秘密のドル売り指標を使ったシステムのポートフォリオ例
- 2010 11/21 (Sun)
今回は、秘密のドル売り指標(笑)を使ったトレーディングシステム群の取り扱いについて述べていきます。
仮に、いまがドル売りなのかドル買いなのか大雑把に判定する指標を見つけたとすると、その指標でEURUSD,GBPUSD,USDJPY,USDCHF・・など複数のドルストレートペアで期待値が正のトレードを行うことができるはずです。
例えば、「米金利が下げたらドル売り」というように、ドル売り指標には為替レートではないものを使います。
ドル売りサインが出れば、EURUSD,GBPUSD,AUDUSD,NZDUSDをロングし、
USDJPY,USDCHF,USDCADをショートします。
ドル買いサインが出れば、逆にEURUSD,GBPUSD,AUDUSD,NZDUSDをショートし、USDJPY,USDCHF,USDCADをロングします。
ドル売り、買いのタイミングは1つの指標で決定されるので全通貨同じタイミングとなります。
各通貨ペアのパフォーマンス(バックテスト)は以下の通り。
EURUSD PF1.43 1トレード平均損益+17.6pips
GBPUSD PF1.50 1トレード平均損益+25.0pips
AUDUSD PF1.51 1トレード平均損益+15.5pips
NZDUSD PF1.36 1トレード平均損益+10.4pips
USDJPY PF1.49 1トレード平均損益+17.2pips
USDCHF PF1.44 1トレード平均損益+19.2pips
USDCAD PF1.31 1トレード平均損益+11.9pips
※スプレッド考慮前
※トレード数は全通貨同じで887回
ここで、スプレッドが高く、またパフォーマンスも比較的良くないUSDCAD,NZDUSDの2つを省き、残りの5通貨ペア(EUR,GBP,JPY,CHF,AUD)でどうにか運用可能なポートフォリオを組んでみましょう。
モダンポートフォリオ理論により、
この5つのシステムの日次リターンや標準偏差、そしてお互いの相関から最適な比率を求めることができますが、今回はもっと簡単な方法をとります。
理論的な最適比率によって取引枚数を決めても良いのですが、その枚数に端数が生じた場合、それを実際に取引可能な枚数に引き上げることで全体のポジションがかなり大きくなってしまったり、日々のポジション調整が煩雑になったりするのを回避しました。
まず通貨ペアごとに5つの資産曲線を見てみましょう。
(1)EUR
(2)GBP
(3)JPY
(4)CHF
(5)AUD
R^2で見たときの安定性では、GBP,AUDが良いようです。
5個を全部足し合わせたときの資産曲線ver.1は以下のようになります。
(つまり5種類を1枚ずつトレードしたときの資産曲線です)
(6)5通貨(資産曲線ver.1)
R^2=0.981となり、どの単一通貨のR^2よりも高くなるので少し分散効果が出ているのかもしれません。
しかし考えてみるとこれは5つのペアで一斉にドル売り(ドル買い)のポジションをとるリスクの高いポートフォリオです。
もしポジションが逆行すれば1日で大きな損失を被ります。
事実、1日の最大損失は1162pipsにもなります。
たった1日でこんなに負けてしまう可能性のあるシステムを少ない資金で運用するのはかなり厳しいでしょう。
では、先ほど見た資産曲線で安定性の高かったGBPとAUDのみで運用したらどうでしょう?
そのときの資産曲線は以下のようになります。
(7)GBP + AUD
R^2=0.988となり、上の5個全部足したときよりも若干上がりました。
しかし1日の最大損失はまだ843pipsあります。
この値と、この資産曲線の傾き(=1日の平均獲得pips)の13.8との割合で考えると、5個全部(ver.1)のときよりも悪化していることがわかります。
つまり安定性の高いもの同士の組み合わせによるポートフォリオは失敗と言えます。
では次に、各資産曲線の相関を考慮してEURのみ逆のトレードを行ったときの資産曲線を調べてみます。
(ドル売りサインで、EURUSDのみドル買い、残り4通貨ペアでサイン通りドル売りを行うということです)
(8)EURヘッジ
R^2=0.988となり、5個全部足した資産曲線ver.1より若干良くなってます。
1日の最大損失も638pipsまで減少しました。
資産曲線の傾きは21.2ですから、割合で考えても資産曲線ver.1よりも良い値です。
EURをヘッジとして他の4つのポジションとは逆に建てる効果が出ていると言えるでしょう。
もし私が限られた資金でこのシステムの運用をスタートするとしたとき、まずは1通貨単体で運用します。
収益性と安定度からGBPを選択すると思います。
資金に余裕で出てくれば、最後に挙げたEURでヘッジするバージョンに切り替えるのが良いでしょう。
以上、複数通貨に対応したシステムを運用する際のポートフォリオ例(簡易版)でした。
仮に、いまがドル売りなのかドル買いなのか大雑把に判定する指標を見つけたとすると、その指標でEURUSD,GBPUSD,USDJPY,USDCHF・・など複数のドルストレートペアで期待値が正のトレードを行うことができるはずです。
例えば、「米金利が下げたらドル売り」というように、ドル売り指標には為替レートではないものを使います。
ドル売りサインが出れば、EURUSD,GBPUSD,AUDUSD,NZDUSDをロングし、
USDJPY,USDCHF,USDCADをショートします。
ドル買いサインが出れば、逆にEURUSD,GBPUSD,AUDUSD,NZDUSDをショートし、USDJPY,USDCHF,USDCADをロングします。
ドル売り、買いのタイミングは1つの指標で決定されるので全通貨同じタイミングとなります。
各通貨ペアのパフォーマンス(バックテスト)は以下の通り。
EURUSD PF1.43 1トレード平均損益+17.6pips
GBPUSD PF1.50 1トレード平均損益+25.0pips
AUDUSD PF1.51 1トレード平均損益+15.5pips
NZDUSD PF1.36 1トレード平均損益+10.4pips
USDJPY PF1.49 1トレード平均損益+17.2pips
USDCHF PF1.44 1トレード平均損益+19.2pips
USDCAD PF1.31 1トレード平均損益+11.9pips
※スプレッド考慮前
※トレード数は全通貨同じで887回
ここで、スプレッドが高く、またパフォーマンスも比較的良くないUSDCAD,NZDUSDの2つを省き、残りの5通貨ペア(EUR,GBP,JPY,CHF,AUD)でどうにか運用可能なポートフォリオを組んでみましょう。
モダンポートフォリオ理論により、
この5つのシステムの日次リターンや標準偏差、そしてお互いの相関から最適な比率を求めることができますが、今回はもっと簡単な方法をとります。
理論的な最適比率によって取引枚数を決めても良いのですが、その枚数に端数が生じた場合、それを実際に取引可能な枚数に引き上げることで全体のポジションがかなり大きくなってしまったり、日々のポジション調整が煩雑になったりするのを回避しました。
まず通貨ペアごとに5つの資産曲線を見てみましょう。
(1)EUR
(2)GBP
(3)JPY
(4)CHF
(5)AUD
R^2で見たときの安定性では、GBP,AUDが良いようです。
5個を全部足し合わせたときの資産曲線ver.1は以下のようになります。
(つまり5種類を1枚ずつトレードしたときの資産曲線です)
(6)5通貨(資産曲線ver.1)
R^2=0.981となり、どの単一通貨のR^2よりも高くなるので少し分散効果が出ているのかもしれません。
しかし考えてみるとこれは5つのペアで一斉にドル売り(ドル買い)のポジションをとるリスクの高いポートフォリオです。
もしポジションが逆行すれば1日で大きな損失を被ります。
事実、1日の最大損失は1162pipsにもなります。
たった1日でこんなに負けてしまう可能性のあるシステムを少ない資金で運用するのはかなり厳しいでしょう。
では、先ほど見た資産曲線で安定性の高かったGBPとAUDのみで運用したらどうでしょう?
そのときの資産曲線は以下のようになります。
(7)GBP + AUD
R^2=0.988となり、上の5個全部足したときよりも若干上がりました。
しかし1日の最大損失はまだ843pipsあります。
この値と、この資産曲線の傾き(=1日の平均獲得pips)の13.8との割合で考えると、5個全部(ver.1)のときよりも悪化していることがわかります。
つまり安定性の高いもの同士の組み合わせによるポートフォリオは失敗と言えます。
では次に、各資産曲線の相関を考慮してEURのみ逆のトレードを行ったときの資産曲線を調べてみます。
(ドル売りサインで、EURUSDのみドル買い、残り4通貨ペアでサイン通りドル売りを行うということです)
(8)EURヘッジ
R^2=0.988となり、5個全部足した資産曲線ver.1より若干良くなってます。
1日の最大損失も638pipsまで減少しました。
資産曲線の傾きは21.2ですから、割合で考えても資産曲線ver.1よりも良い値です。
EURをヘッジとして他の4つのポジションとは逆に建てる効果が出ていると言えるでしょう。
もし私が限られた資金でこのシステムの運用をスタートするとしたとき、まずは1通貨単体で運用します。
収益性と安定度からGBPを選択すると思います。
資金に余裕で出てくれば、最後に挙げたEURでヘッジするバージョンに切り替えるのが良いでしょう。
以上、複数通貨に対応したシステムを運用する際のポートフォリオ例(簡易版)でした。
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