全1160文字

 川崎市内のJR南武線をまたぐ道路の跨線(こせん)橋の架け替え工事で、既設部の配筋位置が竣工図と異なっていたため、コンクリート拡幅部を定着できなくなった。別の工法を検討するのに時間を要するため工事をいったん中止し、仮設設備を撤去する。2024年10月7日、同市幹部がまちづくり委員会で報告した。

JR南武線をまたぐ道路橋の改修工事の様子(写真:川崎市)
JR南武線をまたぐ道路橋の改修工事の様子(写真:川崎市)
[画像のクリックで拡大表示]

 川崎市は、同市北部と東京都を結ぶ都市計画道路世田谷町田線の整備を進めている。その登戸工区で、1956年度に供用を始めた2車線の登戸陸橋の北側に、新たな橋梁を造って4車線化する事業に取り組んでいる。2022年度には新橋の供用を開始し交通を切り替え、旧橋の供用を停止。旧橋を架け替え、28年度に4車線の供用を始める計画だった。

既設橋桁を撤去する前の様子(写真:川崎市)
既設橋桁を撤去する前の様子(写真:川崎市)
[画像のクリックで拡大表示]

 跨線橋の工事は市と協定を結んだJR東日本が施行。期間は22年8月~25年3月で、金額は約15億円。施工箇所の延長は18.5m、幅10.1mで、鉄建建設が施工を手掛ける。

工事の対象範囲(出所:川崎市)
工事の対象範囲(出所:川崎市)
[画像のクリックで拡大表示]

8割のアンカーが設計通り打設不能

 鉄筋コンクリートを定着できなくなったのは、橋桁架け替えに伴う改良工事だ。新たに架ける橋桁の両端にある既設部に鉄筋コンクリートを打設し、桁かかり部を設け、橋桁との重なる範囲を示す「桁かかり長」を拡大。落下防止機能などを持たせる計画だった。

橋桁架け替えに伴う桁かかり部の改良工事のイメージ(出所:川崎市)
橋桁架け替えに伴う桁かかり部の改良工事のイメージ(出所:川崎市)
[画像のクリックで拡大表示]

 既設の橋桁と桁かかり部を撤去した後の24年3月、拡幅するコンクリート部のアンカー鉄筋の約8割が設計図通りに打設できないことが判明した。既設部の配筋位置が竣工図と異なっていたため、打設時に干渉する恐れがあったからだ。目視と非破壊探査によって既設部の配筋位置を推測した。

当初計画の桁かかり部の拡大図(出所:川崎市)
当初計画の桁かかり部の拡大図(出所:川崎市)
[画像のクリックで拡大表示]