人工知能は、これまで「ブーム」と「冬の時代」を繰り返してきました。第1次人工知能ブーム、第2次人工知能ブームを経て、現在は第3次人工知能ブームを迎えています(関連記事:その昔、人工知能は「人工無能」だった、人工知能の黒歴史となった「第5世代コンピュータ」)。
これから人工知能がどうなるのか、どこへ行くのかを見ていきましょう(図1)。
冬の時代から第3次人工知能ブームへ
1990年台前半から「人工知能」という言葉に新鮮味がなくなり、資金的にも長い冬の時代が続いていましたが、1990年後半になるとコンピュータの性能が1980年代に比べてさらに飛躍的に発展し、それが第3次人工知能ブームへの下支えになりました。
一方、1990年代にはオブジェクト指向を自律分散協調的に動作させる「エージェント指向」という概念が登場しました。人工知能の分野ではこのエージェント指向を知的エージェントとして捉え、各々の人工知能(知的エージェント)が自律的に動作し、分散した個々のエージェントが協調して動作するモデルが流行するようになりました。
この知的エージェントの考えにより、個別の小さな人工知能が大きな意味を持つことになり、第3次ブームへの底流となりました。
その後、多層ニューラルネットワークによる機械学習(深層学習)が流行し、大きな成果を挙げ、本格的な第3次ブームへとつながっていきます。現代では人工知能は様々なところで使われ、またそれが協調することで大きな人工知能システムにもなっています。
例えばスマートフォンのような、人工知能を組み込んだ「スマートデバイス」がちまたにあふれ、またエンタープライズ系のシステムに人工知能システムに組み込むことを「スマート化」と呼んでいます。これらのスマートデバイスやスマート化されたシステムを協調させて大きな人工知能システムができています。またスマートデバイスやスマート化は、のちにIoT(Internet of Things)に組み込まれ、「スマートIoT」などと呼ばれることになります(図2)。