2009-05-29 Fri 08:55
いやー、『けいおん!』、盛り上がってますね!\(^O^)/(ん?いきなりタイトルと関係ないぞw)
なんかこう「音楽」を題材とした作品をもっと読んでみたい!という気持ちが放送前よりも150%ほど多くなっている気がします。 そしてそんな中、個人的に自分がこれまで読んできた音楽漫画の原点ともいえる上條淳士先生の『TO-Y』を押入れのコンテナBOXから引っ張りだして6,7年ぶりくらいに読んでみました。 (全10巻・ワイド版は全5巻) 改めてみると、『TO-Y』以降に世に出た音楽漫画における音の見せ方の原点はこの『TO-Y』にあるのでは!?と思えるほど、その表現方法の多彩さ、印象深さ、聴き手の感動の伝え方は洗練されていてとても25年前の漫画とは思えませんでした。 また作品としての出来も素晴らしく、主人公・藤井冬威の熱く・激しく・濃密な16歳の半年間を駆け抜けるように描き、またその中で80年代のTV番組、芸能界、音楽、アイドル・インディーズといったサブカル的な要素を多く絡め皮肉る(パロ?)時代性もあり、それらを多く含んだ個性を持った魅力的なキャラクターたちがばかりの隙の無い傑作でした。 そんな『TO-Y』の一番の魅力である音の表現についてちょっと語ってみたいと思います\(^O^)/ 漫画っていう媒体は当然、紙なわけですから音が出るはずもありません。 まぁ別に音楽漫画に限らずとも、なにかしら楽器が出たりしたら音を擬音化してコマに描き込むくらいの表現はあったと思います。 ■TO-Yにおける音の表現その1 古典的技法 吹きだしの中に歌詞をいれ、楽器音を擬音化して表現する。 「TO-Y」以前の漫画における音楽の表現は、おそらくこういった方法が主流だったと思います。 しかしこういった技法一つとっても『TO-Y』では、それまで以上に洗練された構図で描かれ、その楽器の持つ迫力を直感的に感じさせてくれます。 メロディが聴こえてくるわけでもないのに、この「ギュオン!」や「ドシャンドシド」、「バビボビボビボボビボ」といったいかにもテクニシャンな音を想像できる擬音を視覚的なインパクトを伴った形で描き込んでます。ベースとかやけにかっこいい! 『TO-Y』ではこれらの表現方法はむしろ少なかったのですが、その次に多かった音の表現方法がこれでした。 ■TO-Yにおける音の表現その2 TVのカメラアングルを意識したようなページカット ここで重要なポイントは歌はおろか楽器の音までも描き込まれてないこと。でもなぜか伝わってくる音に初めて読んだときは衝撃を受けました。 キャラクターの個性や楽曲のジャンルをカット割りで表現してしまっている凄さ。 バンドとしての演奏を1ページにまとめたり、アイドルは背景に照明などの効果(エフェクト)を配したり、ジャズのシックでアダルトなイメージを出すためにコマ枠の外、はたまたキャラクターまでも黒で統一して表現したりとそれまで単純だった音の表現の幅を一気に拡げた表現技法だと思います。 ■TO-Yにおける音の表現その3 広い空間において音の迫力と生々しさを伝えるページカット 音楽漫画のハイライトとでもいえるライブシーン。それを表現するにもこれまでにない大胆な手法を取り入れていたように感じます。 ページを大胆に割いて、演奏者らの様々な表情や動きを緻密に描き込み、ライブの臨場感をビリビリ感じさせるページカットの数々。 1話のうちに限られたページ数をここまで大胆に使い、かつその内容の濃さを伝えきれた作品というものは中々ないのでは無いでしょうか。 そしてそれらの集大成だったともいえる伝説的なカットがこちら 音が聴こえない漫画でここまで演奏の凄さと躍動感・緊張感が伝わってくるカットは後にも先にもこれが一番だと個人的に思ってますw 後世の音楽漫画、「BECK」や「NANA」はここらあたりの影響を特に受けているように感じます。 でもこれに影響を受けて(インスパイア?)されて、最初に自分の漫画に持ち込んだ(ネタにした)のは久米田先生の『南国アイスホッケー部』だったと思いますww このページカットがそのまま使われていたのは当時笑撃的でした、、w(単行本を持ってないので画像がなく伝えられないのが悔しい!w) ギャグ漫画にまで影響を及ぼすとは、、、『TO-Y』、、恐るべしっw! ■TO-Yにおける音の表現その4 演奏シーンの始まりと終わりを伝える印象的なカット 展開上、大きな山場となる演奏シーンにおいて読者に対して特に印象を深く残すために使われた表現の数々。それらがまた詩的だったり、過度なまでかっこつけていたりして印象的でした。 G.A.S.P ラストGIG 伝説のインディーズバンド、G.A.S.Pにおける冬威のラストGIGのシーン。アンダーグラウンドな雰囲気が伝わってくる実に写実的な1枚。 陽司VS冬威 初対決(ライブ)における陽司の存在感の大きさ 音楽の才能の上でライバル関係となる冬威と陽司の初対決(冬威は陽司のバックバンドでベースをやってる)だったけど、観客は誰一人として冬威に目が行くことがなく、陽司の凄さを伝える印象的な〆のカット。 冬威、武道館デビューコンサート 衝撃のデビューを伝えるに相応しいあまりにもかっこよすぎるカット。 こういう着飾ったセリフがすんなり入ってくるのも冬威の魅力の一つ。 冬威、陽司の最後の競演 すべてのしがらみが解放され、音楽を素直に楽しむ二人を表現したカット。左はライブの始まり、右はライブの終わり。 描き込み量も後半からハンパなかった。これが少年サンデーで週刊で連載されていたなんて信じられませんw(自分が読んだのは連載終了後2年ほど経ってた。) とにかく洗練されていたカットが多かったです。 ■TO-Yにおける音の表現その5 実験的ともいえる1話まるまるサイレント 陽司と冬威のコンサート動員数勝負の初日に使われたドキュメンタリー風カット。 まるで自分がコンサートのクルーにでもなったかのような、ライブが始まるまでの様々な人の様子が吹きだしも効果音もないまま、ひたすらサイレントの状態で進んでいくというあまりにも実験的な表現。 後半になるにつれ、心臓の鼓動だけが次第に大きくなり、最後の1ページ前で ライブスタート!この音のエネルギーの開放感は凄いの一言! オチはアレでしたけどねw ■TO-Yにおける音の表現その6 聴き手のリアクション 聴き手のリアクションは見方を変えれば読者のリアクションにもなりうるわけですが、表情の変化、心の中でのつぶやきなどを段階的に見せて、より読者の心に響かせるような表現が多かったように思います。 特に純真なまでの冬威の音楽を愛していたニアは涙を流すときと流さないときがあり、流すときの感動の度合いの大きさ、自然に涙が出てくる様があまりにも秀逸でとても気に入ってます。 この表現って今の音楽漫画でもよく見られますよね。 それらの感動に上條先生の透明感溢れるセンスが光るリアクションがこれ。 ニア「踊ってないと泣いちゃう、、、」 この感動を伝える役も担っていたニアの存在、翻って読者の視点に立てる存在はとても重要だと思いましたね。 ■まとめ いかかでしたでしょうか。とても25年前の漫画とは思えないほどに洗練されていると感じられたと思います。 これまでに生まれた音楽漫画のヒット作のどれにもこれらの表現の影響を受けていると感じます。 個人的にこれまでに感動した、痺れた音楽漫画の場面は(パッと思いついたもの) 「のだめカンタービレ」の千秋とシュトレーゼマンのオケでの最初の競演(ラフマニノフ) 「ピアノの森」5巻のカイがはじめてコンクールに出場したときの演奏 「BECK」のグレイトフルサウンドにおける3rdステージでの演奏 そのどれもが音が聴こえないのに感動し、震え、涙がでてしまうという素晴らしいシーンでした。 結論として 漫画の可能性ってば凄いっ!そしてその可能性を切り開いた『TO-Y』はもっと読まれるべき! ってことで\(^O^)/ ■独り言 他にもオススメの音楽漫画、もしくは音楽シーンを含む漫画などあったら教えてください。 「コータローまかりとおる」のバンド編や、「特攻の拓」の天羽編なども中学生のころめっさ痺れながら読んでたなぁ~。 >>関連 ■「けいおん!」の閉じた内輪の世界から、開かれた新しい世界へ。(記事元:たまごまごごはん様) この視点の変化の考察にはうなされまくり。 だから最後のライブはどういった風に演出、表現されるのか楽しみでなりません。 個人的に今回とりあげた「サイレント」の表現あたりに近いような目線、いわゆる視聴者の目線でのライブの表現みたいなのを期待してます。第3者的な視点からまるで学園祭の中に入り込んで楽しんでいるような感じで、最後にライブをガッ!と決めて欲しいなぁ。
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昔サンデーでシャウトっていうバンドマンガがありました。
面白かったような普通だったような・・・
2009-05-29 Fri 19:36 | URL | AS #7FrXHhSQ[ 内容変更]
TO-Yよりさらに古い30年前、
森脇真末味が「緑茶夢」「おんなのこ物語」の2作品で マンガの音楽描写を一気に進化させたと思います。 切り開いたのが森脇で、洗練させたのが上條、みたいな。 少女マンガですが、当時から浮いてた作家だし 絵も巧い人なので、読みやすいですよ。 (渋谷陽一あたりも絶賛してた記憶があります。) 上條淳士も彼女の作品を意識してたんじゃないかなあ。
2009-05-29 Fri 22:36 | URL | #-[ 内容変更]
>ASさん
そんな漫画あったかな~と思って調べたら「ワンダースクールボーイ」の清水洋三が描かれていたヤツですね!うっすら記憶にはありますが内容はさっぱり覚えてませんがw 打ち切られた上に単行本もないので読めませんね!>< >名無しさん
調べてみたらホント絵がきれいで読みやすそうですね~。30年前かぁ、、生まれて間もないくらいだから知るはずもありませんでしたw教えてくださりありがとうございますっ!\(^O^)/ 復刊したようで入手できそうなので探してみます~。 ドリーム・ジェネレーションという、アルフィーをモデルにした漫画があります。
万人向けの作品ではないかもしれませんが、音楽ネタが散りばめられており ツェッペリンの武道館コンサートなども描かれています。
2009-06-02 Tue 19:54 | URL | #-[ 内容変更]
4spirits/枝松克幸
この作品で色んなアーティストを知ることができましたw 40ベイビーズ / ななし乃与太郎 これもよかったなぁ
2009-06-02 Tue 21:09 | URL | #-[ 内容変更]
音楽シーンのある漫画・・・でパッと思いついたのが「ファンシィダンス」(岡野玲子)
全9巻中2巻までは主人公がバンド活動していますが、お坊さん青春?漫画です。 音楽描写としてもそんなに優れてはないけれども、話はとても面白いです。
2009-06-03 Wed 19:13 | URL | k #o25/X8aE[ 内容変更]
TO-Yはキチンと読んだことがないので
このエントリを見て読みたくなりました。 大友克洋が70年代後半に登場後、TVのカットのような技法を漫画に持ち込み、それを上條淳士が音楽を表現する手法へとさらに応用させたように見えます。 上條はTO-Y連載開始時に20代前半、高校生ぐらいの時に大友の童夢が連載されているのでかなり影響されてるのではないかと?
2009-06-04 Thu 09:05 | URL | croissant #-[ 内容変更]
>名無し1さん
ググってみましたがこれは初めて見ましたー。しかもアルフィー公認なんですなw 初期のアルフィーを知るには完璧ともあるようで、全9巻、、あったら読んでみたいです^^ >名無し2さん
4SPILITS、、これまたググったら少年画報社の漫画ですね。ヤングキングは読んでませんでしたから全然知りませんでした。 40ベイビーズ、、高校中退でパンク、、、TO-Yに通じるものを感じますねw いろんな作品があるんだなぁ~。 >kさん
ググッたらお坊さんのDVDが出てきて噴いたですw(映画にもなっているんですね、あの周防監督で。) お坊さんのバンド、、、一体どんな音を出すのか聞いてみたい気もw >croissantさん
嬉しいなぁ~。ぜひ読んでください!\(^O^)/ その世代ごとに影響された漫画で新たな可能性を含んだ作品がたびたび登場してくるんですよね~。 最近出た上條先生の『DOG』っていうの読んだんですが、ちょっと洗練されすぎて漫画として読みづらくなってる気がしました。カッコいいんですがね。 狩撫麻礼さんが原作で谷口ジローさんが描いていた
「ライブ・オデッセイ」というのがあったのを思い出しました 上條さんの感じとはかなり違いますけど、気が向いたら 読んでみてください けっこう昔のなので探しても見つからないかもですが
2009-06-24 Wed 23:20 | URL | Koz #HfMzn2gY[ 内容変更]
>Kozさん
うわー、谷口ジローさん超好きなんで読んでみたいですねー!ちょっとググってみて調べたページを見た限りかなり面白そう!復活して燃え尽きるまでの物語とかもろツボかもしれません。 絶版だから入手の望みは薄いですが覚えておきます!ありがとうございました~^^ノシ 個人的には、音楽漫画の傑作といえば、さそうあきらの「神童」とかくらもちふさこの「いつもポケットにショパン」辺りを思い浮かべます。エポックメイキングな音楽表現だったかどうかは別として。
あと、TO-Yのパロで思い浮かべるのは、究極超人あ~る(TO-Yを使ったドデカホーンの広告をパロった奴)ですw
2009-07-18 Sat 11:08 | URL | ななす #-[ 内容変更]
>ななすさん
「神童」ってたしか映像化されてませんでしたっけ?たしかその時本屋さんで平積みされてた記憶があってあれは読まないといけないなと思ってたので今度買って見ます。 「いつもポケットにショパン」は初耳でした。復刊したようなのでこれも探してみまーす。情報ありがとうございます\(^O^)/ 究極超人あ~るが今すぐ手元で確認できないところにあるのですが、なんかそういうパロがあったような気がします。 |
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2009-05-30 Sat 09:53 İ????Υ?
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