東日本旅客鉄道(JR東日本)が2014年4月1日からの消費増税に備えて、50~60億円をかけてICカード乗車券「Suica」や券売機などのシステム改修を進めていることが、同社への取材で分かった。
JR東日本鉄道事業本部設備部機械技術管理センターの田中美佳課長によると、1997年に消費税が3%から5%に変わったときは「システム改修などを含めた全体の費用は30億円程度だった。今回はSuicaのシステムが加わっている分、高額になっている」という。
改修にかける期間も1997年時点に比べて長期化している。「1997年のときは3カ月弱で済んだ。今回は、2011年から準備を進めていた」(JR東日本鉄道事業本部営業部の北島基伸課長)。
特に時間をかけたのが、Suicaを使って自動改札機で運賃を差し引くシステムだ。JR東日本は2013年12月に国土交通大臣に対し、2014年4月の消費税率の引き上げに合わせて、ICカードの場合は1円単位の運賃を適用する認可申請を行った(写真1)。例えば東京都中心部を走る山手線の初乗り運賃は現行で130円だが、消費税率の引き上げ後はICカードだと133円、切符だと140円になる(写真2)。
これに合わせて、自動改札機のシステムを改修。「Suicaで1円単位の運賃を適用する場合、税抜き額の運賃に対して5%や8%といった税率を変更することで、税率に見合った運賃になるプログラムを作った」(田中課長)。
JR東日本が、Suica利用に1円単位の運賃を適用しようと考えた理由を、北島課長はこう語る。「これまで鉄道運賃は10円単位でしかやり取りできなかったが、ICカードであれば1円単位でのやり取りも可能になる。1円単位であれば、消費税率の引き上げ分を公平に運賃に転嫁できると考えた」。