fireonfire











『The Orchard』Fire On Fire

ファイアー・オン・ファイアーというバンドの、多分、デビュー作。2008年リリースだけど。MySpaceを見るとマプフーモやサリフのようなアフリカ音楽もフェイヴァリットに挙げていたりするような、男4人女1人の5人組で、それぞれがギター、アコーディオン、バンジョー、アップライト・ベース、パーカッション、ハーモニウム等々の渋めの楽器を曲ごとに持ち替え、マウンテン・ミュージックを演奏する。ジェンベなんかも弾くよう。とびきり古いアメリカ音楽を今に蘇らせる試みはスフィアン・スティーブンスのそれと似ているけれど、ポップにそれらを再構築するスフィアンとは対象的に、ファイアー・オン・ファイアーの面々は徹底してアコースティックにこだわっていて、フリート・フォクシーズにも通じるそのヴィンテージな手触りには当時の気分をもそのまま連れてきてしまった、というような趣きがあり独特だ。ウードの独演から始まりハーモニウムの音色を基調とした「Flight Song」なんて曲もあったりして面白い。

全員歌っていて、基本ヘナヘナの男性ヴォーカルがメインだけれど、4曲でメインをとっている女性がとても良い。バンジョーとアコギが複数絡み合う「Assanine Race」、細かいギターのアルペジオとざっくりとしたハーモニウムが妙に合う「Squeeze Box」、澄んだギターと朴訥としたウード、小気味良いパーカッションにアンニュイなメロディが乗る「Grin」、8分半に渡るラストの「Haystack」と、どれも良く出来た曲で、彼女のヴォーカルも素晴らしい。声もコーラス・ワークも綺麗なんだけど粗さをしっかり残していて、そのどこか猥雑な響きが耳にひっかかりとても印象的。

とにかくこういうバンドは応援したくなるなぁ。かなり良い。

レーベルのサイトで全曲試聴できる。



ライヴ映像


「Heavy D」



【BEST ALBUM 2009 ロック/ポップス部門】

1. 『The Orchard』Fire On Fire
2. 『Storied Places』Kenneth Pattengale
3. 『Easy Come, Easy Go』Marianne Faithfull
4. 『The Good Feeling Music Of』Dent May & His Magnificent Ukulele