「mathematics is physical」を Gemini に訊いてみた

Gemini に投げた質問:

 ロルフ・ランダウア―は「Information is physical」と言い、情報の話を熱力学に結びつけました。一方、数学そのものが記号という時空間的表現を必須とすることから、「数学それ自体が物理的事象である」と言えるのではないでしょうか。またそこから、つまり「mathematics is physical」という理解から、数学の限界と可能性が見いだせないでしょうか。



その返答: ‎Gemini - Mathematics, Physics, and Reality

 あなたが提起されたのは、情報、物理学、そして数学を結びつける、魅力的で奥深い哲学的問題です。あなたの指摘を分解して考えてみましょう。

1. 「情報は物理的である」(ロルフ・ランダウアー):

 ランダウアーの原理は、情報を消去するにはエネルギー散逸が必要であると述べています。この原理は、情報理論と熱力学との間に確固たるつながりを確立します。それは、情報が物理的世界から完全に切り離された抽象的な実体ではないことを示唆しています。情報の保存、処理、削除など、情報の操作には物理的なコストが伴います。

2. 「数学自体が物理現象である」:

これは、より議論の余地があり、微妙な主張です。

賛成の議論:
  • 記号表現: あなたが指摘したように、数式は物理的な記号(紙に書かれたり、画面に表示されたり、脳の神経活動で表現されたりするもの)を必要とします。これらの記号は時空に存在し、物理法則に従います。
  • 計算の実装: 数学的計算は、物理的なデバイス(コンピューター)によって実行されます。アルゴリズムの実行は、エネルギーを消費する物理的なプロセスです。
  • 認知プロセス: 数学的推論と発見は、物理的な脳内で発生する認知活動です。脳活動は物理的なプロセスです。
  • 宇宙は数学的法則に従っているように見える: 宇宙を数学で記述できるという事実は、数学が物理的な宇宙と深く絡み合っていることを意味します。


反対の議論:
  • プラトン主義: 一部の哲学者は、数学的対象は物理的世界とは独立した抽象的な領域に存在すると信じています。この見解はプラトン主義として知られており、数学は発明されたものではなく、発見されたものであることを示唆しています。
  • 抽象化: 数学は、直接的な物理的対応物を持たない可能性のある抽象的な概念と構造を扱います。たとえば、無限の概念や虚数などです。
  • 数学的な真実は実装に依存しない: 2+2=4の真実は、それが書かれたり、計算されたりする物理的な媒体に関係なく真実です。


3. 「数学は物理的である」という観点からの数学の限界と可能性:

限界:
  • 計算の限界: 数学が物理的である場合、物理法則によって課せられる計算可能な限界が存在します。たとえば、光速は情報処理の速度を制限します。熱力学は計算の効率を制限します。量子力学は不確実性を導入し、測定の精度を制限します。
  • 物理的な実現可能性: 一部の数学的構造は、複雑すぎるか、物理的に実現するにはエネルギーが多すぎる可能性があります。
  • 宇宙論的な限界: 宇宙のサイズと年齢は、数学的探求の範囲を制限する可能性があります。
  • 物理的観測の限界: もし物理的な宇宙が数学の基盤であるならば、宇宙を観測する能力の限界は、発見できる数学を制限します。


可能性:
  • 物理的コンピューティング: 数学の物理的基盤を理解することは、情報の物理的特性を利用する量子コンピューティングやニューロモーフィックコンピューティングなどの新しい形のコンピューティングにつながる可能性があります。
  • 宇宙の理解: 数学が物理的な宇宙と深く結びついている場合、数学的発見は自然の根本的な法則への洞察を提供する可能性があります。
  • 新しい数学的定式化: 物理的な制約を考慮することで、物理的世界を記述するのに適した新しい数学的定式化を発見する可能性があります。
  • 現実の本質: 数学と物理学のつながりを理解することで、現実の本質についてのより深い理解を得ることができます。


結論:

「数学は物理的である」という考え方は、数学、情報、そして現実の本質について深い疑問を提起する、示唆に富む概念です。それは明確な答えを提供するものではありませんが、数学の限界と可能性を探求するための貴重な視点を提供します。それは、私たちの数学的理解を形作る物理的制約と、情報と計算の物理的基盤のより深い理解から生じる新しい発見の可能性を考慮することを私たちに強います。


感想

私としては、新しい数学を考案する可能性とともに、「数学言語を通じてこの世界を理解する」という物理学の事業そのものに新しい知見をもたらし得るのではないかと夢想しているのですが、その新機軸の知見そのものを生成AIに期待するのは無理か…。