THE GO AND MO'S公演ブログ

第35回公演 公演報告

THE GO AND MO'S 第35回公演『稲川の神』
公演終了報告

日時
2024年3月
15日(金) 19:30
16日(土) 14:00/18:00*
17日(日) 14:00
4ステージ
*16日(土)18時開演の回終演後、
ポスト・パフォーマンス・トーク(ゲスト=坂口修一さん)

会場
SPACE LFAN(旧 スペース・イサン)

料金
予約 2,500円  当日 3,000円
30歳以下 1,800円  高校生以下 1,000円(いずれも予約・当日共、要証明)
*SNS割結果…8名の方が割引対象に。
最大2500円割引で、入場料0円の方がいらっしゃいました!

クレジット
脚本・演出・出演/黒川猛
出演/F.ジャパン(劇団衛星)
         大熊ねこ(遊劇体)
         岡嶋秀昭
         ボブ・マーサム(THE ROB CARLTON)
         ユニット美人(黒木陽子・紙本明子)
声の出演協力/中村彩乃(安住の地/劇団飛び道具)
                     藤原大介(劇団飛び道具)
構成/中川剛、黒川猛
音楽/Nov.16
制作他/丸井重樹
照明/真田貴吉
当日運営アシスタント/永澤萌絵
記録写真/仲川あい
協力/SPACE LFAN
         舞夢プロ
         (有)ライターズ・カンパニー
       (株)リコモーション
         お笑い&BAR 1UP
         劇団飛び道具
         THE ROB CARLTON
       (一社)フリンジシアターアソシエーション
         岩越信之助、片山知音、熊澤洋介、田中佑月、徳岡柚月、藤原千代
京都芸術センター制作支援事業
主催・企画製作/THE GO AND MO'S

特設サイト >>>LINK

ラインナップ
「お通夜」with ボブ・マーサム(再創作)…
初演は「黒川の笑 その26」(2023年7月)。
茂山千之丞さんと創作したコントを、
THE ROB CARLTONのキャプテン ボブ・マーサムさんと再創作。
名作漫画「サザエさん」の30年後、
フグ田サザエが52歳で亡くなったお通夜会場に現れる謎の男。
弟のカツオは、その人のことをどうしても思い出せない。
その割に、磯野家のことも近所のこともやたら詳しい・・・。
果たしてこの男は一体誰なのか。
火曜サスペンス劇場バリの推理コントになるかと思いきや、
全くならず、次々に繰り出される磯野家の秘密や
カツオたちの波乱万丈人生を披露して、
誰が誰と結婚してて、誰が誰の子どもなのか分からなくなる、
ムダに多い情報量を垂れ流して、ケムに巻くのが黒川流。
自ら創作する作品もお笑いに軸を置くボブさんが、
怒涛の展開を見事に捌き切ってくれました。
同じ「お笑い」とはいえ、GOMOとROBでは趣向が全然異なります。
初めは戸惑いもあったと思いますが、
本番ではすっかり黒川流コントの色に染まってくださっていました。
だけでなく、様々なアイデアを次々提供してくださり、
最終的にこのコントに関してはオチが新たに付け加わりました!
これぞ、り・クリエーションの極みです。

「ノスタルジー」with ユニット美人(再演)…
初演は「黒川の笑 その24」(2022年12月)。
名作アニメ映画「となりのトトロ」の数十年後。
サツキとメイとカン太の三角関係を描くラブヒューマンコント
・・・と思いきや、コントの枠組みをぶち壊す、メタコント。
突然照明が「演劇的」になり、モノローグを始めるサツキとメイ。
状況を飲み込めないカン太=黒川。
前回公演で上演した「奥様は魔女です!」も、メタコント構造でしたが、
この作品は更に振り切っていて、コントの構造としてかなり面白い。
再演でセリフはほとんど変わっていませんが、
それぞれのキャラクターを深く掘り下げ、
コント中コントの部分では、サツキ=黒木さんが上白石萌音に、
メイ=紙本さんが橋本環奈になり切って、
となりのトトロなのか、千と千尋の神隠しなのか、
それとも他のなにかなのか、よくわからない展開に。
最後に「となりのトトロ」で踊り狂うシーンでは、
初日からお客さまが手拍子をしてくれる事態に。
恐るべしユニット美人。

「正義のヒーロー!箱フェッショナル」岡嶋秀昭(再創作)…
初演は第13回公演「徳永の鯉」(2014年6月)。
その時は黒川が演じていました。
再演が第21回公演「安藤の癖」(2015年12月)。
この時、岡嶋さんがカバー。
再演から8年半。40代前半だった岡嶋さんと黒川(二人は同い年です)も、
50歳目前に。世間もずいぶん様変わりしました。
とある特撮ヒーロー番組の撮影現場。
正義のヒーロー「箱フェッショナル」に変身する前の状態
「箱男」の箱を巡る、ヒーロー俳優とスタッフのやり取りを延々と描く。
8年前には考えもしなかった「昭和」と「令和」の世代差、
ハラスメント、体育会系の扱い…
(これら全て、実は今放映中のドラマ「不適切にもほどがある」
でもやられてます)。
令和6年に上演するにあたり、岡嶋さんと相談しながら、
台本や設定にかなり手を入れ、
まさに現代のコント作品にリクリエーション出来ました。
不条理コントの体をなしていますが、
これも世代感のギャップ、昭和とはなにか、令和とはなにかを鋭く問う、
ある意味社会派コント…とは言えんかw 
「箱でやっていくんやろ!箱男で闘っていくんやろ!世間と!!」
には、毎回涙が出ました。面白くて。

「未来」with F.ジャパン(再演)…
初演は「黒川の笑 その25」(2023年4月)。
名作漫画「ドラえもん」の40年後。野比のび太50歳。
未来からやってきたドラえもんは、
野比のび太を抹殺するためにやって来る・・・。
次々明かされる未来の出来事。
これまでの関係性から当初の目的を果たせないドラえもん。
そしてのび太から知らされる真実。
といった物語は、本当に全く関係なく、
これもコントの構造をことごとく裏切るメタコント構造の作品と言える。
シーン毎の名台詞っぽいところでかかる菅田将暉の「虹」。
繰り返されるイントロから歌詞までのフレーズ。
初演では、最後にかかる「タモリ倶楽部」のテーマソングに
突っ込んで終了していましたが、
このコントも「再演」と言いながらオチが大幅に変わっています。
もはや突っ込むことを止めてしまいました・・・。
シュールにもほどがある!
この作品のもう一つの見どころは、
F.ジャパンさんの容姿を最大限悪用したドラえもんの様だ。
今回は手に白い靴下を付けて、グーの状態をリアルに(?)表現。
稽古場で何度もその姿を見ていると、
もうドラえもんにしか見えなくなってくるという
中毒症状を引き起こされる。
他の出演者や観客からは「可愛い」という謎の褒め言葉まで・・・。
恐るべし。

「ファンタスティック歌劇団」with 大熊ねこ(再創作)…
初演は第34回公演「中村の嘘」(2022年10月)。
とあるオーディション会場にやってきた女優。
ロミオとジュリエットが題材だったのだが、
何を思ったか2分でロミオとジュリエットを演じきってしまう。
その異様さに不採用にしたい演出家と、
どうしても採用されたい女優の挑戦が始まる。
初演時は稽古場で大喜利が繰り広げられ、
その中から厳選したネタを本番で上演したわけですが、
今回はそれらを更にブラッシュアップさせる作業に。
そのかいもあり、最初の2分で拍手が起こる回が続出。
その後のネタも受けに受け、
それまで上演してきた4本のコントを吹き飛ばす勢いに。
初演時に製作してもらった衣装を今回も着用。
髪の毛も半分染めていただき、
メイクも3時間かけて2つの顔を描ききる。
大熊さんの宝塚歌劇団に対する愛と、昭和への想いが溢れすぎ、
それが見事に客席に届けられた結果と思います。

「体操のお兄さん~finale」with 全員 …
ファンタスティック歌劇団で客席はあきらかに
お腹いっぱいだったはずなんですが、
「まだやるの?!」という体操を上演。
黒川一人が踊ると思いきや、
上演順に出演者が出てきて一緒に体操する始末に。
ほぼコントの衣装のままだったんですが、
唯一ユニット美人だけはブルマ姿で登場。
男女合わせて、「コンチン体操」と「チンチンカーニバル」の
両方を踊ったのは、ユニット美人だけです。
大丈夫か。
鳥山明氏の訃報もあり、
曲の途中で「Dr.スランプ アラレちゃん」のテーマになる(?)
部分では全員で「んちゃ!」して、哀悼の意を示しました。

上演時間
約80分

動員
218名(内招待5名・関係者16名)
今回も有料入場者数は200を超えられませんでしたが、
そもそもCapaが62席限界だったため、
すべてのステージでほぼ満席となりました。
制作的には満足のいく動員だったと思います。
THE GO AND MO'S始まって以来の大入袋を制作しました。
ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

今回始めて、30歳以下と高校生以下の料金設定を設けました。
結果は、30歳以下、高校生以下ともに約1割ほどのお客さまでした。
高校生以下は私たちと同世代のお客さまが子どもを連れて
やって来てくれたことが大きかったです。
しばらく前から行っているSNS割は8名で、全体の4%でした。
あんまり効果があるとはいえない数字ですが、
もうしばらく続けて浸透させたいと思います。

最も大きな結果は、SPACE LFANで上演が叶ったことでした。
前身の劇団「ベトナムからの笑い声」ではフランチャイズ劇場として、
GOMOでも何度も上演してきたこの劇場で、
再び公演が行えたことは、何より嬉しいことでしたし、
何人もの方から「またやれるようになるんですね」
「いい劇場ですね」とお声掛けいただきました。
以前のように稼働する事はできないかもしれませんが、
私たちの公演をきっかけに、
京都の小劇場の一つに戻れればよいなと思っています。

  1. 2024/03/21(木) 01:02:48|
  2. 公演報告
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

黒川の笑 その27 公演報告

THE GO AND MO'S 『黒川の笑 その27』
公演終了報告

日時
2023年12月17日(日) 14:00開演

会場
伏見いきいき市民活動センター 会議室305

料金
500円(終演後面白かったら追加歓迎)

クレジット
脚本・演出・出演/黒川猛
ゲスト/三田村啓示
構成/中川剛、黒川猛
音楽/Nov.16
制作他/丸井重樹
主催・企画製作/THE GO AND MO'S
京都芸術センター制作支援事業

ラインナップ
漫談師 クロカワモーズ…
この数年、様々なスタイルを試してきた「漫談」ですが、
自分の身近に起こったちょっと面白いことを、
虚実ないまぜにして軽く話すスタイルに落ち着いた最近。
今回は中高時代の実在した教師についてのドン引きエピソードを披露。
今から考えたらこれ、アラサー以降は笑えるかもですが、
10代・20代は笑えないかもしれませんね・・・。
ちなみに、レット・イット・ビーは、ジョンでなくポールです。

一日漫才師 三田川猛示…
今回のゲスト、三田村啓示さんの自己紹介がわりの漫才。 
黒川猛と三田村啓示を混ぜた安直なコンビ名で登場した二人。
三田村さんが今年の夏にアキレス腱を切ってしまった話から、
自己紹介を始める三田村さん・・・。
もちろんただの自己紹介ではないわけですが、
真面目に淡々と語る三田村さんに騙される人多発。

講談師 斎藤紋之丞…
R-1 GPに講談スタイルの漫談(?)を持ち込むことを決めた
クロカワモーズが、斎藤紋之丞師匠の前にネタを披露。
初期講談の名作「SMクラブ」を2分に縮めた「愛のムチ」。
その後、斎藤師匠の新作「恋占い」「ザリガニ」を。
いずれも過去に「斎藤記念美」師匠が活動弁士として上演したネタ。
講談にアレンジしても、気持ち悪さは変わりません。
自分で当時のことを振り返っても「どうかしてた」と語る、
気が触れたとしか思えないエピソード二本でした。

「MouTube #15」…
様々な俳優が「MouTuber」として登場し、
その映像に黒川と丸井が突っ込みまくる「MouTube」。
今回は今年8月にリリースされた3rdシングル「蒼に潜む街」の
プロモーションビデオが届きました。
アーティストはロシュフォール姉妹!
姉妹はかつて、「今コントやってるから!」にも登場。
歌を含めてどシュールなプロモビデオに、
突っ込む術のない黒川・・・。
これまでの「MouTube」はこちらから >>>LINK

コント「真実」…
黒川と三田村さんの新作コント。
過去3回の「黒笑」で制作した
"アニメキャラのその後"をモチーフとしたコント、第4弾。
アキレス腱を切ってリハビリ後とは思えないトリッキーな動きと、
「何人登場すんねん」というコロコロ変わるキャラ。
変態的俳優力をまざまざ見せつけられました。

コント「皮をむく」…
今回三田村さんと一緒に創作するにあたり、
黒川が密かにイメージしていたのが、劇団時代の盟友、
堀江洋一でした。
虫も殺さないような白い顔で奇声をあげ、
真顔でどエロイ下ネタを叫ぶ。
そんな狂気と妄想をうちに秘めたキャラを想像して書かれたコント。
とあるドキュメンタリー番組の収録スタジオ。
普段表に出てこない職業の方へのインタビュー。
どんな職業なのか。どんなルールとマナーがあるのか。
我々の勘は当たり、なぜそんな淡々と意味不明なことを繰り出せるのか、
想像以上のコントになりました。
特にコント最終盤、後に「三田村の60秒」と伝説になるだろう、
10分にも感じられる無言の時間は、すごかったです。

コント「記者会見」…
お客さま参加型コント。
事前に考えていただいた「三田村啓示さんへの質問」を、
「紅白歌合戦に出演が決まったサプライズゲスト・ロベルチーノ須藤」
に質問してもらう、というコント。
お客さまも三田村さんも、
どういう人に対する質問かはその場で初めて聞きます。
歌手なのか、俳優なのか、芸人なのかも分からず、
紅白歌合戦とロベルチーノ須藤という名前だけで
構成を余儀なくされた三田村さん。
だんだん声が小さくなり、しまいには何を言っているのか
意味までわからなくなるという所業に、ざわざわしました。
お疲れさまでした!

上演時間
約80分

動員
18名(内関係者1名)

  1. 2023/12/29(金) 16:00:05|
  2. 公演報告
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

黒川寄席DX vol.2 公演報告

THE GO AND MO'S 『黒川寄席DX vol.2』
公演終了報告

日時
2023年10月15日(日) 13:30/16:30開演

会場
ウイングフィールド >>>LINK

料金
予約1,500円  当日2,000円

クレジット
脚本・出演/黒川猛
ゲスト/藤原大介(劇団飛び道具)、玉田玉山(講談師)、森本研典(劇団●太陽族)
構成/中川剛、黒川猛
音楽/Nov.16
制作他/丸井重樹
当日運営アシスタント/花岡咲紀、熊澤洋介
主催・企画製作/THE GO AND MO'S
京都芸術センター制作支援事業

ラインナップ
創作落語「石焼き芋」|黒川猛…
初演は2020年8月(真夏!)「黒川寄席vol.8」。
その後何度か再創作された最新版。
”日本の秋”といえば・・・。
近所にやってきた二人の石焼き芋屋が繰り広げる、
客引き合戦。たった一つの芋におまけされる秋の味覚たち。
おまけはどんどんエスカレートしてついには・・・。
今回もゲスト出演者の前座として、
究極にバカバカしい話を披露しました。

創作落語「桃太郎」|藤原大介…
初演は2017年8月「黒川の笑 その5」。
「恩返し」「マッチ売り」に続く、昔話をモチーフにした創作落語。
何度か再演していたのですが、
今回藤原さんに上演いただくにあたって脚本を更に改定。
なんと桃太郎は女の子に・・・。
そんなメチャクチャな黒川落語を、
見事な上方落語に修正して上演してくれました。
本番直前の稽古を見た黒川が
「もはや悔しいとかのレベルではない、別の作品や」
と舌を巻いた、見事なリクリエーションでした。

創作講談「討ち入り」|玉田玉山…
初演は2021年12月「黒川寄席vol.24」。
その後、再創作を経て玉田さんに脚本を手渡しました。
旧題は「忠臣蔵」。講談の世界では超がつく有名なお話。
講談師である玉田さんは、このメチャクチャな創作落語、
曰く「日本の伝統芸能への冒涜」!
史実も曖昧、美談を下品にした黒川流忠臣蔵を、
「やり続ければ、これが真実になる、かもしれない」
講談として仕立て直して上演しました。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの講談師、見事な迫力で、
演じきりました。これもまた、もはや別の作品。

創作落語「杜子春」|森本研典…
初演は2020年3月「黒川寄席vol.3」。
前回に引き続き、芥川龍之介の小説をモチーフにした創作落語に
挑む森本さん。
コロナ禍に製作された作品らしく、
「声を出せない」修行に挑む主人公の「杜子春(としはる)」。
無言で、必死に身振り手振りで伝えようとする森本さんは、
やっぱり天性のコメディアンだなと再認識しました。

上演時間
約90分

動員
38名(内関係者10名)
前回以上の惨敗・・・。
毎回毎回そうですが、作品が面白かっただけに、本当に残念でした。
黒川の創作落語を新たに生まれ変わらせるという
企画の趣旨が見事にハマり、できれば続けていきたいのですが、
この動員結果ではしばらく凍結かな・・・。

  1. 2023/12/29(金) 15:24:04|
  2. 公演報告
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

黒川寄席DX 公演報告

THE GO AND MO'S 『黒川寄席DX』
公演終了報告

日時
2023年7月30日(日) 14:00/17:30開演

会場
ウイングフィールド >>>LINK

料金
予約1,500円  当日2,000円

クレジット
脚本・出演/黒川猛
ゲスト/延命聡子(中野劇団)、坂口修一、森本研典(劇団●太陽族)
構成/中川剛、黒川猛
音楽/Nov.16
制作他/丸井重樹
当日運営アシスタント/永澤萌絵
協力/舞夢プロ
主催・企画製作/THE GO AND MO'S
京都芸術センター制作支援事業

ラインナップ
創作落語「居候」|黒川猛
初演は2022年3月「黒川寄席vol.27」、旧題は「パパとママ」でした。
その後何度か再創作された最新版。
日本で最も有名な居候である"青たぬき"を追い出した
パパとママの元に、
どこかで聞いたようなキャラクターたちが
次々とやって来て新たな居候として居座ろうとする。
黒川得意のまったくもって緻密でない
デタラメかつ妄想過多なSFもの。
黒川による創作落語を
黒川以外の俳優に上演してもらう企画において、
黒川自身は何を上演するべしか。
やはり"黒川が演るのが一番面白いと思われるネタ"
ということになります。この「居候」もその一つ。
ゲストの前座をしっかりと務めました。

創作落語「鼻」|延命聡子
初演は2017年10月、
筒井加寿子さんのルドルフ「まつろはぬものの記」の
おまけ企画「黒川猛の座敷噺」。
筒井さんから下ネタ禁止と言われ、
芥川龍之介の小説「鼻」をモチーフに創作した作品。
てっきり下ネタは一切ない、と思って
延命さんにこの作品の上演を依頼したのですが、
まったくゼロではなかったとの指摘・・・。根深いですね。
今回、ゲストの皆さんには
黒川の上演を映像で見ていただけるようにしてはいましたが、
結局皆さん見ずに本番を迎えられました。
おかげで、純粋に黒川の脚本を
それぞれの俳優の個性で立ち上げられ、
新たな発見が沢山ありました。
この「鼻」もその一つ。
鼻が異様に大きい寺の和尚とその弟子の奮闘を描くにあたり、
異様に大きい鼻をどのように表現するのかが
ポイントでしたが、見事に演じきりました。

創作落語「巌流島」|坂口修一
初演は2021年2月「黒川寄席vol.14」。
その後、再創作を経て坂口さんに脚本を手渡しました。
歴史に名を残す有名なエピソードである巌流島の戦い。
宮本武蔵と佐々木小次郎、その人物像や戦い、
その結果に至るまで"諸説あります"。
果たして本当の巌流島の戦いとはどんなものだったのか。
「歴史とはこれ、勝者の戯言、言ったもん勝ちじゃ」が
これでもかと繰り返されるしつこさは、
坂口さんの真骨頂だったと思います。
それに加えて、坂口さんの作品はもはや"落語"というより、
一人芝居になっていました・・・。
座布団のみならず、高座さえも飛び越え、
自由に動き回る武蔵と小次郎。
これも、デキる俳優ならではの作品になりました。

創作落語「蜘蛛の糸」|森本研典
初演は2020年1月「黒川寄席vol.1」。
「鼻」で芥川龍之介の小説をモチーフにした創作落語に
味をしめた黒川による第2弾。
制作個人的には芥川シリーズの中でも、
黒川の創作落語の中で最も好きな作品です。
ちなみに芥川シリーズは第3弾「杜子春」へと続いていきます。
死神の手違いで地獄に落ちた"カンダタカシ"。
お釈迦様のはからいで生き返ろうとするのだが、
何度やってもうまく行かず・・・。
森本さんといえば第34回公演で4度目の再演となった
「喜劇王 犬飼チョップ」で魅せた"飛ぶ"仕草が秀逸ですが、
この「蜘蛛の糸」でも、鳩の羽を使って"飛ぶ"、
さぼてんの棘をお尻に刺して"飛び上がる"・・・など、
数々の仕草が面白くて仕方がないです。
そして最終盤に訪れる、扇子を使ったギャグでは
「絶対に受けませんよ」と俳優全員が太鼓判を押している
にも関わらず自信満々に演ってスベる(舞台袖だけ爆笑)という、
神業も披露してくださいました。

おまけ…
お客さま参加型コント。
西遊記のキャラに扮した4人が、
お客さまが書いてくださった台詞の書かれた紙を一枚づつ引いて、
発し、物語を進めていくというかなり難易度の高い即興コント。
ご想像のとおり、グダグダでしたが、面白かったです。

上演時間
約90分

動員
57名(内関係者4名)
17時半の回が動員奮わず、残念な結果になりました。
企画としては、予想通り黒川以外の俳優が演じる方が
面白いネタが見事にハマり、新しい発見も多数、
今後の創作に繋げられるよい機会となりました。
観に来てくださったお客さまにも好評でよかったです。
なお、高座に置いていた座布団があまりに貧相で(穴も空いていた)、
みかねたお客さまが座布団を寄贈してくださることに。
後日、制作の元に届けられました。
PXL_20230803_115210827.jpg
ありがとうございます!
次回以降の寄席は、この豪華な座布団で開催いたします。

  1. 2023/10/07(土) 03:17:43|
  2. 公演報告
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

黒川の笑 その26 公演報告

THE GO AND MO'S 『黒川の笑 その26』
公演終了報告

日時
2023年7月2日(日) 14:00開演

会場
伏見いきいき市民活動センター 会議室305

料金
500円(終演後面白かったら追加歓迎)

クレジット
脚本・演出・出演/黒川猛
ゲスト/茂山千之丞(大蔵流狂言師)
構成/中川剛、黒川猛
音楽/Nov.16
制作他/丸井重樹
主催・企画製作/THE GO AND MO'S
京都芸術センター制作支援事業

ラインナップ
漫談師 クロカワモーズ…
今年1月から始めた「THE演芸倶楽部」では、
クロカワモーズ名義で漫談を行っている黒川。
今回は新作"ものまね初めの儀""となりのトトロ2"
2本を披露した。
黒川漫談の原点に返り、
黒川本人が、有りそうでありえない妄想を
いかにも有ったかのように話すスタイル。
さすがの得意分野、この方向で研ぎ澄ましていけば
ますます面白くなりそうだ。
とある御一家の恒例行事「歌会始の儀」ならぬ
「ものまね初めの儀」で見た、珠玉のものまねとは?  
ある大御所映画監督の最新作「となりのトトロ2」の
試写会で観た驚きの内容とは? 
ゲストが茂山千之丞さんで、
THE GO AND MO'Sほぼ初見の観客を前に、
あえて攻めすぎた漫談2本でした。

狂言師 茂山千之丞…
今回のゲスト、茂山千之丞さんの自己紹介がわりのトーク? 
黒川に対抗し「これさえやればあなたも狂言師になれる」を紹介。
もちろん、ど頭からほぼ妄想。
個人的には、京都を裏で操る"七老人"がツボでした。

講談師「斎藤紋之丞」…
今回は黒川流講談一作目となる"わらしべ長者"の再演と、
新作"キャンプ"を上演。
"わらしべ長者"は1作目とあって
これまでで最も多く上演してきた鉄板ネタ。
怒涛の展開と限りなくしょうもないオチ。
狂気と妄想で彩られる黒川流講談の入門編。
"キャンプ"は狂気と妄想にド下ネタを加えた破門編。
あなたはユニクロの服を着た綾瀬○るかと、
水かきに甲羅とお皿は付いているが素っ裸の綾瀬は○か、
どちらがお好きですか?

「MouTube #14」…
様々な俳優が「MouTuber」として登場し、
その映像に黒川と丸井が突っ込みまくる「MouTube」。
今回は月末に行われる「黒川寄席DX」のゲストに
意気込み動画を送っていただきました。
延命聡子(中野劇団)さん、坂口修一さん、森本研典(劇団●太陽族)、
三者三様の映像、ご協力ありがとうございました。
これまでの「MouTube」はこちらから >>>LINK

コント「お通夜」…
黒川と茂山さんの新作コント。
誰かのお通夜会場。そこに現れる、故人の知り合いらしき男。
親族側の男は、どうしてもその知り合いらしき男のことを思い出せない。
何人かそれとなく確かめてみたがいずれもハズレ。
「覚えてないわなあ、僕のこと」「いやそんなことは・・・」
果たしてその人物とは?
過去2回の「黒笑」で制作した
"アニメキャラのその後"をモチーフとしたコント、第3弾。
え? あのキャラそんなことになってんの? のオンパレード、
そのうち誰が誰の話をしているのか分からなくなる得意の展開に。

コント「仮面ライダー?」…
ショッカーに襲われる黒川を助けるため、
仮面ライダーとして登場した茂山さん。
しかし一向に変身しようとしない。ボコボコにやられるライダー。
「なんで変身しないんですか?!」その理由とは。
狂言師である茂山さんを最大限悪用したコント。
まさに、茂山千之丞にしか出来ない作品でした。

コント「記者会見」…
お客さま参加型コント。
事前に考えていただいた「茂山千之丞さんへの質問」を、
「二代目ムツゴロウに就任したハタケヤマゴロウ」
に質問してもらう、というコント。
お客さまも茂山さんも、
どういう人に対する質問かはその場で初めて聞きます。
さすが百戦錬磨の狂言師、
そしてまさかのムツゴロウフリーク(ということが打ち上げで判明)、
どんな質問にも二代目ムツゴロウとして
マニアックに答えていく様は圧巻でした・・・。
お疲れさまでした!

上演時間
約60分

動員
31名(内関係者1名)
今回始めて、本番当日を迎える前に予約でいっぱいとなり、
当日はキャンセル待ちのアナウンスを出すことになりました!
茂山千之丞効果、おそるべし。

  1. 2023/10/07(土) 02:12:31|
  2. 公演報告
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ

プロフィール

goandmo

Author:goandmo
THE GO AND MO'S
公演ブログサイト

2012年1月より本格始動した
黒川猛のパフォーマンス企画ユニット
次回公演は「紅白激合戦2024」
公式サイトはこちら

最新記事

カテゴリ

公演情報 (55)
公演報告 (70)
スタッフより (255)
大塚の術とは (13)
妄想コント (29)
素人ドリル (214)
名言集 (141)
当て字 (9)
『身体』Web編 (25)
百聞企画 (20)
斎藤とは (16)
松村とは (16)
洋一とは (16)
安藤とは (15)
利夫とは (16)
野村とは (15)
菜緒とは (16)
橋本とは (16)
山方とは (16)
上野とは (16)
徳永とは (16)
直樹とは (16)
宮崎とは (16)
岩田とは (16)
西原とは (16)
白石とは (16)
春子とは (16)
岡山とは (16)
松尾とは (16)
新海とは (16)
後藤とは (16)
小野とは (16)
高木とは (16)
THE GO AND MO'S? (2)
未分類 (5)

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる