2006年 06月 25日
「永久資本」の魅力 (+WC) |
先日のNew York Timesの記事によると、最近LBOファンドが投資ビークルを上場させて「永久資本」(投資家に返済する必要の無い資金)を求めていること受けて、ヘッジファンドの中にも同様の案件を検討している所があるそうです。
ヘッジファンド業界では、現在既にMan Groupがロンドンに上場しており、またKKRも上場させた投資ビークルの一部をヘッジファンド風の運用に回すようなので、純粋ヘッジファンドが上場を考えるのは自然な流れなのかもしれません。
ファンドがこのような動きに出ている背景には色々なことが考えられますが、中でも最大のものは、やはり「永久資本の魅力」と言うことに尽きるのではないかと思います。
ファンド(基金)は基本的に他人から預かったお金を運用する存在なので、良くも悪くも投資家から常に監視される立場にあります。そんなプレッシャーから逃れると言うわけではありませんが、Warren Buffettが半永久的な投資資本の獲得方法として保険会社を保有することを選んだように、ファンドがビークルを上場させることを考えるのも理解出来る気がします。
特に大手ファンドにとっては、規模が膨らむと投資先が減少して運用が困難になるにもかかわらず、投資家から以前と同様のリターンを維持することが求められるというプレッシャーがあります。
LBOファンドであれば、M&AやIPOが活発な時期、つまり好景気の時であれば、新規の投資案件の発掘もポートフォリオ企業のエグジットも比較的容易であり、大量の運用資金の向け先も十分にあるかもしれません。それでも一度マーケットが冷え込んでしまうと、案件開拓もエグジットも同時に困難になってしまいます。
最近のニュースを見ていると、金利上昇やクレジットリスクの増大を受けて、大型のLBOでキャピタルストラクチャーを見直す動きなども出てきているようです。業界に友人が多いこともあり、今後アメリカでいつまでレバレッジドファイナンスの好景気が続くかは個人的に常に注視しています。
ヘッジファンドでも、投資の際には「流動性」、言い換えれば保有しているポジションを何日で解消出来るかを上手く管理する必要がありますが、ファンドの規模が例えば1兆円に達すると、その資産の1%を運用するとしても100億円と言う規模になります。株式ロングショートのファンドであれば、それだけの金額の株式が短期間で取引される企業と言うのは大企業が中心となり、それはつまり投資機会の選定幅が狭まることを意味します。
最近の報道によると、絶好調を続けるGoldman Sachsのヘッジファンド部門が2.5兆円規模に達しているそうで、それはかつて世界最大のヘッジファンドだったTiger Managementの最盛期の規模に及びます。以前にTigerについて書いた時にも触れましたが、このような規模になってもパフォーマンスを上げ続けることが出来るか、今後が注目されます。
ちなみに「流動性」と言う観点から見ると、村上ファンドの投資スタイルは、経営権を100%掌握するPE投資と流動性を確保するHFの中間にある、極めて難しいものと言えると思います。過半数以下の株を握っても経営陣に行動を強制することは難しく、結果的に期待通り株価が上がらなかったとしても、ポジションから脱出することは困難だからです。それを数千億円と言う規模でやるとなると、リスクは益々高くなり、そんなことからニュースを作って個人投資家を引き込み、売買高が膨らんだ所で持ち株を売り抜くと言う、最終的にはインサイダー取引につながってしまったスタイルが確立したのではと思います。
話がそれましたが、ともかくそんな「永久資本の魅力」がファンドによるIPO熱を煽っていると考えられますが、IPOの市場自体は、最近どうも軟調なようです。先日もLBOファンドのApolloがポートフォリオ企業を合併させて作った会社の上場が、価格面で市場と折り合いが付かずに延期になったという報道がありました。
株式市場は常に晴天と雨天を繰り返すもので、IPOもまた人気が復活するかもしれませんが、KKRの投資ビークルが上場以来値を下げていることもあり、NY Timesが報道しているように今後ファンドが本当に上場を目指してくるかは微妙な気がします。
・・・と、世界がワールドカップで盛り上がっている時期に、いつも通りのネタで恐縮ですが、ワールドカップ、当然観ています。
アメリカ東海岸では、試合はちょうど9時、11時、3時と言った昼の時間帯で放送しており、Walt Disney傘下のABCとESPNが、全試合をハイビジョン放送しています。(アメリカでも全試合放送にこぎつけてくれた電通に感謝です。)最近では、ケーブル局や衛星局がセットトップボックスにDVR機能を付けているので、おかげでほぼ全試合を録画で見ています。
日本代表は残念でしたが、世界で20億人が観ているといわれるワールドカップ、イングランド人やドイツ人の友達が極めて自慢気で腹立たしいので、「国の名誉」の為にも一層頑張ってもらいたいものです。韓国はアジア全体でレベルアップを図ろうと言っているそうですが、まずは選手個人レベルでの、責任感、気力、技量、体力のアップが必要な気がするのは私だけでしょうか。
ちなみにメディア業界担当として一つ書くと、DVRで再生する時にもアディダス他のクリエイティブなCMを飛ばすことが無い時など、テレビ広告の将来は言われているほど暗くないなと感じます。また試合会場の広告塔など、テレビのブランド浸透力は比類無いものな気がするので、インターネットと競合するのはプリントメディアが中心なのかもしれません。
ヘッジファンド業界では、現在既にMan Groupがロンドンに上場しており、またKKRも上場させた投資ビークルの一部をヘッジファンド風の運用に回すようなので、純粋ヘッジファンドが上場を考えるのは自然な流れなのかもしれません。
ファンドがこのような動きに出ている背景には色々なことが考えられますが、中でも最大のものは、やはり「永久資本の魅力」と言うことに尽きるのではないかと思います。
ファンド(基金)は基本的に他人から預かったお金を運用する存在なので、良くも悪くも投資家から常に監視される立場にあります。そんなプレッシャーから逃れると言うわけではありませんが、Warren Buffettが半永久的な投資資本の獲得方法として保険会社を保有することを選んだように、ファンドがビークルを上場させることを考えるのも理解出来る気がします。
特に大手ファンドにとっては、規模が膨らむと投資先が減少して運用が困難になるにもかかわらず、投資家から以前と同様のリターンを維持することが求められるというプレッシャーがあります。
LBOファンドであれば、M&AやIPOが活発な時期、つまり好景気の時であれば、新規の投資案件の発掘もポートフォリオ企業のエグジットも比較的容易であり、大量の運用資金の向け先も十分にあるかもしれません。それでも一度マーケットが冷え込んでしまうと、案件開拓もエグジットも同時に困難になってしまいます。
最近のニュースを見ていると、金利上昇やクレジットリスクの増大を受けて、大型のLBOでキャピタルストラクチャーを見直す動きなども出てきているようです。業界に友人が多いこともあり、今後アメリカでいつまでレバレッジドファイナンスの好景気が続くかは個人的に常に注視しています。
ヘッジファンドでも、投資の際には「流動性」、言い換えれば保有しているポジションを何日で解消出来るかを上手く管理する必要がありますが、ファンドの規模が例えば1兆円に達すると、その資産の1%を運用するとしても100億円と言う規模になります。株式ロングショートのファンドであれば、それだけの金額の株式が短期間で取引される企業と言うのは大企業が中心となり、それはつまり投資機会の選定幅が狭まることを意味します。
最近の報道によると、絶好調を続けるGoldman Sachsのヘッジファンド部門が2.5兆円規模に達しているそうで、それはかつて世界最大のヘッジファンドだったTiger Managementの最盛期の規模に及びます。以前にTigerについて書いた時にも触れましたが、このような規模になってもパフォーマンスを上げ続けることが出来るか、今後が注目されます。
ちなみに「流動性」と言う観点から見ると、村上ファンドの投資スタイルは、経営権を100%掌握するPE投資と流動性を確保するHFの中間にある、極めて難しいものと言えると思います。過半数以下の株を握っても経営陣に行動を強制することは難しく、結果的に期待通り株価が上がらなかったとしても、ポジションから脱出することは困難だからです。それを数千億円と言う規模でやるとなると、リスクは益々高くなり、そんなことからニュースを作って個人投資家を引き込み、売買高が膨らんだ所で持ち株を売り抜くと言う、最終的にはインサイダー取引につながってしまったスタイルが確立したのではと思います。
話がそれましたが、ともかくそんな「永久資本の魅力」がファンドによるIPO熱を煽っていると考えられますが、IPOの市場自体は、最近どうも軟調なようです。先日もLBOファンドのApolloがポートフォリオ企業を合併させて作った会社の上場が、価格面で市場と折り合いが付かずに延期になったという報道がありました。
株式市場は常に晴天と雨天を繰り返すもので、IPOもまた人気が復活するかもしれませんが、KKRの投資ビークルが上場以来値を下げていることもあり、NY Timesが報道しているように今後ファンドが本当に上場を目指してくるかは微妙な気がします。
・・・と、世界がワールドカップで盛り上がっている時期に、いつも通りのネタで恐縮ですが、ワールドカップ、当然観ています。
日本代表は残念でしたが、世界で20億人が観ているといわれるワールドカップ、イングランド人やドイツ人の友達が極めて自慢気で腹立たしいので、「国の名誉」の為にも一層頑張ってもらいたいものです。韓国はアジア全体でレベルアップを図ろうと言っているそうですが、まずは選手個人レベルでの、責任感、気力、技量、体力のアップが必要な気がするのは私だけでしょうか。
ちなみにメディア業界担当として一つ書くと、DVRで再生する時にもアディダス他のクリエイティブなCMを飛ばすことが無い時など、テレビ広告の将来は言われているほど暗くないなと感じます。また試合会場の広告塔など、テレビのブランド浸透力は比類無いものな気がするので、インターネットと競合するのはプリントメディアが中心なのかもしれません。
by harry_g
| 2006-06-25 04:25
| ヘッジファンド・株式投資