はっきりいって、もう今までどおりの大量消費型の暮らしは、これからはできないようになります。大量消費型の暮らしをするにはおカネが必要ですし、それだけのおカネを得るにはそれだけの労働が必要であり、それだけの労働のためには時間が必要ですし、そうなると家族とともに過ごす時間は減るのです。しかも経済状況は低迷を続けますし、打開するにしても石油文明と大量消費文明は捨て去らなければならないのです。
でも本来的にいうと、それであたりまえにもどるのです。大量消費を「楽しむ」生きかたこそ人間本来の自然にそむいたものだったのです。わたしたちはモノ文化、他者を出し抜くことに生きがいを求める生きかたから、今こそ降りる必要に気づくべきです。人間の人生の楽しみは、人間とのつながりにあるからです。
日本人はこれまで多く持てる階層に登ることが生きる意味だと思ってきましたが、それがもたらしたのは、このギスギスした、不安と不信でいっぱいの社会でした。人とつきあうのが苦手だということで、引きこもったり、ワーカホリック(仕事依存)になってうつ状態まで追い込まれてしまったり、自殺が毎年3万人以上になったり、こういうPC依存症になったり…。
そこで、人とのつきあい方のスキルを知ろう、ということで、とても安価ながらいい文庫本を紹介します。
「好きな人と最高にうまくいく100の秘密」というタイトルの本です。本体価格638円です。著者は、フロリダ大学で社会心理学を専攻されておられるデビッド・ニーブンという方です。以下、いくつか書き出してみますね。
(以下引用文)-----------------------------
1.平凡なことがいちばん大切。
人間の仕事や務めにはいろいろありますが、注目に値することというのは、当然ながら平凡なことの積み重ねによって築かれることが多いのです。たとえば、消防士の日々の仕事はただ訓練するだけですが、その訓練の積み重ねによって身に着けた技術が、人命救助や消防活動の任務を遂行するうえで役に立つのです。
ふたりの関係もそれとよく似ています。お互いに対して、永遠とも思えるくらい長い月日をかかわりあう努力の積み重ねなしに、しあわせな関係を保ち続けることはできません。それはもちろん簡単なことではないし、直ちにはっきりとした形で報われるとは限りません。
けれども、いますぐしたいことがあっても譲り合い、ふたりで何でも分かち合い、いたわりあい、相手の言うことに耳を傾ける…など、よく言われるようなありふれたことが、結局は長続きのするいい関係をもたらすことになるのです。
2.ふたりがうまくゆく理由にこそ意識を向ける。
どんなカップルにも、ふたりがうまくいく材料もあれば、ダメになる材料もあります。今はどんなにうまくいっているようにみえるふたりでも、将来をダメにしてしまうかもしれない出来事はいくらでも起こるし、危なっかしく見えるふたりでも、壊れずに続いていくための要素をも持っているのです。
ですから、自分たちをダメにしてしまうような要素にばかり、いつも意識を集中させ続ければ、ふたりはやはりダメになってゆくでしょうし、ふたりの結びつきを強める要素に意識を集中させ続けるなら、ふたりの結びつきは強くなっていくのです。
3.どんなひととでもしあわせな関係を築くことはできる。
「あなたは、将来、ぜったいうまくいくふたりとはどんなひとたちだと思いますか」。そう訊かれ、「そうだなあ。年齢は…、収入は…、職業は…、教育の程度は…、宗教は…」などと考えるひとも多いかもしれません。
けれどもさまざまな調査の結果によれば、事実はそれらとは無関係です。つまり、どんな年齢のひとも、どんな収入のひとも、どんな職業のひとも、どんな教育のレベルのひと、どんな宗教のひと、そのほかどのようなひとであっても、それでしあわせになるふたりもいれば、ならないふたりもいるのです。
パートナーとしあわせな関係を築くために大切なのは、そういうことではなく、あなたがいったい、どういう人間なのかということです。
4.相手に対して競争心を抱かない。
(a)だれかを好きになったとき、その相手が仕事などで成功しているひとなら、喜びもいっそう大きいに違いありません。しかし、しだいに相手の成功をねたむ気持ちが生じてくるひともなかにはいます。そういうひとは、知らず知らずのうちに相手の成功と自分を比較してしまい、劣等感を感じたり、なんとなく競争するような気分になってくるのです。
そういう気持ちを持っても、ふたりにとっていいことはひとつもありません。パートナーと競争をして、たとえ勝ったところで、得るものは何もないのです。ふたりの心安らぐ満たされた生活は、相手と競争するような愚かなことをしない人に与えられます。
(b)ふたりの人間がいっしょに暮らす以上、意見が合わないことが起こるのは避けられません。けれども、その根本部分でほんとうに大切なことはひとつしかありません。それは、
「あなたの目的は、自分がどれほど正しいかを示して言い合いに勝つことなのか、それとも懐を深くして、ふたりでいっしょにしあわせになることなのか」
…ということなのです。
もし口が達者ならば、どんな言い合いにも勝つことができていい気分がするかもしれません。でも、それではひとつもあなたのためにならないのです。言い合いで勝ったか負けたかが重要なうちは、「二人とも負け」ということです。その反対に、勝ち負けを忘れて、お互いの愛を確認することができれば、「ふたりとも勝った」ことになるのです。
5.前向きな態度がいい結果をつくりだす。
わたしたちは、望みがかなえられなかったときは当然落胆しますし、希望すら失うことがあります。けれども、すべての物事は時の流れとともに変わっていくのであって、いつ、何が起こるかを完全に、はもちろん、十分にでも予測することは不可能です。わたしたちにできることは、“続ける” ことだけです。他のひとの(とくにパートナーの)しあわせに貢献すること、周りにいる人たちのよい点を見つけてことばで伝えてあげること、愛情を惜しみなく差し出すこと、相手をサポートすること…など、すべては、“やめないで続けること” が大切なのです。
6.古いしきたりに縛られない。
親や祖父母や親戚をはじめとして、年長者、権威者はとかく、昔はどうだったという話をしたがるものです。もちろん、いろいろな経験をつんだ年長者の話には耳を傾けるべきことがたくさんありますが、こと男女のことに関する限り、昔と今とではふたりを取り巻く環境や社会状況はかなり異なっています。
いつの時代も変わらない「真理」みたいなものはたしかにありますが、今の時代にそぐわない考えなどを押しつけられたときには、それらに惑わされることなく、自分たちの価値観を守ることが重要です。
7.他人と比較しても何も生まれない。
あなたとあなたのパートナーとの関係をいくらほかのカップルと比較しても、あなたの人生が変わることはありません。これは当然の理屈です。とはいえ、うまくいっている人たちの姿を見て、自分たちについて顧慮するきっかけにするのなら、それによってあなたたちの人生を変えてゆくことも可能になるでしょう。
いずれにせよ、あなたと相手との関係がどうかということは、「あなたたちのニーズはなんなのか」をもとにして測られるべきであり、「他人がどうであるか」をもとにして測るべきではありません。
8.内面のバランスを保つ。
よく、妻あるいは夫や子どもとうまくいかないために、仕事などに逃げてしまう人がいます。それは、自分の家より会社のほうが居心地いいからです。またそれとは逆に、職場や仕事で問題を抱えているために、プライベートな世界に逃げ込もうとするひとがいます。
けれども人間はふつう、ひとつの分野で抱いている感情を、ほかの分野にも持ち込んでしまうものです。したがって、人生のひとつの分野で苦しみがあれば、いくら別の世界に逃げ込んでもその苦しみは持ち込まれてしまいます。
満足のいく人生とは、あるひとつの分野だけでいい気分になることによって得られるものではありません。
(下)につづく