2025-08-27

チャデモ協議会会長CHAdeMOは設置数も安全性も最強だ」

以下の発言を読んで、胸が熱くなった。

設置数に加え、安全性でも我々に勝る規格はない

記事はこれ

日本経済新聞日本EV充電『チャデモ』を脅かすテスラ式拡大 規格統一課題https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC110EH0R10C25A8000000/

設置数で優位、安全性でも負けない。頼もしい限りだ。

だが、どこで、誰に対して、何と比べて、の肝心な主語が煙のように消えるあたり、実に日本である

「設置数で優位」って、どこの世界の話?

「設置数で優位」とは便利な言葉である日本国内を切り出せば、確かにそれっぽい光景が広がる。長年の政策と補助の残響ネットワークを形作り、見回せば馴染みのプラグが並ぶ。ここで「優位」を宣言するのは、商店街で「うちの通りでは一番人気」と胸を張るのに似ている。世界地図を広げた瞬間に視界が変わる、という当たり前の事実は、今日も静かに棚の上に置かれたままだ。

安全性でも負けない」—では何に勝ったの?

安全宣言ではなく、要件データである。各規格は安全要件を満たすべく標準化の檻に入れられ、試験認証水責めに遭う。そこで勝ち負けを叫ぶのは、救命胴衣型式承認を「うちのが一番溺れにくい」と広告コピーで上書きするようなものだ。しかも、現場利用者体験しているのは多くの場合安全」ではなく「動かない」であり、これは規格の貴賎より設置と保守運用怠惰に由来する。にもかかわらず「安全性で負けない」は実に景気が良い。比較条件は秘伝のタレ、検証データ門外不出。これでは「俺の中では最強」という居酒屋トークを越えない。

国内限定なら分かるが、グローバルは?

国内歴史的経路依存で、ある規格が多い。それは否定しにくい事実だろう。だが、それを国境の外へ持ち出して「設置数で優位」と叫ぶと、途端に空気が薄くなる。現地の地図を前に「日本では多い」と熱弁しても、返ってくるのは困った笑顔である観光地食堂で「うちの味が世界一」と書くのは自由だが、国際展示会の壇上で同じ看板を掲げると、途端にポエムになる。

規格統一課題というなら、まず議論統一から

記事の副題は「規格統一課題」。まったくその通りだ。統一議論に参加するなら、まず「安全」と「信頼性」と「接続性」を混ぜないことから始めたい。動作率は何割、故障時の復旧は何時間、異種規格の橋渡しはどの方式費用は誰が負担。そういう話を地道に積み上げるのが統一への道だろう。「うちは安全」「うちは多い」と唱えるだけでは、宗派は強固になっても、ユーザーの充電は速くならない。

結論

ユーザーが欲しいのは宗派勝利ではなく、目的地へ着く現実であるプラグの形で殴り合う前に、動く、繋がる、直るを当たり前にしてほしい。設置数の自慢がしたいなら、世界地図を広げた上で語ればよい。安全性の優位を名乗りたいなら、要件データを机に置けばよい。どちらも出来ないなら、せめて「国内では強い」と正直に言えばよい。背伸びは見上げられるうちが花だが、見抜かれた瞬間からはただの痛みである

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