ボヘミアの海岸線

海外文学を読んで感想を書く

2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

色で読む海外文学・モノクローム編

先日の「色で読む海外文学」リストの続編。Twitterでつぶやいたら、いろいろな方からいっぱい推薦をもらったのでまとめてみることにした。白黒つけてみる? モノクローム編。 White冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)作者: アリステア・マクラウド,中野恵津子…

『暗夜』残雪|夜は明けない

「夜はもう明けるの?」ぼくは兄に聞いた。 「まだわからんのか。今は……今は……ああ、やめておこう」 (「暗夜」) 「夜が明けるなんてことを考えさえしなければ、この家と折り合えるさ。夜は明けっこないのだ」(「帰り道」) 夜は明けない 残雪は鮮烈なイメ…

『黒檀』リシャルト・カプシチンスキ

[無限の多様性] Ryszard Kapuscinski HEBAN,1998.黒檀 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)作者:リシャルト・カプシチンスキ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/08/11メディア: 単行本 一流の人類学者は、<アフリカ文化>や<アフリカ宗教>…

色で読む海外文学・カラーパレット編

うちの家の庭は、かつての持ち主だった庭師が作ったもので、四季折々の植物が植えられている。台所から見える葉っぱの色は、季節の節目を測るバロメータだ。少し黄土色を混ぜたようなくすんだ黄緑色になっているのを見ると、秋も深まってきたのだなあとしみ…

ノーベル文学賞とバルガス=リョサ、そして大事なものを噛み切られた男の話

ペルーの作家 マリオ・バルガス=リョサが、2010年ノーベル文学賞を受賞した。昨年のへルター・ミュラーがまさかの大穴だったので、今年はずいぶん順当に来たなあという感じ。 毎年、ノーベル文学賞授賞式の何が楽しいって、副賞としての「再版祭り」だったり…

『コスモス』ヴィルド・ゴンブロヴィッチ

[ベンベルグ] Witold Gombrowicz Kosmos,1965.コスモス―他 (東欧の文学)作者: ヴィトルド・ゴンブロヴィッチ,工藤幸雄出版社/メーカー: 恒文社発売日: 1990/03メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 28回この商品を含むブログ (10件) を見る 「わしにいわせ…