2025-01-26

I Dreamed a Dream.ここから幸せになる方法ってあるの?

「I Dreamed a Dream邦題は「夢破れて」


三十も後半にさしかかり、なんの変化もないまま歳だけを重ねた。

おじさんという名の少年独身のまま、老体になろうとしている。


かつては、六本木に居を構え、IT企業に勤め、


いつかは、港区のタワマン高層階に上り詰め、

西麻布大人な酒を飲む。そんな夢を見ていた。


◇  ◇  ◇


時は2013年――。

2000年代後半に再び産声を上げたITバブルに、

少しだけ薄暗い影が落ち始めた、そんな頃だった。


漠然とした夢と希望を抱え、東京へと足を踏み入れたのが私だった。


当時の六本木には、まだ関東連合の「六本木クラブ襲撃事件」で有名になったばかりの

ロアビル存在し、黒人クラブに集まる若者でひしめく強烈に危険香りがする場所だった。


すべてが鮮明で、新鮮で、夜の誘惑は凄まじく。

それだけで、それらの刺激を消費するだけで、毎日がエキサイティング

人生として、人として成立している実感があった。

そんな時期だった。


一生懸命働いていれば、何かが起きて大きな変化が訪れる。

そして、気づけばIT長者になって、世界を変えている。

何故かそんな妄想けが、常に頭にまとわりついていた。


飲み会のあとの帰り道、麻布十番商店街の中にある

スーパーの前を通り


ひとり "半額シールの貼られた惣菜" を買うスーツ姿の中年男性を見て、


「なにが楽しくて、そんな生活をしているのだろう?」


そんなふうに本気で思っていた。


◇  ◇  ◇


三十も後半に差し掛かる、いま。

脇目も振らず仕事に精を出し、恋愛もせず。

独り身のまま、ここまで来てしまった。


重要役職もついた。もらえる給料の額も

世間一般サラリーマン年収の上位数パーセントには入るレベルになった。


けれど、未だに中身は未熟なまま、

抱えるプレッシャー責任だけは大きくなり


守るべきものも、大切な人も、将来のビジョンもなく


役割の重圧で楽しみは減り、飲み会で語る野望は

すべて嘘に聞こえ、自ずと語ることを辞め。


気づけば、スーパーで半額シールのついた惣菜を買い

それをつまみ、独りで缶ビールを空けるのが唯一の贅沢の


"かつての自分が疑問に思った人生" を、いつのまにか歩んでいた。


体が錆びつき、脳もサビつき、思考も知覚も気力もすべてが鈍化し

歳をとって、見事に中年になった己を自覚する毎日


無理をして頑張ってみても、何をしても疲れがやってきて

気力は失われ、楽しくもなく、期待以上の自分も出てこない。


I Dreamed a Dream.ここから幸せになる方法はあるのだろうか?

  • 国破れて山河在り 増田さんは 夢破れて、「何」が在りますか。 もっと気楽に生きようよ。

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