ボヘミアの海岸線

海外文学を読んで感想を書く

2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『ラテンアメリカ五人集』

<ちんこ>、君、ターザンになったな、一日一日、いい身体になって行くみたいだぜ、とぼくらはいったものだった。ーーバルガス・リョサ「子犬たち」 cinco autores ラテンアメリカ五人集 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)作者: リョサ,パチェーコ,アスト…

『トロイラスとクレシダ』ウィリアム・シェイクスピア

サーサイティーズ:なにもかもごまかしのまやかしの悪だくみだ。ことの起こりは間男と淫売女じゃねえか、いがみあい、徒党をくみ、血を流して死んじまうには、ごりっぱな大義名分だ。そんな大義名分なんかかさぶたにでもとっつかれるがいいんだ、戦争とセッ…

『パラケルススの薔薇』ホルヘ・ルイス・ボルヘス

「一輪の薔薇は、あっけなく燃え尽きるはずです」と弟子は挑むように言った。 「暖炉にまだ火が残っている」とパラケルススは応じた。 「この薔薇を火中に投ずれば、それは燃え尽きたと、灰こそ真実だと、おまえは信じるだろう。だが、よいか、薔薇は永遠の…

『ナボコフのドン・キホーテ講義』ウラジミール・ナボコフ

『ドン・キホーテ』はこれまで書かれた中で最高の小説だと呼ばれてきた。もちろん、これはナンセンスだ。事実は、世界中の最大傑作の一つでさえないのだ。——ウラジミール・ナボコフ『ナボコフのドン・キホーテ講義』 ナボコフの鉈 どこで読んだのだったか、…