人気ブログランキング | 話題のタグを見る

■ 狐のミイラ


■ 狐のミイラ_a0115014_3411599.jpg

 十数年前だから、つい最近の話だ。
 狐のミイラが発見されたというので評判になった。
 場所は金浜の稲荷神社。
 宝くじの話題もからんだそのときの話は、こういうものだった。

 本殿の改修工事のときだ。
 床下を、初めは小さなユンボで掘り返そうとした。
 ところが、どうしても人手でなければ掘れないところがあった。
 そこに狐のミイラは埋まっていた。
 ミイラは二体。
 仲よく寄りそい、夫婦のように見えた。
 神主は言った。
 「こりゃあ、お稲荷さまのお使いの、白狐だあべな」
 氏子が社(やしろ)を建て、桐の箱におさめてまつった。
 お稲荷さまの使いの白狐を命婦(みょうぶ)という。
 それで、社は命婦社と名づけられた。
 ミイラも命婦さまと呼ばれている。
 このころから、
 「宮古は宝くじが、よぐ当だんがえ」
 と言われだした。
 「材木会社の社長さんや、瀬戸物屋のあるじさ一等が当だった。
 その人がどうがお参りしてんのが、金浜の稲荷神社だあど」
 そんな噂が流れた――

 稲荷神社は商売繁盛の神さま。
 そのうえ金浜という語呂がよかった。
 新聞や週刊誌の記事にもなった。
 「まあしかし、どうも狐につままれたような話だあな」
 と言う人もいる。
 狐のミイラはほんものだろう。
 宝くじの件は?
 「これは、さあ、どうだあべえ……」


                 宮古 on web
by miyako_monogatari | 2009-02-06 19:42
<< ■ 狐の名所 ■ ひなりっこ >>