2012年9月8日、横浜 関内でNFC(Near Filed Communication)チップとAndroidスマートフォンを利用した町おこしイベント「濱コン」が開催された。参加する男女が地元の飲食店をまわり歓談する「街コン」と呼ばれるイベントで、参加者1000人がNFCチップを内蔵したカードを手に、横浜の町を食べ歩いた(写真1)。
関内は横浜の中心部だが、オフィス街のため週末は飲食店を利用する人が少なくなる。週末に街コンを開催することで、飲食店も顧客の少ない時間に売上を増やすことができる。今回の濱コンは、22店舗が会場となった(写真2)。参加者は、全ての店舗を食べ放題、飲み放題で回ることができる。
参加者は飲食店に入退店する際に、スタッフが持つAndroidスマートフォンにNFCチップ内蔵カードをかざす(写真3)。これにより、各店舗の入店者数がリアルタイムに把握でき、参加者は携帯電話やスマートフォンで店舗の混雑状況をリアルタイムに知ることができる(写真4)。また入店待ち人数もスタッフがAndroidスマートフォンから入力し、参加者が見ることができる。
参加者は「入店するときに、カードをかざすだけですみ、紙に記入したりする必要がなくて楽。また携帯電話から空いている店が分かるので便利」と感想を語った。
主催した濱コン事務局 プロデューサー小川真輔氏(写真5)は「NFCを利用することで非常に楽になった」と話す。入店の際の手間が省け、スタッフがこれまで以上に接客に多くの時間をさけるようになった。また以前は空きをスタッフが手入力していたためタイムラグがあったが「NFCでタッチするため、情報が正確になった」(小川氏)という。
システムの構築を担当したのは、ブリリアントサービス。同社はNFCを利用したRPG(ロールプレイングゲーム)風スタンプラリー「NFC QUEST」でAndroidアプリコンテスト「Android Application Award 2012(A3 2012)」のBeyond Android賞を受賞している(関連記事)。NFCチップはソニーが提供した。
苦労したのは、NFCが湿気や水に弱いことだったという。前回の濱コンでNFCを試験的に導入したが「リストバンドにNFCチップを貼りつけたところ、汗などで読み取れなくなってしまうケースがあった。そのため、今回はカードに変更した」(ブリリアントサービス カスタマー開発部品川開発課 山下智樹氏)。
ブリリアントサービスでは、今回のシステムを今後他の街コンにも提供していきたい考えだ(関連記事)。