
2011-05-08 Sun 21:40
![]() 『GUNSLINGER GIRL』の最新刊(13巻)を先日読了したのですが、あまりの内容に頭が真っ白になりました(挨拶) これまで長らく謎となっていた物語の始まりともいえる「クローチェ事件」が前巻にて明らかになり、それもまたショッキングな内容だったのですが、いよいよ今巻では仇敵・ジャコモ・ダンテとの最終決戦へと突入します。 舞台はミラノ原発、そこを占拠したのが五共和国派を束ねる国際的テロリストで爆破テロのプロ、ジャコモ・ダンテ。 「原発」に「テロリスト」なんて今まさに世間を騒がせているテーマに世界情勢の縮図を見た気がします。 そんな13巻を読んでいると、また別の何かを感じずにはいられません。 連載当初、「義体」と呼ばれるあどけない少女たちが様々な銃器や体術を駆使して、国の闇の仕事を請け負うという設定のほうにアンテナが反応して、いわゆるその「ギャップ」を楽しんでいました。 しかし話が進み、それぞれの少女たちの過去や素性を描くにつれ、そういった面よりも彼女たちの未来に救いを求めるようになってきました。 五共和国派の尖兵・ピノッキオ戦を皮切りに、戦いは激化。 ![]() ![]() ピノッキオVSトリエラ戦 自らの体を傷つけようとも、標的をしとめる。 その凄惨な戦いぶりと少女たちの未来を生きようとする姿に目が釘付けになります。 この感覚、、最近どこかで感じたと思ったら『魔法少女まどか☆マギカ』において体感していたのです。 『魔法少女まどか☆マギカ』の魅力のひとつとして蒼樹うめ先生によるほんわかしたキャラデザイン、そして一癖もふた癖もある脚本を書かせたら右に出るものはいないと言っても過言ではない虚淵玄氏という組み合わせによる「ギャップ」 少女と過酷な運命 ここに二つの作品の共通点があると感じたのです。 ■設定における類似点 『GUNSLINGER GIRL』 少女たちはそれぞれ一度死んだも同然な状況におかれるも、政府により兵士として体を「義体化」(サイボーグ化)して生き延びることに。 任務がない時は、義体化する前にはなかったささやかな「幸せ」を得ることができるようになった。 しかしその代償として、任務があれば自らの命を投げ打ってでも標的をしとめる危険もある。 任務によって傷ついた体を癒すためには「条件付け」と呼ばれる薬物投与が必要、その副作用として記憶障害、身体の機能低下が起き最後には死んでしまう。 『魔法少女まどか☆マギカ』 魔法少女としての契約を交わせば、何でもひとつだけ願いをかなえることが出来る。 ただし魔女と戦う宿命を背負う。 魔法を使用し魔女と戦い続けるとともに、自らの体ともいうべき「ソウルジェム」は穢れていく。 それを浄化しなければ本人は魔女になってしまい、他の魔法少女に殺される。 ここで本人の意思の有無ってのは両作品に共通しませんが、他の部分はかなり似ているように感じます。 ■戦う少女としての類似点 どちらの作品も少女は戦うために生きています。しかしその終わりのない戦いの果てに待つのは「絶望」。 その戦いは苛烈を極め、時には ![]() マミマミされたり 時には ![]() 四肢を吹き飛ばされたり、 ![]() しかしそれでもなお戦う姿には息が詰まります。 こういった少女であろうと容赦のない戦いの描写において両作品は通じるものがあり、そして自分はそんな少女が壊されていく様を見たくない、、、けど見たいというなんとも救いがたい気持ちにさせられ、それはまさに虚淵テイストを見事に表現した「まどか☆マギカ」との類似点であると思います、。 ■少女は救われるのか 「魔法少女まどか☆マギカ」においては最終回において、実に虚淵さんらしい救いと同じだけの絶望をもたらした結末でした。 ならば「GUNSLINGER GIRL」における結末とは何か。 そのひとつの答えでもあり、物語の転換期となったのが第9巻でした。 >>関連記事 ◇『GUNSLINGER GIRL』9巻 記憶障害が著しくなり、体の機能も低下して死を待つのみとなったアンジェリカ。 素体のころの幸せな記憶と、義体としてマルコーから得た幸せの記憶が愛犬ペロによって呼び戻され、記憶を失ってもなお「パスタの国」の話は覚えていて、それを話しながら担当官のマルコーら公社の大人たちに見守られて、戦いに死することなく寿命を全うしたその姿に涙しましたな。 安らかに眠るように死んだという点に救いがあるともいえますが、「義体」として生きたアンジェリカのデータが一般市民、社会への還元されたという部分が一番の救いになっていたと思います。 義体には一期生と二期生という区別があり、主に作品では一期生を重点的に描いています。 一期生は義体ごとに運用が異なり、そのため薬物投与による「条件付け」が重く、寿命が短い。だが戦闘能力は極めて高い。 二期生は「条件付け」を軽く、寿命を延ばしているが戦闘能力は一期生より劣る。 この13巻では「決死」の覚悟でジャコモ・ダンテと対峙するために、一期生を全員投入しています。 ![]() ヘンリエッタのように記憶を失うようなことがあっても恨まないと担当官のヒルシャーに遺言を残し、戦いに赴くトリエラ ![]() 刺し違えてでもジャコモ・ダンテを殺す、という担当官のジャンの言葉に今まで見せたことのないような反応を示すリコ ![]() 戦いを見届けるものとして残るクラエス そしてその中でもすでに義体としての寿命が尽きようとしているヘンリエッタ。 彼女は担当官のジョゼによって、最期の条件付けをされ記憶を消されています。もうこれ以上の条件付けは体が持たない、すなわち二度とジョゼとの幸せな日々を取り戻すことも、思い出すこともできなくなっているのです。 ![]() ジョゼ「これが報いか、、、。」 そんな彼女に救いはあるのか?13巻の衝撃のラストは、まさに「まどか☆マギカ」10話を見た後のような、結末の見えない非常に興味を惹きつける構成だと思います。 未来のない少女たちをどう救済して、その人生を終えさせるのか、、、他の義体、とりわけトリエラの結末が個人的には気になりすぎます。(救済がなかったらただの悪趣味な作品になってしまう危険性もありますね) ■まとめ 13巻はとにかく常に死を背後に感じ続け、息が出来ないほどの戦いの連続に何かを書きとめておきたいという気持ちになりました。 ようするに「まどか☆マギカ」好きな人で「ガンスリ」読んでない人は読んでみるといいよ!という話でした。 もちろん戦う少女が好きな方、ミリタリー関係の描写(銃器のディティールや使用感、任務遂行における軍隊的な行動etc)が好きな方など「ガンスリ」を構成する要素をバラしても十分に楽しめると思います。 特に今回は僕の大好きな狙撃銃のバレット50口径が出てきたので超たぎりましたけど、それで少女の体を吹き飛ばしてしまったもんだから僕はどういう顔して読んだらいいか困りましたw ■蛇足 この漫画の帯が好きでしょうがない。センスというか劇中からのチョイスが神。以下、勝手にランキング。 1位 むかしむかし、パスタの好きな女の子がいました。(9巻。これだけで泣くレベル) 2位 必死に生きて、そして死のう。(10巻) 3位 憎しみというか殺す理由は十分に。(3巻) 9巻以降はホント、心を抉られるような展開ばかりですよなぁ。 / ̄ ̄\ <しかし画像がトリエラ多めなのはなんでなの? / ─ ─\ | ( ●)(●) ___ . | U (__人__) / \ | |r┬-| /─ ─ .\< お姉さん肌で褐色ツインテ少女 . | `ー'´} \ / (⌒) (⌒) \ でニヒリストなツンデレとか . ヽ } \ ...| (__人__) | 最高じゃないですか! ヽ ノ \ \ ` ⌒´ _/ / く. \ \ ノ \ エッタちんの妹的な可愛さも | \ \ (⌒二 | いいんだけどやっぱトリエラが | |ヽ、二⌒)、 \ | | 一番好きだからかな。
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ガンスリはアニメ2期が本当に残念でした。
声優変更でひと騒ぎされ、あとはどうにも低調な作画・演出のおかげですっかり駄作認定されてますし。 ただ、実のところ相田氏自ら手がけただけあって、シナリオと構成は本当に素晴らしいんですよ。 原作ではいまひとつ繋がりを感じ辛かった各エピソードが上手く整理・連結されて、公社と五共和国派との一つの戦いの流れになっていると理解しやすくなってます。 また、声の違和感を除けば(見てるとそのうち慣れますが…矢尾氏のマルコー以外は)きっちり原作準拠のキャラクターが魅力的なのは言わずもがな、原作では不自然だったりした台詞の修正もされてますしね。 原作者としていい仕事をしたのに、アニメ制作会社の力不足で相田氏まで評価してもらえないのは本当に残念です。あまつさえ戦犯扱いまでされたりして…悲しいなぁ。
2011-05-10 Tue 11:40 | URL | 通りすがり #-[ 内容変更]
類似点が多いとはいえ、一緒にしてほしくはないな
作品の重さがまるで違う
2011-05-14 Sat 08:47 | URL | #-[ 内容変更]
>通りすがりさん
いやー2期ガンスリは相当でしたねwボクも6話くらいまで見てたんですが、声やら性格やらの不一致、作画崩壊が我慢できなくなって切りました。 でも今になって見返すとまた新たな発見やら見直すべきところがわかってくるかもしれないので、そういわれてしまうと見てみたいですね。 ゲームについてた1期(?)の雰囲気はすごく好きでした。 >名無しさん 言いたいことはすごく解ります。この作品を読むとき(9巻以降は特に)すげー心の準備しますもん。 とりあえず物語の着地点の見えなさあたりを楽しみたい人に薦めてみたいと思いました。 |
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