東京都八王子市内の賃貸アパートで鉄骨製の屋外階段が崩落し、住人1人が転落死した事故から約4年。警視庁は2025年2月14日、施工者である則武地所(相模原市、事故後に自己破産)の元会長の男性を業務上過失致死の疑いで書類送検した。
21年4月17日に発生したこの事故は、鉄骨階段と踊り場の接合部に使用していた木材の腐朽が原因と見られる。警視庁の発表によると、書類送検された男性は階段踊り場の腐朽に対して補修などの措置を講じずに放置し、被害者を死亡させた疑いがある。
事故が起こったのは八王子市内に立つ木造の賃貸アパートだ。建物は地上3階建てで、13年10月に指定確認検査機関から検査済み証の交付を受けた。崩落したのは1階と2階をつなぐ屋外階段だ。
事故を受け、国土交通省は則武地所が施工した共同住宅の洗い出しと、屋外階段の現地調査を東京都及び神奈川県の特定行政庁に要請。調査の結果、21年6月時点で同社が施工した241件のうち214件で詳細な調査や改修などの対策を要すると判断した。このうち劣化が進んでいた6件には、支保工の設置などで応急処置を施した経緯がある。
国交省は21年4月28日、特定行政庁に対して214件の所有者や管理者に次の3点を求めるよう要請した。(1)建築士などによる詳細調査、(2)屋外階段の改修計画の提出及び改修の実施、(3)改修完了までの間の定期的な点検及び特定行政庁への報告――だ。
東京都では24年12月末時点で、調査対象だった40件のうち27件で改修や解体などの対応が完了した。神奈川県では同じく24年12月末時点で、調査対象174件のうち70件が対応済みだ。屋外階段を除却・改修したものや、対応が不要だったものを含む。「県では未対応の状況を定期的に確認している。早く安全性を確保できるよう、引き続き指導していく」(同県県土整備部建築住宅部建築安全課)
この事故を巡っては、国交省が再発防止に向けて建築基準法施行規則を改正するなど、規制の強化につながった。