うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

読んだ本

緋色の研究 コナン・ドイル著/延原謙(翻訳)

シャーロック・ホームズの出てくる物語は犬のアニメや映像の印象でしか知らず、本を読んだのは初めてです。 なのに初めてじゃない気がするのは、江戸川乱歩の小説をたくさん読んできたからでしょうか。 この『緋色の研究』は、英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬ…

カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」 室橋裕和 著

いわゆる「インネパ」と呼ばれる、ネパールの人がやっているインドカレー屋さんの背景を追った本でした。 バターチキンカレーと甘いナンに、オレンジ色のドレッシングがかかったサラダにドリンクはラッシーにしますかチャイにしますか。というあのテンプレ的…

華岡青洲の妻 有吉佐和子 著

お正月の読書はこれでした。映画を観たら原作を読みたくなりました。 移動中にどんどん読み進めて、新幹線と地下鉄の車内でもその世界に吸い込まれるように読んで、名作のなかに時間を溶かしているうちに新年が始まりました。 久しぶりに会った母にこの小説…

ビルマの竪琴 竹山道雄 著/映画・市川崑監督(1956年)

よく行くインド料理屋さんでフード・ジャーニーという食べ物の提案があり、毎月楽しみに出かけています。 そこでミャンパー・ラオスで食べられているというオーラム(ハーブと肉、野菜のスープ煮込み)と一緒に、『ビルマの竪琴』が紹介されていました。 お…

好きな食べ物がみつからない 古賀及子 著

いやー、笑った。 こんな自我の追求のしかたがあったか。 「好きな食べ物」だけでなく「食べ物についての問いへの答え方そのもの」も同時に追求しながら、段階を追って周囲を検分していく様子に笑う。 他人に公言する「好きな食べ物」って、確かにコミュニケ…

サンカルパ 人の誇りと生と死と 青山圭秀 著

このシリーズが5作ある中の4作目の本を読みました。 古書店で『サンカルパ 』というタイトルの本が目に飛び込んできました。 わたしはこのシリーズの1と2と5を読んだことがあり、これは4。真ん中の3だけ読んでいません。 このシリーズは話の軸が婚活…

諸国空想料理店 高山なおみ 著

インド旅行で知り合った友人が、手紙を添えて送ってくれました。特にアジアの旅の様子がいいのだと書いてありました。 たしかによかった。インドとフィリピンの旅の話が印象に残りました。 日本にいるとたまに陥る、あの不明瞭な感情からわたしを救い出して…

危険だからこそ知っておくべきカルトマーケティング 雨宮純 著

少し前に読んだ『あなたを陰謀論者にする言葉』という本と同じ著者の本を読みました。Qアノンのように「相手が脳内で自分に都合の良い物語を創作しやすいように、ふわっと暗示する」という手法の説明がとてもわかりやすくて。 上記の本でもヨガの歴史が掘り…

林芙美子著『放浪記』『浮雲』と高峰秀子さんの『わたしの渡世日記』

少し前に高峰秀子さんの『わたしの渡世日記』の感想を書きました。 わたしは高峰さんを知ったきっかけが映画『放浪記』で、作家・林芙美子の役がうまくて驚きました(本人のことは見たことがないのだけど)。 原作がものすごく長くたくさんのエピソードがあ…

わたしの渡世日記 上下巻 高峰秀子 著

先に2つ『にんげんのおへそ』『コットンが好き』というエッセイを読んで、名著と評判の良い『わたしの渡世日記』を読んでみたくなりました。 高峰さんの半生記です。 50代になってから振り返って書かれているので、少女時代までのエピソードには「あのとき…

高峰秀子と十二人の男たち(対談集)

『高峰秀子と十二人の女たち』が良かったので、この本も読みました。 比べたら「女たち」のガールズ・トークのほうがおもしろいけど、「男たち」では対談相手のトップバッターが、なんと谷崎潤一郎。しょっぱなからキター!!! という豪華さです。 高峰さんが四女…

あなたを陰謀論者にする言葉 雨宮純 著

わたしは自分がスピリチュアルの行き過ぎた情報へ近づいていく瞬間に法則があると思っています。 ある問いのフレーズに捕まる時がそれです。 問いのフレーズはシンプルです。 で、結局どうすればよかったのだろう この問いに漠然と頭が支配されたときに、頭…

高峰秀子と十二人の女たち(対談集)

高峰さんが29歳~71歳までの間に雑誌や講演で対談した内容が年代順に収められています。 最初に最初に掲載されているのは、越路吹雪さんとの対談。二人とも29歳で、めちゃくちゃ勢いがあります。 掲載誌は『スタイル』(宇野千代さんが4回目の結婚相手と立…

わたしのごちそう365 レシピとよぶほどのものでもない 寿木けい 著

ここ2週間ほどでわたしの生活を大きく変えた一冊です。 自分はざっくりしたインプットのほうが行動に移しやすいタイプだということに気づくきっかけになりました。 切り方も分量も書いていないレシピなのに、次へ次へと作りたくなる。「こういう食べ方、家…

嫌いなら呼ぶなよ 綿矢りさ 著

少し前に読んだ『パッキパキ北京』で自分の本心に気がついて、同じ著者のこの本も読みたくなりました。 ネット時代のコミュニケーションの分解が細密で、若い世代の人の感覚を知る教材でもありました。 窮屈なコミュニケーションがさらに窮屈になるのは、毒…

君が手にするはずだった黄金について 小川哲 著

3つ目の話まで全部つながっていると思って読んでいて、4つ目の話で、ああこれは別々の話なのか・・・、と理解しました。 わたしはこんなふうに、この本のありようが理解できないと途中で居心地悪く感じる、そういう思考の癖があります。 これが発動する時…

自分とか、ないから。教養としての東洋哲学 しんめいP 著/鎌田東二 (監修)

東洋哲学の本が売れるなんてめずらしいみたい。 さっそく気になって読みました。すごい勢い。いっきに読まされました。 画像の使い方がネット的で、本なんだけどブログっぽくて、ブッダに乳粥を渡したスジャータをギャルと表現していたりして楽しく読めます…

阿Q正伝 魯迅 著/井上紅梅(訳 )

先日読んだ『パッキパキ北京』という爆笑小説に、魯迅の『阿Q正伝』と「精神勝利法」が出てきて、「スピリチュアル・ビクトリー」というパワーフレーズに打ちのめされました。 引用元を読みたくなって読んだら す、すごい話・・・(グッタリ) となったのだ…

パッキパキ北京 綿矢りさ 著

夫の海外赴任で中国に来てみたら無敵になれた妻の物語を読みました。 これが・・・最高に面白い! 心をたのしく揺さぶられました。 彼女の無敵っぷりが最高です。 その無敵っぷりを、インテリな(?)夫は魯迅の書いた阿Qという人物に喩えて褒めているのだけ…

断糖のすすめ 西脇俊二 著

「こうだ」と誰かから言い切って欲しい時ってありませんか。 先日、ちょうどそんなアクシデントがありました。 中華麺を食べて具合を悪くしたその日に立ち寄った古書店で、このタイトルを目にして買いました。 いまのわたしには、このくらいの言い切りが欲し…

おくれ毛で風を切れ  古賀及子 著

お母さんはこれをわたしに言うか言うまいか迷って引っ込めていたんだな~。と思うことって、あるんですよね。 18歳のときに、母がわたしにこんなことを言いました。 「このあいだ福住*1の踏切で、ああこれは渡れないだろうなと思っていたのだけど急に前の車…

(再読)アルケミスト - 夢を旅した少年 パウロ・コエーリョ著/山川紘矢・山川亜希子(訳)

10年前に読んだ本を再読しました。 この本を初めて読んだときは、インドネシアを旅行している最中でした。 まさに旅する時間とシンクロしていました。 今回は全く違う気分で読みました。BookClubで複数の人の眼で読んで話しました。 日常のルーティーンをこ…

丹波哲郎 見事な生涯  野村進 著

子どもの頃にテレビで見た大霊界おじさんに対するイメージが、昔の映画を観るようになってから一変しています。 この時代の人の死生観とガッツには、他の世代と違う複雑さがありますね。 数年前に伝記を読んで感銘を受けたワコールの創始者・塚本幸一さんと…

コットンが好き 高峰秀子 著

少し前に読んだエッセイが面白くて、高峰秀子さんの文章に夢中です。 旅行中のエピソードを書いた「エジプトのヘチマ」という文章は短いのに胸がぎゅっとなるような話で、越路吹雪さんとの交友を書いた「めがね」は涙なしには読めないし、昭和36年の時点でお…

動物農場 ジョージ・オーウェル 著/山形浩生(翻訳)

ずっと気になっていた本をやっと読みました。読みはじめたら数日で読める、グイグイ読まされる本でした。 少し前に友人のブログにこの本のことが書かれていて、英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊にも入っていて(わたしは近頃この…

亜宗教 オカルト、スピリチュアル、疑似科学から陰謀論まで 中村圭志 著

ダーウィンの『種の起源』(1859年)が、神が天地と全生物を6日間でつくったという「創世記」の内容をひっくり返すものだったと言われても、そもそも「創世記」を読んでいないとピンとこない。 だけど西洋ではこれが権威衰退のはじまりで、神父や牧師に代わ…

青い壺 有吉佐和子 著

全十三話の連作短編で、お昼休みに毎日一話ずつ楽しみました。 最後は夢中になって三話まとめて読みました。これこのまま連続ドラマにしたらおもしろいよな・・・、と思ったらドラマになっていませんでした。(なんで?!) ずっと有吉佐和子さんの作品を読ん…

にんげんのおへそ 高峰秀子 著

わたしの高峰秀子さんへの印象は 、"同性が指摘しずらい自己憐憫女子の演技がうまい" 女優さん。映画を観ながら、この再現能力はなに?! とずっと不思議に思ってきました。 今でいう "こじらせ女子" の人格を演じる技術の開発秘話が、このエッセイを読むこと…

人民の敵 イプセン戯曲全集4/原千代海 訳

イプセンの戯曲を読みました。過去に「人形の家」と「幽霊」を読んだことがあります。 この「人民の敵」は、文庫本だと「民衆の敵」というタイトルで出ています。わたしは全集に収録されているものを読みました。 きっかけは映画でした。 霊験あらたかな聖な…

新潮日本文学アルバム 宇野千代

書店で手にして、ぎゃーっ!なにこれ。と即買いでした。 神保町にある「PASSAGE by ALL REVIEWS」というお店で見つけました。 この連休中に初めて入りました。とてもおもしろい書店です。 その日一緒に過ごしていた学生時代の友人に「ここのカフェで働いてい…