日本の未来のために、「モノだけを紹介するコンセプトムービー」を賞賛するのはもうやめよう
所有するモノはなるべく減らそうとしている@h0saです。
先日、イタリアのサードパーティーSET Solusionが公開したコンセプトムービー、iPhone Air(極薄モデル)やiPhone 6C(曲面ディスプレイモデル)が話題になりましたね。
日本ではGizmodoとCNETにも取り上げられました。
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国外のデジタル系メディアで取り上げられ、閲覧数は28万(投稿日現在)を超えているようです。
しかし、僕はこのムービーを見て正直がっかりしました。日本の未来のために、次のような提言をします。
「モノだけを紹介するコンセプトムービー」を賞賛するのはもうやめにしよう
デザインで本当に大事なのはモノではなく、モノ(もしくはサービスなど無形なもの)から得られるエクスペリエンスです。これらの動画を見てもどんな経験が得られるのか全く伝わってきません。
冒頭に述べたYoutubeの閲覧数からもわかるように、多くの人がこのコンセプトに興味をもっていることがわかります。
しかし、この動画を見た人は、見た後にどう思うのでしょうか?
「あぁ、かっこいい」 「薄くなって便利そうだな」 「ぜひ実現してほしい!」
といった程度の感想しか持ち得ません。(コメント欄を見れば一目瞭然です。)つまり、そこで思考が停止してしまうんです。
まだまだモノ志向な日本
ここからは僕の主観になります。反論もあると思いますが、僕の考えを述べてみます。
僕はUI&UXデザイナーとして日本のメーカーで働いていますが、経営に近い方々はまだまだモノ志向の方々が多いように感じています。これからはUXだという時代に、UXという言葉を知らない役員もいるかもしれません。
日本のメーカーがなかなかイノベーションを生み出せないのは、経営陣の方々に「UXやCXをデザインする」という概念が浸透していないのが原因の1つだと僕は考えています。
ここで、冒頭に紹介したGizmodoとCNETの記事の話に戻ります。
正確な対比ではありませんが、Webに公開されているデータを見るとGizmodoの読者層は51歳以上が4%なのに対し、CNETでは部長以上の役職(推定50歳以上)が25%となっています。
Gizmodoは若い読者をターゲットにして様々なガジェットやネタを紹介するのはわかるのですが、企業の意思決定権を持つ役職の読者が多いCNETで、このようなモノ志向の動画を紹介するのはUXデザイナーとして歓迎しません。
彼らのモノ志向を助長してUXへの思考停止を促し、些細ながら日本の未来に暗雲をもたらしているようにさえ感じます。
僕たちにやれることは何か
では、僕たちUXデザイナーが日本の未来のためにできることは何でしょうか。
それは、少しでもUXデザインやサービスデザインというクリエイティブな領域を経営者や役員の方々に知ってもらい、その視点を経営に取り入れてもらうことです。
そのためには、社内外からの情報発信が必須です。僕も駆け出しながらブログで少しずつ情報発信を始めました。
さらにはもっともっと知識と力をつけ、経営者と対等に話し合える立場になる必要があります。そのためには、経営の知識も身につけたいと個人的に考えています。
おわりに
以上、UI&UXデザイナーのぼやきに近い意思表明でした。
この記事を書き始める時は単なるぼやきの記事になるかと思っていましたが、まさか将来の決意表明で締めることになるとは。ブログってすごい。
最後に、日本の未来、自分の未来まで考えさせられてしまったYoutube動画を張っておきます。
影響を受けた記事
この記事を書くにあたって、以下の記事の柴田文江さんのコメントに影響を受けました。
柴田:ええ。経営者の方々が、デザインに対する理解と戦略を持っていれば、日本のメーカー、もっと元気になると思う。
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