企業ネットワークの実態を明らかにして,企業ネットの担当者に参考となる情報を提供したい――このために日経NETWORKは,Web調査「企業ネットワークの構成に関するアンケート」を毎年実施している。第1回は昨年(2007年)の3月に行った。企業ネットの担当者を対象に,LAN/WANの構成や採用している通信サービス/機器などを尋ねた。最終的には679件の回答が集まり,ITpro解説記事の「アンケート結果から徹底分析●最新企業ネットワーク」として報告することができた。

 今年(2008年)も4月に同様の調査を実施した(調査の詳細は下掲の「アンケート調査の概要」参照)。最終的な回答数は689件と,昨年をわずかながら上回った。回答していただいた企業の担当者の方にはこの場を借りて御礼申し上げたい。

小規模・中規模ネットの回答が多く集まる

 日経NETWORKの調査の特徴は,どちらかといえば規模の小さいネットワークを構築・運用している企業や団体(官公庁や教育機関など)の担当者が回答を寄せてくれているところにある。

 まずは企業ネットワークにつながるパソコン台数の集計結果を見てみよう。ここでは,台数別に「小規模ネットワーク」「中規模ネットワーク」「大規模ネットワーク」の3段階に分けた。小規模ネットはパソコン接続台数が100台以下,中規模ネットが同101~1000台以下,大規模が同1001台以上といった具合である。規模別に見ると,小規模ネットの回答数が326件で,全体の半数近くを占めた(図1-1)。

図1-1●企業ネットワークのパソコン接続台数
図1-1●企業ネットワークのパソコン接続台数
パソコン接続台数が100台以下の「小規模ネットワーク」が半数近くを占める。

 企業ネットワークを構成する拠点数の集計結果も見てほしい。こちらは「1拠点のみ」とする回答が最も多かった(図1-2)。これは本社など1拠点でLANのみを構築しているケースとなる。一方,複数の拠点をつないでWAN(wide area network)を構築しているケースでは「2~9拠点」という回答が多かった。これらを合わせた「10拠点未満」の回答数は全体の約7割を占めた。

図1-2●企業ネットワークの拠点数
図1-2●企業ネットワークの拠点数
10拠点未満の企業が約7割を占める。

 大規模ネットワークや大企業の場合は,事例記事や調査報告書などで紹介されることも多いが,パソコンの接続台数が100台以下とか,拠点数が10未満といった小中規模の実態はそれほど知られていないのではないだろうか。ネットワークの構築・運用を考える上では,やはり自社と似た規模の企業ネットの傾向が役に立つといえる。そこで昨年のITpro解説記事と同様に,今年も規模別に集計結果を分析することにした。