この写真、何だかわかりますか?
一瞬綺麗な模様に見えるけれど、実は 自動小銃 の 銃弾 です。
コンゴ共和国に内戦があった当時、
大量の自動小銃(カラシニコフ)が国内に入って来たそうです。
内戦は治まり、内戦が 過去の話 となっても
内戦の残骸 と言える自動小銃は十分に管理されないまま
密猟に使用されていると言います。
この カラシニコフ(AK47)の銃弾は、すべて 同じ密猟者 が持っていた物。
マルミミゾウ を 殺し、殺したゾウから 象牙を獲るため に持っていた銃弾です。
私がその銃弾を受け取った時、
薄汚れた 布製のショルダーバック はズッシリと重く、
中には丸出しの銃弾が 275発。
カラシニコフの特徴とも言えるU字型の 弾倉 が 3つ。
弾倉には銃弾がギッシリと詰まっていました。
日本に暮らして居る時には、銃弾や銃など触る事になるとは微塵も思った事がありません。
銃弾の集計と撮影を終えた私の 手 は、すっかり真っ黒になりました。
密猟でけがれた銃弾が、私の手を汚したような気分になり
石鹸で汚れを落とそうとしても、表面に油分があるのか
一度では綺麗に汚れが落ちませんでした。
自動小銃から、この銃弾すべてが連射され、
その先に血だらけのゾウの死体があると思うとゾッとします。
カラシニコフにはコピーが沢山あるそうで
コンゴ共和国で密猟に使われる自動小銃の性能がいかほどか分かりません。
この自動小銃はどこの国の製造かは聞いていませんが、
以前 カラシニコフ(AK47)の本で読んだソ連製のカラシニコフのデータでは
弾倉容量が30発で、発射速度が毎分600発と記憶しています。
これだけの銃弾を持ち、この密猟者は
一体何頭のゾウを殺そうとした のでしょうか?
これだけあれば相当数のマルミミゾウを殺す事ができるでしょう。
この銃弾が使われないまま押収され、密猟者は捕まりました。
本当に良かった。心底そう思います。
コンゴ共和国に来て、銃弾や自動小銃。血が付いた象牙も沢山見て来ました。
一体いつになったら、これらの銃を見ないで済む日が来るのでしょう?
あちらでゾウの遺体が、こちらで象牙押収などと聞くたびに、
それは儚い夢なのではないか・・・と思う事もしばしば。
内戦では人間に向かって火を噴いていた自動小銃が、
今はマルミミゾウに向かって火を噴いています。
現金を手に入れるためには、手段を選ばない
そう言う人達が、この世の中には沢山いるようです。
世界中にいるゾウ は、その 人間の欲望のターゲット として
この世に生まれてきたはずがありません。
自分がもし、ゾウに生まれていたらどうでしょう。
そんな事を考えてみると良いかもしれません。
年をとった ゾウが命を全うし、残った象牙が集められ、
しっかりと 管理 された中で(←ここがポイント)売買されるのであれば
ゾウの生息数に影響を及ぼしません。
でも今は、自動小銃でオス、メス、子どもも関係なく殺し 無差別 に象牙を獲る密猟です。
それに加えて、象牙の管理 は 完璧ではありません。
保管されている象牙以上に、今 象牙の需要がとても高くなっているように思えます。
管理ができるか待っている間に、マルミミゾウは絶滅に向かって着実に進んでいます。
それは、まったく密猟とは関係のない世界にいるはずの私自身が
目で見て感じている事です。