ソニーは9月22日に発表した2005~2007年度の中期経営方針の中で、次世代マイクロプロセサ「Cell」を生かした技術、商品、アプリケーションを開発する組織を新設することを明らかにした。新組織「Cellデベロップメントセンター」はCEO直轄とする。同社は成長戦略の一つとして、「ホーム・モバイルプラットホーム構築」を掲げており、来年発売予定の家庭用ゲーム機器「PLAYSTATION3」に続き、家庭用デジタル機器などにもCellの搭載を広げる計画だ。
Cellデベロップメントセンターは、グループ融合戦略とも位置づけており、現在ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のコーポレート・エグゼクティブ兼CTO(最高技術責任者)である茶谷公之氏をリーダーとして新設する。設置する時期、人員の規模などについては、まだ公表していない。
Cellはソニーが米IBM、東芝と共同開発中のプロセサで、0.2テラFLOPS(浮動小数点演算/秒)とスーパーコンピュータ並みの演算性能を持っている。次世代の家庭用デジタル機器、ワークステーション、サーバーなどに応用できる拡張性を備えている。ソニーはCEO直轄の新組織で、ネットワーク処理に関する次世代アプリケーションや、リアルタイムのハイビジョン(HD)メディア編集システムなどの開発を推進する。
ソニーが22日発表した中期経営方針は、ハワード・ストリンガー会長兼CEO、中鉢良治社長の新体制によるもので、(1)簡素で効率的な組織体制の構築、(2)2000億円のコスト削減、(3)1200億円の非戦略的な不動産、有価証券などの整理、(4)営業利益率やコスト削減、資産売却状況などKPI(重要業績評価指標)に基づく計画の進捗状況報告−−の4つが柱。このうち、「2000億円のコスト削減」には、1万人(国内4000人、海外6000人)の人員削減、モデル数の20%削減や65の生産拠点のうち11カ所の削減といった事業の絞り込みが盛り込まれている。
これらの構造改革費用は今年度から2年間で2100億円だが、2007年度末までに合計1230億円のコスト削減効果があり、2008年には費用を回収できるとしている。この結果、2006年度に連結全体での黒字化、2007年度に5%の連結営業利益率を目指す。