T.G.I.F. / Wildchild
DeclaimeやGeorgia Anne Muldrowらによるレーベル、SomeOthaShip Connectからリリースされた元LootpackのWildchildによる新作。アルバム・タイトルは「Thank God It's Funky」の頭文字をとったもので、その名の通り、重いシンセ・ベースを中心としたミッドテンポの骨太なファンクが並ぶ。ジョージア・アン・マルドロウらがプロデュースするトラックはいずれも硬派。派手さを抑えたスモーキーなサウンドとWildchildのドライなラップの絡みはクールだ。ゲストにはアロー・ブラックやジェイミー・リデル、アルカホリックスのJ-Roやロック・ステディ・クルーのB-Boy Y-Not、そしてスティーヴ・アーリントンと、ファンキーな面々が時代を超えて集合。ただ、豪華な並びのわりに、幅をもたらすまでには至っていないというか、クールな楽曲の雰囲気に埋もれてしまっている感じはあり、名前以上の存在感があるかといえば微妙。むしろ、(最大の3曲に参加していることもあるけれど)彼らと比較すれば無名な女性ラップ・トリオ、The Chaliceの方がその華やかなヴォーカル・ワークで大きく貢献している。それともうひとり、ラストに参加しているBaby Boogalooは見逃せない。彼は数年前に話題になったキッズ・ダンサー。子供声のラップがとてもかわいらしいのだが、なんとWildchildの実の息子だそう。息子がこんなにファンキーに育てば、そりゃファンクの神様に感謝もしたくなる。
ファンキーだ。
DreamZzz / Philip Lassiter
ワシントンD.C.のトランペット奏者、Philip Lassiterの新作もファンキーなアルバムだった。彼は現在のNew Power Generationのメンバーでもあり(Sly 5th Aveと同僚になるわけだ)、ジャズやソウルをスマートに織り込んだ、キレの良いホーン主導のファンクは、プリンスのファンであればきっと気に入るはず。あるいは同じくファンキーなトランペット奏者、ロイ・ハーグローヴ/RH Factorのセンスにも近いものがあるのだが、ハーグローヴとは異なり、ヒップホップやR&Bの要素はほぼない。ジャズともソウルともファンクとも簡単には括れないミクスチャー・センスの持ち主ではあるものの、曲自体はその意味でオーソドックスだ。そこをどう評価するかは人によって分かれそうだが、ブレインフィーダーものとも並べて語れそうなスタイリッシュな「Liquid in Love」からビッグ・バンド風の「Room for the Blues」、ゴスペル/オールド・ジャズ的な「Die Fighting」まで曲ごとのヴァラエティは多彩で、僕は楽しく聴いた。Bernard WrightやMike Sternのほか、ジャネル・モネイとも関連のあるChantae Cannらが参加している。
そういえばプリンス/3RDEYEGIRLのアルバムは今月末にリリース! いつの間にかオフィシャルサイトで買えなくなっているんですが、プリンスの最近の曲は全部最高なのでマストです。
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