PCの基本!ディスプレイケーブルの種類と違いとは?

『ケーブルの違いを把握して用途にったものを選んでみよう』(最終更新:2017年4月)


パソコンをディスプレイ(モニター)やテレビと接続する際にはケーブルを用いますが、どのケーブルを使うかで映像や音の品質が左右されます。

最近のディスプレイやパソコンには、複数の「接続端子」というものが用意されているのですが、それぞれ特徴が異なります。

これらの違いをきちんと把握して、あなたの使い方に合ったケーブルを選ぶようにすると快適に使えると思います。

でも、どんな種類があって、どのような基準で選べばいいのかわからない人も多いと思います。←私

そこで今回は、ディスプレイケーブルの種類と違いを把握して、失敗なく選ぶための方法についてまとめました。

ディスプレイケーブルの種類は?


ディスプレイを使うときに気になるのが画質ですが、この画質を左右する要因の一つがケーブルです。

映画や動画を観たり、ゲームや音楽を楽しんだり、写真や動画の編集をしたりするのであれば、パソコンの性能だけでなく、ケーブルの種類も一緒に考えて選ぶようにすると快適に使えると思います。

このケーブルの種類はたくさんあるので、特徴を把握して見分けられるようにしておく必要があるのですが、この見分け方の一つに「接続端子を確認する」という方法があります。

端子とは、ディスプレイとパソコンを繋げるケーブルの接続部にある器具のことですね。接続部分がどのような形をしているかで見分けるわけです。

ちなみに接続端子は「コネクター」とも呼ばれます。このコネクターの形状を確認することで、どのような使い方ができるのかがわかります。

では、どのような種類があるのかを見ていきましょう。わかりやすいように、まずは大きく以下の3つに分類します。

◆アナログ
◆アナログ+デジタル
◆デジタル

ここからわかるのは、アナログ信号とデジタル信号のどちらを使うかで画質が大きく異なるということです。

テレビの場合も、デジタル放送とアナログ放送だと画質が大きく異なりますよね。同様にモニタに映し出される映像や音声も、デジタルとアナログでは変わってきます。

パソコンは映像を映すためにディスプレイへ映像信号を送るのですが、この信号にはデジタル信号が使われます。もし、デジタル信号のまま送れるのであれば画質を劣化させることはありません。

しかし、アナログ信号で送る場合は、デジタル信号を一度アナログ信号へ変換する必要があります。この場合は画質が劣化してしまいます。

そのため、もしあなたが高画質・高音質を求めるのであれば、デジタル接続のコネクタを備えたケーブルを選んだ方がいいでしょう。これが最初のポイントです。

これを踏まえた上で、端子の種類をさらに細かく分類してみましょう。すると以下のようになります。(下のものほど高性能です。)

1.VGA端子(アナログ)
2.DVI(アナログ+デジタル)
3.HDMI(デジタル)
4.DisplayPort(デジタル)

それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。

1.VGA端子(Video Graphics Array)


VGA端子とは、一般的に使われているアナログ接続のコネクタで、映像のみを転送します。

ちなみに他にも呼称があって、「VGAコネクタ」「D-Sub 15pin」「ミニD-Sub 15ピン」「アナログRGB端子(RGB端子)」「HD 15」などとも呼ばれます。

◆D-Sub 15pin:ELECOM ディスプレイケーブル

映像を「R(赤)」「G(緑)」「B(青)」の3つに分けて送受信するのが特徴で、DVIやHDMIなどのデジタル信号に比べると画質は劣ります。

でも、事務作業などでパソコンを使うのであれば、特に気にならない画質です。

2.DVI(Digital Visual Interface)


DVIとは、D-Sub 15pinの後に登場したデジタル接続のコネクタです。こちらも映像のみを転送します。

デジタル信号を直接送信できるので信号の劣化もなく、D-Sub 15pinよりも高画質の画像を表示できるのが特徴です。

このDVIはいくつかに分類されるのですが、まずは以下の3種類を把握してみましょう。

◆DVI-D:デジタル専用(例:ディスプレイケーブル DVI-Dデュアルリンク
◆DVI-I:デジタルとアナログの両方
◆DVI-A:アナログ専用

このケーブルはデジタルで使うのが目的ですから、選ぶのであればDVI-Dです。

残りの2つは、ディスプレイが古くてアナログ信号しか使えないというケースでない限り選ぶ必要はありません。

それともう一つ、解像度によっても種類が分かれます。

解像度というのは、画像をどれくらいきめ細かく表現できるのかを数値で表したものです。数字が大きいほどきめ細かく表現できることを意味します。ケーブルはこれをもとに以下の2つに分けられます。

◆シングルリンク:DVI-D シングルリンクケーブル(1920×1200まで)
◆デュアルリンク:DVI-D デュアルリンクケーブル(2560x1600まで)

シングルとデュアルの違いは、高速道路に例えるとわかりやすいと思います。

高速道路の交通量が少ない時は1車線でも問題ありませんが、多くなると渋滞してしまいます。こんなとき2車線あると渋滞も緩和されますよね。これと同じです。つまり、信号をたくさん送信できるかどうかの違いがあります。

ちなみにデュアルとは、「二重」とか「二者」といった意味ですね。解像度が大きいと情報量も大きくなるわけですから、信号を送信できる量も増やしているわけです。

これがわかると最初からデュアルリンクのものを選びたくなるかもしれませんが、パソコンやディスプレイのDVI端子がシングルリンク専用だとデュアルリンクのものは使えません。この場合は、シングルリンク専用のケーブルを選ぶ必要があります。

逆に、デュアルリンクのDVI端子であれば、シングルリンクとデュアルリンクの両方を使えます。

なお、上で紹介したそれぞれのコネクタの形状の違いは、「Wikipedia:Digital Visual Interface」で確認できるので、興味のある方はこちらで比較してみてください。

3.HDMI(High-Definition Multimedia Interface)


HDMIとは、DVIを向上させたコネクタで、映像・音声・制御信号(コントロール信号)の3つをデジタル信号で送受信することができます。

つまり、このケーブル1本で信号をまとめて送ることができ、映像・音声共に転送による劣化がないといった特徴があります。そのため、映画・テレビ・ゲームなどを楽しみたいのであれば、HDMIケーブルを選ぶと良いと思います。

ちなみにDVIは、パソコンとディスプレイを接続するためのコネクタでしたが、これをAV家電向けに改良したものがHDMIです。そのため、高精細のデジタル機器同士を繋げる際にも使われます。

たとえば、「テレビ」「DVDレコーダー/プレーヤー」「Blu-rayレコーダー/プレーヤー」「ゲーム機器」「衛星放送受信アンテナ」などの家電製品ですね。もちろん、パソコンとディスプレイの接続にも使えますし、テレビをディスプレイ代わりに使うことも可能です。

また、制御信号を双方向に送れるので、接続された機器同士をお互いに認識させて使うことも可能です。

例を挙げると、HDMIケーブルでテレビとDVDプレイヤーを繋げておけば、DVDプレイヤーの電源を入れるだけで、テレビの電源も一緒に入れることができるということです。つまり、1台のリモコンで複数の機器を制御できるというわけですね。

さらに、HDMIの映像信号はDVIと互換性もあるので、デジタル信号での転送も可能です。(音声の転送はできません)

わかりやすく言うと、モニタのDVI-D端子とパソコンのHDMI端子とを繋げることができるということです。この場合は、以下のようなHDMI-DVI変換ケーブルを使うことになります。

◆変換ケーブル:HDMI-DVI 変換ケーブル

HDMIにはこうした特徴があるのですが、一口にHDMIと言ってもいろいろな種類があるので、選ぶ際には注意しなければなりません。その注意点というのが、「コネクタ」と「ケーブルの種類」の2つです。

これについては「HDMIケーブルの種類と見分け方は?初心者にもわかりやすく解説」でまとめますので、こちらを参考にしてください。

記事の内容を読んでいただければわかるかと思いますが、HDMIケーブルを選ぶ際は「コネクタの形状」と「伝送帯域」を確認する必要があります。

あとは、あなたがパソコンを使って3Dのゲームや製図を行うのであれば、3Dに対応しているかを確認したり、DVDレコーダーやゲーム機などの複数機器をインターネットに接続するのであれば、イーサネットに対応したものを選んでおくという点ですね。ちなみにイーサネットとは、HDMIケーブルがLANケーブルの機能も備えているということです。

それと、必要に合わせてバージョンについても確認しておきましょう。(Wikipedia:HDMI各バージョンの機能詳細

これらの点を押さえておくとスムーズに選べると思います。

4.DisplayPort(ディスプレイポート)


DisplayPortとは、DVIを向上させたコネクタで、映像・音声・制御信号の3つをデジタル信号で送受信することができます。つまり、基本的にはHDMIと同じです。

DVI-DやHDMIと互換性もあるので、変換アダプタやケーブルを使えば映像信号のやり取りも可能です。DVI-Dは映像信号のみ転送するものなので、音声ケーブルが別途必要ですが、HDMIとは1本のケーブルで音声と映像の両方を転送できます。

◆DisplayPortケーブル:DisplayPort-DisplayPort
◆映像信号のみ:DisplayPort-DVI 変換アダプタ
◆音声と映像の両方:DisplayPort-HDMI 変換ケーブル

HDMIと違うのは、パソコンメーカー主導でデジタルディスプレイ向けに作られたコネクタであるという点です。

先程も説明しましたが、コネクタ変遷の大まかな流れはVGAからDVIと代わり、その後HDMIへと代わってきました。そこからさらに小型化・高速化・低コスト化を目的として作られたのがDisplayPortです。

HDMIは家電向けに改良したものでしたが、DisplayPortはパソコンメーカー主導で作られています。

こうした流れを受けているので、HDMIはAV家電やAVパソコンで広く採用され、DisplayPortはビジネス用パソコンで多く使われる、といった傾向がみられるようです。

特に、HDMIより超高解像度を実現できるといった特徴があるので、医療分野などではDisplayPort以外に選択肢はないと言われるほどです。このことから、次世代のコネクタといった認識で良いのかもしれません。

ちなみにマルチディスプレイで使う時も、複数のモニタを数珠繋ぎにするだけなので簡単に行えます。

パソコンやモニタのポートにDisplayportが用意されていたら、こちらを選んでみてもいいかもしれません。


以上、ディスプレイケーブルの種類と違い、そして選ぶ際の注意点についてでした。冒頭でも述べましたが、ディスプレイの画質はケーブルの種類によっても左右されます。

DVDやブルーレイで、映画やドラマを高画質・高音質で楽しむのに、D-Sub15ピンやDVIのケーブルを使っても意味がありません。なぜなら、機器の持つ機能を十分に引き出すことができないからです。

また、HDMIケーブルを選んでも、スタンダードなのかハイスピードなのかで変わってきます。

あなたがどのような機器を使って、何を求めるのかで選ぶべきケーブルも変わってきます。目的に合わせて選んでみると良いかもしれません。

古いパソコンやモニタでなければ多くの機器はHDMIに対応しているので、どれにしようか迷ったときには「ハイスピードHDMIケーブル」を選んでおくと良いと思います。

なお、写真や動画、あるいは3Dを扱う際に重要なグラフィックボードについては、「グラフィックボードの種類と性能の違い」でわかりやすくまとめましたので、こちらを参考にしてください。

それと、パソコンの選び方については「初心者のPC購入!選び方のポイントと注意点」でわかりやすくまとめましたので、こちらを参考にしてください。

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