身近な環境は破壊されていないって??
しかし、最近「間違いだらけの環境問題」とか「環境危機を煽ってはいけない」なんて書物などのタイトルや内容に感化された経済学者や物知り風な経済成長論者が、よく持ち出す論法には賛成出来ません。
『「地球はひどい状態か?」と聞かれると「イエス」と答える人が
「あなたの周りで環境は破壊されているか?」と聞かれるとみな「ノー」と答える。
世界中の人々は「自分の住んでいる場所は大丈夫だけれど、どこかよその場所で環境が破壊されているのだ」と考えている。でもそれはおかしいんじゃないか?本当は世界中の環境は良くなっているんじゃないか。』
などともっともらしく言う輩がいますが、何をおっしゃるウサギさんです。
先ず、実際に中国などは、ニュースで紹介されるように環境はみるみる酷くなっています。やらせとは思えません。それどころか隠そうと思って隠せなかった部分が出てきているのではないでしょうか?・・対策もされていますが、全く追いつきません。
巨大開発などで住む場所を奪われつつある途上国の人々も沢山存在するし、酷い環境破壊に苦しんでいる人々も確実に存在します。
「他のどこか」を考慮しなくても、大抵の人の身近な周りでも環境は悪化されているのではないでしょうか。
例えば、私の周りを見渡しますと、残念ながら、自然環境はゆっくりと、でも確実に破壊されています。
近くの雑木林や草地も宅地開発されて、緑が極端に減りました。
ちょっと遠くに見える山々の森も道路やスキー場、ゴルフ場で切り刻まれて分断されています。実際に山に行くと、至る所不法投棄だらけです・・・。
多くの草や木の葉を近づいて見ると、酸性雨にやられて葉脈から枯れはじめています。
昔は沢山飛び回っていた蝶やトンボも減っています。夏の間、アブラ蝉だけが頑張って、暑さを煽るようにがんがん鳴いています。
川も汚れました。そこそこ大きな川から小川、水路にいたるまで、魚の数は極端に減りました・・・・昔はうようよいたメダカやタガメ、ゲンゴロウでさえ珍しい存在です。
湧き水も農薬が入ったり枯れたりして飲めなくなってきて、清水を求めて山の奥へ奥へと入っています。百貫清水と言って、山の泉の底から沢山湧いていた名清水も、上の方のブナなどの林が切られてしまって、今は、一貫清水って感じで、少ない水がやっと湧き出しています・・・
子供の頃は泳げた川も、表面には油等が流れてきて、底にはヘドロが溜まっていて泳ぐ気が致しません・・・
まだ色々ありますが、日本中、多くの田舎町や村は、みんなこんな感じではないでしょうか?
都会はどうでしょう?はじめからコンクリート等の人工物に囲まれた都会の人々は、その人工の景色がだんだんオシャレになってきたと思っているかも知れませんが、オシャレな建造物を建てる一方、廃棄物をどんどん周りの地域に出して、捨て場がなくて困っています。
・・・年々の変化がゆっくりなので、普段住んでいるからこそ気付かない変化もあるかも知れません。・・だから逆に、数十年振りに訪れた地の変わり果てた姿にがっかりすることもあるのではないでしょうか?・・山国育ちの私は、子供の頃訪れた海岸に、かにや小魚やイソギンチャクやヒトデやアメフラシがやたら多い事に感動したものですが、二、三十年振りに同じ懐かしの場所に行ってみて、海までコンクリに固められて、海岸に、かにやイソギンチャクや・・・を見つけるのが困難になっていたことに唖然としたものです。・・・そんな海岸は一つではありません。再訪問したいくつかの思い出の海岸全てがそうでした・・・
毎日の変化には気付かなくとも、二,三十年では、かなり環境が悪化しています。
場所によっては、自然環境が保護されて、昔のままだったり、改善された場所もあるでしょうが、大抵の人の周りの多くの環境が、年々少しずつ悪化されているのです。
「あなたの周りで環境は破壊されているか?」と聞かれたとき「ノー」と答える人々は、文明病に冒されて、観察する眼がなくなったり、忙し過ぎたり興味がなくて、環境悪化に気付かないだけではないでしょうか。
こんなことをまことしやかに論じている書物や人物は観察力がない、目が節穴と言うべきでしょう。少なくとも私は、信用致しません。
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