鹿児島銀行、野村総合研究所(NRI)は2015年4月10日、地方銀行向けにソフトウエア開発、販売などを手掛ける新会社「サザンウィッシュ」を設立したと発表した。新会社は、鹿児島銀が利用するクラウドサービスなどをほかの地銀に売り込むほか、中長期的には金融機関向けソフトの企画・販売を目指す。
サザンウィッシュには、NRIが35%、鹿児島銀が5%が出資するほか、ITベンダーのインビオが35%、鹿児島ディベロップメント、かごしま新産業創生ファンドが計25%を出資する。設立当初の社員は13人で、資本金は8000万円だ。
まずは、インビオが提供する肥育牛の動産担保支援のクラウドサービス「Agri Pro」などを、地銀に売り込む。Agri Proは、融資先の畜産農家が保有する肥育・繁殖牛の市場価格などを、金融機関が日々把握できるクラウドサービス。鹿児島銀が第1号ユーザーとして利用している。
将来的には、サザンウィッシュが独自に企画、開発したソフト製品なども金融機関向けに販売したい考えだ。
鹿児島銀はサザンウィッシュに出資によるメリットについて、「Agri Proが広く普及することで機能向上などが期待できる」とする。同行は成長戦略分野の一つとして、農林水産を掲げている。機能強化されたAgri Proを活用することで、同分野の事業推進を目指す。
NRIは、銀行向けビジネスの拡大を狙う。同社は証券業界向けに強みを持つものの、銀行向けのITサービス領域では存在感が相対的に薄い。「銀行業界向けには現在、投資信託の窓口販売業務支援『BESTWAY/JJ』などを手掛けているが、ITソリューションの幅をさらに広げたい」(NRI)という。