「東芝の原子力事業は儲かっている」という大ウソ 3号機爆発でWH社の原発建設費8兆6100億円を自らふっ飛ばした東芝
2012年度監査で合計9億2600万ドルと巨額の減損を認識することになり、誠に申し訳ありません。
ウェスチングハウス社幹部
EY単独の手法と少々異なる手法で、日本側主導で連結の評価を行うことを新日本(監査法人)が受け入れるための“屁”理屈をアピールすることが必要となっている。
東芝電力部門幹部
『日経ビジネス』が入手した東芝内部でのメールのやりとり。
「原発事業はうまくいっている」
この東芝の説明を一億人が信じていた?
この現実に対しては……怒り狂うべきなのか? ……それとも爆笑すべきなのか?
東芝はゼネラルエレクトリック(GE)の設計図を元に見よう見真似で東電福島第一原発3号機を建設した。
1976年2月。
「私たちの考えでは、原発は必ず大事故を起こす。残る問題は、それがいつ、どこで起こるか、ということです」
GEを退社した原子力部門幹部、デール・ブライデンボーさんの証言(上下両院原子力合同委員会)。
「GE社製マークⅠは欠陥原子炉」
これは40年前の議会証言なのだ。
2010年10月。
東芝は欠陥原子炉にプルトニウムをたっぷり含んだMOX燃料をぶち込んだ。反対の声を無視して勝手にやったのだ。
5ヵ月後、3号機の使用済み核燃料ブールが爆発し、燃料そのものが飛散した。
16万人以上が家、ふるさとを失った。
雨が降ると燃料そのものが海に流れ出し、2015年10月、東京電力はストロンチウム推定850Bq/Lという「海の汚染」過去最高値を公表した。法定濃度の28倍を超えている。
甲状腺がんと認定された子どもの数は100人を超えた。
「僕は白血病かがんになって死ぬんだ」(ドイツのテレビ局のインタビューに答えた福島の小学生)
2015年7月。
粉飾決算に関する東芝の記者会見。
「ウェスチングハウスそのものの数字は大変申し訳ございません、現状まで開示してございませんが、ウェスチングハウスそのものの上げるキャッシュフロー、ならびに損益につきましては、その8割以上はいわゆる保守ならびに燃料の交換でございます。つまり安定した収益をきっちり上げている、というように私どもは認識してございます。さらにそれに加えまして、近年、東京の国内の、日本の原子力事業部とのシナジー、これが着実に実を結んでございまして、具体的な数字は、本日はちょっと公表は差し控えさえていただきますが、買収当時に比べますと営業利益は大幅に拡大している現況にあるということでございます」(前田恵造CFO)
2015年11月。
『日経ビジネス』が入手したメール。
<WHの減損テストは東芝にとって非常に重要。社内であっても関係者以外に情報を不用意に伝えず、間違っても社外(会食時、タクシー内など)で本件の会話をすることのないよう、徹底をお願いします。>(東芝原子力部門幹部)
<東芝は11月7日に開いた決算会見で、西田厚聡(あつとし)氏ら歴代3社長を含む旧経営陣5人に、総額3億円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしたと発表した。だが、決算の説明に立った財務担当役員は、提訴に関して一切の説明を拒み、「後で広報に聞いてください」との回答を繰り返した。>(毎日新聞のサイト「経済プレミア」2015年11月11日)
原子力災害直後、私も東芝の広報に取材を申し込んだ。
その顛末は2011年8月発行の『原発の深い闇』(別冊宝島)に書いた。
<「日本がひとつのチームなんです」
サッカー日本代表が、テレビで何度もそう言うので、私も立ち上がることにした。
私が原発災害と闘う「日本代表チーム」の監督なら、誰をキャプテンに指名する?
「世界一の技術者集団」東芝である。
高性能で壊れない製品を作り続けてきた東芝を指名したら、文句を言う国民はいないはずだ。>
これが因縁の始まり。
爆発した原発を作った東芝、日立製作所、ゼネラルエレクトリックの貯金(内部留保金)総額は3兆円近くあったのだ。
「3社は今すぐ、貯金を原発難民の元に届けろ」
たとえば、ノートパソコンのバッテリーが火を噴いたとき、欠陥を認めたソニーは、謝罪し、520億円を拠出したと言われている。
コメントひとつ発表しない東芝は、もしかして、こう考えていたのか?
「3号機爆発より電池の発火のほうが重大な問題だ」
もし、そう言うのであれば、「狂っている」と返事する他ない。
取材申請の電話で私はこう言った。
「東芝さんが立ち上がれば、日本の希望になります」
広報の対応は信じがたいものだった。
「取材に応える立場にない。取材の依頼はすべてお断りしています」
「東芝さんはこれまで、リコールについても誠実に対応してきたじゃないですか?」
「……」
この国を支配しているのは人間ではなく「法人」なのだ。
法人は、人間を殺してもなんの感情も抱かない。国土を奪っても平気。人間をふるさとから追い出し、傷つけ、悲しましても良心の呵責にさいなまれることはない。
「なあんにもせず、黙っていれば、許してくれるよ」
それが原子力災害以降の東芝の一貫した態度である。
東芝の原子力事業はうまくいっている?
ウェスチングハウス(WH)の新型原発「AP1000」には、米国で14件の建設申請があった。
東芝製の東電福島第一原発3号機が爆発した。
現在建設中の原発は2基のみ。建設予定も2基のみ。
7割以上の仕事がキャンセルされた。
ボーグル原発3号機の建設費は約70億ドル。約8610億円。
WHの「収益見込み」8兆6100億円を東芝は自ら吹っ飛ばしたのだ。
「WHは買収当時に比べますと営業利益は大幅に拡大している」(前田恵造CFO)
証券取引法違反で前田を今すぐ逮捕せよ!
この大ウソは「風説の流布」どころの話じゃない!
<2012年度監査で合計9億2600万ドルと巨額の減損を認識することとなり、誠に申し訳ありません。特にQ2(第2四半期)での資金不足は深刻な状況。>(WH幹部のメール)
WHの資金繰りが苦しくなったのは2012年秋。原因は?
<田中P(久雄・東芝社長)への3Q決算ストーリー説明に関連して、WHのコストオーバーラン、減損についての状況を下記日程で報告予定です。>
米国ジョージア州のボーグル原発でむちゃくちゃなコスト超過が起きていたのだ。
<米南東部の電力大手サザンカンパニー(本社アトランタ)は最近、ジョージア州の規制当局に、少数株主となっている州内のボーグル原発増設で14億ドル(約1670億円)のコスト超過が発生したと報告した。>(ウォールストリート・ジャーナル 2015年3月6日)
この重大ニュースを報道した日本人ジャーナリストはひとりもいなかった。
さらにひどいのはAP1000の宣伝文句。
「原子炉の大規模構造部分は別の工場で作り、現地で組み立てるのでコスト超過、工事遅延は起きません」
原子力の周辺でウソをつかない人はひとりもいない。
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