あなたがドローンユーザーだとして、航空法で飛行が原則禁じられている「第三者上空」の解釈について国土交通省に問い合わせたとしよう。そこで、こんな言葉が返ってきたら、どう思うだろうか。
「我々では解釈を示せないので、まずは飛ばしてみてください。警察が書類送検すれば、航空法違反です」
同法を所管する官庁として、あまりに無責任な態度だと腹を立てるに違いない。国交省の出先事務所が起こした「ドローン騒動」に対する態度は、まさにこのようなもの。警察任せにするだけで、自らの解釈を示していない。
この騒動は、国交省四国地方整備局香川河川国道事務所が2023年4月26日、国道11号の拡幅工事の完了を受け、開通した道路の真上にドローンを飛ばした問題のことだ。ドローンで撮影した動画を翌日、公式Twitter(現X)に投稿したところ、「人や車が行き交う道路上にドローンを飛ばすのは法令違反ではないか」といった疑問の声が噴出。その日のうちに動画を削除した。
同事務所は4月29日に動画削除の事実を第1報として公表したものの、その後4カ月半にわたって沈黙。同事務所の委託でドローンを飛ばした建設コンサルタント会社などが航空法違反の容疑で書類送検された9月13日、ようやく違反の事実を認めた。
国交省としては、これでドローン騒動は終わったと考えているのかもしれないが、決してそうではない。
いまだに説明責任を果たしていないからだ。法令に違反した飛行によって、同省は現場にいた第三者の安全を脅かしたといえる。建設コンサルに飛行を委託した当事者として、どのようにドローンを飛行させ、どんな点で法令違反があったのか、説明する責任があるはずだ。