NUKE入門! 画像サイズをマスターする10項目のルール
- 2016/07/15
今回は、NUKEにおける画像サイズ、つまりコンポジットの解像度のルールについて紹介してみたいと思います。
After EffectsからNUKEに移行するユーザーが必ず戸惑うところかと思います。After Effectsでは「コンポジション」と呼ばれる、いわば「空の箱」を作って、そこにレイヤーを入れていくことで合成作業を行います。Photoshopも同じように、カンバスがあり、そこにレイヤーを入れていきます。「横○ピクセルx縦○ピクセル」という、解像度が決まった「箱」があるわけです。しかし、NUKEには、一見そういうものがありません。
NUKEでは、ノードをViewrにつなぐと、Viewer画面の右下に数字や文字で画像サイズが表示されます。
しかし、Viewerに何をつなぐかによって、その都度コロコロと変わってしまいます。根本的に、After EffectsやPhotoshopとは異なります。混乱しそうですが、実はNUKEではいくつかの単純なルールにのっとって画像サイズを扱います。NUKEにおける画像サイズをマスターする10項目のルールを紹介したいと思います!
Viewerパネル以外のところにマウスカーソルを持って行って、キーボードの[S]を押します。ProjectSettingsのプロパティー画面が表示されます。ここに[full size format]という、画像サイズを指定する項目があります。
[full size format]は、とても重要な設定です。そのNUKEファイルで基準となる画像サイズで、さまざまなノードで[root.format]という名前で登場することになります。 基本的に[full size format]は作業をはじめる最初にきちんと設定し、その後は変えるべきではありません。もし作業したあとに[full size format]を変えてしまうと、いろんなノードの[root.format] が変わってしまって、コンポジットがぐちゃぐちゃになってしまうかもしれません。なお、[full size format]のドロップダウンの中に使いたい解像度がない場合、ドロップダウンの"new"から新しく作成できます。
[full size format] の影響力は、実はほぼすべてのノードに及びます。ためしにMergeノードをひとつ作成し、キーボードの[1]を押してViewerにつないでみてください。[full size format]の画像サイズになっていると思います。
BlurノードもTransformノードも同じです。画像サイズを持つほとんどのノードは、それ単体では [full size format] になります。
画像サイズをユーザーが簡単に変更できるノードもあります。たとえば、NUKEで「色平面」を作成する[Constant]ノード。作成すると[format]という項目が"root.format"となっています。やはり、[full size format]に依存しています。しかし、[format]のドロップダウンで、簡単に別の画像サイズに変更することができます。
CheckerBoardノード、ClolorWheelノード、ColorBarsノード も同様です。Image(画像)カテゴリーのノードは、このように画像サイズを簡単に指定できるものがあります。
RotoノードやRotoPaintノードなども、同じように画像サイズを指定可能になっています。単体では[full size format]の画像サイズに依存しますが、変更もできます。ちょっと分かりにくいですが、"clip to format"の下にある三角形をクリックすると[format]という項目が現れます。"root.format"になっています。
ここでRotoノードの画像サイズを変更することができます。このように、ノードによっては画像サイズを指定できる場合もあります。
ここまでの説明で、ほぼすべてのノードは [full size format] の影響下にあることが分かりました。しかし、もちろん例外もあります。素材を読み込む、Readノードだけは別格です。
Readノードだけは、必ずそれぞれの画像ファイルが持つサイズになります。[full size format]の影響はありません。
[full size format]の影響を打ち消す強力なルールがあります。「上流の画像サイズを受け継ぐ」ということです。入力が用意されているノードの場合、入力された画像のサイズに依存します。例えば、Rotoノード。前述したように、単体では[full size format] の画像サイズになります。
しかし、bgインプットに画像を入力した瞬間、bgのサイズに変わります。
なにか画像を入力することで、そのノードの画像サイズが決まるのです。入力が用意されているノードはほぼすべて同様です。Blurノードも、Tansformノードも、Writeノードも、上流によって画像サイズが決まります。そして入力された上流によって、[full size format]の影響は打ち消されます。
では、入力が2つある場合はどうでしょうか?Mergeノードには、AとBの2つの入力があります。この場合、画像サイズはBの画像を受け継ぎます。通常、Bが背景(bg)であり、ベースになるためです。Aの画像サイズは引き継がれません。
Copyノードも同じようにBインプットの画像サイズが引き継がれます。ShuffleCopyは入力1と入力2がありますが、入力2がベースとなる背景として画像サイズを引き継ぎます。
Reformatノードは特別なノードで、画像サイズを変更する重要なツールです。[output format]という項目が、デフォルトでは "root.format" になっています。つまり[full size format]に変更して出力するようになっていますが、ドロップダウンで別のサイズにも簡単に変更できます。
[resize type]という項目は注意が必要です。画像サイズと一緒に画をリサイズすることもできますが、[resize type]を"none"にすれば画像サイズだけ変更されます。
Reformatノードには、別の使い方もあります。画像サイズを「伝える」ために使うことです。たとえば、RotoノードやScanlineRenderノードです。bgインプットにReformatノードを入力することで、画像サイズを変更できます。
これらのノードは、単体で作成して何もしなければ、[full size format]になってしまいます。しかし、Reformatを入力することで画像サイズを変更することができます。
Reformatノードは、いちばん下の「透明な背景レイヤー」として使うことができます。Reformatノードに対して画像をどんどん合成していけば、ちょうどAfter Effectsの「コンポジション」のような使い方ができます。
慣れるまではちょっと大変ですが、実はそんなに難しい仕組みではないことが分かったと思います。いくつかの単純なルールの組み合わせです。初心者のユーザーの方は、ぜひNUKEの画像サイズのルールをマスターして使いこなしてみてはどうでしょうか!
After EffectsからNUKEに移行するユーザーが必ず戸惑うところかと思います。After Effectsでは「コンポジション」と呼ばれる、いわば「空の箱」を作って、そこにレイヤーを入れていくことで合成作業を行います。Photoshopも同じように、カンバスがあり、そこにレイヤーを入れていきます。「横○ピクセルx縦○ピクセル」という、解像度が決まった「箱」があるわけです。しかし、NUKEには、一見そういうものがありません。
NUKEでは、ノードをViewrにつなぐと、Viewer画面の右下に数字や文字で画像サイズが表示されます。
しかし、Viewerに何をつなぐかによって、その都度コロコロと変わってしまいます。根本的に、After EffectsやPhotoshopとは異なります。混乱しそうですが、実はNUKEではいくつかの単純なルールにのっとって画像サイズを扱います。NUKEにおける画像サイズをマスターする10項目のルールを紹介したいと思います!
1. ProjectSettingsの[full size format] = root.format
Viewerパネル以外のところにマウスカーソルを持って行って、キーボードの[S]を押します。ProjectSettingsのプロパティー画面が表示されます。ここに[full size format]という、画像サイズを指定する項目があります。
[full size format]は、とても重要な設定です。そのNUKEファイルで基準となる画像サイズで、さまざまなノードで[root.format]という名前で登場することになります。 基本的に[full size format]は作業をはじめる最初にきちんと設定し、その後は変えるべきではありません。もし作業したあとに[full size format]を変えてしまうと、いろんなノードの[root.format] が変わってしまって、コンポジットがぐちゃぐちゃになってしまうかもしれません。なお、[full size format]のドロップダウンの中に使いたい解像度がない場合、ドロップダウンの"new"から新しく作成できます。
2. [full size format] の影響力 = ほぼすべてのノード
[full size format] の影響力は、実はほぼすべてのノードに及びます。ためしにMergeノードをひとつ作成し、キーボードの[1]を押してViewerにつないでみてください。[full size format]の画像サイズになっていると思います。
BlurノードもTransformノードも同じです。画像サイズを持つほとんどのノードは、それ単体では [full size format] になります。
3. Image(画像)カテゴリーのノード = 簡単に変更可能
画像サイズをユーザーが簡単に変更できるノードもあります。たとえば、NUKEで「色平面」を作成する[Constant]ノード。作成すると[format]という項目が"root.format"となっています。やはり、[full size format]に依存しています。しかし、[format]のドロップダウンで、簡単に別の画像サイズに変更することができます。
CheckerBoardノード、ClolorWheelノード、ColorBarsノード も同様です。Image(画像)カテゴリーのノードは、このように画像サイズを簡単に指定できるものがあります。
4. Rotoノードなど = 画像サイズを指定可能
RotoノードやRotoPaintノードなども、同じように画像サイズを指定可能になっています。単体では[full size format]の画像サイズに依存しますが、変更もできます。ちょっと分かりにくいですが、"clip to format"の下にある三角形をクリックすると[format]という項目が現れます。"root.format"になっています。
ここでRotoノードの画像サイズを変更することができます。このように、ノードによっては画像サイズを指定できる場合もあります。
5. Readノード = 画像ファイルのサイズ
ここまでの説明で、ほぼすべてのノードは [full size format] の影響下にあることが分かりました。しかし、もちろん例外もあります。素材を読み込む、Readノードだけは別格です。
Readノードだけは、必ずそれぞれの画像ファイルが持つサイズになります。[full size format]の影響はありません。
6. 入力がある = 上流の画像サイズを受け継ぐ
[full size format]の影響を打ち消す強力なルールがあります。「上流の画像サイズを受け継ぐ」ということです。入力が用意されているノードの場合、入力された画像のサイズに依存します。例えば、Rotoノード。前述したように、単体では[full size format] の画像サイズになります。
しかし、bgインプットに画像を入力した瞬間、bgのサイズに変わります。
なにか画像を入力することで、そのノードの画像サイズが決まるのです。入力が用意されているノードはほぼすべて同様です。Blurノードも、Tansformノードも、Writeノードも、上流によって画像サイズが決まります。そして入力された上流によって、[full size format]の影響は打ち消されます。
7. 入力が2つある場合 = 背景(bg)を受け継ぐ
では、入力が2つある場合はどうでしょうか?Mergeノードには、AとBの2つの入力があります。この場合、画像サイズはBの画像を受け継ぎます。通常、Bが背景(bg)であり、ベースになるためです。Aの画像サイズは引き継がれません。
Copyノードも同じようにBインプットの画像サイズが引き継がれます。ShuffleCopyは入力1と入力2がありますが、入力2がベースとなる背景として画像サイズを引き継ぎます。
8.Reformatノード → 画像サイズを変更するツール
Reformatノードは特別なノードで、画像サイズを変更する重要なツールです。[output format]という項目が、デフォルトでは "root.format" になっています。つまり[full size format]に変更して出力するようになっていますが、ドロップダウンで別のサイズにも簡単に変更できます。
[resize type]という項目は注意が必要です。画像サイズと一緒に画をリサイズすることもできますが、[resize type]を"none"にすれば画像サイズだけ変更されます。
9. Reformatノード → 画像サイズを「伝える」ツール
Reformatノードには、別の使い方もあります。画像サイズを「伝える」ために使うことです。たとえば、RotoノードやScanlineRenderノードです。bgインプットにReformatノードを入力することで、画像サイズを変更できます。
これらのノードは、単体で作成して何もしなければ、[full size format]になってしまいます。しかし、Reformatを入力することで画像サイズを変更することができます。
10. Reformatノード → 「透明な背景レイヤー」になる
Reformatノードは、いちばん下の「透明な背景レイヤー」として使うことができます。Reformatノードに対して画像をどんどん合成していけば、ちょうどAfter Effectsの「コンポジション」のような使い方ができます。
おわりに
慣れるまではちょっと大変ですが、実はそんなに難しい仕組みではないことが分かったと思います。いくつかの単純なルールの組み合わせです。初心者のユーザーの方は、ぜひNUKEの画像サイズのルールをマスターして使いこなしてみてはどうでしょうか!
【参考文献】
・テラオカマサヒロ. “連載 NUKE プラクティカル・ガイド Vol.2:続・AEユーザーのためのNuke的思考”. CGWORLD.JP. 2010-09-03. http://cgworld.jp/regular/nuke002.html, (参照 2016-07-15).
・Ganbar, Ron. Nuke 101: Professional Compositing and Visual Effects. Peachpit Press, 2011. (ロン・ガンバー, Bスプラウト訳. NUKE 101 コンポジット & ビジュアルエフェクト. ボーンデジタル, 2011.)
・テラオカマサヒロ. “連載 NUKE プラクティカル・ガイド Vol.2:続・AEユーザーのためのNuke的思考”. CGWORLD.JP. 2010-09-03. http://cgworld.jp/regular/nuke002.html, (参照 2016-07-15).
・Ganbar, Ron. Nuke 101: Professional Compositing and Visual Effects. Peachpit Press, 2011. (ロン・ガンバー, Bスプラウト訳. NUKE 101 コンポジット & ビジュアルエフェクト. ボーンデジタル, 2011.)
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