松岡農水相の自殺について
自殺の理由は、誰の自殺でも永遠に謎。ご冥福を祈りたい。
ただ、言えるのは、農水省が「小泉改革」と一番遠い場所にいたこと。そして、林道の仕事という小さなビジネスで行われていたことが、大きなビジネスで行われていないわけがない、ということだ。
「緑資源機構」に改革のメスが入っていなかったように、農水省所管の最大のビジネス、競馬を取り仕切るJRAもまったくの野放しだ。天下りもそのまま放置、職員の異様な高給にも誰も言及しない。
競馬の仕事は、百億円規模、一千億円規模である。改修された東京競馬場を見れば、それがいかに巨大で無駄なものであるかは誰だってわかる。
競馬場そのものは長い歴史を持ちながら、日本の競馬には「甲子園球場」がない。「300年ロマン」を感じさせてくれる、古くてのどかな場所でこそ競馬は行われれるべきだ、と私は思う。
農政族の政治家、JRA、大手ゼネコンの癒着を徹底的に解明すべきである。
いや、それ以前に、馬券の売り上げがつるべ落としなのに、何の対策も行わず、土建屋だけを儲けさせてきたJRAの姿勢である。まったく競馬ファンの方を向いていない。控除率を3%下げれば、「ぜんぜん儲からん。もうやめた」と言って去っていったディープインパクトファンのボンクラ・ヤングを100万人くらい引き止められたはずである。段階的に「グローバル・スタンダード」(アメリカの競馬の控除率は10%台。日本の公営競技は25%)に近づけるために、とりあえず馬連の控除率だけ1%下げてみる、くらいの手は打つべきだ。世界中どこのカジノに行っても中国人であふれ返っているが、日本の競馬場に外国人がいないのはそのせいだ。チャールズ・ブコウスキーが来たら、怒り狂っただろうなあ。
競馬法を改正しなきゃできない?
じゃあなんで、10年ほど前、理事長が替わっただけで、単勝、複勝の控除率が下がったの?
いやいや、それ以前の大問題は、無数の証人がいる犯罪をJRAは放置してきたことだろう。家畜商の免許証を持たない調教師が馬の売買に深くかかわり、裏金を懐に入れる「半官製談合」がそれである。
これは構造的な問題で、調教師が牧場を回って有力な仔馬を抑え、なじみの馬主に電話をかけてセリ合わせる、というやり方は実は理にかなっている。調教師との関係を深めることで牧場は安定収入を得られるし、馬主にとっても馬選びを専門家に任せれば安心だし、厩舎がすぐ決まるので手間が省ける。
1200万円の値を付けた馬主に牧場は1000万円で馬を売り、調教師が200万円を懐に入れる、という構図である。
現在、日本の商取引の中でサラブレッドの売買ほど不透明なものはない。
一口馬主クラブは、馬の証券化のようなものだが、証券を売る側は経営内容をまったく明らかにしないまま取引をしている。1200万円の値が付いた馬を会社が何円でアメリカの牧場で買ったのかはまるっきりの藪の中。買うほうがバカといえばバカなんだけど、詐欺をやろうと思えばすぐさまドカンと儲けられるシステム自体が大問題だ。
つまり競馬ほどおいしい利権はないわけだが、それもわしらが馬券を買わなくなれば利権として成立しない。
いずれにせよ、農水省を解体、再生するいい機会である。競馬のあり方を考える契機になってほしいと思う。
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