があります.フォルダ単位で処理を行うソフトにメリットがある
定期的にウイルススキャンが行われると,その都度パソコンの動作が重くなりますがフォルダの管理をしっかり行う事で頻繁にスキャンしなくても問題ないフォルダも作られてくるので,そのようなフォルダのスキャン頻度を下げたりまたはスキャンをさせなかったりと設定できるようになります.またバックアップを取る時に,とりあえず先に重要なファイルが入っているフォルダからバックアップを取りたい時もありますが,そのような状況にも対応できます.
これは意外と重要な事で,例えば HDD が今にも壊れてしまいそうな前兆が見えている時のバックアップは重要なファイルから行われるべきなのでとてもメリットになります.
フォルダの命名規則
フォルダ構成の説明をする前に,フォルダの命名規則について話さなければなりません.
私の経験からオススメできるフォルダの命名規則になっていますが,ほぼみなさんに当てはまるような事ばかりが要因になっている命名規則なので,ぜひ参考として取り入れてください.
ASCII 文字のみを使用する
ASCII 文字のみを使用するということは日本語や仏語などのマルチバイト文字は使用しないということです.ちなみに初心者が間違えやすいのは,全角入力のアルファベット等はマルチバイト文字なので注意してください.ASCII文字:
HelloWorld!1234
MusicFolder
マルチバイト文字:
HelloWorld!1234
音楽フォルダなぜマルチバイト文字をフォルダ名に使うとダメなのかというと,マルチバイト文字を含むパスをソフトウェアが扱う時 (ファイルを開いたり保存したり) に意図した動作をしないことがあります.これはソフトウェアを作成したプログラマがマルチバイト文字のパスを扱う想定を失念してしまっている時にたまに起きる問題です.
パソコンを使っていると日本語以外のソフトウェアをやむなく使う事もありますし,海外製のゲームはその名の通り海外で作られた物ですので,ソフトウェアの意図しない動作の原因を絞りこめるようにするたにもフォルダ名にマルチバイト文字を使用しない方がいいです.
ASCII文字コード : IT用語辞典 [http://e-words.jp]
スペース文字は使用しない
コマンドプロンプトからファイルの操作をしたことがある人は判ると思いますが,スペースを含むパスを入力するときはダブルクォーテーションでパスを囲まないとパスとして認識してくれなくなります.動作する:
D:\koyocha>cd photos
D:\koyocha>cd "private photos"
動作しない:
D:\koyocha>cd private photosつまりソフトウェアによってはスペースがパスに含まれているためファイルが開けないという可能性はかなり低いですが,100% ないわけではないためスペースは使わない方がいいです.どうしてもスペースで区切りたいフォルダ名になってしまう場合は,以下のようにすると良いでしょう.
cuteCut
cute_cut
cute-cutこのようにキャメルケースや記号を用いる事で,単語を区切るスペースを使わなくて済みます.
ファイル名を含めたファイルパスのバイト数に気をつける
Windows NT 以降の NTFS ファイルシステムでは,最大 32,768 文字のパスをサポートしていますが,これはプログラム側で Unicode API を使用する場合に限ります.つまりソフトウェアを作成したプログラマが Unicode API を使わずにファイルパスを扱っている場合,前のファイルシステムの最大 255 バイトまでのファイルパスしか扱えないという事です.ファイル名は日本語で扱う事を考えると,ファイルまでのフォルダ構成があまりにも深いとファイル名に使える日本語の文字数が限られてきますので,フォルダ名に使用する ASCII 文字は短い物にし,かつ無意味にフォルダを入れ子にしてパスを長くする事は控えなければなりません.
日本語はマルチバイト文字のため,ファイル名に100文字使ってしまうと,フォルダ名の階層には 55 文字しか使えなくなる計算になります.ちなみに 255 バイトを超えてしまうファイルにプログラムがアクセスすると,ファイルが存在しないことになりますのでファイルを開くことができません.
複数形と単数形を使い分けたフォルダ名にする
英語をネイティブに使う人でもフォルダ名を複数形にするか単数形にするかは人によって違ったりするので,私たち日本人はそんなに敏感にならずに好きな形で決めたらいいと思いますが,せっかく2つの形があるので1つの形に拘らずに形を使い分ける事によって,より詳細なフォルダ管理ができるようになります.
ここまでのまとめ
フォルダ分けの基礎となる命名規則を今回扱ったのですが,フォルダ名に日本語を使わないなどの規則はライトユーザーがパソコンを使う上では逆に使いにくくなってしまいかねないので,自分が使いやすい幾つかの命名規則のみを参考に取り入れてもいいと思います.
ましてやこれらの規則は,パソコンを使う上で環境面から起きる問題を最小限に食い止めようというスタンスのものなので,普通にパソコンを使う分にはそもそもフォルダ管理などしなくても今後も使っていけるので,あまり必要ないのかな…とは思います.
しかし扱うファイルの種類と数が多くなってくるヘビーな使い方をするユーザーには,フォルダ管理は必要な知識なので是非活用してください.その2では具体的なフォルダ構成を扱いますのでそちらも参考にしてください.
- 管理しやすい理想的なフォルダ構成と命名規則 (その1)
- 管理しやすい理想的なフォルダ構成と命名規則 (その2)