雑誌『ビッグイシュー』 第58号 発売中
斎藤環さんと私の往復書簡 「和樹と環のひきこもり社会論」、今号は斎藤さんで、『「希望」は症状にしかない』です。 ▼以下、その斎藤さんの原稿より。
ところで僕には、ラカン理論で「ひきこもり」を語るさいに、どうしてもゆきついてしまう「究極の結論」がある。
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- 本屋さんでは売っておらず、すべて立ち売りです。 販売場所はこちら。
- 各販売員は、バックナンバーも大量に取り揃えて立っておられます。 ▼ひきこもり問題に興味をお持ちの方は、特に「第45号:特集:ひきこもりの未来」と、それ以後の号をどうぞ。
NPO法人「神戸オレンジの会」 7周年記念イベント: 「ひきこもりの未来」
- 第2部 対談
- 斎藤環先生(爽風会佐々木病院)
- 上山和樹氏(『「ひきこもり」だった僕から』著者) 【注:私です】
- 日時: 10月28日(土) 1部 13:00〜 2部 14:15〜
- 場所: 兵庫県こころのケアセンター 3F 大研修室
- 参加費: 無料
- 主催:
- 「NPO法人神戸オレンジの会」
- 「こうべ若者サポートステーション」
- 「兵庫県精神保健福祉協会」
- 「兵庫県立精神保健福祉センター」
- お問い合わせ: 神戸自立支援情報センター (TEL・FAX 078-515-8060)
関西近郊にお住まいの方は、ぜひおいでください。
ICC オープニング・シンポジウム: 「ネットワーク社会の文化と創造」
サイト左側のところから、動画でシンポジウム全編を視聴できる。
めっちゃおもしろい。
ひきこもりに関しては、54:40 あたりから、それ以後のやり取りなどがキモ。 キーワードは「再帰性」。 ▼すでにinflorescenciaさんが文字起こししてくださっているが、自分のためにあらためてメモ。
- 内省の過剰が社会性の回避につながる。
- ひきこもっている人は、カルトには絶対行かない。 自分がカルトだから。
- フロイトのモデルでは、自分の問題の所在を意識化できれば症状は軽減する。 しかし今は逆で、問題意識が高まれば高まるほど問題が大きくなってゆく。 勉強して、病理に詳しくなればなるほど治らなくなってゆく。
- 再帰性に苦しむひきこもりは、いわば「過剰な正常さに苦しめられてしまう」状態。 ▼自分に対しても自己愛で曇らされない仮借ない判断をしてしまうので、どんどん自分を追い詰めてしまう。 もっと、自分に対して甘い考え方とか、自己中心的な考え方をすればいいのだが・・・
- 藤幡正樹 (1:51:05〜)
- 「自己言及の一つのスタイルを提示することは、この国では意味があると思っている」
- 斎藤環 (2:09:50〜)
- 藤幡正樹
- 「学校でアングラをしなければならない」
*1:この場合の《症状》は、ラカン派のジャーゴンと考えたほうがいい。 最近の『ビッグイシュー』往復書簡が、この辺りの話をしている(「信仰≒症状」)。 あるいは『家族の痕跡』でも、「価値観≒症状」と語られている(p.171)。 ▼この考えに従えば、症状化を回避しようと徹底的に合理性を追究すれば(再帰性はその極限)、その強迫的探求自体が「症状的な営み」と言える(「合理的なものを探求するという非合理な営み」)。 ▼問われているのは「症状のスタイル」であって、「症状の根絶」ではない。
*2:藤幡氏はここで、「自己言及」を「マリファナ吸引」に喩えている。 魅惑的ではあるが、非常に危険な行為・・・。
*3:ここで斎藤氏は、オブセッション(強迫観念)の解消を「まずいこと」としている。 オブセッションの支えと導きがなければ、アーティストは作品を創造することができない・・・。