急成長中の動画共有サイトに,通信と放送の融合の可能性を模索する動きが活発になってきた。日本国内ではこれまでもベンチャー企業によって運営される動画共有サイトがいくつかあったが,この夏からは,大手の通信事業者や放送事業者なども参入してきた。

 フジテレビジョンは外部企業と「フジテレビラボ」を設立し,動画共有サイト「ワッチミー!TV」を2006年7月からテストサービスとして公開開始した。同サイトでは10月に正式サービスを開始する準備を進めている。また,NTT(持ち株会社)はNTTレゾナント,NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と共同で動画共有サイト「ClipLife」を8月28日に開設した。2007年2月末まで約半年間のトライアル運用を経て事業化を目指すという。

 一方,放送事業者が自身の番組を動画共有サイト経由で配信する動きも出ている。東京メトロポリタンテレビジョン(東京MXテレビ)は,8月末から米最大手の動画共有サービス「YouTube」や「Google Video」に,毎週金曜日に放送している生放送番組を放送終了後すぐに公開し,無料で視聴できる試みを開始した。

 動画共有サイトでは,公開された動画に視聴者がコメントを付けたり,ブログでその動画を引用するなどして交流することが可能になっている。そうした交流の中から新たな創作物が生まれ,それがまた新しい視聴者を引きつける,といった現象が生まれている。通信事業者や放送事業者らは,こうした動きに注目しているようだ(詳細は日経ニューメディア2006年9月11日号に掲載)。