デジタルビジネスの拡大は時代の要請だが、それを推進するはずのIT人材が及び腰になっている。こんな衝撃的な結果が、情報処理推進機構(IPA)が2017年4月24日に公開した「IT人材白書2017」で明らかになった。
AI(人工知能)やIoTなどのITを駆使するデジタルビジネスの推進は時代の流れ。これまでの業務システムの開発とは勝手が違うとはいえ、IT人材への期待は大きい。にもかかわらず、肝心のIT人材が新しいことにチャレンジしようという意欲が、5年前の調査よりも大きく下がっている。調査を担当したIPAの山﨑 江津雄氏(IT人材育成本部 IT人材育成企画部 企画グループ)は「コメントに困る結果だ」とこぼす。
「新しい部署や企画を立ち上げたい」が20ポイント以上減少
IT人材がチャレンジに及び腰になっていることを示す調査結果は、IT人材白書2017の第3部第6章にある。この章では、仕事や職場環境の満足度、仕事内容に対する考え方について30代および40代のIT技術者に尋ねた結果を、2011年度と2016年度で比較している。結果はIT企業、ユーザー企業ごとにまとめられている。
デジタルビジネスを最も推進すべき立場といえるユーザー企業のIT技術者の結果を見ると、「新しい部署や企画を立ち上げる仕事をしたい」という考え方に「よく当てはまる」または「どちらかと言えば当てはまる」と回答した割合は、2016年度は52.7%だった。2011年度の76.5%と比較して20ポイント以上も減少した(図1)。同様に、「新しい顧客を開拓・獲得する仕事をしたい」という考え方に同意する割合も、2016年度は47.0%と、2011年度の59.8%から13ポイントほど下がっている(図2)。
ユーザーのデジタルビジネスを支援する立場である、IT企業のIT技術者に対する調査結果は、さらに深刻だ。