フランスのデータ保護に関する監督機関である情報処理・自由全国委員会(CNIL:Commission nationale de l'informatique et des liberte)は現地時間2013年6月20日、米Googleにフランスのデータ保護法に準じるよう正式要請したことを明らかにした。
CNILが問題としているのは、Googleが2012年3月1日に施行したプライバシーポリシー。同プライバシーポリシーのもと、複数のGoogleサービスを使用しているユーザーの情報は単一のGoogleアカウントに統一される(関連記事:Googleが新プライバシーポリシーを適用、既存設定に変更なしと強調)。
欧州連合(EU)の第29条作業部会は同プライバシーポリシーが欧州データ保護指令に準拠しているか2012年3~10月にかけて調査を実施。CNILを中心とする欧州当局が担当した調査にもとづき、第29条作業部会は10月16日に、Googleに対して4カ月以内に勧告に従ってプライバシーポリシーを改善するよう要請した。しかしCNILによれば、Googleは期限を過ぎても重要なコンプライアンス手段を導入しなかった。そこでCNILをはじめ、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、英国のデータ保護関連当局は、さらなる調査を実施してGoogleの責任を追及するために、各国の規定に従って調査および査察の手続きを4月に開始した(関連記事:Googleがプライバシー問題で欧州6カ国の当局と対立)。
CNILは調査の結果、Googleがフランスのデータ保護法に違反していると判断。Googleに対して、ユーザーが自身の個人情報の使われ方について理解できる手段を提供すること、個人情報を収集した際の目的に必要な期間を超えて個人データを保持しないこと、「Doubleclick」および「Analytics」のクッキーや「Google+」の「+1」ボタンなどを通じて収集したユーザーの個人データを公正に処理することなどを求め、3カ月以内に明確な取り組み目標を設定することなどを正式に通告した。3カ月以内に対応がなかった場合は、なんらかの制裁措置を検討する。
またCNILによると、スペイン当局もGoogleを違法と判断し、制裁措置の手続きを開始しているという。英国はまだプライバシーポリシーを審査中で、近日中に仮判断を示す。ドイツは審問を開くための正式な手続きを開始。オランダは調査による初期判断のレポートを発行してGoogleに見解を求める予定。イタリアは公開質問状に対するGoogleからの回答を待っている状態で、回答を精査したのち、制裁措置など法的手続きを行う可能性がある。
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当初、本文の第2段落目で「Googleが2013年3月1日に施行したプライバシーポリシー。」としましたが「Googleが2012年3月1日に施行したプライバシーポリシー。」誤りです。お詫びして訂正いたします。本文は修正済みです。[2014/01/09 13:00]