カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の杉浦敬太取締役CPO(チーフ・プライバシー・オフィサー)は2013年11月1日、10月の「T会員規約」の改訂についてインタビューに応じ、氏名などの個人情報とは分けて管理している購買履歴や利用履歴について、「これも個人情報とする考えが主流になるのであれば、対応できるオプトアウトの仕組みを作るなど、億単位の費用をかけてでもやらないといけない」と語った(関連記事:カルチュア・コンビニエンス・クラブ、「顧客情報管理委員会」を新設、「T会員規約」改訂)。

 今後、さらにT会員規約の改訂を視野に入れているとも明かした。現在の個人情報保護法改正の論議に対応する考えを示したもので、CCCの対応は他の企業にも影響を与えそうだ。

 杉浦CPOはこれまでは弁護士の見解を踏まえて、個人情報を管理する「会員データベース」と、購買情報や利用履歴を管理する「Tポイントデータベース」に分割管理していると説明。ただ、「一個人として、自分のデータがどう露出してどう活用されていくか見えないことが不安であるというのであれば、その不安を払拭する説明や仕組みを使って、サービスを提供していかなければいけない」と語った。

 さらに「ポイントプログラム参加企業」をT会員の個人情報の共同利用者としている点については、CCCグループ外のTポイント提携企業間で個人情報や購買履歴を相互に提供しておらず、全部のデータを共有しているのではなく「30代でコーヒーを週5回飲む」といった条件に合った統計データを活用したマーケティングサービスを提案していると説明。杉浦CPOは「我々の精神をよく理解していただくため、分かりづらい規約や方式であれば変える」と述べた。

 個人情報保護法に詳しい専門家らからは、CCCの規約がポイントプログラム参加企業をT会員の個人情報の共同利用者としている点に対して、法律上は「ユーザーが拒否できるオプトアウトよりも要件が厳しいはず」という指摘もある。

 ロイヤリティマーケティング(東京・渋谷)のPonta会員規約では「個人を特定できないよう加工した分析結果を第三者へ提供する方法等によりマーケティングに活用する」と記述している。こうした例を踏まえて杉浦CPOは、経済産業省とも相談し、社内で議論を始めていると明かした。

 加えて杉浦CPOは、これまで説明の場がなかったり質問などを積極的に受けてこなかったりしたことは「反省している」と語り、従来からの方針の転換を強調。「弁護士の見解では違法ではない」という意見をもらっているものの、「世の中一般の考え方が変わってくれば、それに沿っていち早く僕らが変わる」と述べ、今後は「理解していただけるように説明を続けていく」と語った。

 一方、改訂規約で「ご利用の履歴」に商品名やサービスの名称なども含まれると明示された点について、医薬品情報の提供が刑法に抵触する可能性があるという指摘がされたことには、弁護士の見解を踏まえて対応し、市販薬は含まれるが診療薬は入っていないと説明。

 杉浦CPOは「もしそれを気持ち悪いと受け止める方がいらっしゃったら、即座にサービスをやめていくということをやっていかないと、長く顧客との信頼関係を築いていけない」と述べるにとどめた。CCCが管理指定者として運営している武雄市図書館などでも、今後どう説明を増やしていくか注目されそうだ。