PCの基本!HDDとSSDの違いとは?初心者にもわかりやすく解説

『パソコンのHDDとSSDについて理解してみよう』(最終更新:2016年9月)


パソコンを購入する際はにいくつかのポイントを押さえて選ぶことになりますが、その一つがハードディスクドライブ(HDD)の性能です。

数字を見れば大まかなことはわかるかもしれませんが、細かい点まできちんと把握しておくと、あなたの使い方に合ったハードディスクドライブ(HDD)をもっとスムーズに選べるようになると思います。

そこで今回は、ハードディスクドライブ(HDD)の選び方についてまとめました。少し長いですが、最後まで読んでいただけると一通り理解できると思います。それでは、早速見ていきましょう。

ハードディスクドライブ(HDD)ってなに?


以前、「スペック(性能)の見方を初心者にもわかりやすく解説」でも少し説明しましたが、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)とは本棚のようなものです。

WordやExcel、画像、動画など、パソコンで使ういろいろなデータはこの本棚にしまって、必要なときに取り出して使っているわけですね。

この本棚の大きさは、500GBとか1TBといった形で表されます。ちなみに「1TB=1000GB(厳密には1TB=1024GB)」です。

容量が大きくなればなるほど本棚も大きくなるので、たくさんのデータを収納することができるようになります。つまり、HDDとはデータの記憶装置のことで、どれだけたくさんのデータを記憶できるのかをこの数字が表しているというわけです。

なので、選ぶ際はこの大きさを確認して判断することになるのですが、この他にも注意すべき点がいくつかあります。次は、この点について見ていきましょう。

HDDを選ぶ際に注意すべきことは?


HDDを選ぶ際に注意して確認しなければならないのが、「容量」「回転数」「規格」です。容量については先ほど説明したので、残り2つについて詳しく見ていきましょう。

まずは回転数についてですが、パソコンを購入する際にHDDの詳細を確認すると「rpm(アールピーエム)」という単位を目にすることがあると思います。

「5400rpm」「7200rpm」「10000rpm」などと記載されるのですが、これは「revolution per minute(回毎分)」「rotation per minute(回転毎分)」の略で、HDDが1分間にどれくらい回転するのかを表す単位です。

ハードディスクドライブの仕組みは、磁気ディスク(プラッタ/プラッター)と呼ばれるガラスやアルミでできた円盤状の情報媒体がくるんくるん回っていて、その上を磁気ヘッド(スイングアーム)と呼ばれるものが移動して情報の読み書きを行います。

わかりにくいという方は、昔懐かしのLPレコードプレイヤーをイメージしてみるといいかもしれません。ターンテーブルの上に乗ったレコードが磁気ディスクで、針のついたトーンアームが磁気ヘッドですね。CDやDVDも円盤状でくるくる回りながらデータの読み込みを行いますが、これをイメージしても良いと思います。

話を元に戻すと、HDDは回転が速くなればなるほどデータを読み書きする速度も速くなります。つまり、本棚からデータを取り出したり、しまったりするスピードが速くなるわけです。

大容量のHDDを搭載していて、動画など大き目のデータを使うことが多いのであれば、回転数が大きい方が多少は快適に感じるかもしれませんが、驚くほど違うのかというとそうとは言えません。

もし、あなたが大容量データを頻繁に扱うことがないのであれば、数字の低いものを選んで費用を抑えた方が賢明だと思います。


次は規格についてです。

これはあまり気にする必要はありませんが、HDDには規格があります。わかりやすく言うと、HDDの接続方法にはいくつかの種類があるわけです。

たとえば、日本のコンセントは2口ですが、アメリカだと3口のものもあります。同様にHDDにも差し込み口の違いがあって、これがパソコン本体に接続する際に関係してくるわけです。

この規格には、「SATA(シリアルエーティーエー/サタ/セイタ)」と「IDE(Ultra ATA/U-ATA)」の2種類があります。

SATAは、「電源ケーブル」と「L字形の信号ケーブル」の2つの差し込み口があり、IDEは4本のピンの並んだ「電源ケーブル」と40本ほどのピンが並んだ「信号ケーブル」、そしてこれらの間に「ジャンパピン」と呼ばれる差し込み口があります。

どちらが広く普及しているのかというと、性能も価格も優れているSATAです。IDEは古いタイプなので最近はあまり見かけることはありません。

なので、HDDの規格でSerial ATA(SATA)という文字を見たときは「性能の優れた方の規格だ」と把握できる程度の理解で問題ありません。

ちなみに規格が違うとデータ転送量が変わってきます。つまり、SATAの方が転送速度が速いということですね。


HDDを選ぶ際には、上記の3つのポイントを押さえておく必要がありますが、具体的にどのように選んだらいいのかわからない方も多いと思います。そこで、選び方について見ていきましょう。

どうやってHDDを選べばいいの?


HDDを選ぶ際は、容量と回転数の2つを確認して自分に合ったものを選んでいくことになるのですが、個人的には大容量のものを選ぶよりも最小限の容量のものを選ぶようにして、必要に合わせて外付けHDDなどで補う使い方が良いと考えています。

なぜなら、パソコンそのものが壊れてしまったら中のデータを取り出せなくなることもあるからです。

「全ての卵をひとつの籠に盛るな」という格言がありますが、これは卵を一つのカゴに入れておくと、そのカゴを落としたときに全ての卵が割れてしまい何も残ることはない。だから、複数のカゴに卵を分けて入れておいた方がいい、という意味です。

私はデータも同じだと考えています。大容量のHDDを搭載したパソコンに全てのデータを入れておくよりも、複数の外付けHDDを使ってデータを分散して保存した方が安心だと思います。

あるいはクラウドストレージにデータを保存してもいいかもしれません。パソコンやスマートフォンなど複数の端末から気軽にアクセスできるので、データの管理も楽になると思います。

いずれにしても、万が一に備えてバックアップを取っておくことでデータを失うリスクを最小限まで抑えることができます。(Amazonなら品揃えも豊富:外付けハードディスク

ちなみに外付けHDDやオンラインストレージについては、「外付けHDDの選び方!据え置きとポータブルでおすすめなのは?」「クラウドストレージとは?初心者にもわかりやすく解説」「パソコンデータのバックアップ方法とは?」でまとめましたので、こちらを参考にしてください。

上記のような理由から、パソコンを購入する際は大容量のHDDを選ぶのではなく、必要最小限の容量に留めたものを選ぶ方が良いと考えており、そうすることで費用も抑えられるだけでなく、浮いた費用で「外付けHDD」などを購入してリスク管理を行えば、賢くデータを管理できるのではないかと思います。

たとえば、私がパソコンを使う目的は、「インターネット検索、文書ファイル作成、メール、SNSの利用、ブログ作成、動画や音楽の視聴」といった使い方が主なので、目安としてはいつも500GBのものを選ぶようにしています。これでも容量はかなりあるので十分なんです。

データを分散して管理することでパソコン内のデータも少なくできますし、動作も軽くてスムーズになるので快適に使えます。

でも、「もっと快適にサクサク使いたい」という方もいると思います。ノートパソコンを外出先で使う際に、起動時間をできるだけ短くして電力消費を抑え、素早く作業を済ませてしまいたいといったようなケースですね。こうした考えを持っているのは私だけではないと思います。

こんなときはHDDの代わりに「SSD」というものを選ぶと良いかもしれません。では次に、このSSDについて見ていきましょう。

SSDってなに?


パソコンを選んでいると、HDDの代わりにSSDと表記されたものを目にすることがあります。

SSDとは、「Solid State Drive(ソリッド・ステート・ドライブ)」の略で、HDDと同じように記憶装置として使われます。簡単に言うと、SSDも本棚と同じだと考えて問題ありません。

では、SSDはHDDよりもどういった点で優れているのか、そのメリットについて以下にまとめてみました。

◆音が静か
◆PCの高速起動が可能
◆処理速度が高速
◆耐衝撃性が高い
◆軽量化が可能
◆消費電力が低い

といったメリットがあります。HDDとSSDの違いを比較しながら、一つずつ詳しく見ていきましょう。

HDDとSSDの違いは?


まず、HDDの場合はディスクがくるんくるん回って読み書きが行われますが、SSDはこうした円盤状の情報媒体(メディア)は存在しません。

では、どうやって記憶しているのかというと、USBフラッシュメモリで使われるようなメモリーチップに記憶させます。

そのため、HDD搭載のパソコンでよく耳にするようなブゥーンカリカリといった音や、冷却ファンの動作に伴うキーンといった高音のモスキート音もなくてとても静かです。

また、磁気ヘッドの物理的な移動もないので、データの読み書き速度も非常に速いといった特徴があります。

もっと具体的に説明すると、読み取り装置である磁気ヘッドが目的のデータを取り出すところまで移動する時間のことをシークタイムと言うのですが、この時間がなくなります。

また、磁気ディスクに記録された目的のデータが磁気ヘッドのところまで来る時間をサーチタイムと言いますが、この時間も省かれることになります。

シークタイムやサーチタイムの待ち時間が無くなることで読み書きが高速に行われるようになるわけです。その恩恵の一つがパソコンの高速起動です。

パソコンを立ち上げるときは、Windows○といったOS(Operating System)と呼ばれるソフトウェアのデータを読み書きすることになりますが、SSDはこのデータの読み込みも早いのでパソコンの高速起動も可能になります。

また、耐衝撃性が高いといったメリットもあります。HDDだと磁気ディスクが回って、その上を磁気ヘッドがディスクに触れることなく移動して読み書きを行うのですが、持ち運びの際に大きな振動が加わると互いが接触してしまうことがあります。接触するとディスクにキズが付いてしまい、それが原因でデータが読み込めなくなることがあるわけです。

他にも、PCを落下させてHDDの回転部分に異常が生じることで、データの読み書きができなくなることもあります。

HDDにはこうした弱点があるのですが、SSDであれば物理な稼動部分はないので、HDDに比べると衝撃や振動にも強く、耐衝撃性が高くなると言えるわけです。

それと、ヘッダやディスクを回転させるモーターなども必要なくなるので、小型・軽量化も可能になります。

もしあなたが、パソコンを持ち運ぶことが多くて、耐衝撃性や小型・軽量化に優れたノートパソコン(こういったものを「モバイルノートPC」と言います)を探しているのであれば、SSD搭載のものは最適だと言えます。

さらに、消費電力も抑えることができます。

ディスクを回転させたり、磁気ヘッドを動かしたりするのには電力が必要です。待機・休止状態であればディスクは止まっていますが、起動させたりデータを読み書きするたびにディスクを回転させる必要があるので電力を消費してしまいます。

でも、SSDであればこうした物理的稼動を伴わないので、消費電力を抑えて使うことができるようになります。もしあなたが外出先でノートパソコンを使うことが多くて、充電が煩わしいと感じているのであれば、SSD搭載のものはその悩みの解消に一役買ってくれるはずです。

なので、こうしたメリットを優先させたいのであれば、SSDを搭載したノートパソコン(モバイルノート)を選ぶようにすると良いかもしれません。

ただし、デメリットもあります。この点も忘れずに把握しておきましょう。

SSDのデメリットは?


SSDのデメリットには以下のようなものがあります。

◆価格が高い
◆容量が小さい
◆寿命が短い
◆データ復旧が容易でないことも

まず、価格が高いので注意しましょう。たとえば、250GBのSSDの価格は、250GBのHDDの3倍近くします。500GBで比べると5~6倍の差が出てきます。

この価格差は少しずつ小さくなってきてはいますが、まだまだ高価なものといった感じは拭いきれません。

また、SSDは高価な割には容量が小さいといった欠点もあります。

もしパソコン内に保存するデータ量を少なくして、外付けHDDやクラウドストレージを利用するのであれば問題ないのかもしれませんが、パソコン内に大容量のデータを保存する必要があるのであれば、HDDを選ばれた方がいいと思います。

さらに、SSDはHDDに比べてデータの書き換えができる寿命が短かかったり、壊れた際のデータ復旧がHDDに比べると容易ではないといった側面もあります。

HDDであれば異音がするようになったら「もう寿命かな…」と察知できますが、SSDでは音がしないのでこうした予測はできません。

もちろん、ウェアレベリングと呼ばれる耐久性能の向上を図る方法や、データ復旧の技術も進歩してはいますが、こうした弱点もあるということを踏まえて選ばなければならないわけです。

つまり、先程紹介したメリットと照らし合わせて、どちらを優先させるか考慮したうえで選択する必要があるわけですね。

たとえば、さほど起動時間の短縮を重視していないのであれば、HDDを選ぶことで購入費用を抑え、その代わりにCPUを高性能のものにして動作を向上させるといった買い方もあります。(CPUとは何か?初心者にもわかりやすく解説

あるいは、容量は小さくても頻繁にアクセスするデータのみSSD内に保存して、その他のデータは外付けHDDやクラウドストレージなどに保存し、作業効率を上げるために静音性・高速性・軽量化を重視するといった選び方をしてみても良いかもしれません。

人によって用途も選び方も異なるので、あなたが何を重視するのかを考えながら判断してみましょう。

HDDの選び方についてはこんな感じです。あなたの目的に合わせて用途に合ったものを選ぶようにしてみると失敗も少なく快適に使えると思います。

なお、パソコンの選び方については「初心者のPC購入!選び方のポイントと注意点」でわかりやすくまとめましたので、こちらを参考にしてください。

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