劇的勝利だ日本!!
ボールキャッチ川島!!
アジアカップ準決勝日本対韓国は両国の歴史に残る激闘の末、日本がPK戦で勝利を収めました!
いやあ、燃えましたね松木さん。
いやーすがすがしい!
昨晩は気持ちよく寝れた方が多いのではないでしょうか?
それにしても、川島の神セーブには驚きましたね。今大会イマイチ精彩を欠いていた川島。西川の方がいいんじゃないかという声もありましたが、最終的にそれらすべてを一瞬で跳ね返してしまいました。ついでにトレーナーの顔面も跳ね返してしまいました。
さて、試合の詳細や試合レビューは専門のスポーツサイトやテレビ、ニュースがこれでもかと流しまくるでしょうから、下記にちょっとだけ記事を張っておく程度にしておきます。
アジアカップ準決勝 日本、韓国をPK戦で退け決勝へ!
勝因は「信じる力」
揺るがぬ自信と根強い不信で日本代表がアジアカップ決勝進出を決めるの巻。
さて、私はそれらとはちょっと違う見方で、エースとはなんぞや?チームとはなんぞや?という見方をしてみたいと思います。
なぜならこの試合、というか今大会は明確に「中村俊輔以前以降」のサッカーの違いが出たように見えたからです。
■エース中村俊輔の存在感とその代償
前回の日韓戦の対戦時、日本のエースはもちろん中村俊輔選手でした。
中村俊輔の代表的な特徴は、代名詞であるセットプレーの正確さ、得意の左足から繰り出されるロングフィード、そして視野の広さです。
特に前線でFWが潰れて獲得したセットプレーを中村俊輔が蹴り、長身CBが決めるというのは、日本代表にとって重要な得点パターンとなっていました。また、視野の広さを活かしたサイドチェンジやセンタリングもまさに中村俊輔選手ならではというプレーで多くのチャンスを生み出しました。
今大会の日本代表を見る限り、ダイナミックなサイドチェンジや大きな展開は中村俊輔がいたころに比べると少なく、より近距離でショートパスを繋ぐプレーが多いと感じます。さらにセットプレーに至っては今大会の対戦相手にとって、大した脅威ではないでしょう。
そして、中村俊輔の一番の特徴は、いわゆる王様タイプのプレーヤーだという点です。
語弊はあるかもしれませんが、いわばチームの浮沈は中村次第。自分の出来が良いときは抜群にチームは機能しますが、悪ければ全く機能しない。
また、テクニックは抜群に優れていましたが、仲間のために献身的に潰れて無理矢理スペースを作るといった泥臭いプレイよりは、スペース作りは他の選手に任せて、自分が前を向けなければ安全に後ろへ戻すプレーが多かったように感じます。これも彼のスタイルの一つです。
中村俊輔期の日本代表はどちらかといえばバックラインでのパス回しが多く、中央に縦パスをガンガン入れて勝負するというよりは、低リスク低リターンながらサイド中心のボールポゼッションで勝負するサッカーをしていたと思います。(異論もあるかもしれませんが敢えて流して下さい)
さらに溯れば、中田英寿も典型的な王様タイプの選手だったわけで、そういう意味でも日本代表は長きにわたり絶対的なエースを中心とした王様風のサッカーで闘ってきたわけです。
■絶対的エース不在から生まれた新スタイル
さて今大会、香川、本田△、長谷部、遠藤、前田、長友、内田、岡崎と多くの優秀なタレントが揃っていますが、絶対的エースと呼べる選手はいるでしょうか?
この中でエース級選手としては本田△が上げられるでしょう。一見、彼の性格や発言から王様タイプと思われがちですが、プレイスタイルはむしろ献身的なポストプレーやボールキープによるスペース作り、体を張った前線からのプレス、そしてチームメイトとの連携力といった、どちらかといえば馬車馬的なプレイをする選手。香川選手もチームを操るというよりは積極的に裏を狙う動きやパスの受け方がうまい選手で、使い使われる中で生きるタイプです。
要するに、今大会は日本代表が初めて経験する王様不在。
しかも、精神的支柱の中澤、トゥーリオもいない危機的状況だったわけです。
この状況下で、偶発的に生まれたのが「全員献身のサッカー」です。
前線では前田が体を張り、その裏を岡崎狙い続ける。中盤では本田がその屈強なフィジカルでボールをキープ。香川は抜群のトラップで前を向く。中盤の底では遠藤と長谷部が攻守バランスを取り、時にはディフェンスラインまで引いてパスを受け、タメを作る。両サイドでは内田と長友が懸命に上がり下がりを繰り返し、中央では吉田の高さと今野のカバーリングで守り切る。そんな、チームのための各選手の役割が高度に明確化された状況が、偶然か必然か生まれ、機能した結果が今大会の決勝進出なのだと思います。
■カオスがあるからニューヒーローは生まれる
そんな状況を見て、一つのエピソードをお思いだしました。
日本最強の人材輩出企業「リクルート」の斬新な人材育成論の話です。
リクルートでは新規事業の開発などで中心人物となり、大きな結果を出して柱に成長した人材を、その事業がようやく軌道に乗ったかのらないかという絶妙のタイミングで、敢えて「ハズす」そうです。すると今までその人のおかげで回っていた現場は大混乱に陥ります。現場の人間としては「何で今?」というレベルの大混乱です。
しかし、この混乱が組織に核反応を起こします。
カオスに陥った現場でなんとかその状況を立て直そうと各メンバーが努力すると、メンバー間の連携が急速に高まり、その中から新たな才能、そして新たなリーダーが誕生するのです。メンバーの結束と新たな才能のもとで急速に整備が進んだ新事業は、それまで以上の強固な地盤を築くことができるというわけです。
そしていつかはその新リーダーも外され、再び強制的なカオスが引き起こされます。このカオスこそが組織の新陳代謝を生み、永続的な人材の輩出を可能とするのです。
それと同じことが今の日本代表に起きています。黄金世代と呼ばれた選手たちが代表から去り、現場には谷間の世代(松井、今野ら)と谷底の世代(本田、長友、内田、長友、香川、岡崎)が残りました。谷間、谷底と呼ばれた選手たちによる日本代表。それだけを聞けば日本代表は過去に無い憂うべき状況に陥ったと思ってしまうかもしれません。
しかし、その逆境、カオスから生まれた類稀なチーム力は、まさに歴代最強といっても良いレベルに到達しようとしています。
韓国を倒し、まずはアジア最強になりました。次はオセアニアの巨人オーストラリアと対戦します。オーストラリアは準決勝を6-0と夢のスコアを上回る大爆勝で勝ち上がる圧倒的な強さを見せました。
しかし、何か今回の代表はデカイことをやってくれそうな気がするのです。
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