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はじめに

世界的なEVシフトが加速する中、中国の自動車メーカーBYDは目覚ましい成長を遂げ、EV販売台数で世界トップに躍り出ています。1995年にバッテリーメーカーとして創業したBYDは、どのようにして現在の地位を築いたのでしょうか。本稿では、BYDの創業経緯から現在の事業に至るまでの歴史を紐解き、その成長の要因を多角的に分析します。

BYDの創業と初期の事業

BYDは、1995年2月、王伝福氏によって中国・深センで創業されました 1。資本金は5,000万円、従業員はわずか20人程度 2 の小さなバッテリーメーカーとしてスタートしました。創業者の王伝福氏は、中国国内の大学・大学院でバッテリー技術を学び、北京の国有研究機関で電池開発の研究室室長を務めた経験を持つ人物です 1。携帯用電池の需要の高まりを見越し、研究機関を辞職してBYDを創業しました 1

BYDは当初、携帯電話やPC用のバッテリーを製造していました 3。1997年のアジア通貨危機を機に、コストパフォーマンスに優れたBYDの電池は世界の大手メーカーに認められるようになり、フィリップス、松下電器、ソニー、GEなどとの取引を開始しました 5。わずか2年間で、ニッケルカドミウム電池の出荷量で世界シェア4位にまで成長しました 5。2002年には、香港証券取引所に上場を果たし 4、さらなる事業拡大への足掛かりを築きました。

BYDの事業展開:電池から自動車、そしてEVへ

BYDは、創業当初の電池事業で培った技術力とノウハウを基盤に、自動車事業、EV事業へと進出することで、現在の地位を確立しました。各事業の展開と、その成功要因について詳しく見ていきましょう。

電池事業の成功と垂直統合型ビジネスモデルの構築

BYDは、創業当初から電池事業に注力し、携帯電話用電池市場で大きな成功を収めました。その要因は、

  • 優れたコストパフォーマンス: 従来の日本企業が dominance を誇っていた携帯電話用電池市場において、BYDは低コストで高品質な電池を提供することで、価格競争力を武器にシェアを拡大しました 5

  • 積極的な海外展開: 欧州企業との取引を重視し、1998年にはオランダ・ロッテルダムに初の海外拠点「BYD Europa」を設立しました 1。その後、モトローラやノキアといった世界的な携帯電話端末メーカーと取引を開始し 1、グローバル市場でのプレゼンスを高めました。

  • 技術革新: 1990年代後半、世界のリチウムイオン電池市場は日本企業が中心となっていました 6。BYDは、当時まだ技術的に遅れていた中国において、いち早くリチウムイオン電池の開発・生産に着手し、市場の需要に応えました 6

これらの要因により、BYDは電池事業で確固たる地位を築きました。そして、この電池事業で培った技術力とノウハウこそ、BYDの垂直統合型ビジネスモデルの基盤となっています。

垂直統合型ビジネスモデルとは、製品の製造に必要な部品や材料の調達から、製造、販売までを一貫して自社で行うビジネスモデルです。BYDは、電池、モーター、電子制御システムなど、EVの主要部品を自社で開発・生産することで、

  • コスト削減: 部品調達のコストを削減し、競争力のある価格でEVを提供することを可能にしています。

  • 品質管理: 部品の品質を厳格に管理することで、高品質なEVを製造することができます。

  • サプライチェーンの安定化: 部品調達を外部に依存しないため、サプライチェーンの disruption リスクを低減することができます。

しかし、垂直統合型ビジネスモデルには、

  • 設備投資の負担: 各工程に必要な設備への投資負担が大きくなる。

  • 外部環境変化への対応の遅れ: 市場の変化や技術革新に対応するのが遅れる可能性がある。

  • サプライチェーンの硬直化: 外部企業との連携が少なくなり、 innovation が生まれにくい可能性がある。

といったデメリットも存在します。BYDは、これらのデメリットを克服するために、外部企業との連携も積極的に進めています。例えば、2010年にはダイムラーAG(現メルセデス・ベンツ・グループ)と合弁会社を設立し 3、EVの共同開発を行っています。

自動車事業への進出:新たな成長の柱

2003年、BYDは中国国営の自動車メーカー「秦川自動車」を買収し 5、自動車事業に参入しました 4。これは、電池事業で培った技術力とノウハウを活かし、新たな成長の柱を築くための戦略的な決断でした 5

しかし、自動車事業への参入は、社内でも反対意見が多く、容易な道のりではありませんでした 5。当時の中国では、自動車製造は国有企業が中心であり、民間企業の参入には厳しい規制がありました 5。BYDは、独自に自動車製造の子会社を設立するのではなく、国営自動車メーカーを買収することで、これらの規制をクリアし、自動車事業への参入を実現しました 5

EV事業への進出:世界トップへの道

BYDは、自動車事業への参入後、いち早くEV事業に注力しました。2008年には、世界初の量産型プラグインハイブリッド車(PHV)「F3DM」を発売 3。その後も、EVやPHVの開発・販売を積極的に進め、2022年にはEV販売台数で世界トップを獲得しました 7

BYDのEV事業の成功は、以下の要因に支えられています。

  • 垂直統合型ビジネスモデル: バッテリーからモーター、電子制御システムまで、EVの主要部品を自社で開発・生産できる垂直統合型ビジネスモデルを構築することで、コスト競争力を強化し、高品質なEVを低価格で提供することを可能にしました 3

  • 革新的なバッテリー技術: 2020年に発表した「ブレードバッテリー」は、安全性とエネルギー密度を両立させた革新的なLFP電池であり 8、BYDのEVの競争力をさらに高めました。

  • 中国政府の政策支援: 中国政府は、EVの普及を促進するため、補助金制度や税制優遇などの政策を導入しました 9。これらの政策は、BYDのEV販売を後押しする大きな要因となりました。

  • 積極的な海外展開: 中国国内市場だけでなく、欧州、日本など、世界各国へ積極的にEVを展開することで 10、グローバル市場でのプレゼンスを高めています。

BYDの成長を支えた要因:多角的な視点からの分析

BYDの成長は、上記の事業展開に加え、以下の要因によって支えられています。

  • 技術力: バッテリー技術をコアに、EVの主要部品を自社で開発・生産できる高い技術力は、BYDの競争力の源泉となっています 3

  • 経営戦略: 創業者の王伝福氏のリーダーシップの下、市場のニーズを的確に捉え、変化を恐れずに新たな事業に挑戦する柔軟な経営戦略が、BYDの成長を加速させています 2

  • 中国政府の政策: EV普及を促進するための中国政府の政策支援は、BYDのEV事業の成長を後押しする大きな要因となりました 5

  • 市場の動向: 世界的なEVシフトの加速は、BYDのEV事業にとって追い風となっています 12

  • 多角的な事業展開: BYDは、EV事業だけでなく、ITエレクトロニクス事業、新エネルギー事業、モノレール事業など、多角的な事業を展開しています 3

特に、モノレール事業は、BYDの技術力の高さを示す好例です。BYDは、「SkyRail」と呼ばれる独自のモノレールシステムを開発し、中国国内外で都市交通のインフラ整備に貢献しています。

また、2008年には、ウォーレン・バフェット氏率いるBerkshire Hathaway Inc.から出資を受け 4、BYDの企業価値向上に大きく貢献しました。

競合との比較分析:BYDの強みと弱み

BYDの主要な競合としては、テスラや中国のEVメーカーが挙げられます。





企業

強み

弱み

販売戦略

ブランドイメージ

BYD

コスト競争力、垂直統合型ビジネスモデル、幅広い製品ラインナップ、多角的な事業展開

ブランド力、海外市場での認知度

幅広い価格帯のEVを提供し、 mass market をターゲットにしている。

高品質で低価格なEVを提供する「 People's car 」

テスラ

ブランド力、先進技術、自動運転技術、ソフトウェア

価格、中国市場での競争力

高価格帯のEVを販売し、 premium market をターゲットにしている。

革新的でスタイリッシュなEVを提供する「 Tech leader 」

中国EVメーカー (NIO, Xpeng, Li Autoなど)

コスト競争力、中国市場での販売網、政府の支援

ブランド力、技術力、グローバル展開

中国市場を中心に、 mass market から premium market まで幅広い層をターゲットにしている。

先進技術とデザイン性を重視したEVを提供する「 Challenger 」

BYDは、テスラと比較して、コスト競争力に優れており、幅広い価格帯のEVを提供しています 14。また、中国EVメーカーと比較して、垂直統合型ビジネスモデルによる安定したサプライチェーンと高い技術力を有しています 3

しかし、テスラのような強いブランド力や、海外市場における認知度はまだ十分とは言えません 15

今後の成長可能性:世界市場をリードするEVメーカーへ

BYDは、今後もEV市場の拡大とともに、さらなる成長が見込まれます。特に、

  • 海外市場の開拓: 欧州、日本、東南アジアなど、世界各国でEVの販売を拡大することで、グローバル市場でのシェアをさらに伸ばすことが期待されます 10。しかし、海外市場では、欧米諸国との貿易摩擦や、ブランド認知度の低さといった課題も存在します 17

  • 新技術の開発: バッテリー技術の向上や自動運転技術の開発など 19、EVの進化を牽引することで、競争力を維持し続けることが重要となります。

  • ブランド力の強化: 高品質なEVを提供し続けるとともに、マーケティング活動を強化することで 20、グローバルブランドとしての地位を確立することが求められます。

BYDは、2025年までに、グローバルでのEV販売台数を500万台にする目標を掲げています。 21 また、研究開発投資を強化し、次世代EVの開発にも積極的に取り組んでいます。

結論:さらなる高みを目指すBYD

BYDは、創業以来、バッテリー技術をコアに、市場の変化を捉えながら事業を拡大してきました。電池事業で培った技術力とノウハウを活かし、自動車事業、EV事業へと進出し、世界トップレベルのEVメーカーへと成長を遂げました。

BYDの成功は、優れた技術力、柔軟な経営戦略、中国政府の政策支援、そして市場の動向といった複合的な要因によって支えられています。今後も、海外市場の開拓、新技術の開発、ブランド力の強化といった課題に取り組みむことで、さらなる成長を遂げることが期待されます。

特に、中国EV市場では、テスラによる値下げを契機に、価格競争が激化しています 22。また、中国政府の補助金政策の変更も、BYDの業績に影響を与える可能性があります。 23 BYDは、これらの市場環境の変化に対応しながら、持続的な成長を追求していく必要があります。

Works cited

1. ビーワイディージャパンの企業情報 | CFN (CareerForum.Net), accessed January 2, 2025, https://careerforum.net/ja/company_list/3875/company_detail/

2. 電気自動車販売数世界1位のBYDとは?会社概要や経営状況を解説, accessed January 2, 2025, https://www.provej.jp/column/china/byd/

3. BYDはなぜテスラ並みの大躍進を遂げたのか? EV時代のものづくりの「こだわり」とは?, accessed January 2, 2025, https://www.sbbit.jp/article/st/116785

4. BYDグループ|ビーワイディージャパン株式会社, accessed January 2, 2025, https://byd.co.jp/byd-group/

5. 中国一電気自動車メーカー BYD の競争戦略 - 近畿大学学術情報リポジトリ, accessed January 2, 2025, https://kindai.repo.nii.ac.jp/record/12280/files/AN10437975-20150731-0017.pdf

6. 「パクリメーカー」の汚名返上、非特許技術の活用でリチウムイオン電池事業に挑戦した過去【短期連載】進撃のBYD(2) - Merkmal, accessed January 2, 2025, https://merkmal-biz.jp/post/69038

7. 中国の電気自動車の企業“BYD”とは?車のラインナップも紹介, accessed January 2, 2025, https://www.byd-japan.com/post/byd-china

8. EVとともに急成長する中国の車載電池メーカー - ジェトロ, accessed January 2, 2025, https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2023/1201/1ec2c953da174cd6.html

9. 電気自動車の世界でリードを奪った中国 - Abdul Latif Jameel, accessed January 2, 2025, https://alj.com/ja/perspective/how-china-rose-to-lead-the-world-in-electric-vehicles/

10. 中国NEV最大手BYDのタイ進出〜日系メーカーにとって黒船到来となるのか〜 - THAIBIZ, accessed January 2, 2025, https://th-biz.com/car_business_202210/

11. テスラ、トヨタに核心技術を提供 「遅咲き」の中国実力企業BYDは自動車業界を変えるか, accessed January 2, 2025, https://wisdom.nec.com/ja/series/tanaka/2022062801/index.html

12. 電気バス市場規模、シェア、予測 |レポート [2032] - Fortune Business Insights, accessed January 2, 2025, https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E3%83%90%E3%82%B9%E5%B8%82%E5%A0%B4-102021

13. 【コラム】 「中国 CATL、BYD はなぜ二次電池市場を席巻できたのか」, accessed January 2, 2025, https://www.jspmi.or.jp/system/file/6/147/202309columnSaeki.pdf

14. 市場を席巻するBYDのEV戦略 | あなたを「あたりまえ」の未来へ | 電気自動車(EV)のCARSMORA, accessed January 2, 2025, https://carsmora.com/article/detail/10001843

15. 日産には勝てない…格安の王者「BYD」の弱点、ドライバーなら気づく“決定的な差” - ビジネス+IT, accessed January 2, 2025, https://www.sbbit.jp/article/st/137149

16. 日本でも人気沸騰のきざしアリ⁈中国EVメーカーBYDとはどんなメーカー?, accessed January 2, 2025, https://carsmora.com/article/detail/10001923

17. 「将来は自動車販売5割を海外市場に」中国BYDが世界市場の開拓強化、貿易障壁の回避は課題, accessed January 2, 2025, https://36kr.jp/305518/

18. 気候テック15:中国EV大手BYD、欧米締め出しでも世界を目指す - MITテクノロジーレビュー, accessed January 2, 2025, https://www.technologyreview.jp/s/347190/2024-climate-tech-companies-to-watch-byd-and-its-affordable-evs/

19. テスラとBYDの違い|TechBits - note, accessed January 2, 2025, https://note.com/techbits/n/n27dac4fd847e

20. マスク氏にバカにされたBYDが「テスラ超え」、それでもEV覇権がほど遠い「5つの弱点」, accessed January 2, 2025, https://www.sbbit.jp/article/st/133599

21. 本当にBYDはテスラのライバルなの? そして、最後の勝敗を分けるテスラとBYDの考えが真逆な重要ポイントって? - EVcafe - EV専門 webメディア, accessed January 2, 2025, https://evcafe.jp/article-20231019-tesla-vs-byd/

22. BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった - THE EV Times, accessed January 2, 2025, https://ev-times.com/2024/05/25/24264

23. 中国で構築進むNEVのエコシステム | 中国EV・車載電池企業のグローバル戦略 - 特集 - ジェトロ, accessed January 2, 2025, https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2024/1201/f1adb94ffc00bc93.html

# by km_g | 2025-01-02 12:25


スタートアップに限らず経営者は孤独でプレッシャーの中で舵取りしないといけない。のでこういうメンタルケアは非常に重要。
が、たぶんこれだと根本原因が解決しないと思う。特にスタートアップの場合は。

原因は事業がうまくいっていないこと。そこにメスをいれずにメンタルはおそらく治らない、解決しない。
経営者がこういう状態になってしまっているとすると、もうその事業はダメだろう。手遅れ。交代してもダメ。

なので事業をちゃんとクローズする、またはM&A EXITが一番の解決策。それができる人を見つけてきて(VCが肩代わりして)そして経営者は休む。
そうでないと経営者は休めないはず。

最近、少額のM&Aが目につくようになった。




明らかに軟着陸EXIT。皮肉っぽく聞こえそうだが非常に良いM&Aだと思う。この意思決定と完了させた経営者、VCはすばらしい。

いずれにせよ、これがうまくいかなくなってしまった、メンタルを病んでしまった経営者向けの一番やらないといけないソリューション。
メンタルケアだけしてもダメ。休めるわけがない。

こういう少額M&Aの障害なるのが参加型優先受領権。
少額だろうがM&Aの場合、優先受領権をもつVCが数億円ピンハネをする(この時点で会社にも経営者にも1円も入らない)。

例えば下記のケースを考える。

買収予算 5億円
買い手は51%のシェアがほしい
VCsは1倍の参加型の優先受領権を保有。その金額合計は3億円分。
経営者70%シェア
VCs30%シェア
会社は瀕死の状態。会社にも出資をしてほしい。増資。1億円は最低限。

1:3億円VCsがピンハネをする。買い手の予算は残り2億円
2:増資1億円
3:残り予算1億円で、VCの持ち分と経営者の持ち分を買い取る。VCsはEXIT局面なので少なくともVCs分は全部売り切りたい。これまでのシェアというよりここで誰がどのくらい売れるか(泥舟から降りるか)という争いになる。
4:VCは経営者の持ち分に対してタグアロングや経営者の持ち分売却に対して事前承認権があるので、この局面でVCsに逆らえない。
5:経営者のEXITはほぼなし。買い手も経営者の持ち分全部売却は嫌がる。
会社に残る経営者は会社への資金を減らすわけにはいかないので、自身の売却は優先度が下がってしまう

という感じで少額M&Aで軟着陸するためにはVC側の協力が不可欠。VC協会の上の方にこんな局面でもナニワ金融道バリに資金回収する人もいる。ある意味本当に尊敬する。VCは所詮金融。


このあたりは別で書くとして、言いたかったことは経営者のメンタルが病んでしまった時はメンタルケアはもちろん大事だが事業側・会社側にメスをいれることを忘れてはダメ、ということ。





# by km_g | 2023-08-13 11:31

固定費はリスク

固定費と変動費。MBAのときは損益分岐点の計算で意識する程度の理解だったが、固定費=リスクと改めて理解した。

何か事業を始める時に、何を買うの?という視点は持ってたつもりだったが経常的な費用(〜人件費)にどのくらい使うのか、という視点をあまり重視してなかった。
その事業がもしうまくいかなかった場合のリスクはまさにこの固定費部分。特に社員を首にできない日本企業の場合は特に。

リスクの高いスタートアップや大企業の新規事業の場合、何かの業務を固定的な費用ではなく変動費的な費用でできないか、というのはこれまであまり気にしてなかったが今後気をつけよう。

# by km_g | 2023-07-22 16:00

VC市場の市場規模が気になったのでざっくり計算。

VCの売上はEXITと管理報酬の合計。市場規模もこの2つに分けて算出。

まずEXIT。ほぼIPOがメインと仮定。概ね年間100社上場。グロースだけでいうともう少し小さいかもだがここ100社で。

新規上場会社の推移(2008年~2021年)
https://cpass-net.jp/posts/lsd8LhgZ

IPO時にVCは売らないが、IPO時時価総額ベースでEXITすると仮定。50~100億円くらいか。間をとって75億円と仮定。
新規上場会社 時価総額の分布状況


このうちVC側がどのくらい株式シェアをとってるか。投資家側合計で50%くらいと仮定。

ここまでの数字を踏まえて、
EXITリターン=毎年100社IPO×平均時価総額75億円×株式シェア50%×VC側配分率20%=750億円


次は管理報酬側。年間のVCファンド組成額合計は、だいたい5,000億円くらい。

ここのうち2%が管理報酬として配分されるので、

管理報酬=5,000億円×2%=100億円


ここまでまとめると、

国内VC市場=EXIT + 管理報酬
     =750億円 + 100億円
     =850億円

このくらい。ここにM&AEXITも加わるので1,000億円くらい?が実態だろうか。
ここに200社くらいのVCが存在するマーケット。少なくともEXIT側はGP個人に帰属するのでなかなか美味しいマーケット?


参考
https://cpass-net.jp/posts/lsd8LhgZ
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2022FY/000586.pdf

# by km_g | 2023-06-03 11:04

CVCの財務リターン

 あるCVCが数倍のリターンをあげたと。ファンドビジネスとしてはすばらしい。疑う余地なし。
しかし、これはCVC。ファンドビジネスをECなど一般的な他のビジネスと比較しての業績インパクトは残念ながら、、、の数字だろう。

一方、CVCのもう一つの目的である戦略的リターン。既存事業のバリューアップに貢献したのかどうか。そちらはまったく言及してなかった。M&A一件あったが違う企業へのEXIT。つまり要らなかった企業だった。他はIPO(EXIT)。EXITしたとしても事業部への貢献があったかもしれない。が、ポートフォリオを見てみるとおそらく軽微だろう。大きかったら本体が買収してるはず。株は待ち続けるはず。

グループCEOからしてみると、「この」CVCの意味合いをどう理解したらよいか悩ましいだろうな。

# by km_g | 2023-05-31 18:22