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ボストンで13年働いた研究者が、アカデミック・キャリアパスで切磋琢磨する方法を発信することをめざします。
ボストンもやっと暑くなってきました。沖縄美ら海水族館の「黒潮の海」大水槽で少し涼しい気分に。

Kuroshio Sea - 2nd largest aquarium tank in the world - (song is Please don't go by Barcelona) from Jon Rawlinson on Vimeo.



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学校で先生が生徒を評する時も米国では「Excellent、Great、Perfect!」の連発である。ゴルフ練習場でもお父さんが小学生の息子にクラブを振らせて、ちょっとでもボールが前に転がれば、「Excellent、Great、Perfect!」を連発していた。日本人だったら上手に出来ても「よく出来た。(Well done.)」でおしまいだ。

ワシントン情報、裏Version、竹中正治:日米比較文化論編:「危機感」の島国、「希望」の大陸 via モジックス Zopeジャンキー日記アメリカ人は「希望駆動型」、日本人は「危機感駆動型」



米国では(特に公の場では)ネガティブな表現は極力避ける傾向にあります。日本人の私は、褒められているとか、高く評価されていると一見感じることが多く、気分がいいこともあるのですが、時には自分に対する評価を冷静に考えなければなりません。Very goodってどれくらいいいのでしょうか。米国の科学研究費の審査を例にあげますと......

米国政府(NIH)の科学研究費の審査は(決して完璧ではありませんが)おそらく世界で最もシステマティックで、最も厳密な制度です。申請書は通常3人のレフリーによる予備審査の後、20人程度の委員会で検討され、最終的にメンバー全員の投票の平均により最高100点から最低500点のプライオリティー・スコアで評価され順位がつきます。このプライオティー・スコアの意味するところは

* 100-150: Outstanding
* 151-200: Excellent
* 201-250: Very Good
* 251-350: Good
* 351-500: Acceptable

政府の科学研究費の伸びが鈍り、競争が激化している現在ではR01と呼ばれるスタンダードなグラントはOutstandingと評価されないとまず採択されないでしょう。151に近いExcellentならまだ可能性ありますが、Very Goodでは望みはありません。

米国の大学での人物評価にもよく似たスケールが使われること多く、ファカルティーや研究員をインタビューして人物評価を頼まれることがありますが、どの形容詞を使うか注意が必要です。本当にその人が雇ってもいいと思うくらいに優れているのならば、「Exceptional」とか「Outstanding」と表現する必要があります。「Excellent」では押しが弱いというふうにとられることもあり、言い方にもよりますが「Very Good」は「Very Good, but.....」を暗に意味していると取られることもあり、雇うのはやめた方がいいよいうメッセージとして受け取られる可能性大です。

なお、NIHの評価基準は今年から9段階評価に変更されています。

* 1. Exceptionally strong with essentially no weaknesses (Exceptional)
* 2. Extremely strong with negligible weaknesses (Outstanding)
* 3. Very strong with only some minor weaknesses (Excellent)
* 4. Strong but with numerous minor weaknesses (Very Good)
* 5. Strong but with at least one moderate weakness (Good)
* 6. Some strengths but also some moderate weaknesses (Satisfactory)
* 7. Some strengths but with at least one major weakness (Fair)
* 8. A few strengths and a few major weaknesses (Marginal)
* 9. Very few strengths and numerous major weaknesses (Poor)



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プロフィール

Motomu Shimaoka

Author:Motomu Shimaoka
島岡 要:三重大学医学部・分子病態学講座教授 10年余り麻酔科医として大学病院などに勤務後, ボストンへ研究留学し、ハーバード大学医学部・准教授としてラボ運営に奮闘する. 2011年に帰国、大阪府立成人病センター麻酔科・副部長をつとめ、臨床麻酔のできる基礎医学研究者を自称する. 専門は免疫学・細胞接着. また研究者のキャリアやスキルに関する著書に「プロフェッショナル根性・研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」(羊土社)がある. (Photo: Liza Green@Harvard Focus)

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