El Otro Lado de la Cama / The Other Side of the Bed [スペイン映画]
(ネタバレ気味に書き進む予定)
(すみません)
(昔、映画を観ないでストーリー紹介記事を訳してみたもの)(に今回ちょっと手を加えた)
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SoniaとJavierが同棲してだいぶ経つ。PedroとPaulaのカップルも結婚はしていないが、付き合って数年になる。いや、‘付き合っていた’と言うべきだろうか。
というのもPaulaがこともあろうにJavierを好きになってしまい、Pedroにはおきまりの「私たち、フツーのともだちとしてやっていきましょう (Podemos seguir siendo amigos.)」というセリフをぶつけたのだ。生きていく中で浴びせられるセリフの中でももっとも残酷なセリフの一つ。
愛とセックスと友情とそして何よりも嘘というものをこのコメディーは描き出す。登場人物が皆ウソをつきまくるのだ。
Javierのおかれた状況は実にややこしい。Soniaとの仲を解消し‘ただのともだち’に戻れとせっつくPaulaを宥めなければならない一方で、親友でもあるPedroに対しては、Paulaが惚れた男が自分だったという真相を知られまいとして策を弄する。
しかし、これがまたそう簡単に済むものではない。なぜなら今のPedroは、問題の男が誰なのかをつきとめるためだけに日々を送っているのだ。血眼である。PedroはAntonio Sagazという変な探偵を雇って、Paulaの新しいオトコを探ろうとする始末。
いくら説得してもPedroがPaulaを諦めそうにないので、Javierは今度は、新しい女の子をPedroに紹介しようと考える。そのPilarというちょっとヤバ目な女の子がPedroにベタ惚れしてしまったのは上出来といえば上出来だったかもしれない。
そんな折、JavierはSoniaの女友達でLucíaという女優の存在が気になり始める。PedroとJavierの男友達、RafaとCarlosもそれぞれの事情を抱えている模様。Rafaはちょっと変わった人生観をもつタクシー運転手。Carlosは、いつも最後まで話をさせてもらえない男。
登場人物が増えるごとに事態は複雑化の一途を……。
さてPedroはというと、下手な変装をしてPaulaを見張り始めている。軽くストーキング段階に突入です。そんなPedroが見つめる中、Paulaの職場へSoniaが入って行った。PedroはJavierに電話をする。「お前のカノジョがパウラのとこに入って行ったけど、何だろう。お前、なんか知ってる?」
な、何だってーーーー、ソニアがパウラのところに行ったって!? 彼女たち二人でいったい何を話すと言うんだ!? と慌てふためいたハビエルも現場に急行し……… Javierにしてみればマズい事態である。非常にマズい。
愛とセックスが絡むと予期せぬことが起こるものであるが、ナニゴトも愛には敵わない。そして皆、幸せそうに振舞う。そう、嘘をつきながらね。
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クスッと可笑しくなるシーンがたくさんある。クスッどころか私は、ゲラッゲラと久しぶりに大口を開けて笑ったシーンがあったよ。
1) 荒れたり落ち込んだりと暗い激情を制御できなくなっているペドロを男友達が囲み、カノジョがいないことがいったい何だ、早く忘れてしまえと説くシーン。(※ ちなみに猛り狂ったペドロのアウト・オブ・コントロールっぷりも滑稽です)
そこでのハビエルのセリフが必死すぎるので、傍観者たる我々はニヤニヤしちゃう。ハビエルは張本人なのですから、一刻も早くペドロが「パウラのことなどかまうものか」という心境になってくれないと困る。ペドロがこのまま情夫探しに執念を燃やし続けたら、いずれ自分の裏切りは白日の下に晒され、血の雨が降るだろうからね。
ハビエルはこんなことを言うのです:
「いいか、‘カノジョ’っていうのはつきあいが続いてる間しか続かない。だけど‘元カノ’っつったら一生モノだぜ? ‘元カノ’はいつだって好きな時にヤれるんだぞ」(←どんな理論よ)
2) そしてまた、男友達ラファの理論もメチャクチャです。フェミニストが卒倒しそうなことをサラッと言ってる。
「ペドロ、お前はパウラに優しくしすぎたんだ。それがあの子にはダメだったんだ。ガツンとやってやればよかったんだ」だの、「俺は今のカノジョと長らくいっしょにいるけど、それはそれ、これはこれ。俺、そこら辺で動いてるものなら何でもヤるぜ。それがうちのカップル安泰の秘訣。そうそう、キューバみたいな。キューバって貧しくたって幸せだろ。あれってみんな毎日SEXしてるからだぜ」だの。
3) タクシー運転手であるラファが「女性客とヤった」という武勇伝(?)を披露します。その女は「もっともっと!」と激しく俺を求めたなどと得意気に語り、最後にふんぞり返って付け足します:
「それからなぁ………
料金もちゃんと払ってもらったぜ」。
(ここは私、「ぷはっ」と笑ってしまった)
3) 男だけのこの席に、「カノジョいない歴=年齢」みたいな風貌の男友達カルロス君もいるんだが、扱いがヒドい。「恋人ってものは…」とか「えっと、でもキューバは…」とか、彼だって彼なりに口をはさもうとするんだけど、発言の機会を与えてもらえないの。すぐにハビエルの演説や、ラファの暴論で遮られちゃってる。
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面白いんだけど、私、基本的にビバヒルみたいな、カップルが「するための喧嘩をする」ドラマって嫌いなのね。仲直りするために喧嘩をわざわざしているような、ね。この映画の登場人物たちも、やったことは結果的にはそんな感じ。
というか、私の学生時代からの友人関係なんかもこんな相姦図だったんじゃないかな。ってことは、どうなの? ワカモノって、サークルみたいな遊び仲間って、だいたいどこもこんな感じで乱交状態なわけ? まぁ、でも、そうなのかもなぁ……などと、この登場人物を身近な友人知人のケースに当て嵌めたりして観ていたら、やや疲れました。
※ネタバレ気味
しかもね、もっといただけなかったのは、この核の4人(ハビエル=ソニア組、ペドロ=パウラ組)は自分達が「するための喧嘩をする」にあたって、他人を利用したでしょう? 自分達の愛憎劇を進めて行くために、駒をどこかから拾って来るかのように安易に、女友達Pilarの‘純粋な’‘一途な’気持ちを弄び、レズビアンのルシアの性を利用して、おまけに踏み躙ったでしょう?
終わり良ければ万事OK、って話ではないですよ。私は、人間のそういう本能的とも言える部分を、手前の都合に好いように使う、または面白がるという人種を軽蔑するよ。だから、映画途中のそのクダリでは、ちょっと顔が曇ったかな。そこでは眉間に皺が、キッとね、ピクッとな。
でも、まぁ、通して見れば笑って楽しめる映画ではありました。好きか嫌いかと二者択一だったら好きだよ。友人に薦めるかとの問いにも断然YESです。
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(スペイン映画)
(語句メモ・文法解説などはコメント欄で)
・EL OTRO LADO DE LA CAMA (Emilio Martínez Lázaro監督、Paz Vega, Ernesto Alterio)
・el otro lado de la cama @IMDb
・英題: The Other Side of the Bed、The Wrong Side of the Bed
・El otro lado de la cama @Yahoo! Cine
・Festival de Málaga. Cine Español
・DVDは2004年11月にmona氏がマドリーのfnacで買って来てくれました。9.95ユーロ。
・El otro lado de la cama BSO(サントラ)
監督: Emilio Martínez Lázaro エミリオ・マルティネス・ラサロ
脚本: David Serrano ダビ・セラーノ
出演:
エルネスト・アウテリオ Ernesto Alterio
パス・ベガ Paz Vega
ギジェルモ・トレド Guillermo Toledo
ナタリア・ベルベケ Natalia Verbeke
アルベルト・サン・フアン Alberto San Juan
マリア・エステベ María Esteve
ナタリー・ポサ Nathalie Poza
セクン・デ・ラ・ロサ Secun de la Rosa
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Comments
(1) 男友達で呑みながらオンナ理論をぶつシーンにもよく現れていたと感じるんだが、スペインってのはカップルじゃないと生きづらい国ではないですか。
私は、あそこに住んでいる頃には意識したことがなかったんだが、今思うと、いろんな集まりにカップルで出席しようとする傾向が強かったような……?
一昨年だったか、私の‘ファミリー’の次女が婚約直前でマンションまで購入したところで恋人と別れたんだが、その後の次女の、なんというか「生活しづらさ」みたいのがうかがえて私も胸が痛んだ。
女友達と週末に飲みに行くと言っても、どの子も彼氏つきでやってくるような感じ。頭数を数えた時に奇数というのはありえないとでもいうか。独りの人ってたいへんだと思う。
というか、だったら、あちらの友人たちには私なんかの生き方はとても奇異に映ってるということか。それ、考えたことがなかった。
Posted by: Reine | Saturday, April 01, 2006 23:39
(2) 「アイツが落書きをあちこちにして回って! Y él venga a hacer pintadas.」と不満を口にするシーン。
・venga a + INFINITIVO / y venga a + INFINITIVO:
[perífrasis reiterativa]
En contextos exclamativos expresa la repetición de la acción. Expresa acción repetida de forma reiterada o constante, con un matiz de desagrado por parte del hablante. 不快感を滲ませつつ、「~してばかりいるのね!」「熱心に~する」と言い放つような時に使うペリフラシス。
例文と超意訳)
(※『~ Perfeccionamiento』と『Perifrasis Verbales』より)
- Yo, aquí contándote cosas importantes y tú ¡venga a escribir! (あんたに大事な話をしに来たというのにあんたさっきから何書いてんのよ!)
- Era horrible, ella ¡venga a decir tonterías, mientras yo pasaba una vergüenza ajena ...! (あの子がバカなことをずっとしゃべってるもんだから、あぁた、一緒に居る私が恥ずかしかったわよ!)
- ¡Y venga a llover! (んで、また雨かい!)
- ¡Venga a cantar y a cantar! (歌歌歌って!)
※ドイツ語圏のスペイン文化サイトより、
- Yo a trabajar y ellos venga a derrochar el dinero.
- Él se moría de vergüenza y ella venga a reírse de él.
※他に参考になった記述といえばhttp://cvc.cervantes.es/foros/leer1.asp?vId=92486かな:
Conviene consultar de vez en cuando al viejo maestro Werner Beinhauer, cuyo El español coloquial sigue siendo una fuente inagotable de sorpresas y deleite. En las páginas 68 y 69 de la edición de 1978 explica el uso de venga (a) + infinitivo y cita ejemplos de autores como los Quintero etc., es decir, la cosa viene de antes: es un elemento intensificativo, como por ejemplo en:
- Mientras tú te diviertes, yo venga a trabajar.
(perifrasisについては別項を立ててゆっくりとやっていく予定)(VENIR A + 不定詞について)
(ちなみに、このvenga a + INFINITIVO は頻出ペリフラシスではないような気がする、私の個人的な感じ方として。どうかな)
Posted by: Reine | Saturday, April 01, 2006 23:44
(3) 語句メモ
・冒頭の甘ったるい歌は、たぶん、Mastretta作で、Julieta Venegasが歌う『Luna de Miel』。
・No Sé Qué Hacerの歌詞はhttp://www.autolyrics.com/lyrics/for/No_Se_Que_Hacer/by/Ernesto_Alterioに。
・chuleta: 生意気な(人),尊大な(人),厚かましい(人)
・ホテルの入り口をちょっと覗いて、「Tiene un poco pinta de caro. ちょっと高そうじゃない?」
・pinta: f. Aspecto o facha por donde se conoce la calidad buena o mala de personas o cosas.
・resorte: ばね,スプリング,ぜんまい
・Estás desinformado/a.
・parejas de hecho 事実婚?
・promiscuo, cua: adj. Se dice de la persona que mantiene relaciones sexuales con otras varias, así como de su comportamiento, modo de vida, etc. 性的に乱れた,乱交の
・partir el alma a alguien: fr. coloq. Castigar violentamente. ギッタギタにしてやる
・racha: f. En cualquier actividad, período breve de fortuna o desgracia.
・Está pasando una mala racha (一時的な不運).
・dar caña: fr. coloq. Esp. Pegar, golpear, vapulear.
・quid: m. Esencia, punto más importante o porqué de una cosa
・timón: Dirección o gobierno de un negocio.
・complot: 1. m. Conjuración o conspiración de carácter político o social.
・¿Cómo puedes tener tanto morro? (あんたってなんて図々しいのかしら; よくもそんな厚かましいことが言えたものね)
→ morro: 8. m. coloq. Descaro, desfachatez.
・No sabes el favorazo que me haces.
→ favorazo=favor + -azo
・fondón, na.: 1. adj. despect. coloq. Dicho de una persona: Que ha perdido la gallardía y agilidad por haber engordado.
・¡Qué cuentista eres!
→ cuentista:
1. adj. coloq. Dicho de una persona: Que acostumbra a contar enredos, chismes o embustes.
3. com. coloq. Persona que por vanidad u otro motivo semejante exagera o falsea la realidad.
・gimotear: 1. intr. despect. Gemir con insistencia y con poca fuerza, por causa leve.
・Tiene un tipazo.
→ tipo: 7. m. Figura o talle de una persona. 例) Fulano tiene buen tipo.
・bigardo, da: 3. m. y f. despect. coloq. Persona alta y corpulenta.
・bollera: 2. f. despect. vulg. lesbiana.
・palacete: 1. m. Casa de recreo construida y alhajada como un palacio, pero más pequeña.
・monigote: 2. m. coloq. Persona ignorante y ruda, de ninguna representación ni valer.
・metacrilato: 1. m. Producto de polimerización del ácido acrílico o de sus derivados. Es un sólido transparente, rígido y resistente a los agentes atmosféricos, y uno de los materiales plásticos más utilizados.
・raquetazo: 1. m. Golpe fuerte dado con una raqueta.
Posted by: Reine | Saturday, April 01, 2006 23:48
↑最後の「raquetazo」ですが。旧HPにも随分前に書いたことがあるけど、『Diccionario de la Lengua Española (versión CD-ROM)(レアルアカデミアの辞書のCD-ROM版)』では逆引きができるのね。
なので、「-azo」で引いてみると、「~による一撃」がズラ~~~ッと出て来ることになる。人は実に多種多様なモノを凶器にして人を殴る生き物であることがわかる。
扇子、枕、フライパン、椅子……etc.
ちなみに、『三省堂 クラウン西和』の巻末には接尾辞がズラーーーーッと列挙されていて、それを読むだけで楽しめます。し、スペイン語世界が広がるというか。面白いよ。
Posted by: Reine | Sunday, April 02, 2006 00:00
あ、そうだ。先ほど、「彼女イナイ歴=年齢」などと形容してしまったカルロス役のSecun de la Rosa氏ですが、役者さん自体はそんなにそんなじゃないみたいですよ。
と、名誉のために申し上げとこう
※Secun de la Rosa検索結果
だけど映画の中でのカルロスの言われようはヒドかったよ。「カルロスなんて見てみろよ、ずっと一人でさ。だから幸せそうだべ?」みたいな意味合いで引き合いに出される人の立場ってけっこう辛いのではと思うのであった。
Posted by: Reine | Sunday, April 02, 2006 00:53
一週間かけて隅から隅まで読ませて頂きました。色々と勉強させて頂きました。ありがとうございます。
そうなんです、スペインってカップル単位で何時も動くし、一人では何も出来ない人種なんですよね。
スペイン在住の日本人も大半の人が結婚してるか恋人持ち。
結構一人で動く事が多いのでスペインでは奇異な存在なのだと思います、私。
Posted by: Miu | Monday, April 03, 2006 07:26
Miuさんコメントありがとうございました。
やっぱりそうですよね、「カップル主義」という印象がありますよね。今、スペイン人の友達にその辺のことをどう感じているかって尋ねるメールを出したところです。
他にも同じ事を質問したい男友達がいるのですが、彼はこの1~2年でたしか離婚したばっかりで、デッカいマンションも買っちゃったけど一人で暮らすには大きすぎるから、Reine、いつでも誰でも君の友達がボクの町に来る用事がある時には声をかけてくれればジャンジャン泊まってくれていいよ……などと言っていたところなので、そんな傷心の人に、「スペインって独りだと生きづらくない?」などとはとてもとても聞けず。
残念です。本来は何でもすごく分かりやすく語ってくれる人なのに。
> 結構一人で動く事が多いのでスペインでは奇異な存在
↑
私もいっつも一人でこの日本人はいったい何だろうなどと思われてたのかなって、10年も経って気づきました。
なんかね? 別にね? 「独り身上等」なんだけどね。
Posted by: Reine | Monday, April 03, 2006 23:58
Reineさん、コメントとトラックバックありがとうございます。
トラックバック、そのまま残させていただきます。
素敵なページですね。
写真も美しい☆
スペイン語情報も充実していて、日々スペイン語を忘れつつある私には、とっても勉強になります。(もともと知らないことの方が多かったりして・・・)
スペイン滞在は約1年でしたが、当初はスペイン人男性達のマシンガントークに圧倒されました。
女性のおしゃべりは万国共通で驚きませんけどね。
この映画の「とんでもおしゃべりシーン」も、今観るとなんだか懐かしいです。
これからも、時々お邪魔させていただきます。
Posted by: kai | Tuesday, April 04, 2006 01:11
kaiさんお越し下さいまして、そしてコメントをありがとうございました。
本文中では減点法でちょっと書いておりますが、実際のところ、私はこの映画、かなり気に入りました。ゲラッゲラ(本当に文字にすると「ゲラッゲラ」)と笑ってしまいましたし。私のスペイン人の友人の間でもこれを薦めてくれた人は多かったです。
日本でも簡単に手に入ればいいのにと願ってやみません。
> スペイン人男性達のマシンガントーク
スペイン女性の多弁があんまりにもあんまりなのでうっかりと見落としがちですが、そうですよね、男性もかなり饒舌ですよね。そして、口喧嘩をしているのかと錯覚しハラハラするほどの勢いでしゃべりますね。私が暮らした南部は、もしかしたら何割か増しでやかましかったかもしれません。
これからもよろしくお願いします。スペイン思い出話をしましょう。
Posted by: Reine | Tuesday, April 04, 2006 12:20