松屋銀座/新ECサイト本格始動、25年度売上50億円を目指す
2024年11月27日 16:29 / EC
松屋は11月27日、松屋銀座(東京都中央区)の新ECサイト「matsuyaginza.com」を本格稼働を開始した。
松屋銀座にショップを構えるブランドから店内に無いブランドまでラグジュアリーな商品を取り扱う。事前に予約して店舗で受け取ることができ、素早く買物できるようにした。スムーズに商品を購入したい人が国内外にいるため、人流を分けるのが一番の狙い。訪日外国人には、免税手続きまで一貫して行うため、免税カウンターに並ぶ手間も短縮。国内の顧客は直接オンライン購入も可能だ。
加えて、増加する訪日外国人のID化(顧客識別)を進め、リピーターの確保・認識を図る。国内では、地方客・若年層など新規顧客の獲得を目指す。店内に高額購入者専用のサロンを設け、富裕層に向けた深耕営業も深化させたい考え。目標売上高は初年度(2025年度)売上50億円、4年後(2029年度)200億円とした。開始時46ブランド約1500品用意し、1年後150ブランド5000品の取扱を見込む。
新ECサイト導入の背景について、古屋毅彦社長は「環境の変化の中で、改めてこういう取組をやることが決まった。ウェブでもラグジュアリーブランドを推進できる環境づくりに今回注力している。あくまでオムニチャネルのプラットフォームのため、リアル店舗がメイン。リアルを核としてデジタルでもシームレスにつながり、いろんなことができるように作っている。
10年前に巷でオムニチャネルという言葉が騒がれ、そこからDXなどが進んだが、当時の百貨店は上手く乗れなかった。弊社では『tabモール』(14年11月開設)という予約受付して店頭で受取できるサービスを1回ローンチしたが、軌道に乗らず2年くらいでギブアップしている。そこから知見を得て今回バージョンアップした。
スマホの普及率が拡大して、皆が常時ウェブとつながっている世界になった。海外の方々はスマホで情報を調べてから訪日するようになっている。リピーターも多いため、ID化によってユニークユーザー数を把握したい。そうした方々にさらなる提案ができるようになればいいと思う。日本を訪れる時、松屋に必ず来てもらえるような関係を作りたい」と述べた。
松屋の子会社MATSUYA GINZA.comが今年、ラグジュアリーECサイトを運営していたB4FからEコマース事業を譲受しており、今回ようやく本格始動に至った。MDは松屋銀座と共同で行う。ブランドの在庫と直接連携する独自テクノロジーを採用し、顧客は欲しい商品をいつでも入手可能。今後、AIが顧客の好みを学習してリアルタイムで最適な商品を提案するサービスになる予定だ。
商品は注文確定後、1~5日で店舗受取できる。ECサイトで商品を注文し、注文準備完了の通知が届いた後、松屋銀座4階に新設した「ピックアップカウンター」でメールの通知を提示するだけで受取可能。通常3~5分以内で受け渡しが終わるという。日本非居住者で免税手続きも行う場合はパスポートも提示する。
ピックアップカウンターの奥には、国内外問わずECでの高額利用者向けにシークレットサロンも設けた。一定額の購入金額と顧客の都合によって案内される。フィッティングルームも備え、案内された顧客に限り商品の試着も可能。ウェルカムドリンクも提供して寛いでもらいながら、さまざまな提案を行う。壁にかけた絵画は定期的に入れ替え、商品としての販売も今後検討していく。
さらに松屋銀座ではECの本格始動に先立ち、3階に海外の富裕層客を案内する専用ラウンジを用意している。海外客をアテンドするチームを外商部隊とは別枠で設立し、10月から本格展開を開始。スタッフが3名常駐し、日本語・英語・中国語・韓国語で対応する。松屋銀座は海外の金融機関との提携を強みとしており、上位客を絞り込んでラウンジを紹介。1日に10~15人案内しているという。
また、今回の本格始動を記念して、12月3日までの期間限定で店舗・オンライン両方でさまざまなデジタル体験ができるオープニングイベントを開催している。参加には新規会員登録が必要。このうち1階正面入口前のプロモーションスペースでは、オリジナルグッズや1000円クーポン、虎屋の羊かんなどが貰える「ラッキーガチャ」を用意した。
■matsuyaginza.com
ローンチ時取扱ブランド数:46ブランド(ファッション7、ビューティ38、アルコール1)
商品数:約1500アイテム(化粧品、婦人靴・服、バッグなど)
■松屋銀座
所在地:東京都中央区銀座3-6-1
取材・執筆 古川勝平
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