インターネットの媒体価値が急速に高まり、企業にとってWebサイトをビジネスにいかに結びつけるかが重要になっている。そこで欠かせないのがユーザビリティ(使いやすさ)だ。日経パソコンは2004年から毎年、独自の基準で企業サイトのユーザビリティを検証している。2006年はマーケティングやリスク管理に対する取り組みの状況も調査した。
●首位はNECと富士通が並び立つ
2006年の調査対象は、国内の主要企業120社のWebサイト。64個の調査項目への対応度を調べて、100点満点で得点化しランキングを算出した。調査の結果、個人情報の管理体制の公開、高齢者や身体障害者に対する配慮などの点で、取り組みが不十分な企業サイトの多いことが明らかになった。
ランキングの首位は、NECと富士通が並んだ。富士通は2004年の調査開始以来、3年連続の首位。NECは前年の10位から一気に順位を上げた。富士通は、社内に専任の部署を設置してWebサイト全体のユーザビリティ確保に取り組んでいる。利用者を抽出してWebサイトの使い勝手を検証するユーザーテストを3カ月に1回実施して、ユーザビリティーの改善を続けている。
NECは、2005年8月と2006年4月に、ユーザビリティやデザインの向上を意識したWebサイトのリニューアルを実施している。リニューアルにあたっては、独自のWebページ作成基準を整備して、サイト全体のデザインを統一した。
2005年と2006年で比較可能な58項目のうち、企業の対応度が上がっているのは44項目。企業サイトのユーザビリティは、全般に向上している。最も伸びが大きかったのは、「個人情報の利用目的に関する記載」で、43.3%から74.2%になった。これは、2005年4月に施行になった個人情報保護法が、個人情報の取り扱い事業者に対して、個人情報の利用目的の通知や公表を義務付けたことが大きいと考えられる。一方で、通知や公表の義務のない個人情報の管理体制について、Webサイトに掲載していた企業は、35.0%にとどまった。
インターネットが普及したことで、年齢や身体条件、接続環境などが異なる多くの利用者が、企業サイトを訪問するようになった。ところが、こうした利用者に対する配慮が不十分な企業サイトも多い。例えば、高齢者などに配慮して、文字の大きさを変えられるようにしているサイトは18.3%しかなかった。
(「企業サイト ユーザビリティランキング 2006」の詳細は、日経パソコン6月12日号に掲載しています)
順位(前年) | 企業・サイト名/URL | 総合得点 100点満点 |
---|---|---|
1位(10位) | NEC http://www.nec.co.jp/ |
87点 |
1位(1位) | 富士通 http://jp.fujitsu.com/ |
87点 |
3位(16位) | ソフトバンク http://www.softbank.co.jp/ |
83点 |
4位(調査対象外) | 電通 http://www.dentsu.co.jp/ |
82点 |
5位(3位) | 日本ヒューレット・パッカード http://www.hp.com/jp/ |
79点 |
6位(調査対象外) | リクルート http://www.recruit.jp/ |
77点 |
7位(48位) | アップルコンピュータ http://www.apple.com/jp/ |
76点 |
7位(調査対象外) | カシオ計算機 http://www.casio.co.jp/ |
76点 |
9位(11位) | NTTデータ http://www.nttdata.co.jp/ |
75点 |
10位(4位) | 日本IBM http://www.ibm.com/jp/ |
73点 |
10位(66位) | 松下電器産業 http://panasonic.co.jp/index3.html |
73点 |
【ランキングの調査方法と調査対象】
国内の主要企業120社のWebサイトを対象に、本誌が独自に策定したユーザビリティに関する調査項目への対応状況を調べた。調査対象ページは、各Webサイトのトップページと、トップページから直接リンクしているページ。なお、調査後にサイトがリニューアルしているケースもある。調査は日経BPコンサルティング(http://consult.nikkeibp.co.jp/)が実施。調査期間は、2006年4月4日~5月22日。
【ランキングの算出方法と評価項目】
全64個の調査項目を設定し、それぞれの項目に対する対応状況を調査した。各項目は重要度により1~3点を割り振った。調査項目を「サイトの基本構造(20点満点)」「基本的な操作性(30点満点)」「画像、動画、音声の把握しやすさ(15点満点)」「文字、デザインの分かりやすさ(15点満点)」「開示すべき情報の掲載(20点満点)」というように、合計100点満点の5分野に分け、各サイトの合計得点を基にランキングを算出した。調査対象すべてのページで調査要件を満たしていた場合に加点し、1カ所でも要件を満たさなかった場合には0点とした。また、個々の調査項目に該当する個所が、Webサイトにない場合は加点している。
2005年の調査結果(企業サイト ユーザビリティランキング 2005)はこちらのページ
2004年の調査結果(企業サイト ユーザビリティランキング 2004)はこちらのページ