結_(仏教)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 結_(仏教)の意味・解説 

結 (仏教)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/17 17:20 UTC 版)

仏教用語
パーリ語 saṃyojana
中国語 結, 結使, 結纏
日本語
(ローマ字: Ketsu)
英語 Fetter, chain, bond
テンプレートを表示

仏教において(けつ、: saṃyojana, サンヨージャナ)とは、衆生輪廻に縛り付ける「束縛」としての煩悩のこと[1]。結のため、人は苦しみに満ちた生を繰り返すこととなる。

パーリ経典

五を断ち(五下分結)、五を棄て(五上分結)、更に五を修せよ(五根)、
五著(貪・瞋・癡・慢・見)を越えたる比丘は、暴流を渡りたる人と言はれる。

ダンマパダ 第24章 比丘の章 370

パーリ経典経蔵では、以下の十結が挙げられている[2]

五下分結・三結

衆生を欲界(下分)へと縛り付ける結を、五下分結ごげぶんけつ: orambhāgiya-saṃyojana)と呼ぶ。

  1. 有身見うしんけん: sakkāya-diṭṭhi) - 五蘊自己とみなす見解[1]
  2. : vicikicchā) - 疑い
  3. 戒禁取かいごんしゅ: sīlabbata-parāmāsa) - 誤った戒律・禁制への執着
  4. 貪欲とんよく: kāmacchando)- 五欲に対する欲望・執着
  5. 瞋恚しんに: vyāpādo) - 怒り

この5つを絶つことで、不還果へと到達できる[3][4]

この5つの内、1-3の3つを特に三結(さんけつ)と呼び、これらは四向四果の最初の段階である預流果において絶たれる。

五上分結

衆生を色界無色界(上分)へと縛り付ける結を、五上分結ごじょうぶんけつ: uddhambhāgiya-saṃyojana)と呼ぶ。

  1. 色貪しきとん: rūpa-rāga) - 色界に対する欲望・執着
  2. 無色貪むしきとん: arūpa-rāga) - 無色界に対する欲望・執着
  3. まん: māna) - 慢心
  4. 掉挙じょうこ: uddhacca) - (色界・無色界における)心の浮動
  5. 無明むみょう: avijjā) - 根本の無知

この5つを絶つことで、四向四果の最終段階である阿羅漢果へと到達できる[3][4]

論蔵における十結

以下が論(アビダンマ)の分類法(: abhidhamma-naya)における「結」である。[1]

  1. 貪欲とんよく: kāma-rāga
  2. 瞋恚しんに: paṭigha
  3. まん: māna
  4. けん: diṭṭhi) - まちがった見解
  5. : vicikicchā
  6. 戒禁取かいごんしゅ: sīlabbata-parāmāsa
  7. 有貪うとん: bhavarāga) - 存在することへの執着
  8. しつ: issā) - ねたみ、嫉妬
  9. けん: macchariya) - けち、物惜しみ
  10. 無明むみょう: avijjā

脚注

  1. ^ a b c P.A.パユットー 著、野中耕一 訳『ポー・オー・パユットー 仏教辞典(仏法篇)』、2012年2月、サンガ、p.202-203
  2. ^ These fetters are enumerated, for instance, in SN 45.179 and 45.180 (Bodhi, 2000, pp. 1565-66). This article's Pali words and English translations for the ten fetters are based on Rhys Davids & Stede (1921-25), p. 656, "Saŋyojana" entry (retrieved 2008-04-09).
  3. ^ a b 悟りの階梯 - 藤本晃/日本テーラワーダ仏教協会
  4. ^ a b パオ森林僧院における教えと修行 日本語訳 pp33-34 [リンク切れ]

関連項目


「結 (仏教)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

','','','','','','','','','','','','','','','','','',''];function getDictCodeItems(a){return dictCodeList[a]};

すべての辞書の索引

「結_(仏教)」の関連用語






6
50% |||||





結_(仏教)のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable(){return sideRankTable};

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



結_(仏教)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの結 (仏教) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS