朝日新聞の印象操作

 「対談」は実現しないまま、小倉さんのブログは閉じられた。
 職業柄、議論することに煩わしさは感じない。それでもつくづく思う。
 「あれはもはや、議論とはいえない」と。

これについては、既に
【朝日新聞】ブログを荒らすネット右翼(mumurブルログ)
http://blog.livedoor.jp/mumur/archives/50484324.html
で触れられていますが、全くその通りで、

嘘は書いてないが、重要な部分を隠蔽して事実を誤解させる。

ように思われます。
事情を知らない人が読めば、これをどう受け止めるであろうか。


『小倉弁護士が「ネット右翼」との対談を呼びかけたが、誰も応じなかった。
以後も「ネット右翼」の攻撃は続き、そのため止むを得ず、小倉弁護士のブログは閉鎖された。』


もちろん、記事にそう書いてあるわけではありません。
しかし、そのように受け止められる可能性が高いのではなかろうか?少なくとも説明不足であることは確かです。
(ここで、朝日新聞が、読者にそういう印象を植え付けようとしたと断定するのはためらわれる。ただし、傍証が無いわけではない。それについては後ほど書く。)


実際の経緯は以下の通り。
続・カミングアウト募集(2005年02月10日)
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/3f83a3c11b066bc4753eb1ac30808fd6
のコメント欄において、
「月下獨酌」というハンドルの方が立候補。(2005-02-10 11:47:10)


それに対し、小倉弁護士は、

さっそくパソコン系の雑誌社に企画を持ちかけたいと存じます。

と返答。(2005-02-10 12:10:22)


その後、どうなったかというと、

●まとめコメント(コメントスクラムと「常識」の押し付け)2005年02月19日
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/8a8e98f6dfab451194cac91e2fe5ce0c
●人権擁護法案と憲法2005年03月11日
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/07edbb0a421ccb053e54bf48e31fbbc7
●fpop氏への回答2005年03月27日
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/a5ab82accd7eb4bbc2e99c97677c9889
●Au Revoir!! 2005年04月30日
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/71300755d5c128fe645e371a30c73a83

のコメント欄でやり取りがあり、最終的には取りやめになったようであるので、
「対談」が実現しなかったのは事実ですが、理由はよくわからりません。


事実なのだから、おかしくないと言うことはできません。なぜなら、そもそも、

小倉さんはたまらず、対談を呼びかけた。
「カミングアウトしてくださる方を求む」

とあって、

「対談」は実現しないまま、小倉さんのブログは閉じられた。

と続く記述が何のために書かれたのか。理由も無いのに書くはずがないのです。
ところが、事実ではあっても、それを書く必然性が見つからないのでです。
小倉弁護士の呼びかけに「反応は無かった」と読者に印象付ける意図があった場合のみ、必然性があると思われるのであります。

次に、

小倉さんのブログは閉じられた

ですけど、
Au Revoir!! 2005年04月30日
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/71300755d5c128fe645e371a30c73a83
によると、

Hotwiredの特別企画として開設されてきたこのblogですが、Hotwired Japan 側のリニューアルに伴い、今月いっぱいで終了することとなりました。

というあります。そして現在は、
Annex of BENLI
http://benli.typepad.com/annex_jp/
BENLI BLOG
http://benli.cocolog-nifty.com/
で引き続き活動されております。


事情を知らずに、朝日の記事を読むと、まるで「ネット右翼」の攻撃に耐え切れず、ブログを閉鎖したかのように見えます。そう読者が思う可能性は非常に高いでしょう。


朝日的と言えば朝日的ですが、それにしても、これほどひどい記事は久しぶりに見たように思います。

「ブログ時評」と朝日新聞記事

前の記事で、朝日新聞が読者に、
小倉弁護士が「ネット右翼」との対談を呼びかけたが、誰も応じなかった。
という印象を植え付けようとしているとの推測を書きました。


これはあくまで仮定の話ではありますが、同様の印象を持った人は多いでしょう。


ところで、実際は、小倉弁護士の呼びかけに応じた人はいるのですが、それにもかかわらず、応じなかったと信じている人が実在するのです。


「団藤保晴」という方です。
団藤氏のブログ、「ブログ時評」には以下のような記述があります。

「ネット右翼」と目される集団が押しかけ、多数のコメントの山を残した「小倉秀夫の『IT法のTop Front』」では、ネット右翼というものがあるのなら自分こそと名乗ってみて、との趣旨の呼びかけがされたものの、反応は無かったようだ。ネット上で主に対中国、対韓国・北朝鮮、対マスメディア関連で右翼的言辞を並べているブロガーの立場には共通点がある。「自分は真ん中。右に見えるのは、あなたが左にいるからでしょう」といった感覚。そして、自分のブログを持たず、コメント欄だけに書き散らしているグループと大集団を作って居心地の良さに納得している。

公論の場を貧しくするネット右翼の病理 [ブログ時評13]
http://dando.exblog.jp/2198849/


「ネット右翼」と目される集団が押しかけ
と、小倉弁護士のブログにコメントを書いているのが「ネット右翼」であると断定しています。(小倉弁護士自身はそうは言っていないと思います。)


また、
呼びかけがされたものの、反応は無かったようだ。
と、実際は応じた人がいたにもかかわらず、無かったと書いています。


朝日新聞の記事と奇妙に一致します。


この「団藤保晴」という人が何者であるかというと、ブログを見れば「記者」であることがわかります。
どこの新聞社かというと、本人がブログ上で公表していないので、ここには書きません。(なぜ公表しないのかと言えば、その会社は社員のブログ禁止だということを、以前どこかで読んだ記憶がありますが定かではありません。ちなみに某雑誌では堂々と公表しています。)

「ネット右翼」と呼ばれて

朝日新聞、今日の朝刊。


萎縮の構図6 ブログに群がる「ネット右翼」
異質な意見 匿名で攻撃


当時、「Torie」というハンドルでコメント書いてました。
「昨年2月初め」とあるので、それ以降、俺が書いたコメントを列挙しておきます。
俺が「ネット右翼」かどうかは各自の判断に任せます。


小倉秀夫の「IT法のTop Front」
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/


新しいテクニカルタームの創造(2005年02月13日)
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/8da3e502a5982e7ac28d2c6bf53ec979

錯覚 (Torie)

2005-02-14 00:36:27

ちょっと見ない間に、凄いことになってますね。

思うに「ブサヨ」・「プロ奴隷」(初めて聞きますが)と言うのは実在する個人又は集団を侮蔑的に呼ぶものだと思われます。これらと「ネット右翼」を同系列の用語だとするとき、当然「ネット右翼」も「実在する個人又は集団を侮蔑的に呼ぶ」用語となりましょう。

人間を思想で分ければ「右翼・左翼」の二通り、あるいは「中間」を入れて三通りの内のどれかに該当するわけですから、単なる分類を侮蔑的ニュアンスで呼んでいるにすぎません。そしてその分類から「右翼は〜だ」とか「ブサヨは〜だ」とかの評価が出てくるのです。

一方、先生のおっしゃる「ネット右翼」には、特定のブログに集中的に批判的なコメントを投稿する人たちというニュアンスがあります。

しかし、これはあらかじめどこかで談合したのでそうなったのではありません。それは単に先生の書いたことに、多くの人が興味を持って、それに対して何らかのコメントをしたいと思った人が多かった「結果」にすぎません。「当 た り 前」のことです。

そして先生の書いたことが「(公平に判断した結論であるとしても)結果的に左寄り(左右で分けた場合)」であるのですから、批判を書く人が「右寄り(同上)であるのも「極 め て 当 た り 前」です。

要するに、原因は先生の書いたことが「(いろんな意味で)とても面白かった」ので、多くの人が関心を持ったからということに尽きます。結果として、コメントが集中したからといって、そこに「意味」を見出そうとするのは「擬似科学的」であります。

Unknown (Torie)

2005-02-14 15:16:10

ところで自分は「コメントスクラム」の定義が未だに理解できていません。

2月9日のエントリーにある「品位を欠くコメントを執拗に投入したり、匿名掲示板などで個人情報を晒すなどの相手のいやがる行為を行う」とあります。
次に2月10日のエントリーでは、「最近他人のblogを攻撃して閉鎖に追い込んだ方々」とあります。
そして2月10日のエントリーのタイトルは「コメントスクラムを受けてみて」であり、「内容の乏しい侮辱、名誉毀損、脅迫、人格攻撃系のコメント」とあります。

してみると、単に大量のコメントが集中することが「コメントスクラム」ではなく、悪意のあるコメントが集中するのが「コメントスクラム」であると理解してよろしいのでしょうか?しかし悪意があるかないかは誰が判断するのでしょうか?先生のブログのコメントを見た限りでは、確かにそういう種類のコメントがないとは言えませんが、そういう種類のコメントに限ってみれば、それほど大量にあるとは思えません。また「批判の対象となる文章を正確に読むことをせずになされているもの」もあるでしょうが、それは必ずしも悪意によるものではなく、単なる勘違いによることもあるでしょう。ちなみに自分も「正確に」読んでいるのかどうか自信がありません。

ただし、これはあくまで自分の感想です。先生自身が「コメントスクラム」を受けたと言っているのですから、先生はこれらを悪意のあるものだと認識しているということでしょう。先生は「常識的なモラル感覚」というものを持ち出していますが、先生の考える「常識的なモラル感覚」と自分が考える「常識的なモラル感覚」には大きなズレがあります。結局、「コメントスクラム」かどうかの判断基準は受けた人の主観によるものであるという理解でよろしいでしょうか?
すると、本人は自覚していないのに、結果的に「コメントスクラム」となる可能性もありますね。もしかしたらこのコメントも、断じてそんなことをしているつもりはないわけですが、先生には「コメントスクラム」であると認識されているのかも知れませんね。

要するに自分にはどれが「コメントスクラム」で、どれがそうでないのかがわからないのです。

どのコメントが「コメントスクラム」であるのか明記していただけたら、先生の言う「コメントスクラム」の具体像がわかるのですけれど・・・あるいは、何月何日のコメントには何件の「コメントスクラム」があったというのでもよろしいかと思います。

以上を踏まえて、理解力の乏しい自分にもはっきりわかる「コメントスクラム」の定義をお示しいただければ幸いに存じます。長文失礼しました。

定義がはっきりしなければ混乱します (Torie)

2005-02-14 23:53:01

とにかく小倉先生が「メディアスクラム」をどう定義しているのかをはっきりさせるべきです。
定義がわからないのに議論しても、空虚な議論でしかありません。
過去のエントリーを読んでみましたが、ますます混乱しているところです。

1月10日には、
「当該思想集団から大量の批判的コメントやAAが継続的に寄せられること」
とあります。ただ、「AA」についてはわかりますが、「批判的コメント」については、「コピー&ペースト」や「一行レス」のようなものを指すのか、それとも「真面目な批判」をも含むのかがわかりかねます。
ところで、「メディアスクラム」について、先生は
「マスメディアの「素朴な正義感」に引っかかる言動を行った人間がマスコミに取り囲まれ質問やら批判やら罵詈雑言やらを浴びせかけられて身動きがとりにくくなる」と定義しています。しかし、この「メディアスクラム」の定義が一般的なものなのかはわかりかねます。単に取材が集中することとすることもあるようです。「メディアスクラム」をどう理解するかによって、「コメントスクラム」の理解も左右されるように思われます。
しかし、下の方には、
「節度のあるコメントもコメントスクラムの中に混じっていたとしても大量に批判的なコメントが押し寄せた場合」
とあります。つまり、「節度のあるコメント」も「コメントスクラム」の中に含まれるように思われます。
すると、問題は「集中」にあるのであって、コメントが集中している状況(つまり今のような状況)の時には、「いかに節度のあるコメント」であっても、「批判的なコメント」をする行為自体が問題であると理解できます。

そういう理解でよろしいのでしょうか?
もしそうであれば、今書かれているコメントの大半は的はずれなものということになります。
しかし、上の方に書きましたが、そうではなく、「内容の乏しい侮辱、名誉毀損、脅迫、人格攻撃系のコメント」を問題にしていると受けとれるところもあります。

両者は重なる部分もあり、似ているように見えますが、問題としては、全く違う問題であると思います。
「誹謗・中傷」がよろしくないというのは、大方の同意するところだと思います。ただし、このブログにおけるコメントにそれに該当するものがどれほどあるのかというのが問題となります。
「批判的なコメントの集中」が問題だとするのであれば、これは(どの程度を集中と言うのかという問題はありますが)確かに現在の状況に当てはまるかも知れません。これについては意見が分かれるでしょう。

繰り返しになりますが、この興味あるテーマを意味のあるものにするためには、先生の「定義」をはっきりさせる必要があるということを述べておきたいと思います。

プロバイダ責任制限法第4条の見直し(2005年02月15日)
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/2cdde17365f2ff70e71f374756f8c734

少なくとも日本では (Torie)

2005-02-15 17:28:14

フランスではどうだか知りませんが、日本では、インターネットに限らず、新聞の投書等でも、氏名その他の個人情報を公にすると、投稿は著しく減るものと思われます。そして、先生の思惑とは逆に、投稿者は日本の平均的な社会像から大きく歪んだ、特定の層に偏ることが予想されます。

なぜなら、氏名を公表する時に人はリスクとリターンを考えますが、それはその人の属性によって、大きく異なるからです。
「現役の会社員」と「定年退職した人」では、前者のリスクは高く、後者のリスクは低いです。
「一般人」と「特定の思想団体」に所属する人では、前者のリターンは少なく、後者のリターンは高いです。
結果、某新聞の投書欄などは、老人や市民団体構成員の投書が占める割合が高くなる傾向になっていると思われます。

また、人は社会的動物ですから、人間関係を円滑にするために公共の場では「無難な答え」をする傾向があります。
ネットで意見を表明する人は「意見を表明」するために投稿するわけですから、「無難な答え」をするくらいなら、最初から投稿などしません。そんなことをする人は「出会い」を求めている人くらいでしょう。

もちろん「匿名」に問題があることは、先生が指摘するまでもなく、誰でもわかることではありますが、「非匿名」にすれば、以上のような問題が生じてきます。その「偏った意見」を「世論」としてきたのが「既存のマスメディア」です。
「無名の人」が意見を表明できる場を提供したことが、ネットの掲示板等が大きく発達した原因でしょう。

それが嫌ならば、「匿名のコメントは削除する」「会員制の掲示板を作る」等の処置をすればよいでしょう。それは今でもできることです。この処置をして「被害」を受けるのは「匿名の投稿者」だけで、「実名の投稿者」には、何の被害があるとも思われません。

それではだめなのでしょうか?

あとついでに言っておきますが「実名」にすれば、不愉快な投稿がなくなると思ったら大間違いです。無意味な投稿を繰り返す「荒し」や「誹謗中傷」はなくなるでしょうが、「批判的な投稿」は決してなくなりません。むしろわざわざ「実名」にするような投稿者は粘着質なタイプが多いので、執拗に投稿を繰り返し、「閑散」なコメント欄が、そういう投稿で埋め尽くされるという事態になる可能性が非常に高いと思います。


「組織化」は鍵ではない(2005年02月22日)
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/c8c6c1a94c076cea1b9be10d2182c04f

なにはなくとも定義付け (Torie)

2005-02-23 15:08:48

もう何度も言われていることですが、とにかく「先生が考えるコメントスクラムの定義」をはっきりさせるべきですね。
もちろん、そうしたら、その定義や名前の適格性に対する「コメント」が寄せられるでしょうが、今よりはるかに建設的な議論になると思うのですけれどね。
一応、先生の「定義らしきもの」を、もうちょっと穏健な言葉で書いておきますね(誤読しているかもしれませんけどね)

1 短時間に多数のコメントが寄せられること。
(4時間の間にコメントとトラックバックがあわせて40本程寄せられたとのことですが、そういう事態に襲われたら、これら全てに返事を出そうという気が起こらなくなるというのは、私には理解できます。その中に敵意を感じさせるものが含まれていたりすれば、恐怖感を感ずるのは、それほど特殊ではない感情でしょう。)

2―A 短時間に「批判的なコメントが」多数寄せられること。(批判が目的)
(ある種の思想集団(必ずしも組織化されているものを指しているわけではありません。)の気に入らない発言をblogで行うと、当該思想集団から大量の批判的コメントやAAが継続的に寄せられることがしばしばあります。)

2―B 短時間に「批判的なコメントが」多数寄せられること。(楽しむが目的)
(コメントスクラムを楽しんでおられる方々からは批判を受けておりますが)

3 短時間に「悪意ある」批判的なコメントが多数寄せられること。
(その思想集団に属するものによるblog主または第三者を貶めようという言動)

4 短時間に「悪意ある目的を持った」悪意ある批判的なコメントが多数寄せられること。
(品位を欠くコメントを執拗に投入したり、匿名掲示板などで個人情報を晒すなどの相手のいやがる行為を行うことにより、自分とは異なる意見を表明する者に、そのblogを継続する意欲を奪う、あるいはblogを継続することに恐怖を感じさせる人々)

(番外) 「組織化されたもの」と「組織化されていないもの」に区別はない。
(必ずしも組織化されているものを指しているわけではありません。)

以上

朝日の記事は意味不明

それにしても、俺は事情が多少わかっているが、事情がわからない人が朝日の記事を読んで、理解できるのであろうか?

東京弁護士会に所属する小倉秀夫さん(37)のブログに寄せられるコメントの数は多いときでも月に20前後だった。それが昨年2月初め、10倍近くに急増した。
 普段はIT関連の問題について考えを掲載している。そこに、他人のブログに攻撃コメントをしつこく投稿する行為をいさめる意見を載せた。その直後のことだった。
 コメントの大半は批判だ。差出人の名前の欄は「Unknown」。匿名だった。「あなたは勘違いしている」「なぜ非を認めないのか」・・・・
 回答しないと「このまま逃げたらあなたの信頼性はゼロになりますよ」。反論すれば、再反論が殺到した。
 議論の場から離れることを一時も許さない「ネット右翼」だ。
 数年前からネット上で使われだした言葉だ。自分にとって相いれない考えに、投稿や書き込みを繰り返す人々を指す。右翼的な考えに基づく意見がほとんどなので、そう呼ばれるようになった。

実に不思議な文である。
「他人のブログに攻撃コメントをしつこく投稿する行為をいさめる意見を載せた」
ところ、批判が寄せられた。
「議論の場から離れることを一時も許さない「ネット右翼」だ。」


何で???朝日新聞の定義によると、「ネット右翼」とは、
「右翼的な考えに基づく意見がほとんど」なのだそうだ。
読者の中には初めて聞く人もいるだろうから、そういう人は「ネット右翼」とはそういうものだと理解するだろう。
しかし、肝心の議論の中身は、「靖国問題」とか「憲法改正問題」とかではなく、
「他人のブログに攻撃コメントをしつこく投稿する行為」(これも朝日の言い分だが)
についてなのである。そこに「右翼」も「左翼」もなかろう。
それとも、朝日の理解では、
「他人のブログに攻撃コメントをしつこく投稿する行為をいさめる意見」
は「左翼的」であるから、それを攻撃するのは「右翼的」ということになるのであろうか?


わけわからん。


一応、朝日の立場になって考えてみると、そういうことではなく、「ネット右翼」とは、
「自分にとって相いれない考えに、投稿や書き込みを繰り返す人々」
のことであり、「右翼的な考えも左翼的な考えも含まれる」が「右翼的な考え」が多い。という意味に受け取れなくもない。
とすれば、朝日は、小倉弁護士のコメント欄に書き込んだ人間は「ネット右翼」であるとは言ったが、
「右翼的」であるとも「左翼的」であるとも言ってはいないということもできなくもない。
しかし、そう理解する人間はほとんどいないであろう。

朝日の記事は事実と異なる(その1)

それにしても朝日の記事は事実と著しく異なります。

東京弁護士会に所属する小倉秀夫さん(37)のブログに寄せられるコメントの数は多いときでも月に20前後だった。それが昨年2月初め、10倍近くに急増した。
 普段はIT関連の問題について考えを掲載している。そこに、他人のブログに攻撃コメントをしつこく投稿する行為をいさめる意見を載せた。その直後のことだった。


小倉秀夫の「IT法のTop Front」は2004年10月に開始。
2月以前、30以上コメントが寄せられたエントリー(スパムコメントは除く)

●残念!!(2004年11月26日)
(備考:はてなの住所登録義務付け案を撤回について)コメント数33
●日本共産党はなぜドアポストにこだわるのか?(2005年01月13日)
コメント数82
●blog主の個人情報を電子掲示板等に勝手に公開する行為の法的問題(2005年01月15日)
コメント数30
●共用スペースと住居侵入罪(2005年01月17日)
コメント数51
●NHKにおける匿名告発(2005年01月18日)
(備考:若隠居氏初コメント。俺も初コメント)コメント数75
●切り札はぎりぎりまで切らないのがずるい大人の心得(2005年01月24日)
(備考:若隠居氏のコメント削除される。)コメント数64
●公開フォーラムとしてのテレビの機能と政治家の器量(2005年01月30日)
コメント数104


2月以降

●「不快」なものは「不快」なのです。 (2005年02月06日)
コメント数31
●政府高官がNHKをコントロールすることは放送法の趣旨に反するか(2005年02月08日)
コメント数45
●他人のblogを閉鎖に追い込むことはむしろ恥ずかしいことだ(2005年02月09日)
コメント数142
●カミングアウトして下さる方を求む(2005年02月10日)
コメント数200
●続・カミングアウト募集(2005年02月10日)
コメント数210

以下略


「多いときでも月に20前後」というのは明らかに間違っています。
また、ブログ開設時(2004年10月)よりも、時間が経過すれば、読者数は増えていることが推定されます。ちなみに俺がこのブログの存在を知ったのは2005年1月16日のエントリーを読んだときです。
また、共産党関連のエントリーのコメント数が多いのは、「右翼的な考えに基づく意見」のせいではありませんね。
そして、「他人のブログに攻撃コメントをしつこく投稿する行為をいさめる意見を載せた」その直後ではなく、
それ以前、すなわち「朝日新聞」の「NHK従軍慰安婦番組改編報道」に関するエントリーのコメント欄が既に賑わっていたことも朝日の記事を読んだだけではわかりませんね。その後、有名ブログや2ちゃんねるに取り上げられて、注目されるようになり、読者数は飛躍的に増えたと思われます。読者数が増えればコメントが増えるとは必ずしも限りませんが、考慮する必要があるでしょう。

朝日の記事は事実と異なる(その2)

引き続き、今日の朝刊から。

議論の場から離れることを一時も許さない「ネット右翼」だ。
 数年前からネット上で使われだした言葉だ。自分にとって相いれない考えに、投稿や書き込みを繰り返す人々を指す。右翼的な考えに基づく意見がほとんどなので、そう呼ばれるようになった。
 小倉さんはたまらず、対談を呼びかけた。
「カミングアウトしてくださる方を求む」

これもまた事実と異なります。


カミングアウトして下さる方を求む(2005年02月10日)
http://blog.goo.ne.jp/hwj-ogura/e/7ab6e31d926c63c38e5a80fd72321fa8


確かに小倉弁護士は、「ネット右翼」に呼びかけていますが、小倉弁護士のブログにコメントを書き込んでいる人を「ネット右翼」だとは書いていません。(注:その後、言及したかもしれませんが、全てをチェックしているわけではありません。少なくともここではそう書いてはいません。)

このエントリーで小倉弁護士は、「ネット右翼」について、

 ところで、少し前くらいから「ネット右翼」というテクニカルタームが日本のインターネット事情を語る上ではしばしば用いられます。そのサブカテゴリーとしては、様々な「嫌○○厨」と呼ばれる(○○の中にはそれぞれの集団が忌み嫌う対象が入る。)グループがいるようです。「ネット右翼」と「ネットを活用する右翼」とは私的にはちょっとずれがあるような気がするのですが、その違いを私はまだ言語化出来ていません。

と、書いています。
要約すれば、最近、「ネット右翼」という用語をよく聞くけど、それは一体どんな人達なんだろう?ってことです。それで、

 最近の一連の騒動の関係でこのblogを巡回対象に入れて下さった「ネット右翼」の方々も少なからずおられるでしょうから、折角のよい機会ですので、どなたかカミングアウトして「ネット右翼」の代表として様々な場で語って頂けないでしょうか。

と呼びかけたのです。
『blogを巡回対象に入れて下さった「ネット右翼」の方々』
と書いてあるのであって、
『コメント欄で私を攻撃している「ネット右翼」の方々』
とは書いていません。


ただし、小倉弁護士のエントリーの書き方が問題で、その前に、自分が「言ってもいないことで批判される」などと書いているものですから、小倉弁護士のブログのコメント欄に書き込んでいる人が「ネット右翼」であると言っているような印象を与えています。また、

どういう性別の、どういう世代の、どういう経歴の方が、何をきっかけに、何を目的として活動をしているのか、ネット上での「政治活動」にどれくらいの時間を使い、それ以外の時間は何をしているのか、スポンサーはいるのか全くのボランティアなのか、「ネット右翼」同士ではどのような交流があるのか、家族や友人は自分が「ネット右翼」として活動をしていることを知っているのか、知っているとしたらどう思っているのか等基本的なことを私たちは全く存じ上げていません。

と書いていますが、「全く存じ上げていません」としながらも、すでにここにある程度の「決め付け」が含まれていると思われます。
また、「ネット右翼」という用語は、今でも一般に使われているとは思えませんが、当時、この用語を使う人間は、「左翼」、しかも「左翼」の中でも一部の特殊な人達であったと思われ、かなり突飛な印象を与えました。
それについて書くのが本題ではないので詳しくは書きませんが、それが読者の反発を呼んだのは確かでしょう。


それはともかく、裏読みすればいろいろなことが考えられますけど、少なくとも表向き、この時点では、小倉弁護士は、自分が「ネット右翼」の攻撃を受けているなどとは書いていません。


ということは、

議論の場から離れることを一時も許さない「ネット右翼」だ。

というのは、「朝日新聞の記者の思い込み」でしかありません。


そして、

 小倉さんはたまらず、対談を呼びかけた。
「カミングアウトしてくださる方を求む」

とありますが、小倉弁護士のエントリーを読む限りでは、
「ネット右翼」という用語があるが、それがどういう人達なのか確かめたいので、もし読者の中に「ネット右翼」がいるなら名乗り出て欲しい。
という以上の意味を読み取ることができません。


事実と全く異なります。