THE GO AND MO'S 第35回公演『稲川の神』
公演終了報告
日時
2024年3月
15日(金) 19:30
16日(土) 14:00/18:00*
17日(日) 14:00
4ステージ
*16日(土)18時開演の回終演後、
ポスト・パフォーマンス・トーク(ゲスト=坂口修一さん)
会場
SPACE LFAN(旧 スペース・イサン)
料金
予約 2,500円 当日 3,000円
30歳以下 1,800円 高校生以下 1,000円(いずれも予約・当日共、要証明)
*SNS割結果…8名の方が割引対象に。
最大2500円割引で、入場料0円の方がいらっしゃいました!
クレジット
脚本・演出・出演/黒川猛
出演/F.ジャパン(劇団衛星)
大熊ねこ(遊劇体)
岡嶋秀昭
ボブ・マーサム(THE ROB CARLTON)
ユニット美人(黒木陽子・紙本明子)
声の出演協力/中村彩乃(安住の地/劇団飛び道具)
藤原大介(劇団飛び道具)
構成/中川剛、黒川猛
音楽/Nov.16
制作他/丸井重樹
照明/真田貴吉
当日運営アシスタント/永澤萌絵
記録写真/仲川あい
協力/SPACE LFAN
舞夢プロ
(有)ライターズ・カンパニー
(株)リコモーション
お笑い&BAR 1UP
劇団飛び道具
THE ROB CARLTON
(一社)フリンジシアターアソシエーション
岩越信之助、片山知音、熊澤洋介、田中佑月、徳岡柚月、藤原千代
京都芸術センター制作支援事業
主催・企画製作/THE GO AND MO'S
ラインナップ
「お通夜」with ボブ・マーサム(再創作)…
初演は「黒川の笑 その26」(2023年7月)。
茂山千之丞さんと創作したコントを、
THE ROB CARLTONのキャプテン ボブ・マーサムさんと再創作。
名作漫画「サザエさん」の30年後、
フグ田サザエが52歳で亡くなったお通夜会場に現れる謎の男。
弟のカツオは、その人のことをどうしても思い出せない。
その割に、磯野家のことも近所のこともやたら詳しい・・・。
果たしてこの男は一体誰なのか。
火曜サスペンス劇場バリの推理コントになるかと思いきや、
全くならず、次々に繰り出される磯野家の秘密や
カツオたちの波乱万丈人生を披露して、
誰が誰と結婚してて、誰が誰の子どもなのか分からなくなる、
ムダに多い情報量を垂れ流して、ケムに巻くのが黒川流。
自ら創作する作品もお笑いに軸を置くボブさんが、
怒涛の展開を見事に捌き切ってくれました。
同じ「お笑い」とはいえ、GOMOとROBでは趣向が全然異なります。
初めは戸惑いもあったと思いますが、
本番ではすっかり黒川流コントの色に染まってくださっていました。
だけでなく、様々なアイデアを次々提供してくださり、
最終的にこのコントに関してはオチが新たに付け加わりました!
これぞ、り・クリエーションの極みです。
「ノスタルジー」with ユニット美人(再演)…
初演は「黒川の笑 その24」(2022年12月)。
名作アニメ映画「となりのトトロ」の数十年後。
サツキとメイとカン太の三角関係を描くラブヒューマンコント
・・・と思いきや、コントの枠組みをぶち壊す、メタコント。
突然照明が「演劇的」になり、モノローグを始めるサツキとメイ。
状況を飲み込めないカン太=黒川。
前回公演で上演した「奥様は魔女です!」も、メタコント構造でしたが、
この作品は更に振り切っていて、コントの構造としてかなり面白い。
再演でセリフはほとんど変わっていませんが、
それぞれのキャラクターを深く掘り下げ、
コント中コントの部分では、サツキ=黒木さんが上白石萌音に、
メイ=紙本さんが橋本環奈になり切って、
となりのトトロなのか、千と千尋の神隠しなのか、
それとも他のなにかなのか、よくわからない展開に。
最後に「となりのトトロ」で踊り狂うシーンでは、
初日からお客さまが手拍子をしてくれる事態に。
恐るべしユニット美人。
「正義のヒーロー!箱フェッショナル」岡嶋秀昭(再創作)…
初演は第13回公演「徳永の鯉」(2014年6月)。
その時は黒川が演じていました。
再演が第21回公演「安藤の癖」(2015年12月)。
この時、岡嶋さんがカバー。
再演から8年半。40代前半だった岡嶋さんと黒川(二人は同い年です)も、
50歳目前に。世間もずいぶん様変わりしました。
とある特撮ヒーロー番組の撮影現場。
正義のヒーロー「箱フェッショナル」に変身する前の状態
「箱男」の箱を巡る、ヒーロー俳優とスタッフのやり取りを延々と描く。
8年前には考えもしなかった「昭和」と「令和」の世代差、
ハラスメント、体育会系の扱い…
(これら全て、実は今放映中のドラマ「不適切にもほどがある」
でもやられてます)。
令和6年に上演するにあたり、岡嶋さんと相談しながら、
台本や設定にかなり手を入れ、
まさに現代のコント作品にリクリエーション出来ました。
不条理コントの体をなしていますが、
これも世代感のギャップ、昭和とはなにか、令和とはなにかを鋭く問う、
ある意味社会派コント…とは言えんかw
「箱でやっていくんやろ!箱男で闘っていくんやろ!世間と!!」
には、毎回涙が出ました。面白くて。
「未来」with F.ジャパン(再演)…
初演は「黒川の笑 その25」(2023年4月)。
名作漫画「ドラえもん」の40年後。野比のび太50歳。
未来からやってきたドラえもんは、
野比のび太を抹殺するためにやって来る・・・。
次々明かされる未来の出来事。
これまでの関係性から当初の目的を果たせないドラえもん。
そしてのび太から知らされる真実。
といった物語は、本当に全く関係なく、
これもコントの構造をことごとく裏切るメタコント構造の作品と言える。
シーン毎の名台詞っぽいところでかかる菅田将暉の「虹」。
繰り返されるイントロから歌詞までのフレーズ。
初演では、最後にかかる「タモリ倶楽部」のテーマソングに
突っ込んで終了していましたが、
このコントも「再演」と言いながらオチが大幅に変わっています。
もはや突っ込むことを止めてしまいました・・・。
シュールにもほどがある!
この作品のもう一つの見どころは、
F.ジャパンさんの容姿を最大限悪用したドラえもんの様だ。
今回は手に白い靴下を付けて、グーの状態をリアルに(?)表現。
稽古場で何度もその姿を見ていると、
もうドラえもんにしか見えなくなってくるという
中毒症状を引き起こされる。
他の出演者や観客からは「可愛い」という謎の褒め言葉まで・・・。
恐るべし。
「ファンタスティック歌劇団」with 大熊ねこ(再創作)…
初演は第34回公演「中村の嘘」(2022年10月)。
とあるオーディション会場にやってきた女優。
ロミオとジュリエットが題材だったのだが、
何を思ったか2分でロミオとジュリエットを演じきってしまう。
その異様さに不採用にしたい演出家と、
どうしても採用されたい女優の挑戦が始まる。
初演時は稽古場で大喜利が繰り広げられ、
その中から厳選したネタを本番で上演したわけですが、
今回はそれらを更にブラッシュアップさせる作業に。
そのかいもあり、最初の2分で拍手が起こる回が続出。
その後のネタも受けに受け、
それまで上演してきた4本のコントを吹き飛ばす勢いに。
初演時に製作してもらった衣装を今回も着用。
髪の毛も半分染めていただき、
メイクも3時間かけて2つの顔を描ききる。
大熊さんの宝塚歌劇団に対する愛と、昭和への想いが溢れすぎ、
それが見事に客席に届けられた結果と思います。
「体操のお兄さん~finale」with 全員 …
ファンタスティック歌劇団で客席はあきらかに
お腹いっぱいだったはずなんですが、
「まだやるの?!」という体操を上演。
黒川一人が踊ると思いきや、
上演順に出演者が出てきて一緒に体操する始末に。
ほぼコントの衣装のままだったんですが、
唯一ユニット美人だけはブルマ姿で登場。
男女合わせて、「コンチン体操」と「チンチンカーニバル」の
両方を踊ったのは、ユニット美人だけです。
大丈夫か。
鳥山明氏の訃報もあり、
曲の途中で「Dr.スランプ アラレちゃん」のテーマになる(?)
部分では全員で「んちゃ!」して、哀悼の意を示しました。
上演時間
約80分
動員
218名(内招待5名・関係者16名)
今回も有料入場者数は200を超えられませんでしたが、
そもそもCapaが62席限界だったため、
すべてのステージでほぼ満席となりました。
制作的には満足のいく動員だったと思います。
THE GO AND MO'S始まって以来の大入袋を制作しました。
ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。
今回始めて、30歳以下と高校生以下の料金設定を設けました。
結果は、30歳以下、高校生以下ともに約1割ほどのお客さまでした。
高校生以下は私たちと同世代のお客さまが子どもを連れて
やって来てくれたことが大きかったです。
しばらく前から行っているSNS割は8名で、全体の4%でした。
あんまり効果があるとはいえない数字ですが、
もうしばらく続けて浸透させたいと思います。
最も大きな結果は、SPACE LFANで上演が叶ったことでした。
前身の劇団「ベトナムからの笑い声」ではフランチャイズ劇場として、
GOMOでも何度も上演してきたこの劇場で、
再び公演が行えたことは、何より嬉しいことでしたし、
何人もの方から「またやれるようになるんですね」
「いい劇場ですね」とお声掛けいただきました。
以前のように稼働する事はできないかもしれませんが、
私たちの公演をきっかけに、
京都の小劇場の一つに戻れればよいなと思っています。
- 2024/03/21(木) 01:02:48|
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