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HOME   »   原発・放射能  »  4号機使用済み燃料プールがカタストロフィーに至るプロセス
       
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TEPCOの最新の写真から

この記事は、元国連職員の松村昭雄さんと、著名な原子力専門家であるゴードン・エドワーズ博士が福島第一原発4号機の使用済み燃料プールの危険性について警鐘を鳴らすものです。

松村さんの「なぜ、福島原発の関係者は使用済み燃料プールを盲点にしてしまったのか」という疑問について、エドワーズ博士が回答を与える、という形式になっています。
(以下、翻訳)

なぜ核科学者は使用済み燃料プールの危険性を見逃してしまったのか
Why Nuclear Scientists Have Missed the Danger of Spent Fuel Pools
Akio Matsumura blog   2012年1月23日

読者諸兄

2011年3月の福島第一原発事故以来、核科学者による2つのタイプの貢献がありました。

ひとつは、東電の声の代弁者となって、事故の解決策を決定する権限を持っている人たちや、政府が避難区域をどのように決めるのか、その戦略策定に際して、そして、メルトダウンしていることを、どのタイミングで発表するか、といったことに影響を与えた学者たち。

彼らは、事故の状況が急速に良い方向に向かっているかのような印象を植え付けるために、常に大衆キャンペーンを展開することにも影響を与えてきました。

もうひとつのタイプは、状況が悪化していることを政府に警告している学者たちですが、(事故収束の)意思決定権者や、メディアの世界への彼らの影響力は制限されていることが分かります。

しかし、私は、世界中にある何百という使用済み燃料プールに関する破滅的な事故、あるいはテロ攻撃の可能性について、核の共同体(管理人:日本では「原子力ムラ」)から、ほとんど警告がなかったということに当惑させられています。

私は、ゴードン・エドワーズ博士から明解な説明を受け取りました。
エドワーズ博士は、核技術、ウラニウム、核拡散の専門家として、カナダで最もよく知られている独立系のエキスパートの一人です。

以下のコメントから、使用済み燃料プールの重大な問題を、よく認識してくださるよう願っています。

松村昭雄

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以下、コードン・エドワーズ博士からの松村昭雄さんへの回答

拝啓  昭雄

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あなたは、なぜ、(福島第一原発)4号機の使用済み燃料プールに関する破滅的な事故の可能性について、東電や規制当局のような「核の主流既成組織」からの警告がほとんどなかったのか、その理由についてお尋ねになりました。

原子力安全性の分野では、常に原子炉の炉心に関する破滅的な事故を防止することと、それを分析することに目を奪われてきました。

それに引き換え、使用済み燃料プールに関する破滅的な事故のシナリオについては、ここ数年、ほとんど関心が払われていません。

1957年の「※ブルックへブン・レポート」は、まさに初めてアメリカで原子炉の安全性について研究されたものですが、これは、その後、1974年の12巻にわたる米・原子力規制委員会(NRC)の安全性調査(※ラスムッセン・レポート〔この記事下に注釈〕)につながり、現在に引き継がれている調査研究の結果のことです。

このレポートが発表されて以来、原子炉の安全性については、崩壊熱を出し続けている原子炉の核暴走、冷却液(水)の不足や漏出による事故、原子炉容器の破断や破壊、炉心溶融などに発展するような極端なコンディションに、すべての注意が向けられてきたのです。

※ブルックスヘブンというのは、ガンダーセン氏が、
「最悪の場合、4号機のプールから出火し、大量の放射線を撒き散らす可能性がある。アメリカのブルックヘブン国立研究所の警告のように、13万8000人ががんで亡くなる可能性があるという事態が、本当に起こるかもしれない」
と引用している調査・研究機関のこと。

ほとんどの原発技術者や原発の監督機関は、使用済み燃料プールに起因する破滅的事態の可能性について、数年間も軽視してきたため、自ら「盲点」を作ってしまったのです。

そのような考え方は、原子力の安全性分析の分野においては、原子力の技術者として、また、原子力技術者として、その後何年経験を積もうと、専門家として習熟することには大して役に立たないのです。

その結果として、炉心が溶融しないように、バックアップ・ポンプ、バックアップ電源供給システム、バックアップ冷却システムを備えているわけですが、使用済み燃料プールについては、これらのバックアップ・システムを備えなかったのです。

炉心溶融に備えて、十分すぎるほどの封じ込めシステムを持っているものの、使用済み燃料プールについては、それに比較できるほどのシステムを持っていないのです。

使用済み燃料プール用のバックアップ・システムを備えてないということは、使用済み燃料プールに特化した対策の怠り、また不測の事態に備えての対策を怠ってきた何よりの証拠になるのです。

しかしながら、使用済み燃料プールに格納されている核燃料は、原子炉に収められている核燃料より、ずっと多いのです。

冷却液(水)が継続的に失われたり不足すること、あるいは冷却循環の過程で冷却液(水)が失われることは、燃料の過熱につながり、広範囲に核燃料にダメージを与えることになります。

使用済み燃料プールには、放射性物質の封じ込め対策が施されていないわけですから、大気中に放射性生成物が放出されてしまうという重大な結果を招くことになります。

さらに、使用済み燃料プールの冷却液(水)が失われるということは(それが漏出であろうと、こぼれたものであろうと、あるいは、冷却水が沸騰して蒸発したものであろうと)、使用済み燃料プールの四方八方、何百メートルもの範囲内に、人間が立ち入ることができないほどの強力なガンマ放射線が放出されることになります。

その結果、適正な処置を取ることは、大変難しくなってしまうでしょう。

こうした逆境の下では、使用済み燃料プールの核燃料がメルトダウンさえしかねません。
もし、2800あたりまで温度が上がれば、それは放射能の放出が膨大に増えることになり、はるかに広域にわたって放射能が拡散されることになってしまうのです。

プールの中の使用済み核燃料が過熱すれば、核燃料棒のジルコニウム被覆と、水が過熱して出てくる水蒸気との間で極度の発熱が起こり、さらに使用済み燃料プール内の核燃料を熱する可能性が出てくるかもしれないし、約1000になると、壮絶なジルコニウムの火災が発生することさえあるのです。

そうなれば、使用済み核燃料の放射性微粒子(パーティクル)が大気中に放出されることになるかもしれません。

これらのホット・パーティクル(ときどき「核のノミ」として言及されている)の直径次第ですが、その放射性の超微粒子が風に乗ってかなり遠くまで運ばれ、使用済み燃料プールから数百キロメールの範囲の人口に影響を与えることになりかねません。

これらのホットパーティクルが、いったん環境に散らばってしまえば、何世紀にもわたって、放射線被曝と環境汚染をもたらすことになるでしょう。

(原子力技術者や監督機関が、長い間、一顧だにしなかった)ジルコニウム火災の可能性に加えて、もうひとつのもっと危険な可能性があります。

それは、プールの中の使用済み燃料棒の間隔が、わずかといえども重大な意味を持つほど狭められた(記事下に注釈あり)ことによって、使用済み燃料の幾何学的な配置が変更されてしまい、このことが、プールの中で連鎖反応を再び起こす可能性があるのです。

この“偶発的な臨界”は、温度を急激に上げるだけでなく、一瞬の発熱が次々と起こることによって、核分裂生成物が連続的に補充されていくことになります。

このことが、核燃料の損傷を加速度的に速め、熱負荷を拡大し、燃料プールのメルトダウンの確率を高めて、大気中への放射能の放出を膨大に増やしてしまうのです。

通常、使用済み燃料が溶融点に達するまでには数日かかり、必要ならプールに水を再び満たすことはシンプル・マターであると見なされています。

このため、使用済み燃料プールに関する、どんな緊急事態が起こっても、対策を講じる時間は、“たっぷりある”だろうという仮定を基にして、これらすべての可能性を考慮し、事態を回避することは原子力産業においては標準的な作業技術に過ぎないと考えられています。

これは、(プールを支えている)主要な構造物が損傷を受けて、ひとたび、水の防護遮蔽がなくなってしまえば、致死量のガンマ放射線が発散されることによって、使用済み燃料プールに近づくことさえできなくなってしまうという事実を無視しています。


物理学者のゴードン・エドワーズ博士は、「核に対して責任を持つカナダ連合」(CNNR=Canadian Coalition for Nuclear Responsibilityの創始者にして会長で、2006年の「核のない未来賞」の受賞者でもあります。

彼について、もっとよく知りたい方は、ここをクリックしてください。


(ここまで)
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(管理人:
※ラスムッセン・レポートは、東電出身の東大教授・大橋弘忠が、原発立地の住民説明会などで、ことあるごとに引用する原発事故の確率論でも知られています。
スリーマイル島・原発事故以来、この理論の虚構性が取り沙汰されています。

ちなみに、大橋の主張は
「プルトニウムは飲んでも安全」というものです。

同じく東大の児玉教授によれば、「動物実験では、プルトニウムを動物に飲ませるようなこともやるが、動物はガンにならない。なぜなら、動物は人間と違って短命なので、ガンを発症する前に死んでしまうから」ということです。

なるほど、だから「プルトニウムは飲んでも安全」なんですね。大橋は正しいことを言っているのです。失笑)


使用済み燃料棒の間隔が、わずかといえども重大な意味を持つほど狭められた…」の意味
(管理人:
プールの中に燃料棒の間隔を詰めて、目いっぱい容器に入れることをリラックと言っています。このリラックが再臨界を誘発することが指摘されています。
左サイドメニューの検索フォームから『リラック』を検索すると関連記事が出てきます)


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外国の科学者たちは、本当に深刻な事態だと受け止めているのに、日本の学者や政府は完全に麻痺している

松村さんは、早い段階から福島第一原発4号機の使用済み燃料プールの危険性について、ブログを通じて世界中に訴えてきました。
国連職員時代の人脈も生かしながら、世界中の多くの著名な学者たちと連絡を取り合っています。

このゴードン・エドワーズ博士も、その一人であるし、お馴染みのアーノルド・ガンダーセン氏も、その一人です。

管理人に対しても、多くの情報をご提供いただき、その情報に基づいて記事を書かせていただくことも、しばしばです。

松村さんは、メイン・メディアへも接触を図っています。
A Response from former CBS Anchor Rolland Smith


松村昭雄さんのブログ
ブログの右サイドメニューに「Translate :言語を選択」から日本語を選んで自動翻訳してみてください。

今まで、当ブログでエントリーした松村さん、ゴードン・エドワーズ博士の記事:
・4号機の使用済み燃料プールと日本の運命
・カナダの物理学者:「今すぐに4号機プールの補強工事を!」

さて、この記事によって多くのことに気づかされます。

それは、炉心のメルトダウンについては、「五重の壁」を構築しながら、使用済み燃料プールには、何の覆いもない剥きだし状態にしていたという原発学者たちの盲点。

なぜ、こうした死角が生まれたのか。

その原因について、エドワーズ博士は、ブルックへブン・レポート→ラスムッセン・レポートの“亡霊”が、いまだに原子力共同体の中を彷徨っていることを理由の一つとして挙げています。

なにが何でも原発を推進したい人々は、確率論というトリックを使い始めたのです。

ラスムッセン理論の正当性をいまだに難解な数式を使って証明しようとしている人がいることには驚きます。

ここに6発の弾が入るピストルが1丁あるとします。
それでロシアン・ルーレットをやれ、と言われてもやる人はいないでしょう。

では、同じピストルが3丁なら、どうでしょうか。あなたのノーミソを爆裂させる確率は18分の1になります。
一攫千金を夢見るギャンブル好きな無鉄砲なら、やるかもしれません。

しかし、その18分の1の確率にヒットしてしまった結果、何が待っているか。
稼ぎ頭を失った家族は、子供を道連れにして無理心中するかもしれません。

さらに、バカ息子の“非業の死”を嘆いた両親は、失意から自殺するかもしれません。

このように人間の人生に確率論を当てはめるやり方が、そもそも邪道であり、詐欺なのです。
このことは、旧ソ連の崩壊が証明しています。

しかし、原発推進派の人々の脳は無機質でロボットのようです。
原発事故が起こる確率を何億分の1にするために、新しい(屁)理屈を次々と考え出して巨大な資金を誘い込むことに熱心なのです。

私は、3月の連鎖的水素爆発が起こったとき、わずかの放射能漏れでもすぐに感知し、一瞬にして廃炉にできる技術が開発できるのであれば、原子力発電も一考に値すると考えていました。

闇雲に原発に反対しているわけではありません。
(たぶん、人類が地球上のウランをすべて使い果たしても、そんな技術など開発できないでしょう)

しかし、彼らは、そうした努力より、パラメーターをいじくって、いかに辻妻を合わせるか、その方面にだけ心を砕いているのです。

こうした怠惰で無知で、「分からなければ何をやってもいい」という幼稚な人々が原発を推進している限りは、私たちは常にロシアン・ルーレットの死のゲームのテーブルに着かせられているのです。

福島第一原発事故が起こった当初から、アメリカは、4号機の使用済み燃料プールの危険性を第一に考えてきました。

日本時間で3月17日の早朝には、4号機プールが破滅的事態に至らないようにタスク・フォースが組まれていたのです。

米軍は、3月11日の地震発生直後から、無人偵察機・グローバルホークを福島第一原発上空に飛ばして、軍事用高感度カメラで原子炉の状態を記録していたのです。

4号機建屋が水素爆発を起こした直後には、東電や保安院、官邸は、4号機使用済み燃料プールが、北半球を汚染するかもしれないことを知っていたのです。
そして、すぐに米・原子力規制委員会(NRC)に連絡したのです。

官邸は、このとき、福島第一原発から半径170km圏は強制移住、半径250km圏は避難対象地域指定という「最悪のシナリオ」を作成していました。
ただし、「4号機プールの核燃料が全て溶融したと仮定した場合」とのこと。

東京電力福島第一原発事故から2週間後の3月25日、菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が「最悪シナリオ」を作成し、菅氏に提出していたことが複数の関係者への取材で分かったのです。

つまり、3月の事態は、そこまで切迫していたのです。

しかし、枝野は「政府の原子力災害対策本部が議事録を作成していなかった」と言い、「議事録など最初から存在しなかったこと」にしたいようです。これは重大犯罪の隠蔽に他なりません。

アメリカが福島第一の「4号機」に注目する背景には「使用済み核燃料問題」があるのでは? (3月23日の記事)

以後、官邸、東電、保安院、原子力安全委員会、そして完全思考停止してしまったマスメディアは、4号機の使用済み燃料プールに国民の関心が向かないように、巧妙に情報をコントールしてきました。
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地震が起きなくても水が止まるだけで、北半球のカタストロフィーが始まる

1月1日の震度4の地震でも分かったように、震度5でも震度6でも、あるいは震度3でさえも、配管の断裂や、循環冷却システムのどこかにトラブルが発生すれば、使用済み燃料プールの水がなくなることが起こりうる、ということです。

すでに大分、傾いているとはいえ、建屋全体がマッチ箱をつぶすように、グシャと潰れるようなことはないでしょうけれど、問題は、使用済み燃料プールにゆがみが生じて、亀裂ができることです。
その場合にも、同様に水が漏出することが考えられます。

この場合、漏出する水の量がわずかであれば、ポンプをフル稼働させて水を補充すれば、放射能はほとんど漏れず、プールの損傷箇所を補修することも可能かもしれません。

水漏れの量が多ければ、核燃料棒が、すぐに水面から頭を出し、燃料棒が発熱することによって、プールの水温がどんどん上昇し、約1000になると、壮絶なジルコニウム火災が起きて、カタストロフィー秒読みということになるわけです。

すでに、その前に作業員は近づけない状態になっているので、メルトダウンするのを指をくわえて見ているほか、なす術がないということになってしまうのです。

いずれ、プールの中の核燃料棒が空炊き状態となり、プールの底が崩れ落ちる…。

北半球は終り。南半球の致命的汚染も時間の問題。
日本が自力で立ち直ることは、かなり難しくなるでしょう。

そして、こうした事態になったとき、野田佳彦、菅直人、枝野幸男、細野豪志、斑目、保安院の連中には国家賠償法が適用され、さらには、世界中の人々を被曝させたかどで、国際法廷に立たされるでしょう。

4号機建屋の使用済み燃料プールの補強工事は、一応済んでいます。

しかし、これもシミュレーターにより、大きな余震が起きても耐えうる強度が確保された、という計算上の話に過ぎないわけですから、現実に、巨大なアウターライズ地震が起きてしまえば、同じ結果になるでしょう。

東電は、どうも予算がないことを理由に、追加の補強工事をやるつもりはないようです。彼らのノーミソは、いまだにロシアン・ルーレットの博打うちのようです。

何より、使用済み燃料プールそのものが、巨大な原子炉であることに気がつかなかった幼稚さが、今回の原発事故の被害を拡大し、今、世界を破滅させようとしているのです。

みなさんは、早く、どうでもいい連中と手を切ってください。
ゴミのような、虚しく切なくなるくらい寒々しいテレビ番組を観る時間を調査の時間に充ててください。

そして具体的に準備するべきだと思います。




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